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84歳で亡くなった私の父親のことを考えると、私はいま56歳なので、父親の生きた年数のちょうど2/3に達したということになります。仕事もまもなく引退する予定なので、余命もわずか?と思っていただけに、え!まだ人生の1/3も残っているんだ?と思うとちょっと不思議な感覚になります。

男性の平均寿命は、約80歳ですが、これは生まれたばかりの0歳児の平均寿命なので、56歳の平均余命はもう少し長くなります。事故や大きな病気に罹らなければ、遺伝的、確率的には父親とほぼ同年齢か、父親の生きた時代よりも栄養がよく、医療の発達もあるので、それよりもう少し長く生きられるでしょう。

今回は寿命の話しではなく、私がもし今の生き方を選択せず、ずっと自分の思うままの人生を歩むことができたとしたら、どういう今を過ごしていただろうかと考えてみました。

例えば、私は27歳で結婚し、その後三人の子供に恵まれましたが、子供を作らなかったという選択肢や、結婚しないという選択肢もなかったわけではありません。

さらに飛躍しそうですが、亡くなった母親からは、「探してあげるからどこかに婿養子に入れば?」と高校時代の頃から盛んに言われ続けてきましたので、それに従うという道もありました。次男坊は新しく自分で人生を切り開くしかなく、それよりは楽ができる養子の道を勧めてくれたのです。

代々勤め人の家系で家には財産もなく、実家の家と土地があっても、それらは全部長男が継ぐのが普通で、かと言って自力で偉くなれるほど他人と比べて要領や頭脳がいいとはとても思えない私を心配してのことでしょうけど、そのような選択肢もあったことは確かです。

まず、もし結婚せずに今に至っていたとしたら、果たしてどういう日々を過ごしているでしょうか。

「結婚した」か「結婚しない」の最大の違いは、金銭的な面、住む家の違い、自分の周囲の人達の顔ぶれではないでしょうか?

まず金銭面ですが、最近の夫婦のように共に正社員で働いている夫婦であれば別ですが、私の時代はまだ女性は結婚すれば専業主婦が普通だったので、それに習って私の収入だけでずっと生計を立ててきました。

子供が生まれる前や、まだひとりだけだった頃は、生活にも余裕があり(バブルの頃だったせいもありますが)、海外や国内旅行へよくいき、豪華なリゾートホテルなどもよく利用していました。

しかしやがて二人目、三人目が生まれると、子供の学資保険の積み立てや、様々な物入りで少しきつくなってきます。

同時に子供がひとりだった時と二人、三人とでは、住む家も変わらざるを得ませんので、結婚当初の駅から近いけれど狭い賃貸マンションから、通勤に1時間程度はかかる郊外に、広めの中古マンションを買って住むことになり、最終的にはさらに広い現在の一戸建ての家を買うことになります。

もし独身を貫いていれば、状況は一変し、当時勤務していた都内の会社からも近く、繁華街の六本木や青山あたりのマンションに住んでいたかも知れません。1980~90年代当時はまだ会社の景気が良く、ひとりで生活する分には収入もそれなりに多かったので。

そして今のように住む家を買わず、数年ごとに気に入った場所へと移り住み、どこかに落ち着くということもしなかったと思います。当然友人や仲間も今とは大きく違っていたでしょう。それが「自由で気楽でいい」と感じるか、「ひとりで寂しい」と感じるかは、両方経験してみないことには判断がつきません。

現実の私は、子供が高校や大学(いずれも私立)に通うようになると、ますます金銭的な余裕はなくなり、早くも貯金を取り崩し、入学金や授業料に充てざるを得ない厳しい生活環境へと変わっていきます。

独身ならば、そういうことはなく、キチンと管理さえすれば預金もそこそこは貯まっていくでしょうけど、果たして性格からして老後の資金を蓄えておくような計画性をもったライフプランが作れたか?と言うとそれは極めて怪しそうです。

私はあればあるだけ適当に使っちゃうという放漫な生活スタイルを好むので、住宅ローンや学資保険で自動的に毎月引き落とされたり、子供の入学金の150万円がいつまでに必要とか事前にわかっていなければ、生活を切り詰めてしっかり貯金をしていくことにはきっとならなかったしょう。

当然お金が自由に使える独身者の周囲には、それなりに同種の友人や知人が集まってきます。夜な夜な派手なパーティや飲み会、夏休みには海外旅行、趣味やスポーツに大金をつぎ込むなど、今の自由にならない身の上ではなんとも羨ましい生活ですが、そのような生活をずっとしていてはお金が貯まるとも思えません。

高校時代は私立に通っていましたが、同級生の多くは家で商売をやっている裕福な家の息子が多く、そういう連中は金遣いが派手で、私が自転車を必死にこいで通学していた中、親にポンとナナハン(KAWASAKIのZ2が大人気)を買ってもらってそれで学校まで乗ってきていたり(表向きは当然バイク通学禁止でしたが)、楽器といえば小学生の時に買ってもらった縦笛しか持ってない私に対し、ギブソンのギターを何本も持っていたりと、私のような貧乏サラリーマンの次男坊とはまったく釣り合わず、なかなか付き合いきれませんでした。

もしそういった羽振りのいい商売人のドラ息子のような生活をして散財を続けていたら、さぞかし豪遊はできたでしょうけど、老いた先の未来はそれに反してきっとつまらないものになっていくような気がします。でも男の夢とロマンを追えば、家族や老い先のことなど考えずもっと自由に生きてみたかったというのも気持ちの半分はあります。

もうひとつ、もし親の薦め通りに養子に入っていたらどうだったか?

なかなか想像しにくいですが、親からは「大卒の息子を差し出すからには結納で1千万円(40年ほど前の話しで、今に換算するとその3倍ぐらいの価値か?)と、新車のポルシェを買ってもらうことぐらいは容易い」「向こうの親と商売の面倒は奥さんが見るので、自分は自由にサラリーマンやるのもよし、のんびり暮らせるよ」と言った趣旨の能天気な話しを聞かされていましたが、実際はどうだったでしょう。

あまり客商売は好きでない私ですから、なかなか養子という立場だと、婿養子をとりたがる相手が希望するような人当たりの良い「マスオさん」的な跡継ぎにはならなかったかもしれません。でも長く続く家が養子を取る最大の目的は、跡継ぎが途切れないように孫を作ることらしいので、それなら何人でも大丈夫だったかなと(笑)。

理想は、永代続く名門の料亭の一人娘のところへ婿入りして、中村主水じゃないけれど、適当に外で軽くお勤めをしながら、休みの日には家の仕事はほっぽり出して、店の従業員からは「バカ(若)旦那」と呼ばれつつ、結婚する時に買ってもらったポルシェで夜な夜な遊び回り、家に帰ってからは、家や店の手伝いなどは一切かまわず、広い庭でひとり焚き火をして楽しむ・・・う~む、そういう生活は男冥利に尽きそうです。

ただし、そのようなことをしていて、本当に幸せを感じたかどうかは、まったくわかりませんが。


【関連リンク】
787 世帯内単身者の増加が引き起こすかも知れない社会問題
724 離婚の多さと結婚という形式
720 そして次男坊は希少価値を持つ
681 コンパクトマンションが流行っているらしい
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