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5月前半の読書 2012/5/19(土) 

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睡蓮の長いまどろみ (文春文庫) 宮本輝

 
長い小説ですが、ヨーロッパの田舎町と日本が登場し、何十年と長く会っていなかった親子が再会し、それまでの紆余曲折の人生を語るといういかにも宮本輝流の小説です。

宮本輝氏ぐらいの大物作家になると、小説を書くために取材旅行をと言えば、海外渡航費などを出版社が喜んで負担してくれるので、こういう日本人が滅多に行かないような海外の地が出てくる小説が多いのではないかと勝手に想像しています。失礼ながら西村賢太氏にこのようなイタリアの聞いたこともないような片田舎の街を舞台にしてストーリーを描けといってもそりゃ無理ですものね。

で、そのイタリアの風景がこの小説にどうしても必要かと言えばそれはまったくないわけで、主人公を生んですぐに消息を絶った母親と何十年ぶりかで再会する場所は、別に軽井沢でも沖縄でも熱海でもよかったわけです。

タイトルになっている睡蓮と蓮の違いを含め、うんちくについては雑学として勉強になりますが、発酵食品を取り上げた「にぎやかな天地」ほどは役には立ちそうもありません。こういううんちく雑学を語らせると天下一品です。

そして特に驚きとか感動とかはなく、主人公とその母親の生い立ちについてまるで蓮の花がひとつふたつとはがれ落ちていくようにして深い事情がわかっていくという暗示をタイトルに込めているのかもしれません。


プレイメイツ (ハヤカワ文庫) ロバート・B・パーカー

日本では1990年に発刊されたスペンサーシリーズ16作目です。タイトルからすると一見綺麗な女性がいっぱい登場してきそうですが、そのような期待は大きく裏切られ、アメリカでは4大人気スポーツの一つであるバスケットボールの将来有望な若手選手が今回の相手です。

大学のバスケットチームに所属し、プロのスカウト間違いなしと言われている選手に八百長疑惑が起きたことで、その大学が私立探偵スペンサーに調査を依頼するところから始まります。

八百長をおこなったかどうかの調査なら、すぐに終わってしまいますが、パーカーの理想とする探偵像はそれだけにとどまらず、依頼者である大学を裏切ってでも、将来のスター選手の芽をつみ取ってしまうだけのことに満足せず、殺し屋を送り込んでくる八百長を仕組んだマフィアを敵に回しながら、スキャンダルに発展しないよう落ち着き先を考えます。

またその生意気で自信過剰で、そそのかされて八百長に手を染め道を外そうとしているスター選手を心身両面で支え、賢明に助けようとするガールフレンドの誠実な対応に報いてやろうとするところが、スペンサーのスペンサーたる所以でもあるでしょう。

スポーツの世界を舞台としたこのシリーでには他に「失投」があります。こちらはメジャーリーグ、地元のボストンレッドソックス所属選手のやはり八百長問題についての調査でした。

スペンサー自身レッドソックスのファンでもあり、その他の小説の中にもホームグラウンドのフェンウェイ・パークや、メジャー中継をテレビで観戦しているシーンが登場しています。中にはレッドソックスのライバル球団として「ヤンキースに入団した風変わりな日本人」と当時悪役のイメージがあった伊良部投手のことを書いたものもありました。


冬の童話 (ポプラ文庫) 白川 道

白川氏のファンなのでそれほど多くはない文庫本はほとんど読んでいますが、これは2010年(文庫は2011年)発刊の長編恋愛小説です。映画タイタニックやプライベートライアンのように、プロローグとしてまず現在の結果が描かれ、それが終わると一気に過去へ飛んで結果に向けての長いストーリーが始まるという仕掛けです。

主人公は、生まれてすぐ捨て子にされたものの、里親に恵まれ、大学を出て大手出版社に勤務、そこから人一倍努力を重ね自分で文芸書出版社を起業し社長にまで上り詰めます。しかし幼い頃の悪夢が時々よみがえり、自分の捨て子だった過去を繰り返してはいけないと、結婚もしません。

またもう一人の主役は、幼い頃に父親を亡くし、義父に虐待を受けながらも美しく成長した女性です。その二人の運命的な出会いと再会、そして永遠の別離を描いています。

主人公が起業した新興出版社のモデルは、すぐにわかってしまう出版界の風雲児「幻冬舎」ですが、この小説はポプラ社から出版されています。なにかちょっと不思議な感じ。

白川氏の小説は「流星たちの宴」から続く一連の「病葉流れて」「朽ちた花びら―病葉流れて 2」「崩れる日なにおもう―病葉流れて〈3〉」など麻雀などギャンブルや強引な株取引などの男臭い日本的ハードボイルドものが多いと感じていましたが、この小説ではそういったギャンブルや暴力、ヤクザなどは一切出てこないタイトル通り大人の男と女が夢見るベタなおとぎ話です。

昨年白川氏が最初に就職して確か数ヶ月で辞めてしまったという三洋電機が解体されました。できればその三洋電機が舞台の小説を書いて欲しいなと思っています。三洋電機がきしみながら壊れていく姿を、最後まで見届けた男達の物語を単なる経済観点ではなく白川タッチで読んでみたいものです。


FLY (文春文庫) 新野 剛志

白状すると、私は寝る前に自宅のベッドの中で読む本と、片道1時間の通勤中に読む本と、だいたいふたつの本を並行して読んでいます。この「FLY」と同じ時期に並行して読んでいたのが、上記の「冬の童話」でした。そしてどちらにも歌がうまくて、歌手としてプロデビューしようとする薄幸な美少女が重要な役割として登場するではないですか。しかもFLYには二人も。

寝る前に読む本と通勤中に読む本は意図してまったく違うジャンルの本を読むように気をつけていますが、今回はまったく無自覚で内容が一部分ダブってしまうことになりました。そして読んでいるうちに内容や登場人物がごっちゃになってしまい、混乱してしまったことを認めます。

こちらの小説は、2004年に初出で、文庫は2007年発刊です。著者の新野剛志氏と言えば少し前に読んだ「あぽやん」がとてもスマートで面白かったので、今回続けて読んでみることにしました。この「FLY」は「あぽやん」と同じ作者とは思えない本格的なクライムノベルで、コミカルな部分は皆無、子供への虐待や殺人など犯罪が次々と起きていきます。

登場人物はかなり複雑です。将来は飛行機パイロットになろうと目標を決めていた高校生が、ある日偶然に指名手配されている殺人事件の容疑者を見つけてしまい、それを警察に通報したことから、容疑者の恨みを買ってしまい一番大事なものを目の前で失ってしまうという流れがひとつ。

その事件から十数年が経ち、将来は物書きになりたいと思っているフリーターの若い男性が、仲のよいバイト仲間の女性につきまとうストーカーになぜか興味を惹かれ、調べていくうちにその女性の父親とストーカー男の間に横たわる暗い闇が次第に判明していくというふたつめの流れ。

さらに過去に暴力的な父親から逃れ、歌手になる野心のため犯した犯罪と、それをネタに強請ろうとする実母のヒモに苦しめられる売れっ子ミュージシャンの不幸な生い立ちからの流れ。

それぞれの視点で物語が展開し複雑に絡み合っていきますので、誰が主人公というのではなく、複数の登場人物が主人公と言えます。登場人物は多くはないものの、それでも視点(語り手)がコロコロと変わりますので、しっかりと読んでいかないと途中で混乱してしまいそうです。

そして最後になってわかる最初に起きた殺人の意味や伏線がしっかりとあとになってから効いてくる、なかなかトリッキーな小説です。ただタイトルがこの「FLY」だと、よほどの売れっ子作家で作者名で買っていく人が多くないと、読み手にはまったく意味不明なだけに、そこがちょっと損をしたかな。





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