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ハリー・クバート事件(上)(下) ジョエル・ディケール

スイス人作家が書いたアメリカが舞台の長編小説でベストセラーとなった作品です。これが長編作品としては実質的なデビュー作ということで驚きです。2014年に単行本、2016年に文庫本が出ています。

小説の中でも、デビュー作で大ヒット作をかっ飛ばした男性小説家が主人公で、その後、第2作目がさっぱり書けず、高額な出版契約をした会社とも気まずくなり始めています。

学生の頃に作家となるためにいろいろ指導してくれた師匠の大学教授にスランプだと泣き言を言うと、ニューヨークから離れ、師匠が住むニューイングランド地方の家へ来て静養すれば治るかもと言われ、しばらくそこで過ごすことになります。

その時、師匠の家で、ある少女と師匠が仲睦まじく一緒に写った写真と、その少女が33年前に謎の失踪を遂げたという新聞記事の切り抜きなどを見つけます。

そして、自宅のNYへ戻ったあと、今度はその師匠が33年前の殺人容疑で逮捕されたという連絡が入り、急ぎニューイングランドの師匠の家に向かいます。

師匠の家の庭で失踪した少女の骨が見つかったという容疑で、師匠は知らないと否定しますが、かなり不利な状況の中、そこでなにが起きたのか、小説の執筆は忘れて自分なりの捜査を始めます。

やがて、その捜査を通じてわかったことをノンフィクションとして書くことで、その本は大ヒット間違いないと出版社から言われ、昔、師匠から教えてもらった通りに、事件の模様を書いていくことになります。

ただそれだけですが、事件が複雑にあれこれ絡んでいて、恋愛あり、捜査を妨害する身元不明の人物の反撃あり、被害者家族の問題や、どんでん返しなど、エンタメ系小説に求められる要素を全部ぶち込んで、一気読みしたくなりそうな息つく間もないスケールの大きな作品に仕上がっています。

細かな点では、警察やマスコミの大げさな反応など、アメリカ人のステレオタイプ的な表現が多くあり、そこはアメリカで時々過ごしていたとは言え、外国人が描くアメリカ社会とアメリカ人像の象徴みたいなものなのだろうという感じがします。

上下巻で1000ページ近い長大なミステリー小説で、分厚い文庫を最初手に取ったときは読むのに骨が折れそうと暗い気持ちになりましたが、読み進めていく内に、謎が謎を呼び、上巻が終わる頃には、とにかく早く結末を知りたいという焦りと感情がわいてくる魅力ある作品でした。

★★★


 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

とにかくうちに帰ります (新潮文庫) 津村記久子

著者は作家になる前、約10数年間、会社員として勤めた経験がある方で、そうした職業経験からくる話しが多い作家さんです。

私は2015年に「ワーカーズ・ダイジェスト」(初出2011年)を読んでいます。

10月後半の読書と感想、書評「ワーカーズ・ダイジェスト」2015/10/31(土)

今回の作品は2012年に単行本、2015年に文庫化された、短編小説集で、テーマはいずれも普通にどこでもありそうな会社勤めの風景や、サラリーマン群像といったところです。

「職場の作法」は何話かの連作短編で、さらに同じ登場人物で「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」が続き、単独の短編として「とにかくうちに帰ります」が続きます。

正直言うと、あまりにも平凡で抑揚もない淡々とした語りで、読み進めていくのがつらいと何度も思いました。人の生き死にもなく、憎悪や嫉妬もなく、巨額マネーも動かず、愛憎や官能を揺すぶるものもないテーマで小説を書くという難しさがわかります。

それなら途中で読まなきゃいいのですが、その先になにか面白いことがあるかも?と思って、短編でもあるので最後まで読みました。でも最後まで特になにか心に響くようなこともなく、淡々としたまま終わってしまいました。

こういう小説に共感を感じる人も多いのでしょうけど、私には時間の無駄としか思えません。

そう言えば、前に読んだ小説でも、やたらと淡々と日々が過ぎていくだけという平坦な小説があり、最近そういうのが増えてきているのでしょうかね。

いや、別にド派手なジェットコースター小説を求めているわけではないのですけど、ここまで草食系に特化した小説というのは、今は私にとっては面白くもなんともないです。

★☆☆


 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

代償 (角川文庫) 井岡瞬

著者は1960年生まれで、広告会社を経て2005年に「いつか、虹の向こうへ」で作家デビュー、この作品はデビューから6番目(長編としては4番目)の小説で、2014年に単行本、2016年に文庫化された長編小説です。この著者の作品を読むのはこれが初めてです。

見てはいませんが、この小説を原作として、小栗旬主演のネットドラマが2016年に製作されたようです。

前半はとにかく主人公の暗くつらい日々が続きます。普通の家庭の一人っ子として生まれた主人公の子供時代ですが、近所に引っ越してきた親戚の同学年の子が現れたことで、その生活は一変してしまいます。

まず自宅が火事に遭い、両親が焼死してしまいます。火事になっても目が覚めなかった両親には一時的に預かっていたその親戚の子供が両親に睡眠薬を飲ませたからというのがあとでわかります。

両親を失った主人公はその親戚に預けられ、親が残した保険金や財産は後見人となったその親戚の両親に奪われ、さらに育ててやっているのだという差別的で屈辱的な日々を過ごすことになります。

後半は、一変して、そうした過酷な環境から友人とその叔父の助けで抜け出すことができ、大学にも通い、司法試験に合格した後、弁護士の職に就くことになります。

そんな中、両親を火事で殺し、その後一緒に住んでいた親戚の子が、強盗殺人容疑で逮捕され、その弁護人として主人公を指名してきます。

そうした様々な感情を持ちながら、弁護を引き受けることになった主人公は、再び親戚の子とその母親に巧妙な罠を仕掛けられながらも、同級生だった友人の助けもあり、切り抜けていくという気の重くなる話しです。

邪悪な犯罪のオンパレードで、鬱の状態や、精神的に落ち込んでいるときなどはあまり読むのはお勧めしません。

★★☆


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介護ビジネスの罠 (講談社現代新書) 長岡美代

介護・医療ジャーナリストの著者が書いた2015年刊の新書です。タイトルで想像ができるとおり、介護ビジネスに巣くう怪しげな実態が赤裸々に書かれています。

真面目に取材をして丁寧に書かれたものですが、節々に「筆者が取材をしたので」「テレビや雑誌で筆者が訴えかけたので」という自身の売り込みがあちこちにみられ、新書にはよくある自身の自慢本、広告本とも言えます。

著者はこうした書籍などが元となって「介護ビジネスの専門家」「介護問題に詳しい識者」という社会的な位置づけを手に入れて、それを確固たるものにしようとしているのがわかります。なかなか商売上手な方です。

それはさておき、内容については、ややディフォルメがされているような気もしますが、著者の一方的な見解と持論が主になっていて、非難の的に上げられた介護施設などの事業者の言い分などは、取材を受けてもらえないという理由からかまったく不明で、したがって一方的な批判に終始しています。

しかも批判するだけして、その矛先は匿名で、実際の会社名や介護施設名を書くと名誉毀損で訴えられることを免れようとしているのか、あるいは確信を持った事実ではないのかも知れません。

役所や病院、福祉施設にも見放された行き場のない要介護者の受け入れ先として、囲い込みなど問題が多く、介護保険や医療保険の制度を食い物にしていると指摘する介護事業者は、糾弾されるべきなのか、それとも実際に多くの利用者があり、また今後も増加していく介護難民のことを考えると、どこかで折り合いを付けるべきなのか私にもわかりません。

ただ、この本を読んで、いかに国や自治体などの対応がいい加減で、付け焼き刃的なモノであるかと言うことは理解できますので、あらためて家族のことは家族で決め、対処するというのが大事だろうと思いました。

また本来なら要介護者の家族が本来一番表面に出てこなければならないはずが、この本ではなにか意図してのことなのか、まったくと言ってよいほどに触れられず、要介護者の代理人的に出てくるのはNPO団体だったり、ケースワーカーだったり、ケアマネージャーだったりが登場してくるのはちょっと偏向していて安易な感じもします。

タイトル含め刺激的な内容で、関係者以外にはなかなか知り得ないことも多く、またこれからは介護と無縁でいられる人は少なく、法律が改正される前の情報で書かれていることが多いものの、参考なる話しではないかと思います。

★★☆


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黒冷水 (河出文庫) 羽田圭介

2003年単行本、2005年に文庫版が発刊された小説で、著者がまだ17歳の高校生時代に、河出書房新社が主宰する文藝賞に応募、見事受賞した小説家デビュー作品です。

著者は2015年に「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞しましたが、その時同時受賞となった又吉直樹著「火花」が大きな話題となりました。

タイトルからホラー小説かな?と思って読み始め(最近カバー裏のあらすじ等は事前に読まないことが多い)ましたが、まったく違って、高校生と中学生の男兄弟をそれぞれの視点から、互いに憎しみ合っていく姿を描いたちょっと気味の悪い家庭内小説です。

個人的にも男兄弟がいるので、それと少しかぶってしまったせいか、夢にまで出てきました。

最後の最後で、ちょっとしたひねりもあり、本当に高校生が書いた小説か?と思える出来でした。賞の審査員達もみなそう思ったのでしょう。

その最後のひねりの箇所は必要だったかどうかは、読む人によって変わってくるかもしれません。私はひねくれですので、多くの人が「ひねり最高」派だと思うので、「なくてもよかったんじゃないの」派です。

ともかく、最近は本職の小説よりも、テレビのバラエティやコメンテーターで見かけることが多くなっていますが、読みたくなる長編の力作をお願いしたいばかりです。

★★☆


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