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八月十五日の開戦 (角川文庫) 池上司

太平洋戦争(大東亜戦争)までは、樺太の半分、千島列島の全部は日本の領土として国際的に認められていたことを知る人も少なくなっているでしょう。また戦争末期には、アメリカ、英国、中国などと講和するため、日本と中立条約を結んでいたソ連に仲介を依頼していたわけですが、そのソ連はというと、それには応ぜず、逆に終戦間際になって一方的に条約を破棄し、それまで日本が攻め込んでいた満州や、領土としていた千島列島へ武力を用いて攻め込んできました。

この本では、ポツダム宣言受諾で放心状態にあり混乱していた大本営は頼りにならず、今までは米国のアリューシャン諸島から攻撃される可能性のあった千島列島や樺太、北海道の守備隊が、終戦後にも関わらず、ソ連の暴挙とも言える侵攻を食い止めるべく孤軍奮闘する姿がフィクションを交えドキュメンタリー風に描かれています。

ドイツ機甲師団を打ち破り圧倒的に強力なソ連軍と、食料も武器も兵員も乏しく、先には手を出せない降伏後の守備隊ですが、その防人となったのは、国民から各戦場で日本が負けたことを隠すため、撤退したあと、辺境の地に追いやられていたノモンハンやビルマ、ミッドウェイ、ガダルカナルなどの生き残り達です。

本来なら8月15日をもって任務は解かれ、本土へ帰還できるはずでしたが、このソ連参戦のため、北海道までを一気に占領される可能性があり、それを食い止めるため、死を覚悟して今まで以上に厳しい戦いをせざるを得なかった千島の守備隊の苦悩がよくわかります。

しかしそのような一度地獄を見てきた強者が揃っていたことが幸いし、千島列島を足がかりにして、一気に北海道に上陸するつもりだったソ連軍を、カムチャッカ半島からほど近い千島列島の最初の島「占守島」に釘付けにします。結局この終戦後の戦闘で戦死したのは、詳細な記録はないものの、日本側600名、ソ連側3000名にのぼったとされています。

小説では、その終戦後の数日間、ソ連軍を北海道の手前で食い止めている間に、連合国の責任者マッカーサーに密使を送り、ユダヤ人虐殺をアメリカ政府が荷担したという証拠を持ち出して、それとひき替えにソ連の攻撃をやめさせるべく提案します。

ほとんど語られることのないこの終戦後のつらくはかない戦闘ですが、昨年、浅田次郎氏が「終わらざる夏」でも描いています。まだ読んでいないので中身は知りませんが、超人気作家の小説ですから、今年上映される「日輪の遺産」と同様、おそらくこれもいずれは映画化されることになるのでしょう。


犯罪小説家 (双葉文庫) 雫井脩介

先日読んだ「つばさものがたり」や「犯人に告ぐ 」などの作品で人気沸騰中の作家さんの2008年に出版された作品です。

作家とその映画化に向けた世界を書いていますので、著者としては勝手知ったる自分の庭での物語なので、一瞬手抜きか?と思いましたが、それなりに面白く構成されていると思いました。この作品も映画化(映像化)を視野に入れているなという気もしますが、たぶん数年のうちにはきっと実現するのでしょう。

内容は、ミステリーの賞に輝いた小説家が主人公で、その原作を元にして映画化の話しが持ち上がります。そしてその脚本、監督、主演を人気絶頂の脚本家でもありマルチタレントの男に依頼することが決まりますが、その男がなにかと主人公の作家にまとわりついてきます。

小説の内容とはまったく関係がないと思われた、集団自殺サイトを運営していた美人管理人の美しい自殺と、この賞を取った小説の裏に隠された内容に、ただひとりだけ気がつき、残されたサイト運営幹部の謎と行方を追いかけ、最後のクライマックスまでドキドキさせられることになります。

やたらとその自殺サイトの話しや、そこで交わされた書き込みが克明に出てきますので、ちょっと薄気味悪く、全体が暗いトーンになってしまっているのは気になりますが、現代の暗部をうまく取り込んでいるとも言えます。ただ本当に自殺願望のある人は読まない方がいいでしょう。


プリズム (創元推理文庫) 貫井徳郎

1993年に「慟哭」で衝撃的なデビューを果たした貫井徳郎氏の、1999年に書かれた小説です。「慟哭」はずっと以前に読みましたが、とても新人作家とは思えない、その内容と構成に驚かされました。その後は「悪党たちは千里を走る」など何冊か読みましたが、どれもよく練り上げられた内容で面白く読みました。

この小説はではミステリー小説としては日本で珍しい新しい試みがされています。そのネタばらしはさすがにできませんが、ちょっと意味合いは違うものの、私は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を思い浮かべました。

直前に読んだ雫井脩介氏の「犯罪小説家」は直球のミステリー小説ですが、それともなにか通ずるものがあり、続けて読むのは混乱を招きちょっとよくなかったかなぁとちと反省も。

タイトルのプリズムとはいきなり死んで登場する女性ヒロインが、様々な見る角度によって妖しい光を発していることを指しているのだろうと思いますが、私にはその死んだ女性の周辺にいた人達が、様々な角度で死因や犯人を考察していくことを指してプリズムというタイトルなのかなと感じました。

あらすじは、美しい独身の小学校女性教員が、ある日自分の部屋で亡くなっていて、それが事故なのか、他殺なのか不明で、容疑者と考えられる人は何人もいるけれど、いずれも決定的な証拠はなく、教え子の小学生、女性教員の同僚、死んだ女性の元恋人、そして不倫相手などその周辺の人達が、それぞれに疑われながらも自分で推理をしていくというものです。


邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫) 鯨 統一郎

著者は変わった名前(ペンネーム)だな思ったらしっかり覆面作家とのことです(wikiより)。先般読んだ2002年デビューの坂木司氏もそうでしたが、2000年前後は覆面にすることでなにかメリットがあったのでしょうかね?実名でアピールし、サイン会、講演会、テレビコメンテーターなど幅広く商機を拡げていくほうが、売り出し中の作家としては望ましいのではと思うのですが。ま、芸者作家、茶坊主作家、太鼓持ち作家にはなりたかねぇとお高くとまるのもひとつの見識ではありますが。

今回の本のタイトルにも使われている「邪馬台国」を扱った小説は数々ありますが、私は高木彬光氏の「邪馬台国の秘密」ぐらいしか読んでなく、テーマ的にはあまり関心はなかったのですが、今から40年近く前に書かれた「邪馬台国の秘密」以降にも新しい発見や新説が登場していますので、最近ではどのような説が一般的になっているのか、知っておくのもいいかなという軽い気持ちで読み始めました。

ちなみに近所の大型書店では「ここまでわかった!邪馬台国」が平積みされていて、これも近いうちに読んでみたいなと思っていますが、これは全国にある邪馬台国の候補地の紹介みたいな感じで、小説としての謎解きの面白さは当然ありません。

そんな、なにも先入観なく読み始めましたが、この文庫はタイトル名にもなった「邪馬台国の謎解き」だけでなく、下記のように、現在の常識や謎を、新宿にあるバーの常連さんのひとりが解き明かし覆していくという短編でした。

その概略は、
 ・聖徳太子は実在しなかった
 ・お釈迦様は悟りをひらかなかった
 ・邪馬台国は東北にあった
 ・明智光秀は謀反人ではなかった
 ・倒幕の黒幕は幕府側の勝海舟?
などです。

ちょっと考察に甘いところがあるんじゃないのか?都合のいい部分だけ抜き出して解釈してないか?と思うところもありますが、しかし現在の通説や常識を、軽いノリで次々と覆していくスリリングで無駄のないテンポの良さは読んでいてもスッキリします。

これらの元ネタは文庫の後書きにありますが、著者自身の発想ではなく、ある別人の解釈を元にして、著者が小説化したものです。そういうことをちゃんと明示しているところは、論文や小説などで盗作疑惑や著作権問題がこじれることが多い中で誠実さを感じます。

本書の中に出てくる解釈では、「日本書紀はいくつか流れのある天皇家の中でも勝ち組の一派が書かせたものなので、負け組のことについての記述は曖昧で信用がおけない(聖徳太子の実在しない)」とか、また地図上の方角について、目の前に方角の誰でもわかる太陽がありながら「当時の公文書に北と南を間違えて記載をする(邪馬台国は東北にあった)」というのは、にわかには信じがたいように思います。

本来なら短編のそれぞれの項目が、大きなテーマでもあり、そのテーマだけで上・中・下巻の長編小説になりそうですが、それを短編としてサクッとまとめてしまうところがなんともこころ憎いなと思います。せっかくですから、当然予想されるそれぞれの反論や通説の根拠となっている様々な証拠に対して、また今回、通説を覆した推察に対する反論も加え、もっと深く掘り下げた小説にしてみてはどうでしょう。

高木彬光氏の「成吉思汗の秘密」では「義経は成吉思汗ではない」という論拠からスタートさせ、最終的にはその論拠をことごとくつぶしていくというストーリーでしたが、歴史物はそうやって見ていくと説得力が増すように思います。

ちょうど、いまは歴史に興味を持つ若い女性(歴女)と、仕事を辞め暇を持てあまして歴史書を読みふけり遺跡の見学に大挙押しかけている団塊世代がいますので、この歴史ブームをうまくつかむことができれば、このようなテーマは大ヒットすると思います。ま、いずれにしても、この推理小説は軽くできていますので、満員の通勤電車の中で集中して読むのには、最適な小説でした。


「若者はかわいそう」論のウソ (扶桑社新書) 海老原嗣生

新書ほど中身に当たり外れの多い出版物はないという持論ですが、数年前からの新書ブームでタイトルに過激な表現を使うことが当たり前になってきています。私の場合、数多く読みたいので、新刊書を単行本で買うことはあまりなく、単行本の中から評判のよかったものだけが文庫化されるのを待ち、さらにその中から読みたいものを選んで購入していますから、そう大きな当たり外れはありません。しかし新書というのは、以前ならロングセラーになる学術系だったり、ハウツーものがメインだったりしたのが、最近では誰でもお手軽に出版できて、それこそタイトルで勝負、一発屋狙いの「スポーツ新聞」的な軽くてどうも信用の置けない書籍となっています。

前置きが長くなりましたが、この『「若者はかわいそう」論のウソ』はタイトルは過激で、最初手に取ったときは心配だったのですが、読み始めて中身もそれなりにあり、なかなか面白く読むことができました。

著者は元リクルートで自分では人材雇用問題のエキスパートのように自慢されてますが、人材ビジネスの中心で20年以上関わってきた私からすればやや底の浅い、人材出版編集者兼ジャーナリストという感じがします。それがいいとか悪いと言っているのではありません、念のため。

で、この新書では、著者の好き嫌いがハッキリしていて、どうも好きではない人が書いたベストセラーに対し、意図的な誤魔化しや誤解を生じされる書き方などを徹底的に糾弾し、それに同調するマスメディアをも非難しています。このあたりの切れ味は、さすが元リクの元編集者と言えるでしょう。

さらに、今後日本の雇用はどうすればいいかという点についても持論を展開し、関連する有名人との対談を収録されていますが、その著者の考える今後の雇用対策の章については、残念ながらその意見に同調する人はあまりいないでしょうし、実現可能性は日本が中国に侵略され24番目の省になるより低そうなので、あまり参考にはなりません。冗談で書いているならともかく、実現可能性がまったくない意味のないプランをいくつ出しても紙の無駄になるだけです。

それはともかく、前半部分は、久々に新書の中で面白いものに出会った爽快感があり、それだけでも読む価値は十分にあると思います。最近の新書では「国家の品格」や「デフレの正体」「偽善エコロジー」などは別格として、それらに次いで、読んでよかったと思えるものでした。

それにしても最近の新書という新書は、統計データを元にして「ハイ一丁上がり」とばかりに一冊にまとめる(同書はそれだけではありませんが)のが、最近やたらと流行しています。「統計は使い方によってどうにでもなる」という考え方を持つ私にとっては、今の新書ブームは単に胡散臭く思えて仕方がないのです。




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