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偉大な創業社長、本田宗一郎氏が1991年に84歳で亡くなり、それから今年で35年が経ち、その本田氏から直接薫陶を受けてきたホンダの社員は、もうほとんどが退職していて、そのホンダイズムは消えかかっていると思われます。

本田宗一郎

そのせいかどうかはわかりませんが、ここ10数年間のホンダの低迷と迷走ぶりが目に余ります。

個人的には、本田宗一郎氏の経営理念や、公私のけじめを付けるため、親族を雇わず後継者にはしなかったなど、創業経営者としては珍しく素晴らしい経営者だと思いますが、やはり明日潰れるかわからないベンチャー企業から、すっかり官僚的な組織となった大企業では、苦労を積み重ねてきた創業経営者をしのぐような優れた後継者はうまく育たず、単に順繰りでサラリーマン社長がホンダを窮地に追い込んでいるように見えます。

わずかここ数年間に起きたホンダの迷走ぶりです。

まずひとつ目は、2013年にアメリカのGMと提携し、燃料電池の共同生産や、小型の低価格EVの生産販売、自動車部品の共用化などで合弁会社を設立しましたが、この提携がまったくうまくいかずに2026年中には完全に提携解消となります。

ホンダGM提携

2027年以降は北米に投入するクルマはすべてEVか燃料電池車にするとか、2029年にはホンダが生産するすべてをEVにするとか無謀な計画を2020年頃に発表しましたが、その後アメリカでトランプ大統領が就任し、EV政策が後退した不運もありますが、先を見通せない経営者は無能だったということでしょう。

  ◇   ◇   ◇

二つ目は、2022年にホンダとソニーは共同で「ソニー・ホンダモビリティ(SHM)」を設立し、エンタメとEVを融合した新しいコンセプトのクルマを販売する計画で、プロトタイプは完成し、2026年、まもなく北米で予約販売がされるというタイミングで中止が決まり、会社は休止することになりました。

ホンダソニー提携

これも単に世界的企業のホンダとソニーがEVを作ればバカスカ売れるだろうという、机上の妄想が膨らんだだけの提携でした。

  ◇   ◇   ◇

三つ目は、2024年にホンダは、資金提供を受けていたルノーから離れ資金難に陥っていた日産と、次世代EVやソフトウェア開発で協業、経営統合を目指すとトップ同士が華々しい記者会見をおこないましたが、互いの利害が一致せず、1年後の2025年に破談となりました。

ホンダ日産提携

EV専門企業を目指そうとしていたホンダが、EVでは先行している日産を安易に取り込もうと考えたのですが、2005年に堀江社長だったライブドアが、ニッポン放送やフジテレビを手に入れようとしたように、あまりにも双方の歴史や会社文化の違いなどがあり、無謀な試みで、経営者の無能ぶりを世界にさらしただけでした。

  ◇   ◇   ◇

四つ目は、F-1への復帰と撤退の繰り返しの迷走ぶりです。

ホンダとF-1の歴史は古く、1964年~1968年までの第1期、1983年~2000年(1992年から2000年は無限として参戦)の第2期があり、それぞれに強力なエンジンでF-1界に新風を巻き込みました。

ところが本田宗一郎亡き後の第3期以降、1998年にはフルワークス(シャシーとエンジン両方自社開発)参戦を社長自らが発表しておきながら、2年後の2000年には無理と悟り方針変更し、BARチームにエンジンを提供するだけにしました。

しかしそのBARが2006年にF-1から撤退することになり、浮いてしまったチームをホンダが買い取り、表面上はフルワークス体制となりましたが2007年、2008年と成績不振が続きわずか3年後2008年でF-1から撤退します。

しばらくおとなしくしていたものの、2015年からトップチームのマクラーレンチームにエンジンを供給する形で参戦しますが、しばらくF-1から離れていたこともあり、期待されながらもエンジンの戦闘力が完全に不足していて3年間の成績は散々で、マクラーレンから三行半を突きつけられます。

ホンダf-11

2018年からトロロッソ、2019年からは強豪チームのレッドブルチームにエンジンを提供することになり、2006年以来ようやくホンダのエンジン搭載車が優勝。その後は2021年までは常にトップを争えるまで戦闘力が復活していたものの、2021年でエンジン供給の撤退を発表します。2015年の復帰時には「二度と撤退はしない」と言っていたにも関わらずです。

そして完全撤退してわずか2年後の2023年に、「2026年からアストンマーチンへエンジン供給する」と発表します。まさにどっちなんだ?という迷走ぶりです。

ホンダf-12

しかし当然ながら数年のブランクがあり、日進月歩の技術革新にまったくついて行けず、現在の2026年シーズンはぶっちぎりで最下位争いをしている散々な状態です。

  ◇   ◇   ◇

五つ目は、売れ筋の乗用車だったフィットやVEZELの販売不振です。

4年前に記事を書いています。

ホンダ国内販売凋落の兆しなのかも知れない 2022/9/3(土)

ヴェゼル

コンパクトSUVのホンダVEZELは2014年に初代が登場したときには、SUVの中でNo.1の売り上げ台数を続けるヒット作でしたが、2021年に2代目に代わってからはその半分も売れない散々な失敗作(ホンダはもちろん認めていないが)です。

またVEZELのベースは小型車の売れ筋のフィットですが、2020年発売の現行の4代目フィットは、そのライバルでほぼ同時にフルモデルチェンジしたトヨタヤリスと販売台数では登場直後は互角だったものの、その後大きく差が付き、現在は約5倍の開きがあります。

前代モデルの時はフィットとヴィッツ(ヤリス)との差は僅差でしたが、モデルチェンジ後のフィットの凋落がVEZEL同様に激しいのです。

結果的にホンダで販売目標以上に売れているのは価格が安い(利益も薄い)軽自動車と一部のミニバンだけで、国内販売においては危機的な低迷期に入っています。

国内販売が低調でもそれをずっと上回る利益をもたらしてくれていた北米での販売は円安の影響で好調でしたが、それもトランプ大統領に代わってから関税や現地生産重視の政策で苦戦しています。上記のF-1挑戦に関係しますが、今の状況が改善しない限り、お金のかかるF-1の継続はまた難しくなりそうです。

  ◇   ◇   ◇

六つめは、詳しくは触れませんが、中国での事業の失敗です。EVシフトに移った中国は、国を挙げてEVの国産車化を進め、それまで一番中国でクルマを販売していたドイツのフォルクスワーゲンは窮地に陥ることになります。

ホンダは好調だった北米に続き、新たな市場として、さらにフォルクスワーゲンの縮小に乗じて、世界に通じる(はずの)HONDAブランドで、中国に合弁会社が製造するハイブリッドやBEVで食い込みを図りましたが、高市政権下で日本との関係悪化というアンラッキーもあり、また中国政府の方針でもある国産企業支援とEVシフトで、性能や価格ではまるで歯が立ちません。

ホンダが中国で四輪車の生産能力削減、開発体制も見直し(ロイター)
ホンダが中国のガソリン車工場4拠点のうち、1拠点を休止することが分かった。もう1拠点も休止を検討している。販売​が落ち込む同国で生産能力を適正化し、収益改善を図‌る。

これも机上の金計算だけは得意な経営者層が中国のカントリーリスクや、ホンダブランド神話を完全に見誤った結果と言えるでしょう。

  ◇   ◇   ◇

青山一丁目にあったホンダの本社は、当初の計画では全面ガラス張りのお洒落な高層ビルになる予定でしたが、万が一大きな災害に見舞われたとき、ガラスが上から降ってくるようなことがあってはならないと、本田宗一郎氏の一言で、デザインの変更が求められ、シンプルなベランダがある白い外壁のビルに変わりました。

ホンダ青山ビル

そのビルも老朽化したため、一部を三井不動産に売却し、本社を虎ノ門へ仮移転、そして2029年頃には八重洲の再開発地区へ移転する計画となっています。

八重洲は、ホンダが初めて東京へ進出したときに拠点を置いた場所ということですが、いずれにしても、ホンダが一番輝いていた時代にお洒落な文化の発信地でもあった青山から、雑多で無国籍でビジネスライクな八重洲に移るメリットがあるのだろうか?と首をかしげます。

ホンダの70年代から80年代のクルマは、技術的にもデザイン的にも他車とは違うという独特の魅力がありました。

2022年に亡くなった辛口のジャーナリストの三本和彦氏は、テレビ番組や雑誌でいつも「ホンダのびっくり箱」と言って、ホンダの独創的な技術やアイデアを称賛していました。

ところが最近のホンダ車は、以前の金太郎飴のようなトヨタ車と同じく無難にほどほどでまとめる80点主義でつまらなくなったという感想を持ちます。「そんな無難なほどほどの車なら、ホンダじゃなくてもいいよね!」ってことです。

90年代頃から、寄らば大樹の陰で、有名大学卒のサラリーマンばかりがホンダに集まり、そしてそれらのクルマが好きで好きでという人ではなく、計算高く勉強が出来るエリート会社員が経営幹部を占めるようになってきたことと関連がありそうです。ちなみに本田宗一郎氏の最終学歴は小学校卒業です。

もう一度、ホンダの理念や、オヤジさんの技術のこだわりを思い出して、ホンダらしいホンダならではのクルマ作りをおこない、同時に日本のものづくりの素晴らしさを世界に見せつけてもらいたいものです。

今月から販売が始まった、ホンダが生き生きとしていた頃のシティターボとよく似た電動BEV「Super-ONE」が、ホンダ再生のきっかけとなればいいなと思っています。

この文章を書いているとき、偶然同じようにホンダを憂う雑誌記事が出ていました。

元ホンダ社員が赤裸々告白!! 「庶民のためのクルマ作り」はどこへ!? 本田宗一郎氏が目指したホンダとの決定的な違い!(初出:『ベストカー』2026年5月10日号)
今のホンダの苦境は、なるべくしてなったという感想ですね。(社長の)三部さんが頼りにしている人たちに問題があると感じます。出世のことしか考えていないような人たちの意見ばかり聞いているからこうなった、ということでしょう。
本田宗一郎さんの思いから始まるホンダの原点は「技術で人と社会の役に立つこと」です。それでお金をいただいているのに、今の経営陣にはそんな意識がおそらくない。

決して上の記事を参考にしてこれを書いたわけではなく、このブログは掲載日の1ヶ月ぐらい前から少しずつ書き始めていました。証拠を出せと言われても上書き上書きしていてありませんけど。

【関連リンク】
1660 ホンダ国内販売凋落の兆しなのかも知れない
1212 EVシフトと言いつつも当分需要はそれほどでもなさそう
1197 2017年の乗用車販売台数に思うこと

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1726
EV車イメージ自動車業界は3年前まではEVへの転換一色だったのが、コロナとロシアのウクライナ侵攻によって少し風向きが変わってきたようです。

それでも自動車のEV化推進は必然の結果として、一部の環境よりも経済発展を急ぐ国を除きここ10~15年のうちに一気に勧められていくことになりそうです。

そのEV化の流れにいまいち対応できていないのが日本の自動車メーカーで、様々な原因が言われていますが、やはり一番大きい理由は、1社で政治をも動かすことができる大トヨタ様がEV化にあまり積極的でないことがあるでしょう。

トヨタ様が完全EV化に積極的でない理由には、過去にHV(ハイブリッドエンジン)に並々ならぬ投資をしてきているため、それを回収するためその技術を少しでも長く使いたいことと、一気にEV化をしてしまうと、それまで一心同体で苦労をともにしてきた内燃機関エンジンやトランスミッション関連の子会社や関連会社、取引先などが路頭に迷ってしまうということもあります。

日本の経済や雇用もそうした無数の下請けや孫請けの製造業で成り立ってきたという経緯もありますから、闇雲に経済構造を急転換することもできず、手足を縛られてきました。

トヨタの社長が今年の4月に急に交代したのは、私の勝手な憶測では、内燃機関エンジンが大好きでエンジン車でレースやラリーにも出る豊田章男前社長では、ますますEV化の波に乗り遅れそうなので、ずっとシャーシや足回りの技術をやってきて内燃機関エンジンにはなんの興味も未練もない佐藤恒治新社長にEV推進を託したという構図かなと思いました。

閑話休題、すでに自動車業界はEV市場でニューカマー達がその覇権を競っています。その中には日本のメーカーは入ってきません。

EV世界販売、テスラが猛追のBYDを抑えて首位死守。日本勢は?(M&A Online)(PDF)
米環境ニュースサイトのCleanTechnicaによると、2022年1~12月の電気自動車(EV)世界販売で、米テスラがトップを死守した。しかし、中国の比亜迪(BYD)がテスラを猛追しており、2023年は逆転される可能性が高そうだ。一方、日本勢は上位に食い込めず、出遅れ感が強まっている。

現在一般的にEVと言われているのは、BEV、HEV、PHEV、FCEVなどがあります。

BEVとはガソリンを使わず電気のみを使って走る車、HEVはエンジンとモーターと両方を持つハイブリッド車、PHEVは充電スタンドなど外部から充電できるハイブリッド車、FCEVは水素を燃料として発電し電気で動く車です。

しかし動力や発電に内燃機関エンジンを使うHEVやPHEVは純粋にEVとは言えず、燃料電池のFCEVはまだ台数が極めて少なく無視できるレベルです。

またEVではありませんが、トヨタが水素を燃やして動力を得る水素エンジン車のテストをおこなっていますが商用化の目処はまだたっていません。

純粋なEVと言えるBEV単独と、準EVのPHEVを含めたEV販売台数トップ5はそれぞれ下記の通りです。データ出典は、CleanTechnicaです。

2022年BEV 世界販売台数TOP5(企業グループ)
1 Tesla アメリカ 1,314,330
2 BYD 中国 913,052
3 SAIC 中国 671,725
4 Volkswagen Group ドイツ 571,067
5 Geely-Volvo 中国/スウェーデン 383,936
2022年BEV+PHEV 世界販売台数TOP5(企業グループ)
1 BYD 中国 1,857,549
2 Tesla アメリカ 1,314,330
3 Volkswagen Group ドイツ 831,844
4 SAIC 中国 724,911
5 Geely-Volvo 中国/スウェーデン 606,114

純EVではテスラと元々は電池メーカーの企業だった中国のBYDの一騎打ちという構図で、PHEVを含めると上位2社は変わりませんが、3位にドイツのフォルクスワーゲンが食い込んできます。

次に企業集団ではなく、メーカーブランド別のBEVとPHEVの世界販売打数順位を最新の2023年1月~4月までの4ヶ月間で見たのが下の表です。

ブランド別 BEV+PHEV 2023年1月~4月販売台数
01 BYD 中国 722,670
02 Tesla アメリカ 539,796
03 BMW ドイツ 132,169
04 Volkswagen ドイツ 124,575
05 GAC 中国 122,153
06 SGMW 中国 116,185
07 Mercedes ドイツ 100,488
08 Volvo スウェーデン 88,156
09 Changan 中国 82,156
10 LI Auto 中国 79,022
11 SAIC 中国 72,391
12 Geely 中国 72,354
13 Hyundai 韓国 68,532
14 Audi ドイツ 66,102
15 Kia 韓国 64,693
16 Jeep アメリカ 45,694
17 Peugeot フランス 42,835
18 Toyota 日本 41,460
19 Nissan 日本 40,697
20 Ford アメリカ 39,739

品質やデザイン、価格など総合的に日本車最高!と思っている日本人が多いと思いますが、いざEVを買おうとしたときにその選択肢は日本車にはほぼなく、海外メーカーの外国製ということになりそうです。

そして中国やアメリカ製だけではなく、ドイツや韓国製が幅を効かせていて、日本製は世界のBEV+PHEVの中では日本製のシェアはわずか2%とという少なさですから選べる範囲も限られます。

個人的には年齢からして長くてあと10年ぐらいしかクルマに乗らないと思いますので、内燃機関エンジン車で終われる可能性もありますが、いままだ40代以下の人のほとんどは、いずれEVを購入することになります。

その時に、果たして日本製の気に入った自動車が見つかるかどうか、現在の趨勢では疑問です。

三菱重工業の大型客船の造船から撤退し、続いて巨額の税金も投入されていた国産ジェットMRJや、H3ロケットの度重なる失敗など、近年著しく技術レベルを落としているのがわかりますが、やがてトヨタやホンダなど日本の自動車メーカーも同様に何をやってもうまくいかないという事態に陥らなければいいのですが。

【関連リンク】
1664 EVの出先での充電について
1617 2021年の車種名別販売ランキングとEV化
1505 日本のEVシフトは環境問題ではなく経済問題



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1723
現役のビジネスマン時代の多くは割と硬めの仕事だったことから、いつもスーツにネクタイ、黒いビジネスシューズを仕事では着用していました。

そこで意見が分かれるのが「ビジネスシューズは長持ちする高級品か、それとも次々と使い捨てする安物か?」という二者選択の問題です。

新入社員の頃(今から40数年前)は、お金もないし、営業の仕事で雨や雪の日でもガシガシ歩かなければならないことから、安い黒革の靴を常に3足ほど用意しておき、毎日変えて履いていました。

1足の靴が耐用するのはせいぜい半年ぐらいで、したがって2ヶ月に1足ぐらいの割合で新しい靴を買っていました。複数必要なのは、雨の中を歩いてびしょびしょになると一晩では乾かず、梅雨の時期など湿気が多いときは1日以上置いてもまだ湿っています。

ところが新入社員だった頃、アルバイトで来ていた学生が、数万円するリーガルの高級靴を大事に毎日履いていて驚きました。社員の自分は一足三千円程度の安物です。

そのアルバイト君が言うには、「靴は足にとって大事で、他のファッション以上に気を遣っている。やっぱり高いものにはそれだけの価値があるし、耐久性がある上に履き心地もまったく違う」と。

その時は、「確かに一理あるな~」と思っていましたが、とても新入社員の身では高級靴を複数使い回せる余裕がないのと、一度そうした高級靴を靴屋で試しに履いてみたところ、革が固くて足が痛くなりそうで結局は買いませんでした。革靴は足に合わないとまるで拷問です。

そういうこともあり、私のビジネスシューズの選択は、「高級な靴を大事に長く履く」のではなく、「ノーブランドの安い靴を次々と買い換える」でした。しかし足にピッタリした美しい高級黒革靴への憧れはずっとありました。足下がピリッと見栄えがするとなにか「デキる人」みたいな感じがします。

その後20年ほどが経ち、仕事関係でイベントに呼ばれたり、結婚式などに主賓として招待されることもあり、さすがに1足3千円の靴では「足下を見られる」ではないけれど、品がないので、1足だけは仕事ではなく結婚式や華やかなイベント用にと、アウトレットでイタリア製の勝負靴を買いました。

しかし、私の足は一般的な日本人のベタ足のため、お洒落でスマートな細身のイタリア製の靴の形状には合わず、長時間履いているとたまらなく痛くなりました。その靴を履いて出掛ける時は、一種の拷問のように感じました。

途中からは考えて、履き慣れた靴で出掛け、出先で履き替えて、用事が終わればまた履き慣れた靴に履き替えるという面倒なことをしていました。

リタイアしてからそれまで持っていた安物の5~6足の革靴はすぐ処分しましたが、固く良質な革でしっかり作られた高級靴は使用頻度が少なかったこともあり、まだまだ綺麗な状態ですので、それだけは残してあります。しかし今後それを履くような機会がないことを願うばかりです。

【関連リンク】
1554 スニーカーやウォーキングシューズのアウトソール
543 靴はどのタイミングで捨てたらいいの?
520 若いビジネスマンへ告ぐ



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1682
理容室仕事をリタイアしてから散髪のために散髪屋さんへ行く機会がめっきりと減りました。

現役中は少なくとも2~3ヶ月に1回は必ず通っていましたが、現在は半年に1回のペースです。

理容店は、散髪屋、床屋、理髪店、ヘアーサロン、カットサロン、理容室など様々な呼び方がありますが、私は子供の頃からずっと「散髪屋さん」一択です。国の厚労省では「理容所」という名称で統一されています。

思えば60年ほど前、まだ幼児だった頃、父親が2週間に一度ぐらいのペースで唯一の休日だった日曜日に近所の理容店へ行くので、それによくついていき、待合場所で漫画を読むのが楽しみだったことがあります。

昔の人は、よく理容店へ通っていたんだなと思いつつ、まだ幼児の頃の記憶なので、間違っているかもと思っていたら、先日年配の理容師さんから「昔の人は1~2週間ごとに来てくれたのに、今の人はよく来る人でも1ヶ月に1回ぐらい」という話を聞いて、幼児の頃の記憶はそう間違ってないようでした。

理容店は、基本的に男性が髪の毛の身だしなみを整えるために通う場所ですが、私の周囲にも、「カットはいつも美容室へ行く」や、「自分でカットするから何十年と散髪に行ったことがない」、「妻にカットしてもらっている」という人などがいるのと、顔や首筋の産毛などの処理で女性が理容店に来ていることもあり、理容店は男性だけが必ず通っている場所とは言えないようです。

私も若い頃の一時期、パーマをあてるときには美容室へ通っていたことがありますが、美容室ではひげ剃りができないので、それがちょっと残念で、また理容室へ戻ってきました。やっぱりプロが顔全体を丁寧に剃ってくれたあとは、ツルッツルになってとてもスッキリして気持ちよいものです。

最近流行しているQBハウスなどのクイック理髪系は、カット専門で、ひげ剃りやシャンプーなどはやっていないので、理容店に丁寧なひげ剃りを求める私は行きません。

最近の理容店の景気はどうなのかな?と思って店のオーナーの理容師さんと話しましたが、常連さんが来る頻度よりも、近所に大規模なマンションができたり、新築住宅がたくさんできると来客数がてきめんに増えるということで、その店は駅前という地の利もあって周辺の人口動向に左右されるようでした。

理容店(理容所:ブルー)と美容院(美容所:ピンク)の全国推移をグラフにしてみました。

理容所と美容所数推移グラフ
 出典:厚生労働省「衛生行政報告例の概況 」

このグラフにはありませんが、団塊世代が若い社会人でオシャレにも敏感だった1970年代にピークを迎えた理容店は、その後緩やかに減少し続けています。

一方の美容室は、現在も増加中で、対称的となっていますが、人口減少時代にはいり、客の奪い合いが始まっているようで、魅力を出すための工夫など経営は決して楽ではなさそうです。

それでも理容店は2020年時点で11万5千店舗もあり、これは全国のコンビニエンスストア5万6千店の2倍近くもあることになります。

理容店は見ていても会社経営というより個人店というイメージがあります。QBハウスのようなフランチャイズに加盟している店も、個人店が中心です。ごくまれにいくつも支店を持ち多くの従業員を抱えている理容店があり、そういうところは会社組織にしているケースがあります。

経営形態(サンプリング数751店)と理容師数の推移です。

経営形態 施設数 割合%   理容師数(人)
個人経営 686 91.3  2000年  250,716
株式会社 18 2.4  2005年 250,407
有限会社 45 6.0  2010年 237,602
その他 2 0.3  2015年 227,429
総数 751 100.0  2020年 210,849
出典:厚生労働省「衛生行政報告例の概況 」と「理容業の実態と経営改善の方策」

まず経営形態では、予想通り91%の店が個人経営の店です。理容師は特殊技能の職人さんでもあり、理容室の経営は会社組織にはあまり向かない業態と言えるのでしょう。

理容師数は、ここ20年間で約4万人、約20%の減少です。美容室数が伸びているように美容師の数は増えていますので、理容師のひとり負け状態です。

さらに今回は調べませんでしたが、理容師の高齢化が進んでいて(古いですが2003年調査時点で理容師の平均年齢は64.6歳)、個人店の後継者がいないという暗澹とする現状です。

  ◇   ◇   ◇

昔から理容店は月曜日が休日で、現在は第2、第3火曜日も休日となっているところが多いのと、どの店も料金がほぼ同じというイメージがあります。

これは「理容店が加盟している組合の指導というか規則でそうなっているのだろう」とずっと思っていましたが、調べると組合にそういう強制力はなく、組合に加入していても料金や休日は自由に決められるそうです。店の家賃や物価も地域や場所によって大きく違いますから料金が違うのは当たり前ですね。

ただ休日に関しては組合に加入していると、そこでおこなわれるイベントや研修などは月曜日に開催されることが多く、それに休日を合わせておくほうが便利ということになります。

料金は、昭和の時代はともかく、現在は店が自由に決められます。昔は低価格を打ち出して価格破壊をする店には周囲の店から嫌がらせなどがあったそうですが、今はそういう時代ではありません。

理容師が加入する組合組織は、「全国理容生活衛生同業組合連合会」で、現在4万5千名が加入しているそうです。

すでに引退したり、理容の仕事をしていない有資格者を含めて理容師数は21万名いますから、4.5万名だと理容師全体の21%が加入していることになります。

これは店舗数が11万以上あることを考えると、意外と少ない感じがします。加盟店一覧で調べてみると、近所の徒歩圏にある理容店は11店舗ありますが、組合に加入しているのは2店舗だけでした。

なんでも古くから理容店を営んでいたり、父親から継いだような人は加入しているケースが多いそうですが、若い人や新たに理容店を始める人は加入しない人が増えているそうです(組合に加入している理髪店主の話)。これも時代です。

理髪料金は、QBハウスのような価格破壊モデルが登場したり、客の要望や店によってパーマやマッサージなど様々なオプションもあり、画一的ではないのと、地域差も大きいので統計データとしては、総務省の家計調査の支出で見るしかありません。

それとは別で出典は不明ですが、1965年(昭和40年)頃は350円、1975年(昭和50年)555円、1985年(昭和60年)2800円、1993年(平成5年)3334円、2015年(平成27年)3541円、2022年(令和4年)3612円というデータがありました。

私がいま(2022年)通っているところは調髪、シャンプー、シェービングで3,800円でしたので、概ね平均値に近いですが、都市部の駅前と言うこともあってやや高い設定かも知れません。

QBハウスが登場した1995年以降、理髪にかかる費用は全体的に減少傾向にあったと思いますが、上記の数字はその後も上昇していて、一般的な理髪店の価格という気がします。

長期間の推移で家計や収入に占める理髪費用や美容院費用が上がったのか下がったのか、いずれ調べてみたいと思います。

想像ですが、男性の理髪費用は減り、女性の美容院費用は増加しているという気がします。もっとも美容院は男性利用者も多いので、男女で分けるのは正しくありません。

【関連リンク】
1614 自動車整備士に未来はあるか?
1538 日本の農業はどこへ向かうか
1399 生涯未婚率はこれからも上昇する?
527 教員の高齢化について


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1660
ホンダは個人的に好きな自動車メーカーで、1980年代から1990年代にかけて、都合10年間ほどホンダの乗用車を新車で購入して乗っていました。

戦前、戦後の何もない中で自動車修理業者に丁稚奉公し、やがて修理業をおこなうかたわら、原動機付き自転車から始めて世界のHONDAを作り上げた本田宗一郎氏の立志伝心物語は有名です。

世界の自動車販売台数ランキング(2020年)ではホンダは8位ですが、これはグループ(日産とルノーのような)を作らず、独立系としておこなっているためで、国内でのブランド(メーカー)別販売台数(2021年)ではトヨタに次いで2位です(1位のトヨタとは大差がついていますが)。

ところがこのところホンダに元気がありません。

2018年の国内販売台数は363,565台(前年比96.0%)、、2019年は348,061台(前年比95.7%)、2020年は283,774台(前年比81.5%)、2021年は268,186台(前年比94.5%)と、このところずっと前年を割っています。

しかもホンダが悩ましいところは、数は出るけど安いために利益が少ない軽自動車の販売数が多く、儲けが多い中級~上級車の販売が振るわないことです。

その中でも数年前まで国内販売で大健闘していたのがコンパクトSUVのヴェゼルです。

初代ヴェゼルは2013年12月に登場し、小型車フィットのシャーシを使い、スタイリッシュなデザインと、車高やシート座面が高くて使いやすく、しかもフィットのベースを利用しているので量産効果から安く製造でき、比較的安価で提供されました。

それが給料の上がらない若者にも、広い室内を必要とするファミリー層にも、そして若作りな高齢者にも人気でした。

その初代ヴェゼルはライバルが多い国産SUVの中において、2014年から3年連続でSUV販売台数ランキングでトップを走っていました。



そんな人気車種だったヴェゼルがフルモデルチェンジ(FMC)をしたのが昨年の2021年4月のことです。



販売直後には「ホンダ 新型ヴェゼル、発売後1ヶ月弱で3万台を受注!」とリリースが出たようですが、通常FMCすれば買い替え需要などで一時的に販売想定を超えるのは当たり前のことで、公表の3万台が多いのか少ないのかよくわかりません。

では2021年4月以降の販売成績がどうなったかというと、、、コロナ禍のせいで、半導体や部品調達に遅れが出たこともあったでしょうけど、FMC直後の盛り上がりは限定的に終わり、すでに初代ヴェゼルのモデル末期の頃とあまり変わらない販売台数に落ちてきました。

発売開始の3ヶ月目から12ヶ月間の販売台数を比較すると、初代ヴェゼルが96,245台に対して、ヴェゼルから新型ヴェゼルへの乗り換え需要があるはずの2代目ですが57,165台と59%に過ぎません。

2020年にベースとなる4代目の新型フィットが登場したときは、愛らしいスタイルなど、これは女性ユーザーにはウケそうと思いましたが、そのすぐ後にでてきたヤリス(旧ヴィッツ)が、性別問わず、幅広い年齢層に様々なスタイルや動力を用意し、そのクラスの需要をガッポリと持っていってしまい、フィットも苦戦を強いられています。月間目標が1万台に対し、それを超えたのが発売直後の2020年3月だけというていたらくです。

そのイマイチ支持されていないフィットと同じシャーシを利用した新型ヴェゼルを見たときは「なんじゃこりゃ?」と思いました。

私のデザイン感覚なんてド素人だから、今の人はこういうデザインこそ「新しい!」「素晴らしい!」「美しい!」という感覚なのかな~と思っていましたが、その後の販売台数を追いかけてみると、やっぱりこの2代目ヴェゼルは明らかに失敗作ではないかと思います。

もちろん人気や売れるかどうかはスタイルだけの問題ではないでしょうけど、大きな要因であることは間違いありません。

なんとなくですけど、中国ではこのヴェゼルはHR-Vという名称で販売されていますが、中国人を強く意識した(中国人が好きな)デザインのような気がします。

下記のグラフは、2014年1月から2022年7月までのヴェゼル販売台数推移です。紺色は初代ヴェゼル、ピンク色は2021年4月にFMCした2代目です。



初代ヴェゼルの月間販売目標は2014年の当初は控えめに4千台、ところがすぐに1万台を超える月も出てきて、2015年の途中から5千台へと変わりました。新しいヴェゼルはどこからそのような自信があったのかわかりませんが、最初から目標数は5千台でした。

ところがFMCの販売開始の2021年4月から2022年7月までの16ヶ月のあいだに目標の5千台を超えたのはたった5回だけで、これを散々と言わずしてなんと言うのでしょう。繰り返して言いますがFMC直後でこれです。

初代ヴェゼルは7年と3ヶ月で予想を上回る46万台以上販売しています。つまりそれだけの買い替え需要が新型には現在から将来に渡って見込めるわけですが、残念ながら、次に同じコンパクトSUVを求めたとしても次はヤリスクロスやカローラクロス、日産キックス、マツダCX-3、来年にはFMCするC-HRへと移っても驚きはしません。

自動車ジャーナリストの故三本和彦氏は常々「ホンダのびっくり箱」と好意的にそのユニークなデザインや技術を高く評価していましたが、もし今、昔やっていたような「新車情報」に出られたらなんと言われるでしょうか。毒舌でならした方ですのでホンダにとっては耳が痛い言葉になるでしょう。

ホンダは言うまでもなく既にビジネスの主力は海外向け(輸出と現地工場)にあり、国内向けに注力しているのは軽自動車と小型2ボックスのフィットや小型ワゴンのステップワゴンぐらいなもので、もう需要が減っていくばかりの国内の客にはあまり関心がないように見えます。

しかし海外のビジネスも、欧州はもとより、韓国や中国メーカーとの激しい競争や世界戦略としてメーカー同士がつながっていく中で、どことも資本提携などはしない自主独立、別の言い方をすれば孤立無援の闘いを挑んでいるホンダに勝算はあるか?というと、決して安泰とは言えません。

この不細工なヴェゼル(失礼!)が、国内では不評だけど、海外では好評なんだ!と自信と数字をもって言えるのであれば仕方がありませんが、もしそうでないのなら、ホンダの凋落が、少なくとも国内市場において既に始まっているのかも知れません。

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