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1081
今年は高齢者が引き起こす交通事故がよく目立ちます。目立つというのは実際に件数が増えているかどうかはさておいて、ニュースや特集番組としてメディアへの露出が急増しているという背景があります。

とにかく事故が起きると、それが高齢者の事故だった場合のみ、年齢をことさら強調して大きく報道がされるようになってきました。

下記はNHKの11月下旬の報道ですが、事故は他にもいっぱい起きていますが、わざわざ高齢者関連だけ抜き出しています。

全国で相次ぐ高齢ドライバーの事故(NHK)
全国各地で高齢ドライバーによる交通事故があとを絶ちません。
【11月20日】兵庫県の中国自動車道で、70代の男性が運転する車がおよそ20キロにわたって逆走しました。
【11月20日】福岡県うきは市で、77歳の女性が運転する軽乗用車が病院の正面玄関に突っ込みました。
【11月21日】東京八王子市で75歳の男性が運転していた車が前の車に追突するなど、車3台が絡む事故。
【11月21日】福岡県柳川市で、道路脇の水路に乗用車が転落しているのが見つかり70歳の男性が死亡。
【11月22日】愛媛県今治市で、72歳の女性がはねられて死亡。軽乗用車の81歳の運転手は「前をよく見ていなかった」と話している。
【11月22日】広島県三原市で乗用車が神社の駐車場から3メートル下の川に転落、運転していた80代女性がけが。
【11月24日】福井県おおい町の舞鶴若狭自動車道で、軽トラックが対向車線を逆走し大型トラックと正面衝突。軽トラックを運転していた79歳の男性死亡。


先に結論を言うと、こうした突然なにか特定のテーマが急に盛り上げるかのように報道されるのは、それは誰かが意図してそうし向けているということです。

そうし向けるにはなんらかの目的があります。そのことを知っているのと、なにも知らない、知りたくないと目を閉じてしまう人とでは大きな差が生まれます、様々なところで。

 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

高齢者の交通事故で言えば、団塊世代がすべて65歳以上となり、65歳以上の高齢者の人口が急増したため、件数から言えば増えるのは当たり前のことで、少子化と言われる中で、若い人の事故件数は減少しているのも当たり前のことです。

じゃ、年代層別の免許保有者10万人当たりの事故を起こす確率、事故率は?というと、安全教育のおかげか、もう何年間も各年代で同じように下がり続けています。

高齢者の事故が多いというのは、別に高齢者の質が変わったわけではなく、単に高齢者人口が増えたため、そう見えるだけのことです。実質の事故率は年代を問わずに減ってきています。

高齢ドライバーの事故は20代より少ない 意外と知らないデータの真実
どの年代がもっとも交通事故を起こしやすいのでしょうか?上から順番に見ていくと、「16~19歳」が傑出して多く、それに続くのが「20~29歳」。その次に来るのが「80歳以上」です。70代となると、他の年代とほとんど差はありません。

実際に年代別の事故率がわかっても、その各年代別の運転時間平均を見てみないと正確な統計数値がでないことはわかっていますが(運転時間が長い年代ほど事故のリスクは高い)、さすがにそこまでの統計データはないので、これで判断するしかありません。

団塊世代、彼らが少年だった時代に少年犯罪が急増したり、彼らが就職して結婚して子供ができると住宅が飛ぶように売れたりしたのと同様のことが、いま交通事故の現場で起きていることです。

しかしそこまで深く考える人は少なく、「高齢者の事故が急増している」と重ねて報道されると、「それはいけない、高齢者の免許を規制すべきだ!」という国民総意ができあがります。

 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

では、「高齢者の交通事故が急増している」と、あやふやな表現をして、人に誤解を与えてでも広める意図は何かと考えてみます。

ひとつには警察が新たな法律や規制を作りたがっているということがあるのでしょう。

国家権力のひとつがいきなり規制や法制化を進めると国民の反発を喰らうのはわかっていますので、高齢者事故多発を刷り込んでおけば、「規制や法律の改正が必要でしょ?」とクッションの役割を果たします。

高齢者の免許更新時に、新たな試験や研修制度を導入すれば、警察の仕事や利権を増やすことができそうです。その結果天下り団体に新たな仕事を丸投げができ、交通安全協会や駐車監視員制度などのように、多くの定年退職警察官の再雇用の場を提供できます。しかもその経費は免許証を持つ受益者負担が原則なので、新たに予算を分捕ってくる手間もありません。

次に、古いクルマに乗り続けている高齢者に、自動ブレーキ付きの新しいクルマを買い換えさせる意識付けになります。これは警察ではなく、経産省や自動車メーカー、ディーラー、自動車部品メーカーなどの業界が潤う結果となります。できれば買い換えは任意でなく「高齢者は自動ブレーキ車が必須」というところまで持っていきたいところでしょう。

政府と国は今まで名ばかりのエコカー(とてもエコではないクルマでもエコカー減税という名前を付けるなど)に買い換えさせるため、補助金をジャブジャブつぎ込んできましたが、次は安全をキーワードにした買い換え促進策を打ってくると思われます。とりあえず自動ブレーキ装着車は税金や保険料が安くなるとかいう手法で。

また高齢者に限らず、年々交通事故を減らすことができれば、儲かるのは保険業界です。過去の実績を元に事故率を計算してそれで損が出ないように保険料を算出するわけですから、保険会社としては年々少しずつ事故が減ることがもっとも中長期で儲かるわけです。

なんと言っても年々交通事故は大幅に減ってきているのに、なぜか保険料は上がる一方という、世の中の常識が通用しない特殊な業界です。

もし技術が進歩して交通事故というのが一切起きない世界になっても、保険会社は今以上の高額な保険料を徴収するためあの手この手と策を考えるのでしょう。

もし高齢者の事故(率)が本当に高いのなら、保険会社が黙っているはずありません。21歳未満の若者の保険料はバカ高いくせに高齢者の保険料は特に割高にはなっていません。どういうことかというと、高齢者の事故率は他の年代と比べ高くないからです。

あとは医療業界です。交通事故と医療業界ってあまり関係なさそうですが、運転免許の適性検査と同様に、医学的な見地で運転免許を発行するかどうかに関わってくる可能性があります。

警察で行う視力検査や認知症検査は医学的な診断ではなく、もし法律で規制を強化するとなれば、医者の診断書や治療記録などが必要となってくる可能性があります。飛行機のパイロットには定期的に医者の診断書が必要なように、例えば運転を職業とするトラックドライバーやバス運転手、タクシー運転手(いずれも高齢化が進んでいる)に医師の定期診断を義務づけるなど検討がされているかもしれません。

なんと言っても運転免許証保有者数8200万人の内の20%、1640万人が65歳以上(2015年現在)です。この1640万人のインパクトは、試験、研修、買い換え、保険、治療、診断書はとてつもなく大きなもので、団塊ジュニア世代が65歳を超えるあと20年間は右肩上がりで需要が増え続けることになります。ビジネス的に見ると停滞気味の日本経済にの中にあってこれほど美味しく有望な狩り場はないでしょう。

そうした利権やビジネスを取りに行く上で、広く国民に対し「高齢ドライバの事故が増えている」という刷り込みが必要と考え、頭のいい人が仕掛けているのだと思われます。


【関連リンク】
1044 高齢者ドライバーの増加がもたらすこと
1029 ラブホテル業界は大改革の真っ最中2
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
994 自動運転の未来
800 高齢化社会で変化している交通事故の統計を見る




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1059
発表が今年5月でしたので、ちょっと遅まきながら、毎年楽しませてくれる内閣府の「高齢社会白書(平成28年度版)」の話題をかいつまんで少しだけ。

毎年同じ質問で定点観測している項目と、その時々で聞いている質問があります。

まずは定点観測している高齢者人口など「高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向」の概要を上げておきます。

 出典:内閣府 高齢化の状況(クリックで拡大)
総人口は、2015年10月1日現在、1億2,711万人、65歳以上の高齢者人口は3,392万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は26.7%となっています。

一方、生産年齢人口(15~64歳)は、1995年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、2013年には7,901万人と1981年以来32年ぶりに8,000万人を下回りました。

労働者数が減ってきているのに、それほど社会で騒がれていないのは、経済が相変わらず低調であることと、定年延長や雇用延長で、今まで引退していたはずの多くの高齢者が非正規として働いていることも影響しているのでしょう。

65歳以上の高齢者人口と15~64歳人口の比率をみてみると、1950年には1人の高齢者に対して12.1人の現役世代がいたのに対して、2015年には高齢者1人に対して現役世代2.3人になっています。もの凄い社会の変化を実感できる数値です。

65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、1980年には男性約19万人、女性約69万人、高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2010年には男性約139万人、女性約341万人、高齢者人口に占める割合は男性11.1%、女性20.3%となっています。男性高齢者の1割、女性高齢者の2割が1人住まいなのですね。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

次に、今年度版に加わった「国際比較調査に見る日本の高齢者の意識」について触れておきます。こちらの調査は5年置きにおこなっているそうです。

1)50 代までに行った老後の経済生活の備えについて、「特に何もしていない」と回答する高齢者の割合は、日本は42.7%に対し、アメリカ20.9%、ドイツ26.1%、スウェーデン25.4%です。

一見すると「老後の備えをしなくても日本は退職金や年金など制度や社会保障が充実しているから」ともとれますが、日本より社会保障制度が充実しているスウェーデンでも7割以上の人が経済的な備えをしているのに、日本人は脳天気過ぎます。

ひとつには若い頃から「老後の備えをしよう」という教育がまったくなされていないことが原因で、先のことは知らない、今が楽しければいい、老後のことは自己責任、いざとなれば生活保護に頼ればっていう刹那的な現状があるのでしょう。

その証拠に、「貯蓄や資産が老後の備えとして足りない」と考える高齢者の割合(「やや足りない」と「まったく足りない」の計)は、日本が57.0%と最も多く、アメリカ24.9%、スウェーデン18.9%、ドイツ18.0%と大きく差があり、「なにもしてこなかった」から「足りない」という当然の結果が出ています。

2)「収入を伴う仕事をしたい(続けたい)」とする高齢者の割合は、日本が44.9%と最も多く、次いでアメリカ39.4%、スウェーデン36.6%、ドイツ22.7%となっています。

高齢になっても働きたい働き蜂の面目躍如!と言いたいところですが、収入の伴う仕事をしたい主な理由としては、日本とアメリカは「収入が欲しいから」、ドイツとスウェーデンは「仕事が面白いから」と、老後の備えが心細い切実感が漂ってきます。

3)友人・知人との交流について「相談事があったとき、相談したり、相談されたりする」と回答した割合は、ドイツ48.3%、スウェーデン31.2%、アメリカ28.3%に対して日本は18.6%と一番低く、「病気の時に助け合う」と回答する割合は、ドイツ31.9%、アメリカ27.0%、スウェーデン16.9%、日本5.9%とこちらも低くなっています。

つまり日本の高齢者の知人との交流は極めて限定的、かつ病気になっても家族や公的機関に頼ることはあっても友人や知人には頼まないという傾向が他の国より見て取れそうです。

確かに一般的に高齢になると面倒くさくなって社交性は失われてきますが、各国の若い人に同じ質問をして、高齢者特有のことなのか、それとも国民性みたいなものなのかは不明です。

オレオレ詐欺やうまい投資話、高価な羽毛布団やリフォーム詐欺など、高齢者をターゲットにした詐欺事件が頻発していますが、これはひとえに「高齢者はお金を持っている」&「高齢者は騙しやすい」の2つが詐欺犯にとって狙いやすい要因です。そして「高齢者が騙されやすい」のは、「人に相談したり、親切な人を疑ったりしない」ことによるものでしょう。

4)総合的にみて、「現在の生活に満足しているか」尋ねたところ、現在の生活に満足している高齢者の割合(「満足している」と「まあ満足している」の計)と回答する割合は、スウェーデンが97.1%、アメリカが95.2%、ドイツが91.9%といずれも9割を超えていて、日本は88.3%とやや低くなっていますが、それでもザックリ9割の高齢者が概ね満足しているという結果です。

スウェーデンはさすが高齢者にも優しい社会保障先進国ですが、貧富の格差が大きいと言われているアメリカでも高齢者の95%が満足しているというのには驚きます。

堤未果さんの「ルポ 貧困大国アメリカ」なんかを読むと、アメリカの社会保障制度は無茶苦茶でたいへんなことになっているという感じですが、果たしてどっちが真実なのかわからなくなってきます。


【関連リンク】
967 平成27年度高齢社会白書を読む
780 あらためて高齢社会白書を概観してみる
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
706 高齢化社会の行方
574 仕事を引退する時、貯蓄はいくら必要か




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1053
すでにあちこちで問題になっていますが、空き家が増えてきています。高齢化が進み限界集落化している地方はもちろんですが、都市部においても空き家の問題が顕在化してきています。

総務省の平成25年(2013年)調査では、

・総住宅数は6063万戸と,5年前に比べ,305万戸(5.3%)増加
・空き家数は820万戸と,5年前に比べ,63万戸(8.3%)増加
・空き家率(総住宅数に占める割合)は,13.5%と0.4ポイント上昇し,過去最高
・別荘等の二次的住宅数は41万戸。二次的住宅を除く空き家率は12.8%


ということです。

住宅総数、空き家数、空き家率推移(総務省統計局)


野村総研のシミュレーションでは、今から17年後の2033年には空き家率は30%を超え、空き家総数は2170万戸に倍増するということです。3軒に1軒が空き家とは驚くべき事態です。

空き家数、2033年に2170万戸へ倍増(ITメディア)

日本では住宅というと、1世代につき1軒が基本で、地方の豪族以外は何代にも渡り、一つの家を使い続けるというような風習はありません。

それは高温多湿で基本木造構造の住宅がそれほど長持ちしないということもありますが、いつの頃からか使い捨て文化を推進してとにかく新しいものが素晴らしいという価値観を国民が刷り込まれてきたことにもよると思われます。

自動車でも大事に乗って長く使おうとするよりも、次々と買い換えることを国は推奨してきます。13年経ったクルマ、そして18年経ったクルマは税金が高くなります。

しかし最新の実質的にエコでもないエコカーを買うと、国や自治体から税金を原資に多額の補助が出たり、税金が安くなります。

欧州では古いクルマには一定条件の下で逆に税金免除など優遇措置が与えられたりしますが、日本では新しく買い換えることが正義とばかりに古いものを大事にしていると増税というペナルティまで科せられてしまうということなのです。

話しを戻すと、空き家ですが、地方や交通の便の悪いところは別として、本来はリフォームして住みやすくすれば借り手は見つかるはずです。

しかし日本人の感覚からすれば、古い家よりは新しい家とばかりに、新築や新築同然の家にばかり人気が集中してしまう傾向があり、結果、古い家をリフォームしたぐらいではよい条件での借り手や買い手が見つからず、結果、更地にして安普請の新築にして売り出すという繰り返しです。

販売されている多くの新築1戸建てが、元は大きな屋敷だったところを分割し、数戸を建てて売り出していることからもそれがわかります。

ま、買う側からすれば、確かに新しい耐震基準を満たした、最新のキッチンや設備が整った新築を希望するのもわかるのですけどね。

せめて鉄筋コンクリート造りのマンションなどは、中身の設備は順次更新するとして、100年~150年ぐらいは構造躯体はしっかりと持つようにしてもらいたいものですが、こちらも基本は1世代(30~40年)が使い終えるとその後は寂れていって空き部屋が増えていくという現実があります。

住宅に関して日本の貧困はこれからも続くのでしょう。

空き家の有効利用は、新東京知事が「不足している保育施設として利用する」とか言っていますがどうでしょうか?

大きな公園の中に保育園を作るというだけでも周囲の住人が大反対するのに、住宅地の中の小さな家に元気な子供を集めるのは向いていない気がします。

それよりは待機者の多い特養の代わりに使えるグループホーム的な介護施設としての利用や、下記の記事にあるように、非正規など低所得者に安く提供する住宅にするほうが現実的かもしれません。

消費低迷に構造問題、非正規の弱い担税力が主因に(ロイター)
全国に820万戸も存在する空き家を活用し、低所得者向けに「低料金」の賃貸住宅を提供し、可処分所得を底上げするシステムを作ることだ。
仮に非正規の平均年収・169万円で生活すると仮定した場合、1カ月14万円でやりくりすることになるが、家賃が5万円超では、余暇にお金を回すことは不可能に近い。
しかし、空き家を国や自治体が改修して借り上げ、月間5000円から1万円程度の低料金で貸し出しすれば、生活環境は相当に変わるだろう。


いずれにしても、今後、住宅ブームだった1970年代から1990年までの20年間に建った多くの住宅やマンションが次々と老朽化と住人の高齢化により空き家となってきます。

その対策を国として、自治体として早く方針を決めて動く必要がありそうです。


【関連リンク】
1020 老人ホームについて調べてみた(2)
995 2LDK、販売価格10万円のリゾートマンション
942 世知辛い世の中
908 本当に住みよい街とは
896 多死社会と葬儀ビジネス
790 空き家が増えている




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1044
交通事故による死亡者数は年々減少傾向にありますが、こと高齢者ドライバーの死亡数は横ばいに推移しています。交通事故死亡者に占める65歳以上の割合は2005年は全体の43%だったのが、2015年には55%にまで上昇しています。

これは高齢者の絶対数が増加することで歩行者含め交通事故で亡くなる高齢者が増えるのは当たり前ですが、日本人の長寿化により、かなりの高齢者でもハンドルを握る機会が増えてきていることも影響しているのでしょう。

下記のグラフを見ると、64歳以下の交通事故死亡者(青)は減少傾向にありますが、65歳以上(茶)は横ばいが続いていて、さらに65歳以上高齢者の交通事故死亡原因では、歩行中などが減少しているものの、自動車運転中は増加していることがわかります。

交通事故統計(平成28年5月末)



1月に起きた信じられないような軽井沢スキーバス転落事故は、65歳の運転手が引き起こした事故でしたし、その2日後には添乗員が機転を利かせて停止させたおかげで大きな事故にはなりませんでしたが、70歳の運転手が淡路島の高速道走行中に意識を失って大きく蛇行運転する事故が起きていました。

つい先月も新宿の繁華街で82歳の認知症高齢者が運転する軽自動車が歩行者3名をはねました。

認知症82歳の車、3人次々はねる…新宿繁華街(読売新聞)
警視庁新宿署は同日、軽乗用車を運転していた同区の無職男性(82)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転傷害)容疑で現行犯逮捕。男性には認知症の症状があり、同署は男性を釈放し、任意捜査に切り替えて調べている。

認知症患者であればこのような事故を起こしても罪にはならない可能性が高いのですね。

ちなみに交通事故で亡くなるケースは全年代でみると歩行中が37%、運転中が32%、二輪17%、自転車14%となっています。意外と自動車やバイクを運転中の死亡事故が多いと感じます。

高齢者になると動体視力が衰えまた機敏な反応ができにくくなります。中には認知症やその他障害を抱えながらも自動車運転をする人も増えてきています。それは特に地方では十分な公共交通がなく、車を運転しないことには生活が成り立たない場合もあり、多少問題を抱えていても車やバイクを運転せざるを得ない高齢者も多いでしょう。

2005年から10年間で、75歳以上が起こした死亡事故の割合は7.4%から12.7%に増えていることからもわかります。

国も対策を始めていて、2002年から70歳以上の方が運転免許の更新を希望する場合は、「高齢者講習・シニア運転者講習・チャレンジ講習+特定任意運転者講習(簡易講習)」のいずれかの講習を受講しなければ運転免許の更新ができなくなっています。いずれは更新条件がもっと厳しくなり、対象年齢も65歳以上とかに引き下げられるのかも知れません。

これで十分ではありませんが、少なくとも自動的に更新ができた従来と比べて、多少は歯止めが利くようになっているのではないでしょうか。

各自治体や警察署でも高齢者の運転免許証の返納を積極的に推進し、サポートしています。

例えば身分証明書代わりに免許証を持っていた人に対して身分証明書の代わりになる証明書の発行や、返納すると買い物の割引券がもらえるとか、様々な特典をつけるようにして、高齢者ドライバーリスクを減らそうと躍起です。

高齢ドライバー500万人時代 免許返納いつ?悩む本人と家族(Yahoo!ニュース)
75歳以上の高齢ドライバーが増えている。自動車免許の保有者は2015年末で477万人。今年中に500万人を超える勢いだ。高齢になると、運動神経が鈍くなり、事故の可能性が増す。認知症の問題も大きい。75歳以上の運転免許保有者のうち、認知症にあたる人が数十万人いるという推計もある。高齢ドライバーやその家族は、車の運転とどう向き合っていけばいいのか。

この記事を読んで思い出すのは、2年ほど前ですが、近所のディスカウント店へ行ったとき、店の前の駐車場で、軽トラが駐車場の白線内に停めるのに苦心していて、何度も何度も前進後退を繰り返していました。

しかしなかなか白線の枠内に収められず、やがては隣に駐車しているクルマにガンガンと大きな音を立ててぶつけてしまいますが、運転していた高齢ドライバーは気がついていないらしく、何度も前進後退をやり直してぶつけまくっています。

大きな音がしたので周囲にいた人が、ドライバーに隣のクルマにぶつかった旨を伝えたものの、ドライバーは最初「なに?どうした?」って感じで降りてきて、ぶつかった場所を人に指摘されて、はじめて「あれ?おかしいな」って感じで驚いていました。しかも全然悪びれた様子もなく誰かにぶつけられた?って感じで他人事のように眺めていました。

ぶつけられたクルマの持ち主は店内にいたようで、その後どうなったかは定かではありませんが、まったくたまったものではありません。本人にぶつけたという自覚がないのですから、事故処理や保障も揉めそうな感じです。

高齢化社会の中で車を運転するってことは、そうした運転感覚や行動の認識が欠如した人が周囲にいっぱいいることを知った上でハンドルを握る必要があります。つまり悪意なく赤信号や一旦停止を無視して突っ込んでくる高齢者ドライバーがいても、今や全然不思議ではないということです。恐ろしいことですが。

危険な高齢者ドライバーの兆候としては、「車庫入れがうまくできない」「ギアの前進とバック、ウインカーの左右を間違える」といった操作ミス、「通い慣れた道なのに間違える」、「鍵の置き場所を忘れる」などの記憶力・注意力の低下、それに「極端な低速」「赤信号の無視」、「歩行者や右折時の対向車を見落とす」という危険運転が挙げられるということです。

そうした兆候のあるクルマには近づかないのが一番ですが、ウインカーも出さずに突然右左折を開始したり、車線を変更してくるドライバーも多く、決して高齢者だけの問題ではなく、車を運転するときは昔、教習所で習った自分の身を守るための「防衛運転」を心がけたいものです。


【関連リンク】
1013 5年生存率と余命宣告
864 衝突安全性テストについて
800 高齢化社会で変化している交通事故の統計を見る
557 運転免許証の取得推移と乗用車保有台数推移を並べてみる




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1043
幸い我が家では現在のところ高齢の親の介護問題について頭を痛める事態には陥っていないものの、社会では相当大きな問題となってきています。

ひとつには、高齢の親を介護するために、働いている現役世代が仕事を辞めたり休職して在宅介護をするのか、逆に親を子供が働く都市部へ呼び寄せて介護をしていくのかという地理的、場所の問題。

小説ですが、「介護退職」(楡周平著)や「二人静」(盛田隆二著)では働きながら介護をする厳しさと苦悩、「風のささやき 介護する人への13の話 」や「昭和の犬 」(姫野カオルコ著)では遠距離介護のたいへんさがよく書かれていました。

もうひとつは、高齢者の健康問題と介護施設の問題です。

後者の長期にわたり24時間介護してもらえる施設については以前、

老人ホームについて調べてみた(1)

老人ホームについて調べてみた(2)

で書きましたが、多額のお金が工面できる人は、「介護付有料老人ホーム」など、24時間介護の施設に入居することで家族も安心ということがわかりました。但しそれも医療行為が伴わない場合に限られます。

お金がない場合や慢性的に医療行為が伴う場合、公的な施設に入居するためには、要介護認定が高く、競争率が比較的低い地方であれば、公的な施設「特別養護老人ホーム」や「介護療養型医療施設」「介護老人保健施設」などが数ヶ月~数年待ちとなりますが、なんとか入居が可能ということもわかりました。

お金がなくて、都市部でという人は、さすがに24時間介護サービス付きとはいきませんが、「サービス付き高齢者向け住宅」や「グループホーム」、、「シルバーハウジング」等があり、それにも入れなければ現状ではやや問題が多いとされる「無届け介護ハウス」というものもあります。

今回は、介護施設に頼らない、在宅介護をどうやっていくか?という問題を考えてみたいと思います。

都市部に住む団塊世代以前の人の多くは、元々地方出身者で、仕事を引退した後は、再び地方へ帰っていくのかと思っていましたが、40年以上慣れ親しんだ都会のコミュニティや資産を捨て去ることはできず、そのまま都市部郊外で住み続ける傾向があります。

覚悟の地方移住か都市部で介護難民か

でも書きましたが、高齢となり、やがて健康を害した時に、都市部においての介護施設は満員で、介護要員の不足もあって、やがて介護難民となり行き場がなくなる恐れが危惧されています。

その点、すでに高齢化率が30%を超えている地方では、比較的その要介護高齢者の受け入れできる施設やノウハウが多くあり、要介護になる前に地方へ移住をし、新たなコミュニティに参加をしてその準備をしておこうという動きがあります。

それがアメリカで流行っているCCRC(Continuing Care Retirement Community)の日本版です。直訳すれば「継続的なケア付き高齢者たちの共同体」ということになり、いま国や地方公共団体は都市部への集中を避けようと盛んにPRしています。

ただし、日本人高齢者はどうも環境の変化に抵抗感が強く、なかなか地方への移住は進まないようです。そりゃそうでしょう。

高齢者の6割以上が地方移住に「NO!」。日本版CCRCを待ち受ける前途多難な道のりとは?(みんなの介護)

私個人的には、引退後は地方でのんびりゆったりと暮らしたいと思っていても、たぶんご近所さん達とコミュニティを確立している妻はそういうのを嫌うでしょうし、なにかにつけて便利な都会暮らしに慣れてしまった身には、地方暮らしの不便さも十分にわかります。

そして高齢の親が元気なうちはまだよいとして、介護が必要となた時に、さすがに在宅で老老介護を何年も続けるのは無理があり、結局は施設に頼らざるを得なくなるでしょう。しかし都市部にはなかなか施設の空きがない。

富裕層ではないごくごく平均的な我が家も、余裕ある老後資金があるわけではなく、というかほとんど3人の子供の教育費に使ってしまったので貯金はまったくと言っていいほどなく、途中で転職しているので満足な退職金もありません。

とすると、何かあったときに、子供と遠く離れているのが、お互いにとって障害になることを考えると、働く子供の近く、つまりは都会で暮らさざるを得ないという結論に至ってしまうでしょう。

さらに、テレビでやていましたが、地方に住む高齢の親を、子供が暮らす都市部に呼び寄せることが流行しているそうです。

ふるさとの親どう支える? ~広がる“呼び寄せ高齢者”~(NHK)
首都圏に住む4、50代の4割が地方出身者です。ふるさとの親に介護が必要になった場合、以前は子どもが帰ったり、通ったりして支えていました。でも今、増えているのは、親に子どもの暮らす都会に来てもらう「呼び寄せ高齢者」です。

都市部では既存の住人の高齢化率が加速度的に高まっていく中で、さらにそれに輪をかけて地方に住む高齢者を都市部に呼び寄せてどうするの?という気もしますが、介護する子供側にとっては、地方に住む親の介護の厳しさもあって、やむを得ない選択ということなのでしょう。

これでは都市部において高齢者向けの施設や介護要員がますます不足していくことになりそうです。

高齢者側にとっては、先述のCCRCを受け入れて、高齢者が集まり、合理的な介護をサービスを受け、また相互に支え合うようなコミュニティを作っていくしか当面は解決がなさそうに思うのですが、保守的に頭が固まった高齢者にとってはつらい選択になってしまうのでしょう。


【関連リンク】
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
946 介護人材を増やす
888 火事と高齢化社会の因果関係
876 介護にまつわるあれこれ
865 仕事と介護の両立という難題




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