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江戸時代までは米が貨幣価値をもっていたぐらいに貴重で全国的に平準化されたものでしたが、昨今は食の多様化とロカボ(糖質制限)の流行もあり、米の生産には逆風が吹き続けています。
米の生産量推移グラフ(pdf)(出典:厚生労働省、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針)
米の生産量は、昭和35年(1960年)に12,858千トンあり、過去最高は昭和42年(1967年)の14,453千トンだったのが、その後の需要減少や減反政策などもあり、平成28年(2016年)は8,550千トンへ3割以上減少しています。
昭和37年(1962年)には、日本人ひとりあたり年間118kg(1日323g、約2合)の米を食べていましたが、平成28年(2016年)は54kg(1日148g、約1合)と、半分にまで落ちています(農林水産省調査)。
生産量が3割減なのに消費量は半減っておかしくない?って思いましたが、ひとりあたりにすると人口の差に影響されるのと、生産される米は直接主食として消費される以外に、畜産業の飼料として、また加工食品などにも使われていますので、たぶんそのせいかなと。
朝昼晩と米食が基本だった一般的な昭和の一般家庭からすれば、現在は、朝はトーストなどパン類、昼はラーメンやうどんなど麺類、そして夕食だけ米食というパターンを思い浮かべます(我が家の場合を例にしています)。
その夕食で食べていた米食も、政府が主導するメタボを成人の絶対悪と決めつけて、また細ければモテるし健康的、デブはモテないし病気がち的なイメージを作ってきたマスメディアの扇動もあり、国民がみなダイエットを刷り込まれ、そのひとつの方法として、米を敵視する糖質制限や炭水化物敵視という流れができています。
私も安直にその流行に乗ってみて、2011年頃から取り入れた糖質制限は、朝食のトースト、ランチの米食中心のお弁当は変えず、夕食に食べていたご飯を徐々に減らし、現在は夕食には基本は米を食べないという生活になっています(夕食がお寿司やカレーライスなどの時は普通に食べてます)。
糖質ダイエットについての備忘録その1 2013/10/26(土)
糖質ダイエットについての備忘録その2 2013/10/30(水)
その後の糖質制限ダイエット効果 2016/2/24(水)
フルーツと糖質制限 2017/11/22(水)
経験してみてわかったのは、食べる量やカロリーを減らすより、炭水化物(米や小麦)を減らした方が楽に続けられそして確実に痩せます。
おそらくですが、劇的なダイエット効果を派手にテレビで宣伝する某ダイエット会社も、運動や食事制限よりもまず基本はそうした炭水化物制限の手法を用いているのではないかと思われます。
そうした逆境にある日本の米ですが、将来的には世界的に食糧不足と言われているので、輸出に光明を見いだせばとよく言われています。
しかし日本の米=ジャポニカ米は中国やベトナムあたりの東アジアではともかく、東南アジア、アフリカ、欧米ではまったく好まれません。
世界の米の約85%はインディカ米と言われる細長いパサパサした米が主流で、もし日本が世界に向けてお米を輸出したいと考えるなら、需要の多いインディカ米を作るか、ジャポニカ米を食べてもらえるように各国の食文化を変えていくしかありません。
冷夏と長雨に祟られて米の大不作に陥った1993年には、スーパーから国産米が売り切れてなくなってしまい、タイ米(インディカ米)が緊急輸入されましたが、まったく見向きもされませんでした。
チャーハン、カレーライス、パエリアなどには向いているのですけど、通常の和食には合いませんし、まず慣れていない日本人の口には合いません。
それと逆のことを考えると、ヨーロッパやアメリカ、アフリカへ日本の米(ジャポニカ米)を持って行くだけでは売れないでしょう。
それに日本の米は、規制と利権と農協のせいで、世界的に見て異常なぐらい高価ですから、貧しい食糧不足の国へ持って行っても無料で配らない限り腐らせてしまうだけになってしまいそうです。
ちょっと面白いのが「米穀安定供給確保支援機構の調べによると、2016年度の1人当たりの月間コメ消費量は4663グラムだった。前年度に比べて6%増えた。調査開始以来、増加は初めて。実質賃金が伸び悩むなか、支出を抑えるために家庭で食べる量が増えたとみられる。」という記事がありました。
その昔、池田勇人(当時大蔵・通産大臣)が当時まだ高価だった白米ではなく「貧乏人は麦を食え」と言い放ちましたが、現代では米を「支出を抑えるために家庭で米を食べる」ということで、「貧乏人は(より高価な外食や、また肉や野菜より)米を食え」ということなのですね。
いずれにしても今後の日本の米作りは、野菜やフルーツと同様に、高級ブランド化戦略か、あるいは飼料や加工品向けの大量生産・低価格品の二極化していくのではないでしょうか。
私も東北旅行したときに食べるお米の美味しさに感動を覚えますし、農家が出荷するのとは別に自宅で食べる用に無農薬や減農薬で大事に作られた安全な米も食べるとその違いに驚かされます。
それでも、韓国に流出したイチゴの品種同様、今後は稲の品種も東南アジアに流出し、コシヒカリが中国やベトナム等で作られたり、広大な農地で効率良く大量生産される低価格米には太刀打ちできず、この先中・長期的に見ると高コストな日本の米作りは苦境に陥りそうです。
そんな中、利権と規制、補助金などにまみれた日本の米作りが、今後どこかで大きく転換していくような気がしますが、小売業のアマゾンみたいな破壊者が現れるのはさていつのことでしょう。
【関連リンク】
1039 減り続ける米需要
981 大きく変化していく農業従事者
923 ハイブリッド型植物工場は異常気象の野菜急騰を防げるか
747 農家の知恵はいまの熱中症を予防する
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