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950
本をよく読む人なら誰しもあると思いますが、買った本が過去に買って読んだことがある本だったという少々残念な経験。

私の場合、記録に残っているものをカウントすると58冊のダブリがあります。蔵書約2500冊中の58冊ですから2.3%にあたります。

本を買うときにタイトルを見ない人はいないので、そのタイトルを見ておきながら、ピンと来なかったのが第一の敗因です。

あと自分の好みのタイトルというものがあって、ついついそのタイトルに惹かれてあまり考えずに買ってしまうこともあります。

タイトルだけでわからない場合でも、文庫の場合は、裏表紙に書かれているあらすじや、文末の解説、発刊日を見て気がつくことがあります。それでも過去に読んだことがわからなければ、それはもうすっかりと記憶から抜け落ちているということで二度買いしても仕方がありません。

もっとも悔しいのは、同じタイトルの小説が、別の出版社から発刊された場合、小説の発表自体は十数年前のものでも新刊として発刊されます。しかも新刊コーナーに平積みで置かれたりしますので、あの著者の新刊だからと、なにも考えずに買ってしまうことです。

読み始めてしばらくして、これ前に読んだぞ~と記憶が蘇り、調べてみるとそういうことだったということが何度かありました。

例えば、浅田次郎著の「姫椿」は2003年に文藝春秋から文庫が発刊され、その9年後の2012年に徳間書房から初版として文庫が発刊されました。その両方とも刊行後すぐに買いました。中身はもちろん同じです。

「姫椿」以外に出版社が変更になって、当然表紙カバーも変わり、間違って同じ小説を買ってしまったのは、清水一行著「株の罠(徳間→角川)」「迷路(光文社→剄文社)」「勇士の墓(光文社→徳間)」、高杉良著「銀行人事部(集英社→徳間)」「社長の器(講談社→光文社)」「大逆転!(講談社→角川)」、楡周平著「猛禽の宴(宝島社→角川)」、半村良著「英雄伝説(講談社→河出)」、宮部みゆき著「誰かsomebody(光文社→文藝春秋)」、宮本輝著「月光の東(中央公論社→新潮社)」「草原の椅子(幻冬舎→新潮社)」の計12冊に上ります。

こちらの不注意とはいえ、これはまったく迷惑な話しです。

ただ出版社の事情で再版や増刷ができなかったり、著者が何らかの事情で出版社を変えたということもあり、いわゆる「大人の事情」があることも理解しています。

次は出版社は同じでも、再版や増刷の際に表紙カバーがすっかり変わってしまい、それに気がつかずに買ってしまうパターン。

特に映画化やTVドラマ化されたりすると、それに合わせて新しいカバーに変わったりします。小難しい文学作品に萌え系アニメや少女漫画風イラストを入れることで爆発的に売れ出したなんてこともあり、出版社のしてやったりという苦労が伺えます。

また中身もカバーデザインは変わらないものの、1冊だった小説が上下刊に分かれ、イメージがガラリと変わってしまうようなリニューアル版というのもあります。

そして最後はなにも変わらないのに、ただ忘れて買ってしまうもの。これは上記にも書きましたが、著者とタイトルに惹かれて買う場合が多そうです。

そういうなにも変わらないのにただ著者とタイトルに惹かれて、つい二重に買ってしまったものは、赤井三尋著「翳りゆく夏」、伊集院静著「水の手帳」、大沢在昌著「夏からの長い旅」、小池真理子著「記憶の隠れ家」「天の刻」、佐々木譲著「夜にその名を呼べば」、、笹本稜平著「時の渚」、重松清著「哀愁的東京」、雫井脩介著「虚貌」、真保裕一著「黄金の島」「ボーダーライン」「真夜中の神話」、藤田宜永著「理由はいらない」、宮本輝著「春の夢」、グレイグ・ホールデン著「夜が終わる場所」、ロバート・B・パーカー著「ペーパー・ドール」などがあります。


タイトルって販売戦略上重要なんですねぇ。

で、読み始めてから「これ前に読んだぞ」って気がついた場合、どうするか?

私の場合は、途中まで読んでいれば、そのまま最後まで読むことが多いです。初めて読む場合と、ある程度知識があって読むのとでは少し感想も違ってきますので、やや悔しい思いをしながらもそれを楽しみつつ。

もっと言えば20代と50代では同じ小説でもその感想や受ける印象は大きく違ってくるものです。30代と40代でも多少は変わってきます。

しかし二度目に読むときに、新たに新鮮な気持ちで読める本もありますが、そうでない本もあり、そういうのは数ページで読むのをやめてしまいます。気持ちは「損した!」ってところです。

二度目に読んでも新鮮に読めるのは、一般的に古くから名作と言われている小説が多く、学生時代に一度は読んだものも、大人になってからもう一度読んでみるのはまたいいものです。

特に夏目漱石とか三島由紀夫、川端康成、森鴎外、芥川龍之介、谷崎潤一郎、星新一、吉川英治など10~20代の頃に読むことが多い作品は、それから30~40年後の今読むと結構新しい発見があり、楽しいものです。


【関連リンク】
886 リス天管理人が選ぶ2014年に読んだベスト書籍
784 リス天管理人が選ぶ2013年に読んだベスト書籍
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948
超・格差社会アメリカの真実 (文春文庫) 小林由美

アメリカの社会の問題については最近では堤未果著の「ルポ 貧困大国アメリカ」(2008年)のほうが有名になっていますが、こちらのほうが少し早い2006年に単行本として発刊されています。「ルポ 貧困大国アメリカ」も面白そうなので、いずれは読みたいと思ってます。

著者についてはよく知らないのですが、著者紹介では「ニューヨークとシリコンバレーで日本人初女性エコノミスト、証券アナリスト、コンサルタントとし26年間活躍して来た」とありますが、エコノミスト、アナリスト、コンサルタントなんていうのは自称でなれる職業なので、日本人女性初というのはどうなのでしょう?

特に明治以降、渡米して経済関連の仕事をしていた日本女性など自称こそしていないもののいくらでも先人はいそうです。

ま、それはさておき、タイトルだけ見ると難解そうに見えますが、アメリカ資本主義経済の成り立ちの歴史から、経済格差ができてきた理由、それが現在のアメリカ社会に及ぼしてることなど、わかりやすく説明をしてくれています。

特にアメリカというのは誰もが知っている通り、まだ建国して200年かそこらの新しい国で、歴史というものは極めてシンプルかつ短期で、その中に、資本主義、民主主義の形がギュッと詰まっている国です。

それが古いしがらみに毒されずいい面に出ていることと、先人達のノウハウや経験が不足しているって面もあります。

古いしがらみに毒されていないと書きましたが、本書では、ヨーロッパから持ち込まれた様々な古い慣習や伝統などの中には、経済上の特権階級や利権などが含まれていて、比較的公平な政治と、古き慣習がはびこってきた経済とは、切り離されてきたことがよくわかります。

もっともITベンチャーが出てきて以降は、そうした特権階級の没落も目立ち始めているようですが。

少し前(高度成長期)なら、アメリカ経済は日本が追い求め、真似をすべき道と言われてきましたが、様々な社会問題を抱えて、中流社会が崩壊、大きな格差が生まれてきて、これじゃダメと反面教師にする動きがあります。

しかしそれでもやはり日本はアメリカの後を追い続けて、マネーゲームに翻弄され、産業の空洞化を招き、国民総中流社会と言われていたのが、今や下流社会化しつつあり、親の資産によって受けられる教育の質が違うという生まれながらの格差が拡大することになりました。

この本を読んで、どうすべきなのか?ということはわかりませんが、アメリカの後を追うことが宿命づけられているならば、まもなく日本で起きそうな不安要素はみなこの本の中に詰まっていると言えそうです。

もっとも筆者は「和をもって尊し」とする日本人と、「なによりもお金を儲けることが善」のアメリカ人とでは本質的に考え方が違っているので、単純に比べられないというように書かれています。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

恋する空港―あぽやん〈2〉 (文春文庫) 新野剛志

2008年に発刊された「あぽやん」の続編として2010年(文庫は2012年)に発刊されました。その「あぽやん」は、「2012年4月後半の読書」に感想を書いています。

その時の感想で「こういうたぐいの小説は比較的テレビドラマになりやすいので、そのうちきっと制作されることになるのでしょう。」と書いていましたが、その通り2013年にはTBSで「あぽやん~走る国際空港」という連続ドラマが伊藤淳史主演で制作され放送されました。見ていないけど。

こうした若者向けのお気楽お仕事ドラマは毒にも薬にもなりませんが、比較的視聴率も取りやすくドラマ化されることが多いですね。

さてその第2弾も第1弾と同様、連作短編形式で変な旅客や空港内で事件が発生して、あぽやんこと旅行代理店社員の空港勤務の活躍物語で、「テロリストとアイランダー」、「空港ベイビー」、「ランチ戦争」、「台風ゲーム」、「恋する空港(あぽ)」、「マイ・スイート・ホームあぽ」の6編からなっています。

元々日本航空の子会社で旅行代理店のジャルパックの空港勤務だった著者ですから、内容には専門的なことも含め正確に書かれているのでしょうけど、たいへんな仕事だろうなというのは容易に想像がつきます。

毎日空港で勤務する職員とは違い、一生に一度あるかないかという団体海外旅行ツアーに参加する旅客というのは、空港も初めて、出国するのも初めて、人によっては飛行機に搭乗するのも初めてと、初物づくしの人もいます。

そうした中で、指名手配中のテロリストと同姓同名で不審な乗客、海外で出産しようと予定日を誤魔化して出国しようとする女性、不倫芸能人とその妻、韓流スターの追っかけで台風でも遅れることが許せない女性などを相手にしながら、主人公は教官となって新しくスーパーバイザーを目指す男性のOJTをしていきます。

★★☆

著者別読書感想(新野剛志)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

津軽殺人事件 (徳間文庫) 内田康夫

この小説は浅見光彦シリーズでは26作品目、1988年に刊行された小説で、現在すでにシリーズ120作品を超える中では、古い作品となります。

読んでいると太宰の生家で観光地となっている明治時代の建築物「斜陽館」は、この本が執筆された当時、民間業者が旅館として使っていて、せっかく趣きがある住居用洋館が観光客用の喫茶店とかに改装され、小説の中で憂いていましたが、その後1996年に町が買い取り、現在は五所川原市太宰治記念館「斜陽館」として運営されるようになり、また建物っが2004年には国の重要文化財としても認定されて、元の姿に戻されています。

そのように小説が書かれた時と現在では30年近い開きがあるので、町の風景もだいぶんと変わってきていると思われます。

この小説を原作としたテレビドラマは以前見たことがあり、概ねのストーリーは知った上で読みました。

テレビドラマでは、ロケ地は別としてストーリーは割と忠実に原作を再現して作られていますので、ドラマを見てから小説を読むと、その場面場面にその時の映像が思い浮かびます。

あらすじは、ある男性が東京のホテルの部屋で服毒して死亡しているのが発見されます。その男性は弘前で古書店を経営していて、太宰が描いた絵があると聞いて東京まで商談にやってきたとのこと。ヒロインはその亡くなった男の娘で、司法試験を目指して東京に住む女性です。

男性のポケットには太宰の詩が書かれた紙で、紛失してた手帳から破り取った紙のようで、それがダイイングメッセージではないかと光彦が推測します。

光彦は東京の刑事と、亡くなった男性の娘とつきあっているという大学時代の同級生に頼まれ、真相を突き止めるため青森へ向かいます。すると今度は青森でも次々と殺人が起きることになります。

内容は、津軽殺人事件というよりは、太宰殺人事件というべきもので、太宰と関係の深い場所や話しが所々に出てきて、興味のある人には応えられないかもしれません。

また小説では2時間ドラマでは伝えきれない詳細な描写や歴史的な背景なども書かれていて、地元の人なら当然のようなことでも、その他の人が読むと変わった風景だとか奇習を知ることができて、それも楽しいですね。

★★☆

著者別読書感想(内田康夫)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

恐山殺人事件 (廣済堂文庫) 内田康夫

津軽殺人事件」にこの「恐山殺人事件」と殺人案内ツアーとなってしまいましたが、理由はご想像の通り、この夏休みに東北、特に今まで行ったことがなかった青森を中心にグルリと回ってきたので、先に知識を入れておこうと読んだものでした。

他に青森が舞台になっている同、速見光彦シリーズでは「十三の冥府」がありますが、こちらは過去に読んでいます。

これらの三つの小説に登場した場所からは、十和田湖、奥入瀬、新郷村ピラミッド、八戸蕪島、恐山、津軽藩ねぶた村、五所川原立佞武多の館、十三湖などへ寄ってきました。小説を読むまでは、恐山以外はほとんどなにも知らない場所でした。

恐山は子供の頃に見た映画で、気味悪いイタコがいて、怖い場所ってイメージがあるぐらいです。

さてこの小説は、タイトル通り、その恐山が舞台ですが、まずは東京で連続殺人が起きるところから始まります。

そして殺されたひとりの祖母が先祖代々引き継いできた恐山のイタコで、殺される前からその孫には「北の方角から地中深くをよくないものが殺しにやって来る」と警告を与えていました。

たまたま殺されたひとりから、光彦に手紙が送られていたことから、趣味の探偵ゴッコに乗り出します。また光彦と大学の同級生の中にイタコの娘がいたことも関係します。

ちょっと科学では証明ができない霊的な出来事も発生したりと、タイトル通りに少しオカルティックなところもありますが、事件は主として東京で展開し、最後のクライマックスで十和田湖が少し出てくるぐらいで観光案内にはあまりならないかな。

★☆☆

著者別読書感想(内田康夫)


【関連リンク】
 7月後半の読書 星を継ぐもの、青が散る(上)(下)、月の上の観覧車、ジェントルマン
 7月前半の読書 神様が降りてくる、ギフト、巡礼、働かないオジサンの給料はなぜ高いのか
 6月後半の読書 精霊の守り人、国家の闇、ミッキーマウスの憂鬱、きみはポラリス




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943
星を継ぐもの (創元SF文庫) ジェイムズ・P・ホーガン

著者のジェイムズ・P・ホーガンは1941年に英国生まれのSF作家で、この作品「星を継ぐもの(原題:Inherit the Stars)」は、仕事の傍らで書き上げ、1977年に発表(日本語翻訳版は1980年)されたデビュー作です。残念ながら数多くの作品を残し2010年に69歳で亡くなっています。

この作品が発表された1977年というと、アポロ11号が月面に着陸したのが1969年で、それから8年後という、まだ人類が月に対して期待とあこがれを持っている時期とも重なるのでしょう。

小説ではその月の凍った地中から宇宙服を着た人間のミイラ(チャーリー)が発見され、時代測定をすると、なんと5万年前に亡くなったものとわかります。

地球の5万年前というと化石で見つかっているのはホモサピエンスの起源ともされるクロマニョン人が現れた時代で、もちろん高度な文明や、月へ渡るだけの技術を持っていたわけではありません。

また5万年前にそれまで隆盛を極めていたネアンデルタール人が滅びて、現代人と同じホモサピエンスだけがなぜ生き延びてきたのかなど興味深いテーマと絡んできます。

さらに混乱を極めるのは、木星の周囲を回る惑星のうちガニメデの地下から、2500万年前の宇宙船と異星人が発掘されます。その宇宙船には人間とはまったく別の進化を遂げてきた高等生物である異星人のミイラと、倉庫には檻に入れられた地球から採取したと思われる生物や植物のサンプルが大量に積み込まれています。

専門用語?が飛び交い、ついて行くのにやっとですが、なぜ、今の地球人と5万年前に発達した文明に生きていたチャーリーとがまったく同じ進化を遂げていたのか?、2500万年前に地球上の生物が異星人によって地球外へ運ばれ進化した可能性は?当時の太陽系の惑星はいまちは違ってどう変化したのか?などSF小説ならではの大胆な仮説で面白く読ませてくれます。

しかし小説が書かれた当時は、アポロ計画の後、続いて火星や木星など次々と人類は宇宙への探求をするものと思われていた時期だったでしょうが、その後は考えられていたほどには進まず、火星はもとより、1972年以降は月面にすら新たに人類を送り込むことさえおこなわれていません。現代の科学ならば、技術的にはそう難しいことではないのでしょうけど、経済的なメリットが少なく、その割にリスクが高いということなのでしょう。

先日アメリカの探査衛星が9年の歳月をかけてたどり着いた冥王星の話しも出てきます。その星だけが他の太陽系惑星と違ってもの凄く小さい謎など、なるほどと思わせる推理でうならせてくれます。

なにか久しぶりに夢のあるワクワクするSF小説に出会えたって気がします。

★★★

著者別読書感想(ジェイムズ・P・ホーガン)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

青が散る (文春文庫)(上)(下) 宮本輝

1960年代後半、著者の大学時代を描いた長編の青春小説で、1982年に発表されました。その後何度か改訂され、長く読み続けられている作品です。石原慎太郎の「太陽の季節」が東の青春を代表する作品ならば、こちらは西の青春を代表する作品です。

物語は、主人公が希望する大学には受からず、仕方なく滑り止めで受けて合格していた大阪の新設されたばかりの私立大学(追手門大学)へ入学金を納めにいくところから始まります。

高校時代に少しテニスをやっていた縁で、新しくテニス部を作ろうという同級生と一緒になって土方仕事をしてテニスコートを作り、一応形としてはテニス部らしい体裁を整えていきます。

そのテニス部に入ってくる同級生との友情や恋愛、テニス部の後輩とのプライドをかけた戦い、偶然に知り合った他校の大学生やその当時流行はじめていたシンガーソングライターの卵、そして友人の死など、自分の体験を元として、小説になるよう大幅にアレンジを加えつつ、書かれたものと思いますが、それにしてもまだ高度成長を遂げてはいない貧しい日本のなかで、登場人物達は当時としてはえらく優雅な大学生活を送っているなという感想です。

今では文壇の重鎮でもある著者の、原点とも言える青春時代をなぞった、学生生活の模様が淡々と描かれていて、こうしたお坊ちゃま的な作風が、その後もこの著者の様々な小説に反映されていくのだということがよくわかる作品でした。

★★☆

著者別読書感想(宮本輝)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

月の上の観覧車 (新潮文庫) 荻原浩

2011年に単行本、2014年に文庫化された短編小説を集めた作品です。収録されている作品は「トンネル鏡」「金魚」上海租界の魔術師」「レシピ」「胡瓜の馬」「チョコチップミントをダブルで」「ゴミ屋敷モノクローム」「月の上の観覧車」の8編です。

著者とは年齢が1歳違いと近く、今までに時代と共に見聞きして体験してきた経験則も似ているということもあり、作品は概ね好きで、文庫になった作品の多くは読んできました。

特に早くから若年性アルツハイマー病についての作品「明日の記憶」(2005年)や、直木賞候補にもなった「あの日にドライブ」、タイムスリップもの「僕たちの戦争」、短編の「千年樹」などそれぞれに味があり、また感性が合っていいものでした。

この短編集では仕事、日常の生活、家族の死、淡い初恋など身近なテーマで淡々と語られていき、主人公の年齢も立場もそれぞれですが、なにか重い過去を背負ってきたり、感受性が豊かな普通の市井の人達って感じがして、それゆえに感情移入がしやすく、面白い作品に仕上がっています。

ただそれだけに感動とか、どんでん返しとかに期待はしちゃいけません。

次はビジネス的に求められるこのような短編小説ではなく、じっくりといい長編を書いて、今度こそ誰もが直木賞を推薦する作品に仕上げてもらいたいものです。

★★☆

著者別読書感想(荻原浩)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ジェントルマン (講談社文庫) 山田詠美

1985年に「ベッドタイムアイズ」でデビューし、その2年後の1987年には「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で直木賞を受賞したねっとりした大人の性愛、倒錯系?小説が多い流行作家です。そのような先入観というか書評などを以前読み、今まではあえて読むのを避けてきました(1冊だけは読んでいますが)。

1959年生まれの著者は、私とも年齢が近く、そろそろ週刊誌的な男女のドロドロした関係からも距離を置く頃かなと、ちょっと読んでみる気になりました。

この作品は2011年単行本刊、2014年文庫化された小説で、主人公は高校の同級生の男性に惚れてしまった同性愛者の男性です。

その主人公が惚れ込んでしまう男性ですが、高校時代から外面がよく文武両道で誰からも好かれていましたが、実は裏ではとんでもなくエゴイストで残酷な犯罪も平気でおこなっていることを知っています。

そうした倒錯した世界がこれでもか!ってぐらい出てきますので、私のように免疫がないと、読んでいると途中で吐き気を催しそうになってきます。あー気持ち悪い。

それでも男が男を愛する世界に興味があるって人は読めばいいのではないでしょうか。正常な人は、そういう世界のことは無駄なだけで知識として知っておく必要もないと思われます。

結局、期待したようには作風は変わってなく、こうした一部のマニアックな人には好評?だろう倒錯小説は、私のような凡人には無理だったようです。いずれにしても好みが別れるところです。

★☆☆

著者別読書感想(山田詠美)

【関連リンク】
 7月前半の読書 神様が降りてくる、ギフト、巡礼、働かないオジサンの給料はなぜ高いのか
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 6月前半の読書 とせい、アルケミスト―夢を旅した少年、銀二貫、ふがいない僕は空を見た



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939
神様が降りてくる 白川道

今年4月に69歳で亡くなった著者の最後の作品(2015年3月刊)です。他にも書きかけ、または未発表の作品があるのかも知れませんが、筆が遅かったことで有名な作家さんでしたから、たぶんこれより後に完成した作品はないのでは。

著者の作品は少々荒削りで、やたらと細かなところにこだわり、詳しくいちいち説明を書くようなところがあるものの、どこか惹かれるものがあり、デビュー作「流星たちの宴」からほとんどの作品(文庫のみ)を読んできました。この遺作だけは単行本で購入しました。

特に私小説風の「病葉流れて」に始まるシリーズは、昭和の高度成長期からバブル期へと向かう日本中が狂ってしまったような経済状況が描かれていて、私もその時代の隅っこのほうにわずかながら存在していたという実感と懐かしさを感じながら面白く読みました。

そのシリーズ含め、まだ文庫になっていない作品もいくつかありますので、今後はそれらを待ちたいと思います。

「病葉流れてシリーズ」に関しては「最後の無頼派作家白川道氏逝く」に書いてます。

本書では経済犯で刑務所に収監されていた小説家が主人公ですが、自身が経済犯で2年半服役した経験から、主人公をイメージしてふくらませていった内容となっています。

この小説では戦後の沖縄の歴史とも深く関わっていて、ちょうどいま普天間基地の辺野古移転で揺れる沖縄の現状と少しかぶるところもあり、タイムリーな内容となっています。

あらすじは、主人公で現在は作家の男の元に、収監中の刑務所で一緒だったアメリカ軍人の娘だという女性が現れます。

主人公は出所する直前にそのアメリカ人から沖縄に住んでいる恋人への伝言を頼まれたものの、刑務所時代のことは早く忘れたくてずっと無視を決めていました。しかしその女性に恋心を持ってしまい、女性とともに沖縄へと渡り、その伝言に秘められた謎について調べ始めることになります。

次々と登場してくる人物の会話から、その想像や思い込み、伝言、噂が頻繁に出てきて、読んでる側も話しがとっ散らかって混乱してきますが、沖縄が持ち合わせる過去の負の遺産はじめ裏側の部分、闇の世界に近づいていきます。

やがては主人公達の身に危険が迫るというハードボイルドらしい緊迫した空気も感じられ、映像化をしても面白そうな出来となっています。

最後のクライマックスでは、もう少しひねりや衝撃の展開があるのかとワクワクしていましたが、結果としてそうしたものは特になく、普通に終わってしまったのは最後の作品としてちょっと残念です。

著者別読書感想(白川道)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ギフト (双葉文庫) 日明 恩

鎮火報 Fire's Out」や「それでも、警官は微笑う」がたいへん面白かった著者の2008年(文庫は2011年刊)作品です。

主人公はある事件がきっかけとなり警察官の職を辞した須賀原という独身の男性で、退官後は世間から隠れるようにひっそりと生きています。

その主人公が勤めるレンタルDVDショップで、たびたびホラー映画の前で涙を流す少年を見つけます。

そしてある日交差点で突然道路へ飛び出しそうになった少年をとっさの判断で助け、事情を聞くとなんと映画の「シックス・センス」に出てくる少年と同様、死者が見えるってことがわかり、、、

そういえばアメリカのサスペンスホラー映画で「ギフト」っていうのもありましたね。特殊な予知能力のことを神から与えられた「ギフト」と呼んでいたような。そこからこのタイトルもきているのでしょうか。

小説は連作形式の短編となっていて、交差点で交通事故に遭って死亡した老女、人間に虐待されて死んでしまった犬、自宅の庭の池で溺死した幼い少女、恥をかかされて自殺した虚言癖のある中年女性など、それぞれ理由があって地上に彷徨っている幽霊たち?の願いを、死者が見える少年とともにかなえていきます。

ま、今までの公務員が活躍する現実的な?お仕事本とはうってかわり、あまりにもリアリティのない内容で、世の果てまで見てきたような中高年男が読むには少し戸惑いがありますが、こうしたティーンエージャー向きのほんわかするような小説もあっていいのだろうと自分を納得させました。

この小説も「シックス・センス」や「ギフト」同様、大人から子供まで楽しめる映像化に向いた作品かも知れません。悩める主人公で元警察官の須賀原役には妻夫木聡あたりが向いているのでしょうか。

著者別読書感想(日明恩)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

巡礼 (新潮文庫) 橋本治

著者は昭和23年生まれの67歳、いわゆる団塊世代に属する作家さんで、1977年にデビュー作とも言える「桃尻娘」など、それぞれの時代を反映したユニークな作品を多数書かれています。また評論やエッセイなどでも有名な方です。この巡礼は2009年に発刊され、2012年に文庫化されています。

テーマはいま大きな社会問題となっている「ゴミ屋敷」とそこの住人で、住人の親や家族はもとより、迷惑がる周囲の住人達やゴミ屋敷がある新興住宅街が出来上がってきた歴史などもおりまぜた壮大なスケール?の小説となっています。

ちょっと話しはずれますが、ゴミ屋敷の問題は、そこの住人の健康問題、つまりゴミをゴミと認識できず、ただ集めて捨てられず、臭いや不衛生にも無頓着になってくるという住人の精神的疾患が絡んできますので、行政側もマスコミ側もうかつに手を出せないタブーな領域となっています。

それに個人の土地内であれば、持ち主の了解なしでは不衛生や臭いがするという理由だけで勝手に掃除したり処分をすることはできません。そこの住人にとってはゴミも自分の資産だと言い張るので、行政も簡単には動けないわけです。

どうしてそうした精神構造に陥ってしまったのか、周囲の住人達はどう考え行動するのか、などあくまでフィクションですが、深層心理にまで踏み込んだ、追い詰められていく人物描写がうまく描かれています。

ただ視点というか語る主役が様々な登場人物に置き換わり、途中になかだるみを感じます。ゴミ屋敷の住人と弟だけにに限定した視点だともっとわかりやすくなったかなと。

結構暗くて気の重い話しですが、小説の最後の2行「修次は、暗い闇の中にいた自分の兄が、金色の仏と夜の中で出会ったのだと思った。そのように思いたかった・・・」で少し救われた気持ちになります。

著者別読書感想(橋本治)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

働かないオジサンの給料はなぜ高いのか: 人事評価の真実 (新潮新書) 楠木新

サラリーマンは、二度会社を辞める。」「会社が嫌いになったら読む本」など会社と仕事に関する独特の感性と考え方をもつ著者は、私と年齢が近いですが、社会人のスタートは私のように3流大学から3流零細企業へ入ったのではなく、京大から生命保険会社へというエリートでした。

そして働き盛りの40代にうつ病に罹ってしまい休職することになり、その後はご自身の経験などを生かして「こころの定年」評論家として活躍されています。

本書は新書ですから毎度のことで、ほとんどの場合著者には責任がないのですが、タイトルに下世話で刺激的な言葉を使って、「売れればなんでもOK!」と中身以上の興味を引くようになっていて、ネットのニュースと同じ臭気が漂います。出版社などメディアにいる人独特の感性でしょう。

さて、本題は著者が30年近く経験してきた雇用問題や企業の採用慣習などをまとめたものですが、いかんせん、著者自身がエリートで、新卒時は悠々と大企業への入社組だけに、おそらく多くの人には無縁の世界の話しかも知れません。

例として出てくる企業も、銀行や証券会社、総合商社、大手製造業、大手流通業、市役所、中央官庁など数千名~数万名規模の会社や組織が中心で、そうした大企業や大手官公庁で働く人の割合は勤労者全体の約20%(大企業数の割合は全体の0.3%)ぐらいですから、他の80%の人には縁遠い世界のことです。

私も若い頃に高杉良や城山三郎のビジネス小説をよく読みましたが、「どうも自分の働いている会社の環境と話しが違い過ぎてるな、小説だから盛っているのか?」という違和感が常にありましたが、それは小説に出てくる大企業内部と、自分が勤める零細企業との差だということが、あとになってからわかりました(鈍すぎます)。

もちろん新卒の学生が能力やスキルを評価してもらえると勘違いをして必死にそれを人事部へ訴えかける無駄を説くあたりは納得いく箇所ではありますが、それも大企業と中小零細とでは大きな差があり、特に零細ベンチャー企業なんかでは今や「一緒に働きたい仲間募集」などしち面倒なことはせずに、「能力スキル重視」で採用していることは当然知ってのことだろうと思います。

結局「働かないオジサン」ができるわけは、新卒一括採用と終身雇用という日本独自の雇用慣習が純然とあるからという結論ですが、今でもそれが残っているのは、官公庁や大企業だけで、もう余裕などない中小企業や零細企業にはそんなのはほとんどないのですけどね。

私が経験した数社の中小企業では、新卒も数名は採用してましたが、それ以上に中途キャリア採用が多いし、定年まで勤め上げるような人はいない(辞めていくか辞めさされる)、そういうのとまったく無縁のところばかりでした。

しかし働かないオジサンがクビになる前にやっておくべき事など、身に覚えがある人は読んでおいたほうが気休めになるかも知れません。


【関連リンク】
 6月後半の読書 精霊の守り人、国家の闇、ミッキーマウスの憂鬱、きみはポラリス
 6月前半の読書 とせい、アルケミスト―夢を旅した少年、銀二貫、ふがいない僕は空を見た
 5月後半の読書 慈悲深い死、港町食堂、グランド・フィナーレ、知の逆転



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精霊の守り人 (新潮文庫) 上橋菜穂子

1996年に発表されたファンタジー小説で、その後「闇の守り人」「夢の守り人」など「守り人シリーズ」として拡がっていく元になる小説です。また今年2015年の本屋大賞に輝いた「鹿の王<鹿の王> (角川書店単行本)」の著者でもあります。

考えてみると直木賞や芥川賞というのは年2回選考会があり、しかも複数名の同時受賞もあります(受賞者なしもある)ので、平均すれば年に2~3名ずつが受賞していることになりますが、本屋大賞は原則年に1名だけなので、こちらのほうが受賞するのが難しい賞となっています。

それだけに価値も高いかな。でもそのうち本屋大賞も、より商業的になってくれば、年2回の開催とになったりするのかも。

さて本題に戻ると、この作品を原作として過去にはラジオドラマやアニメとして放送がされましたが、来年2016年から3年に渡って『放送90年 大河ファンタジー 「精霊の守り人」』として実写ドラマが放送される予定です。

主演となる女用心棒バルサ役は綾瀬はるかです。どうしてもあの鉄砲を構える勇ましい八重の姿がダブってしまいそうです。

ストーリーについてはネタバレするとアレなので、こうした小説の場合あまり触れない方がいいのでしょうけど、大ざっぱに書くと、架空の国の物語で、精霊の卵が身体に宿ったのため、国王から抹殺されそうになった第二王子を守るために、女用心棒の主人公が王妃に雇われて、卵を食べる魔物や王子を取り戻そうとする追っ手と戦って100年に一度現れるという精霊の卵の真実を明らかにしていくというもの。

ま、話の展開的には児童小説とも言えるけれど、主人公が30歳になる成熟した女性ということで、大人が読むことを想定して書かれているというのがわかります。児童文学なら主人公は子供だったり子供の面倒を見る先生だったりしますので。

いずれにしても、本を読むことで「ファンタジーに思いを寄せたい」、直接的に言えば「現実から逃避をしたい」って思う人には、ル=グウィン著「ゲド戦記」、J.R.R.トールキン著「指輪物語」、C.S.ルイス著「ナルニア国物語」などの超大作にはちょっと尻込みする人でも、この1冊なら十分に楽しむことができるでしょう。

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国家の闇 日本人と犯罪<蠢動する巨悪> (角川oneテーマ21) 一橋 文哉

闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相」や「宮崎勤事件―塗り潰されたシナリオ」など社会を騒がせた重大事件などを深掘りしていったジャーナリストが書いた作品で、2012年に発刊されています。

この本ではオウム真理教事件、収賄汚職、大疑獄事件、ロッキード事件、グリコ・森永事件、赤報隊事件などの犯罪を通して見えてくる犯罪者の心理、犯罪者や悪徳政治家の行動、それに対する警察や検察、骨抜きにされてきたマスコミ、そして洗脳される人達など過去の犯罪と謎の総まとめといったところでしょうか。

また、新書らしく、著者の単行本や文庫のPRがあちこちに登場し、それらの紹介とPRのために書かれたって感じもします。「この事件については詳しくは拙書○○に」っていう、ちょっと嫌らしい感じですが最近の新書ではそれが当たり前なのかも。

ザッと目次を書いておくと、
 序章 巨悪は永遠に眠らない(金丸事件など政治家と金の問題)
 第1章 カルトに群がる亡者たち(国際武器商人とオーム真理教)
 第2章 国際謀略組織の犯罪(金大中事件、下山事件、三鷹事件など)
 第3章 ジジババ喰いのマニュアル(豊田商事事件~ライブドア事件~振り込め詐欺)
 第4章 劇場型企業テロの源流―グリコと赤報隊・悪の連鎖(闇社会のヒットマン)
 ※( )内は主な概要

古い話が多いものの、また内容がどこまで信用できるかはさておき、かなり深い闇の話しがこれでもかって書かれていて、著者の身を案じます。

例えば、自殺とされた下山事件は決して自殺ではないとか、ライブドア事件で取締役だった野口英昭が沖縄のカプセルホテルで不審死を遂げ、すぐに自殺とされた件も口封じだったとか、警察庁長官狙撃事件やオーム真理教の村井秀夫幹部が刺し殺された事件、また赤報隊事件など未解決事件には闇のヒットマンの存在など。

だからということではないのでしょうけど、一応著者名は本名ではなくペンネームですが、最近では特に本名を隠しているわけではなさそうですね。

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ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫) 松岡圭祐

「千里眼シリーズ」などで有名になった作家さんで、「催眠―Hypnosis」や「千里眼」「万能鑑定士Qの事件簿」などは、テレビドラマや映画にもなっています。

この小説はそうしたサイコティックや心理学テーマを扱ったものではなく、東京ディズニーランド(TDL)で働く派遣バイトを主人公とする青春ドラマって言うか、ディズニーの舞台裏と雑学を楽しめる小説です。

TDLはキャラクター管理や名称使用にやたらと決まりが厳しくてうるさいところなのですが、こうしたキャラクターの名称をタイトルにした小説が出るとはちょっと驚きでした。

また話しの中身も、架空の運営会社ということになっているにしろ、TDLの仕事の裏側や、権力を持って威張り散らす制服組の正社員と、バイトや準社員という非正規社員との関係や心の葛藤などを描いているのも、よくクレームつけられなかったな?って思います。

当然、小説ですから、架空の話しとして読まなくてはいけませんが、しかしところどころに事実も含まれていそうで、ディープでない普通のディズニーファンからすれば、楽しいTDLの裏側ではこんなに厳しい管理やゲストのためにキャストが努力をしてくれているのだってことがわかり、キャストやキャラクターを見る目がもっと優しくなりそうです。

私はと言えば、TDLが開設されたのが1983年、すでに社会人になってからで、特にデートとかで利用したことはなく、結婚して子供ができてから、数回連れて行ったぐらいで、さして興味も関心もありません。

とは言え、行くとそれなりに現実から離れられて、夢があって、気持ちが高ぶるのはやはりそうしたキャストの面々が来場者を楽しませるために努力奮闘しているのだなぁって思わずにはいられません。

著者別読書感想(松岡圭祐)

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きみはポラリス (新潮文庫) 三浦しをん

2007年に単行本、2011年に文庫化された短編小説集です。まったく事前の情報なく読みましたが、どうも片想い、純愛、裏切り、禁断の愛、同性愛、偏愛など様々な愛の形を短編にまとめたものでした。

著者の作品では「まほろ駅前多田便利軒」「神去なあなあ日常」「風が強く吹いている」「舟を編む」などいくつか読んでいて、あまり外れのない、面白い作品が多いので、特に考えず手に取りました。

あとタイトルの「ポラリス」っていう響きがなんとなく好きで、意味はこぐま座にあるいわゆる北極星ということですが、不動の愛とその周辺を回る様々な人間模様ということを表しているのかなとちょっと感じた次第。

その短編作品は「永遠に完成しない二通の手紙」「裏切らないこと」「私たちがしたこと」「夜にあふれるもの」「骨片」「ペーパークラフト」「森を歩く」「優雅な生活」「春太の毎日」「冬の一等星」「永遠につづく手紙の最後の一文」の11編からなっています。

ま、個人的な感想で言えば、この作家さんは短編よりも前述の中・長編小説のほうがいい感じです。雑誌などの依頼でこうした一話完結スタイルの短編を求められることが多いのでしょうけど、長編がうまい人の作品は、やはり長編をちゃんと選んで読むべきだったかも。

著者別読書感想(三浦しをん)

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イニシエーション・ラブ (文春文庫) 乾くるみ

著者は1998年にデビューし、比較的軽く若い人に人気の恋愛やミステリーをテーマとした繊細な小説を多く書いている作家さんで、ペンネームからすると女性だとばかり思っていたら、なんと!ひげ面の堂々とした体格の男性なんですね。

この小説は「塔の断章」に続く「タロット・シリーズ」として、2004年に刊行され、この作品を原作として、今年2015年には堤幸彦監督、松田翔太、前田敦子らが出演する映画にもなっています。

内容は昭和のバブル景気の中、静岡に住む理系の大学生の主人公をキーとして、合コンで知り合った女性との恋愛小説として進んでいきます。

大学生が合コンで知り合った女性との恋愛がテーマの小説と言えば、少し前に読んだ吉田修一著「横道世之介 (文春文庫)」を思い出しましたが、双方ともにハッピーエンドではないという共通項があるものの、その本質は大いに違っています。

この小説、しっかりと読んでいると、最後の一言で、「え?」って、再び前に戻って再読せずにはいられないという仕掛けがありますので、ストーリーは書きませんが、この不思議な仕掛け?を映画ではどのように表現したのかちょっと興味があるところです。

こうした普通の小説の中に、ミステリー的というか、仕掛けをするっていうのが、流行なのかそうかわかりませんが、真梨幸子著の「殺人鬼フジコの衝動」でもそうでしたが、深い洞察力と想像力を働かせないとちゃんと著者の思惑を理解できない作品は、読む側としてもしっかりと読んでいないと気がつかないこともありそうです。

小説を読むって言うのは言わば頭をリラックスさせたい時なので、個人的にはこのような凝ったややこしい小説はあまり好きではありません。


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