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退廃姉妹 (文春文庫) 島田雅彦

1983年に短篇集「優しいサヨクのための嬉遊曲」でメジャーデビューした著者の2005年(文庫は2008年)の作品です。著者の作品は2011年に「自由死刑」(1999年刊)を読んでいます。

11月後半の読書(自由死刑) 2011/12/4

この作品は、太平洋戦争直前から始まり、母親は戦争前に亡くなっていて父親が映画会社に勤務、目黒にある家に住む比較的上流社会の姉妹の物語です。

戦争中は周囲の家が焼夷弾で焼けていく中で、奇跡的に人も家も無傷のままで終戦を迎えます。

ところが父親が戦犯容疑で捕らえられ、まだ女学校の生徒だった姉妹は、住む家こそあるものの、生きていくために苦労を強いられます。

行動的な妹が、銀座で米兵相手の娼婦と仲良くなり、食べていくため自宅で米兵相手の売春宿を開くことを姉に提案し、認めさせます。妹は娼婦として、姉は賄いなどの役割分担です。

奥手の姉は、戦争中に知り合い、その後学徒出陣で戦地へ行った慶応の大学生の帰りをひたすら待ち続けます。

そのような戦後の大変な時期の話しが盛りだくさん詰まっていて、決して暗いばかりではなく、姉妹の恋愛ドラマも挟まれて、父親の無罪釈放や、再婚など明るい前向きな話しも加わり、読んでいてなにか日本の庶民達の近代史を垣間見るような感じです。

結局、タイトルにある「退廃」は、姉は闇市にどっぷりつかった上、戦争中の復讐のために元上官を惨殺して逃亡中の恋人と心中一歩手前までいき、妹は娼婦の身ながら米兵と恋仲になりやがて別れが来たときに自殺を図るというそれぞれに退廃した生き方をせざるを得なかったことから来ているものと思われます。

★★☆

著者別読書感想(島田雅彦)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

冬の旅 (集英社文庫) 辻原登

文芸誌すばるに2011年から連載された長編小説で、2013年に単行本、2015年に文庫化されました。

著者の作品を読むのはこれが初めてです。1990年には 「村の名前」で芥川賞、その他にも著名な賞を数多く受賞されています。この「冬の旅」も伊藤整文学賞を受賞しています。

内容は、離婚した母親の元で育ち専門学校を卒業後に就職しますが、そこで最初の躓きが起きますが、無事に再就職を果たし、結婚もして順調な人生を送るかと思えば、何度も不幸や自己の怠慢、悪事などがあり、自ら人生をゆがんだものにしてしまいます。

転落していく人の象徴みたいな話で、先が見えて気が重くなってきますが、最初に刑務所から出てくるシーンがあり、それへ向かってまっしぐらというストーリーです。

刑務所から出てきた後にも何度か立ち直るチャンスがありながら、それらも無為にしてしまい、最後にはさらに重苦しい結末がまっています。

実はこの本はジャケ買いです。と言うのも立原白秋の小説「冬の旅」を原作としたテレビドラマ「冬の旅」を中学生の頃(1970年頃)に見た印象が強く残っていて、それとかぶったのでタイトルに惹かれて買いました。

そのドラマでは、シューベルト作曲の「冬の旅」が重々しくテーマソングとして使われていて、この小説と同様、理不尽な悪が暗躍するシーンが印象的でした。

そういう意味からすると、内容は知らずに読みましたが、想像通りの内容だったと言えますが、元々は母親思いの1青年が、悪のスパイラルにはまっていくところを見るのはつらいものがあります。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

彼が通る不思議なコースを私も (集英社文庫) 白石一文

2014年に単行本、2017年に文庫化された長編小説です。著者の作品は文庫になったものはできるだけ読むようにしていて過去に19作品を読みましたが、最近読んだのが2020年なのでちょっとサボり気味で2年ぶりになります。

普通の恋愛小説かな?ぐらいに思っていましたが、主人公の女性が合コンで気が合ってそのまま結婚した相手の男性には不思議な能力があることに気がつきます。

その男性は、小学校の教師をしていましたが、普段から子供中心には考えない既存の教育システムに限界を感じていて、結婚と同時に辞めてしまい、様々な問題を抱える子供達を集めた体育塾を始めます。

主人公の女性は大手企業で働いているのと、男性の実家は裕福なので、最初のうちは赤字でもなんとかやっていけますが、女性に抜擢の異動があり、関西へ転勤をすることになります。なかなか現代風なカップルです。

イジメや家庭の問題など、現実にもたびたび報道されるような様々な子供の問題を男性は仲間の協力を得ながら解決していきますが、そこには抵抗勢力もあり、子供によかれと思ったことでも、時には親から訴えられたりすることもあります。難しい問題をはらんでいます。

そうした一種の世直し事業は成功していきますが、やがて死期が近いことを悟った男性は、、、

最後のパラレルワールドというか、ふりだしに戻るところはちょっと理解不能でした。

★★☆

著者別読書感想(白石一文)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫) ジョー・イデ

著者(Joe Ide)は1958年生まれの日系アメリカ人作家で、2016年に出したこの小説がデビュー作です。

日系人が黒人を主人公として黒人コミュニティだけ描いた小説を書くというのは珍しいパターンですが、著者が子供の頃から住んでいたのが物語の舞台にもなる黒人が多く住むロサンゼルスのサウス・セントラル地区(現サウス・ロサンゼルス)だったことからだそうです。このエリアは全米でもトップクラスの犯罪多発地域だそうです。

欧米の探偵小説と言えば、ホームズにしても、マーローにしても、サム・スペードにしても、スペンサーにしても、マット・スカダーにしても白人のスマートな男性が多いのですが、この小説では、名前のイニシャルから、そして人並み外れた頭脳の持ち主ということでIQと呼ばれる若い黒人男性が主人公です。

しかし主人公の若い頃はひき逃げで亡くなった兄と一緒に住んでいた借家の家賃を支払うため、同じ黒人仲間と計画的に深夜小売店へ忍び込んで商品を盗み出すことを続けていた小悪人です。

この主人公IQは無資格探偵ですが、元々は自分が関係した犯罪の報復で、まったく関係がない夫婦が巻き添えで殺されてしまい、その夫婦の子供も銃弾を受けて一生歩けない重傷を負います。

それがトラウマになり、尊敬していた亡くなった兄がいつも言われていた「人の役に立つことしろ」を実行しようと、弱い人の味方になって様々な問題を解決していくことで、それが口コミで拡がり、それが仕事になっていきます。

そうした主人公の小悪人からの再生と、今回どうしてもお金が必要になって昔の犯罪仲間から、殺されかけた有名なラップミュージシャンを守る仕事を請け負うことになります。

その若い頃の小悪人だった頃の話と、現在のまともな探偵業の話がパラレルで進んでいきますので、ちょっと混乱することもありますが、スリリングでよくできたサスペンスミステリーです。

本作の最後のエピローグでは、兄が亡くなった原因となったひき逃げをしたクルマをスクラップ工場で発見するという次作への予告めいたことが書かれてあり、それが次作のIQ2(原題はRighteous)らしく、すでに既刊です。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

かなたの子 (文春文庫) 角田光代

文學界などに掲載され2011年に単行本、2013年に文庫化された8作の短編小説集です。それぞれのタイトルは「おみちゆ」「同窓会」「闇の梯子」「道理」「前世」「わたしとわたしではない女」「かなたの子」「巡る」です。

なんというか、古い因習や前世の因果、過去に起きた暗い話など、重苦しい話が多いのと、恋愛、出産、子育てなど女性を主人公とした物語が多いので、古い男性にとってはどうもとっつきにくい内容です。

遠野物語」に出てきそうな摩訶不思議な話もあれば、現代の話しもありで、一気に連続して読んでいると、なにかがなんだか混乱しそうでした。

中にはホラー?と思えるものもあったり、そういう読み方をすれば面白いのかも知れませんが、ホラーのように結末がハッキリするようなものはなく、いわゆる文学的に「あとはそれぞれが勝手に想像して余韻を楽しんでください」的な終わり方で、個人的には消化不良が続きます。

文芸雑誌に掲載する短編小説にはこの手のものが多いですね。

ということで、あまり私には良い印象は残りませんでした。

★☆☆

著者別読書感想(角田光代)

【関連リンク】
 2月前半の読書 流、女神記、遠い山なみの光、新・日本の階級
 1月後半 風味絶佳、美しい家、老老戦記、イッツ・オンリー・トーク、百年法(上)(下)
 1月前半 漂砂のうたう、ツリーハウス、嗤う伊右衛門、ジェームズ・ボンドは来ない、自動車保険は出ないのがフツー



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1613
2000年頃から読んだ本は基本的に書名や著者名、読了日などをデータにして保存しています。その前に読んだ(蔵書のある)本もタイトルや発刊日などだけですがまとめてあります。

最近読んだ白石一文氏の小説のタイトルは「彼が通る不思議なコースを私も」と14文字あります。

小説としては長いタイトルだなと思い、他にはどんな長いタイトルがあったか?と調べてみました。

その3200冊ほどの蔵書データから、タイトルが一番長い本はと言うと、小説では、

愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない」(伊集院静著 22文字)
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(ジョナサン・サフラン・フォア著 20文字)
この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」(白石一文著 16文字)

です。

白石氏は、他にも「僕のなかの壊れていない部分」とか「もしも、私があなただったら」(各13文字)といった長いタイトルの小説があり、長タイトルの常連っぽいです。

伊集院静氏にも小説ではなくエッセイで「ヒデキ君に教わったこと 野球で学んだこと」(20文字)などがありますが、全体的には短いタイトルが多い感じです。

東野圭吾氏の小説には比較的長いタイトルがあるように思っていましたが、私が読んだ中では「パラレルワールド・ラブストーリー」(16文字)が最長でした。

新書やビジネス書、ノンフィクションでは、目立ったもの勝ちなのか、もっと長いタイトルのものがあります。

さらにどこまでがタイトルなのかわかりにくい長いサブタイトルがつく場合がほとんどで、それらの区分がつきにくいこともしばしばです。とりあえず、私の基準でタイトルのみ蔵書の中から抜き出してみました。

どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?」(中島義道著 27文字)
「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?」(細野真宏著 24文字)
どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」(梅田望夫著 23文字)
顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人」(山口真美著 20文字)


蔵書している新書やビジネス書などで、サブタイトルを含めて長いのは、

「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~」(細野真宏著 40文字)
どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか? 現代将棋と進化の物語」(梅田望夫著 34文字)
失われたミカドの秘紋 エレサレムからヤマトへ「漢字」がすべてを語り出す」(加治将一著 34文字)
顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 「読顔術」で心を見抜く」(山口真美著 32文字)
定年前後の「やってはいけない」 人生100年時代の生き方、働き方」(郡山史郎 31文字)
経済危機のルーツ モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか」(野口悠紀雄 31文字)

未読の本でタイトルの長い本は、ライトノベルやネット小説の中には、100文字程度のタイトル?小説があります。どういうタイトルかというと、

砂魔法で砂の王国を作ろう~砂属性なんて使えないと国から砂漠に追放されたから、魔法で砂の城を生み出し、オアシスを作りスローライフを満喫していた筈が、いつの間にか祖国を上回る巨大国家が出来上がっていた!~

オッサンにはわけわからん。

出版されている本では、横尾忠則氏の「悩みも迷いも若者の特技だと思えば気にすることないですよ。皆そうして大人になっていくわけだから。ぼくなんかも悩みと迷いの天才だったですよ。悩みも迷いもないところには進歩もないと思って好きな仕事なら何でもいい。見つけてやって下さい。」という114文字のエッセイ?があります。

またイチハラヒロコ氏の「雨の夜にカサもささずにトレンチコートのえりを立ててバラの花を抱えて青春の影を歌いながら「悪かった。やっぱり俺…。」って言ってむかえに来てほしい。」(72文字)も極端に長いタイトルです。

ベストセラーになった有名な書籍では、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著 35文字)や、「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(坪田信貴著 33文字)などが有名です。


書籍のタイトルは、小説だとほとんど著者が自分で付けるケースが多いと思われますが、新書やエッセイの場合は、著者と編集者、場合によっては販売部門とが相談して決めるというのが多いのではないでしょうか。

新書やビジネス書の場合は、話題性で売れてナンボです。タイトルだけでは不足と見えてサブタイトルにキーワードを散りばめ、、加えて帯にも「これでもか!」と禍々しいまでの煽り文句と宣伝がうねうねと書かれていることがあり、逆に読書家としてはひいてしまいます。

ま、タイトルなど、なんでもいいんですけどね。中身さえ良ければ。

【関連リンク】
1528 お勧め新書、エッセイ、ノンフィクション 2021年版
1520 お薦め小説 2021年版(海外小説)
1516 お薦め小説 2021年版(国内小説)

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1612
流 (講談社文庫) 東山彰良

2002年に実質の作家デビューを果たし、2015年にこの作品で直木賞を受賞した日本在住ながら台湾国籍の作家さんです。

子供の頃から、台湾、日本、中国を転々としていることから、それらの歴史的な関係や社会生活までよく経験して知っていることがこの作品にも生かされています。

物語は、1970年代から80年頃の中国と臨戦状態で長い戒厳令下の台湾が舞台で、主人公の祖父が戦前には抗日運動、戦後は中国共産党との内戦で奇跡的に生き抜き大陸から台湾へ逃れてきた人で、これは著者の祖父の経験が元になっているようです。

その主人公は祖父が台湾の仕事場で何者かに惨殺されているところを発見しますが、殺された理由や犯人の目星が付かず、10数年が経っていきます。

その間には、高校生の時に友人の代理受験が発覚して退学、寄せ集めの不良ばかりが集まる高校へ転校、子供の頃から仲良かったいとこへの初恋、幽霊騒動など様々なことが起きます。

実は私はそのまだ戒厳令下の1983年頃に台湾へ数回観光で訪問しています。目的は、故宮博物館やゴルフ、食べ歩きでしたが、タクシーに乗ったときには高齢ドライバーから流ちょうな日本語で話しかけられ、昔日本がおこなった日本語義務化政策の影響を実感し少し後ろめたい気がしました。

そしてその時、衝撃を受けたのは、台湾で映画(日本映画の「サンダカン八番娼館 望郷」)を見たとき、映画が始まる前に、観客は全員起立をして、台湾国歌を背景に勇ましい国防映画が流されるのを姿勢を正して見ることになります。それがこの国は今まさに臨戦態勢なんだということを思い起こさせられました。

その最前線は中国と目と鼻の先にある金門島ですが、その島の歴史は2007年に船戸与一著「金門島流離譚」で読みました。

そうしたことから、台湾は個人的には思い出深い場所で、この小説を読みながらさらに深い知識や感慨を持つことができました。また台湾から見た日本や日本人という視点も新鮮でした。

直木賞というのは別にしてもとても面白い作品です。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

女神記 (角川文庫) 桐野夏生

著者の作品を読むのはこれが9作目で3年ぶりぐらいになります。以前読んだ「東京島」では無人島に流された集団の中で女性がひとりだけ、その女性が女王様のように扱われるという内容でした。

その「東京島」と同じ2008年に出版されたこの著作ですから、きっとそれの延長線上にあるような内容かな?と思っていたら、まったく違いました。

2008年に単行本、2011年に文庫化された、日本の古代史というか神話の世界の女王の話です。

主人公は南の貧しい島国で生まれ育ち、姉が陽の巫女となり、妹は陰の墓守という宿命となる、その妹が語り手となります。

その妹は島で知り合った男と島から逃げ出しますが、その男に殺され、なぜか女神イザナミに仕えることになります。

イザナミと言えば、兄弟でもあり夫だった神世七代(天地開闢)の最後のひとりイザナギの子を何人も産みますがやがて産後が悪くて死亡(神が死ぬかどうかはともかく)、腐乱した死体を夫のイザナギに見られて、離縁され、死者の世界黄泉国の中に大岩で閉じ込められています。

と言った神話になにも興味がないとイミフなことが多い内容ですが、ボヤッとしか知らない古代の王、神話に少しでも興味があると、なかなか面白く読めます。

ただ、あまりにも馴染みのない世界の話だけに、突っ込みどころが満載で理解しながら読むのは難しく、あまり深くは考えず、学者でもなければ、そういうものだと軽く流しながら読むのが正解かも知れません。

著者別読書感想(桐野夏生)

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫) カズオ・イシグロ

長崎生まれで2017年にノーベル文学賞を受賞した著者の初期の作品(1982年出版、日本語版は1984年刊)で、原題は「A Pale View of Hills」です。

舞台は原爆被害から復帰しつつある1960年代頃の長崎と、その後、再婚して移住した現在の英国の田舎町で、主人公の日本女性が過去を振り返る内容となっています。

著者が日本に住んでいたのは、幼稚園時代までなので詳しくは知らないでしょうけど、その頃の街の背景がわずかに残っていたのでしょう、まだ復興途中の長崎で日々暮らす人達の姿が生き生きと描かれています。

いわゆる純文学なので、なにか事件が起きてその謎を解くというような話ではありません。

ただ最後にちょっと引っかかった文章がありました。これは解説などでも指摘や話題になっていないので、なにかのミスか、それとも深い意味が込められているのかは謎です。

それは、後ろから2ページ目に、主人公の女性が、再婚した英国人との間に産まれた娘(ニキ)に、持っていた長崎の港が写った古いカレンダーの写真を渡し、

「なにかとくべつなことがあったの?」
「とくべつなこと?」
「海へ行った日に」
「ああ、なにもとくべつなことはなかったのよ。ただ思い出したという、それだけ。あの時は景子も幸せだったのよ。みんなでケーブルカーに乗ったの」私は笑ってニキをふりかえった。「そう、何もとくべつなことはなかったの。ただの幸せな思い出、それだけだわ」

しかし、一度だけ行ったという「あの時」は、前夫との娘景子はまだお腹の中で、一緒にケーブルカーに乗ったのは近所の親しい親子だけでした。

どうして、まだ産まれていない景子がその時幸せだったのかよくわかりません。理解できる方はいらっしゃいますかね?

著者別読書感想(カズオ・イシグロ)

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

新・日本の階級社会 (講談社現代新書) 橋本健二

著者は格差や階級、貧困などのテーマで多くの著書がある社会学者さんです。この新書は、2018年に発刊されています。

表紙の帯に「もはや格差ではなく階級」「固定化し、次世代へ継承される負の遺産」「900万人を超える新しい下層階級が誕生。日本社会未曾有の危機。」と、かなり煽った扇情的な言葉が書かれていています。新書では著者ではなく編集部が売るためにつける常套手段です。

内容もそれに沿った(内容から帯の刺激的な文字になったわけですけど)もので、日本の階級社会について、数字のデータをメインに解説がなされています。

こうした貧困や格差を見る統計データは、一般的には政府統計などが使われることが多いのですが、この著作では学術的な調査研究「2015年社会階層と社会移動(SSM)調査研究会」のデータが使われています。

ま、数字は嘘つかないということで(政府統計は時々嘘をついてますが)、特に目新しい発見や意外なことはないですが、知識を数字の裏付けで上書きするのには役立ちそうです。

面白いのは、著者の政治信条なのか、かなり自民党を批判気味に書いてあります。

例えば、データから導き出された推論ではあるものの、「自民党支持者に典型的に見られるように、格差拡大を容認し、自己責任論の立場に立ち、所得再分配に反対する人々ほど、「排外主義」「軍備重視」を支持すると予想される。」など、ちょっと扱いが手厳しい感じです。

個人的には特に自民党支持ではないので、公平にみてもなにか日本の諸悪の元凶のような書きっぷりにはちょっと驚きました。これは支持政党と年収格差や年齢などでの分析で出てきます。

ただ投票率を見て思うに、いまの日本人の多くは、政党よりも個人へ、政党は経験不足でなにか寄せ集めみたいなところより、聞き慣れたところが安心じゃね?というぐらいにしか興味関心がないような気がします。

★★☆

【関連リンク】
 1月後半 風味絶佳、美しい家、老老戦記、イッツ・オンリー・トーク、百年法(上)(下)
 1月前半 漂砂のうたう、ツリーハウス、嗤う伊右衛門、ジェームズ・ボンドは来ない、自動車保険は出ないのがフツー
 12月後半 錨を上げよ(1)出航篇(2)座礁篇(3)漂流篇(4)抜錨篇

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1611
リタイアする5年ほど前から、「リタイアしたらやりたいことリスト」というのを作り始め、それが徐々に増えていき全部で20ほどになったメニューリストがあります。

このリストを作ったのは、6年ほど前にテレビ放送を録画して見た映画「最高の人生の見つけ方」(2007年公開)を見て、そこでキーワードとなっていた「棺桶リスト」ならぬ、リタイア後に「やりたいことリスト」を作っておこうと思い立ってのことです。それにしても良い映画でした。

1286 棺桶リスト 2018/12/12(水)

その「やりたいことリスト」の中で一番多くを占めているのは、「旅行・ドライブ」で、しかも行く場所も具体的にピンポイントで決めてあります。

しかしリタイア後はずっとコロナ禍で、宿泊をともなうような遠出を控えているので、そちらの実現はまだ先になりそうです。

リタイアしてまもなく2年になりますので、そのリストですでに実行(実現)したのは、「山積みになっている書籍を全部収納できる本棚を作る」「ヒビが入った窓ガラスを交換する」「感度が落ちたBSアンテナを交換する」「大量のスーツとビジネスシューズを捨てる」「古い網戸を張り替える」「不要品をオークションに出品する」などで、主に自宅でDYIでできる作業や、業者に依頼し作業に立ち会うだけのことです。

またリストの中の「旅行・ドライブ」の内、近場の水戸の偕楽園(日本三大名園訪問達成)など日帰りで行けるところはいくつかは実行済みです。

そのようなリストの中には、築30年が経つ我が家のあちこちの補修作業が入っています。

今回はまだ手を付けていなかった玄関とガレージの門扉(「もんぴ」と読みます)の修理に今回手を付けました。

なぜ後回しになっていたかというと、家の補修では屋根の塗り替えや窓ガラスの交換は業者に依頼しますが、その他は基本はDIYで補修します。ただ30年前に建売で買った古さゆえ、門扉も当然ながら現在は生産されてなく、壊れた箇所の補修品もネットで探したところ既にないことがわかり、「こりゃ、代替品を探すか手作りしなきゃならないなぁ~」ってことで、取りかかるのが遅れました。

その門扉一式は、当時の東洋エクステリア製でしたが、その後2011年に同社を含め数社が合併し、現在はLIXILグループになっています。ブランドこそはTOEXとして残っていますが、古い製品の補修品などはほとんどない状態です。

まず最初に、ガレージの門柱の上にかぶせる樹脂製キャップは角形で、割れてボロボロになっていました。

しかしこれはネット通販で奇跡的に発見でき、2個購入し取り付けました。このタイプは30年以上前から変わらず今でも現役のようです。価格は1個760円(高け!)×2個+送料275円



もう一箇所、玄関前の2つの門柱の上にかぶせてある樹脂製のキャップも割れていて、これも本来は交換ですが、同型の部品はもちろん、内側にフック用の大きな溝があり、代替できそうなものもありません。

そこで壊れた部品を表と裏から樹脂パテで埋め(写真上)、整形し、1日乾燥させてからヤスリで形を整え、最後に塗装をして(写真下)再利用しました。ちょっと凸凹してますが、ご愛敬です。





さらに蛇腹になっている門扉の小さな樹脂製キャップが上に37個、下にも別形状のキャップが32個あり、そのうちの上側の3/4が割れ、下のキャップは落ちたらしく5~6個がなくなっていました。

まず上側ですが、さすがにこの数をパテで再生するのは大変なので、代わりになる部品を探し「モノタロウ」へ発注しました。

オリジナルの硬質の樹脂製のものがなく、柔らかい塩ビ製のキャップですが、樹脂製よりも安く、100個単位で売っていたのでこれで十分です。価格は1,390円+送料500円です。

さらに、汚れていた門柱を掃除した上で同色の水性ペンキを塗りました。

Before


After


今回使った軟質の塩ビ(ポリ塩化ビニルあるいは塩化ビニル樹脂)製だと耐久性、耐候性がないかな?と思いましたが、調べると、塩ビは上下水道管などにも使われる極めて耐久性の優れた樹脂だそうで、熱や酸や火にも強く、さらに水性塗料で簡単に塗装もできる優れた性質を持っています。知りませんでした。

元々のオリジナルは上下で違ったキャップで、違いは上は先がとがっているのに対し、下のキャップは平坦で真ん中が水抜きのためか穴が開いています。今回のキャップは穴が開いてないので、上はそのまま利用しましたが、下用にはドリルで小さな穴を開けて使うようにしました。



実際にはあまり使っていない門扉ですが、家の正面にある門扉が少し綺麗になって、満足度は高いです。

【関連リンク】
1473 BS/CSアンテナの交換DIY
1173 玄関ドアクローザーをDIYで交換
507 洗面化粧台をDIYで交換 その1準備編

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1608
風味絶佳 (文春文庫) 山田詠美

この作品は2005年に発刊され2008年に文庫化された短篇集で、谷崎潤一郎賞を受賞しています。

ちなみにこの谷崎潤一郎賞は、「時代を代表する優れた小説・戯曲を顕彰」とあるように物語の舞台が現代だけではなく幅広い時代を映し出した小説や戯曲が対象になるのでしょう。

6編の短篇は、「間食」、「夕餉」、「風味絶佳」、「海の庭」、「アトリエ」、「春眠」というタイトルで、それぞれに、とび職、清掃車作業員、ガソリンスタンドのアルバイト、引越し作業員、汚水槽清掃、火葬場職員と、ブルーカラー系の職業が登場します。ちょっと変わった趣向の短篇です。

その中でも良かったと思うのは、本のタイトルにもなっている「風味絶佳」と、「春眠」。

「風味絶佳」の由来は、森永ミルクキャラメルの表面に書いてある「滋養豊富」「風味絶佳」の文字からで、ガソリンスタンドに勤務する男性の祖母がいつもそのキャラメルを持っています。

祖母は福生の米軍基地の近くでアメリカ人相手のスナックをやっていて、ちょっとぶっ飛んでいる感じで、孫の主人公との掛け合いがとても良かったです。

「春眠」は、土日曜日は休日でなく子育てはなにもせず、厳粛なムードの火葬場で長く働いてきたお堅い公務員だった父親の息子が主人公です。

子育てを全くしてこなかった父親は、妻を先に亡くしますが、息子が密かに恋心を持っていた大学の同級生と結婚してしまうという変な話しです。

「うんと年上の男がいい!」という女性は少ないながらも確かにいるので、これもまた時代を反映したものなのでしょうが、なにかできすぎ感が半端なく。

そういう感じで、全般的に、いかにも「話しを都合良く大きく盛って作りました」という、わざとらしい作為とリアリティのなさがどうも私の感性とは合わず、残念ながらいまいちな感じでした。

★☆☆

著者別読書感想(山田詠美)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

美しい家 (講談社文庫) 新野剛志

2013年に初出の長編小説ですが、5年前の2017年に既に読んでいました。読み始めてから、どこかで聞いたような話しだな?と思いましたが、既読とは気がつかず、これはボケと健忘症が進行してきている証左かも知れません。ホント大丈夫か?自分。

9月後半の読書と感想、書評 2017/9/30(土)

感想は、前のを見てもらうとして、これだけの長編ならば、しかもわずか5年前という短期間で気がつかないというのは、上記のように自覚症状がない病気?のせいでもありますが、もうひとつは、残念ながら印象に残っていなかった小説ということもあります。

個人的には、ある種の宗教的というか、なにか行動規範や生き方について、特定な個人に心酔し、それの正当化のためなら殺人すらいとわないという心理はまったく理解ができず、あくまでよその惑星で起きているSFぐらいにしか思えません。

もちろん現実では時々起きている事ですが、宗教などを扱って人の異常性を引き出してさらに強調していくのはなんだか狡いなぁという感じがします。ま、小説やドラマではよく使われる手ですけどね。

それだけに、こうした同種の小説は、いずれも記憶が薄くなってしまうのもやむを得ないかなと思っています。

でも単なるぶっ飛んだ小説としてはドキドキ感があり、現実から離れて読み進めるのは、それなりに面白いのですけどね。

★★☆

著者別読書感想(新野剛志)

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老老戦記(新潮文庫) 清水義範

2015年に「朦朧戦記」として単行本で発刊されましたが、2017年にタイトルを変えて文庫化された連作短編小説です。こちら(文庫)のタイトルのほうが、ストレートでわかりやすいです。

75歳以上の高齢者が入居している老人ホームを舞台にした、自己顕示欲や性欲を丸出しでハチャメチャな老人達のユーモアあふれる日常と、その少し下の仕事を引退したばかりの団塊世代の有り余るエネルギーの発奮をこれまたユーモア満載で描いています。著者も団塊世代の方ですから。

中でも、大金持ちの老人に頼まれて、南方の島を借り切って、本物の三八式歩兵銃と実弾、手榴弾を装備し、陸軍軍服を着て、日米の老人達がそれぞれ敵味方に分かれ、生きるための刺激を求めて戦うというストーリーは、実現不能なこととは言え、空想するのは自由で面白かったです。

同様に、「団塊世代の未来を守る」を唯一の目的として選挙に打って出る団塊世代の元公務員なども、数が多いうえに投票率も高い団塊世代のニーズを捕らえるのには最適です。

その団塊世代が政治の中に入っていくことで、元全学連の闘志達は「権力側にすり寄るのはけしからん!」と火炎瓶を選挙事務所に投げ込むとか、もうワケがわからなくなっていきます。

無茶苦茶ですが、ちょっと下品で下世話なユーモアと理解すれば、それでいいのかも知れません。

★☆☆

著者別読書感想(清水義範)

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イッツ・オンリー・トーク (文春文庫) 絲山秋子

2004年に単行本で発刊(2006年に文庫化)された著者の実質デビュー作で、題名となった中篇の「イッツ・オンリー・トーク」と、中篇「七障害」の二篇が収録されています。

2006年には、「イッツ・オンリー・トーク」を原作とし、廣木隆一監督、寺島しのぶや豊川悦司が出演する映画「やわらかい生活」が製作されています。

内容は、主人公のうつ病を引きずる独身女性が、フッと気になった大田区の蒲田へ引っ越してきて、様々な出会いや恋愛などを通じて日々淡々と生活していく話ですが、区会議員選挙に打って出るEDの友人、うつ病のヤクザ、痴漢友達?、自殺未遂をした男性のいとことの同居生活など、それなりに飽きさせることなく面白い展開が続きます。

私には縁遠い出世界観ですが、今の若い人にはこうした生活が普通に身近に感じるのかなっぁというのが感想です。

著者は私よりも9歳若い方ですが、これが出版されたのが18年前ですから、著者38歳の頃ということになります。

違うのは東京で生まれ育った著者に対し、社会人になるまでずっと田舎で育った私との差なのかも知れません。

それだけに、こうした性にも奔放でサバサバした女性主人公のような人は男女関わらず私の周囲には見当たらず、こうした小説の中だけで楽しませてもらっています。

★★☆

著者別読書感想(絲山秋子)

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百年法 (上)(下) (角川文庫) 山田宗樹

2012年に単行本、2015年に文庫化された長編SF小説です。

SFと言っても現代の日本社会がベースとなっています。

6発の原爆を落とされ戦争に負け、天皇制ではなく共和国制度となった日本は、アメリカが開発に成功した人間の不老技術を導入します。

それと同時にセットで導入することが求められている不老処置後百年程度経過後には安楽死する法律をめぐる話しがこの小説のテーマとなっています。

人間が不老になると社会にどういう影響があるかと言うとこの小説では、

・不老化処置をした歳でその人の見かけ上の年齢が決まりそれが一生続く
・癌など高齢化で顕著となる病気が激減する
・人が死ぬのは自殺や事故、事件で死ぬこと以外はなくなる
・両親や祖父母の見かけが、その子や孫と変わらないという不気味さ
・老いから解放され、実年齢が何十歳と離れたカップルが普通に存在する
・死の直前まで働くことを求められる
・不老化処置後は家族という単位が無意味となる
・人口増加と新陳代謝のため不老化処置と一定年数で強制的に死ぬことがセット
・百年経過後に安楽死をせず生き延びようとする拒否者が現れる
・安楽死しなくても良い一部の独裁政治家など権力者が人の生死を握り権力を強める

などなど。

小説では、政府、警察、一般庶民、拒否者が共同生活するムラなどを中心に展開していきます。

経済力が地に落ちていた日本を強くするため政治体制を大統領制にして強いリーダーを擁し独裁化を目指そうとする動きや、警察権力を自在化し利権を固めて行こうとする官僚などに焦点が当たりすぎな感じはありますが、もうひとつの日本の道という世界が面白く体感できます。

文庫で上下巻計960ページという長編なのでちょっと疲れますが、読み出してから少し経っておおよその内容がつかめてからはサクサク読めます。最初の100ページぐらいはその世界の中に入っていくのがたいへんですが、それを超えるとあとは楽です。

著者の本は2006年に「嫌われ松子の一生」(2003年初出)を読んでいますが、これも含めてなかなかユニークで読ませる小説を書く著者で、これからも他の小説を読んでみたいと思いました。

★★☆

【関連リンク】
 1月前半 漂砂のうたう、ツリーハウス、嗤う伊右衛門、ジェームズ・ボンドは来ない、自動車保険は出ないのがフツー
 12月後半 錨を上げよ(1)出航篇(2)座礁篇(3)漂流篇(4)抜錨篇
 12月前半 しゃばけ、深海のアトム(上)(下) 、ノモンハンの夏、玻璃の天



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