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小説の中で事件が起きるのは昭和35年と書いてありますから1960年頃のちょうどあこがれの団地生活がブームとなり始めた頃で、実在する東京世田谷区の新興大規模団地「大蔵団地」がこの事件発生場所のモデルとなっているようです。
 
小説では「日の出団地」となっていますが、随所に出てくる「近所にある映画撮影所(東宝スタジオ)」「歩いて小田急S駅(成城学園)へ」「最寄りのバス停は団地名(大蔵団地前)」「高台からは川崎方面が望め」「近くの多摩川からボートを借りてくる」などなどから簡単に推測ができます。

この団地の近所に横溝正史氏自身が住んでいたと言うことですが、実は私にとっても何度か訪れたことのある非常に懐かしい場所でもあります。
 
横溝ミステリーと言えばやはり金田一耕助シリーズで、しかも地方に伝わる伝承や忌まわしい過去の出来事が引き金となった事件が謎として登場するイメージが多いのですが、この作品は金田一耕助シリーズでありながら、上記のように東京都内の新しくできたばかりの巨大団地の中で、次々に殺人が起きる内容という少し変わった趣向となっています。
 
タイトルの「白と黒」は、殺人現場に残された手紙の切れ端に書かれていた言葉なのですが、一般的には様々な意味で使われることが多い表現です。「白黒つける」「白星と黒星」「囲碁」「陰陽道」「目が白黒」「犬の名前でシロとクロ」「白人と黒人」・・・昭和35年の小説ですから、私がすぐに白黒ですぐに連想した「オセロゲーム」は含まれません。
 
この小説には、意外とエロチックな場面も多く、妖しげな関係が多く登場するのは、大人が毎月発行される文芸誌を買って、密かに楽しんで読む連載小説という側面があったのではないかと推測しています。

なかなか最後は想定外の展開となり、やはり名作ミステリーはこうでなくっちゃと思った次第です。最近の安易なミステリー小説があまりにもミエミエ過ぎるか、逆にあり得そうもない複雑な設定や展開になっているのと大違いです。
 
但し、こういう小説はもう普通の書店には滅多に置いてないので、ふと手にとって買ってみるということがなくなっているでしょうね。私もこの本は購入したのではなく、会社の書棚に誰かが置いていったのを借りたもので、そういう機会でもなければまず読むことはなかったでしょう。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 

服部真澄と言えば、国際的なスリラーから国内の金融事情にも詳しく、カバーエリアの広いエンタテーメント小説家だと理解しています。

この小説のタイトルの意味は「刀」ですが、その文字は「KATANA」、はて、どういうことか?ということでまったく内容は知らずに読み始めました。
 
前半は数多い登場人物達の説明を兼ねた地味な話しが長々と続くので、ちょっとつらいですが、そこでの役割や事情を知っておかないと、あとで苦労することになります。

もっとも海外ミステリー小説のように本文の最初に「登場人物一覧」が書かれているので、もし混乱したらいつでも確認することができます。
 
内容は読んでからのお楽しみということですが、少しだけネタバレすると、この小説の中でアメリカ政府が進めようとする「KATANA」プロジェクトとは、安土桃山時代の日本で豊臣秀吉が天下統一を果たした後におこなった有名な「刀狩り」から来ているものです。アメリカでの刀狩りとはつまり銃規制のことです。
 
100年以上前の治安が悪かった時代に作られたアメリカの憲法に、武器の携帯を認める条項があり、それを盾にして一般市民が銃を持ち、政財界に多大な影響力を持つ銃器メーカーが新しいモデルを提供するという関係を政府は断ち切ることができるのか?そしてその方法は?と興味が尽きません。
 
それと同時に2000年頃から増えてきているらしい軍隊のアウトソーシング化についても触れられていて、その行き着く末もなかなか面白く描かれています。

著者別読書感想(服部真澄)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 

柳広司氏の作品を読むのは「トーキョー・プリズン」に続いて2作目ですが、この「新世界」のほうが数年早く書かれています。

「トーキョー・プリズン」はその主人公や舞台の設定にたいへん驚きとても面白く読めましたので、今回も多大な期待をして読み始めました。
 
物語は、日本のある作家のところにアメリカ人がアメリカの出版社では出版できない原稿を持ち込むところから始まります。

その原稿の作者は原爆の父と呼ばれるロバート・オッペンハイマー氏が書いたもので、第2次世界大戦中に原爆の開発をおこなっていたロスアラモス国立研究所で起きた殺人事件に関するものです。
 
ただ場面があちこちに飛ぶので、いったいこれは誰が語っているのか(基本はオッペンハイマー氏の友人の語りのはずなのだが)が混乱してしまうことがあります。
 
時代もドイツ降伏後、当初はドイツに先を越されないようにと開発を始めた原子爆弾を開発を中断することもなく核実験をおこない、成功するや広島や長崎へ投下することや、その原爆投下直後、広島の街の中で起きた地獄絵図、研究所内で放射能漏れを起こし被曝する研究者、そして研究所内でおこなわれた戦勝パーティの殺人、やがてより強力な水爆開発に反対をしたオッペンハイマーが、赤狩りのターゲットとされて軍や警察にマークされていることなど時代を行きつ戻りつします。
 
作者的にはプロットを組み立てて、あちこちが最後に結びつくように意外性を持たせたのかも知れませんが、最初から最後までを一気に読んでしまうならともかく、毎日少しずつ寝る前に読む私としては結構つらいものがありました。

著者別読書感想(柳広司)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
のぼうの城 (小学館文庫)  上・下巻 和田竜

今年の9月に映画として上映されるとかで、急に文庫の販売に力が入りはじめ、多くの書店で平積みされていますが、元々は著者が2003年に映画のオリジナル脚本として書いた「忍ぶの城」を、2007年に小説化して出版された和田竜氏のデビュー作といっていい小説です。
 
舞台は戦国時代の末期、ほぼ天下を手中に収めた豊臣秀吉が、最後に残る関東攻め(関東を治めていた北条氏の本拠小田原城を攻撃した小田原の役)と同時に、側近の石田三成に手柄を立てさせようと、現在は埼玉県行田市にあった北関東の小さな城「忍城」を攻めろと指示します。
 
実はこの忍城の当主から内密に「刃向かわず、すぐに開城するから助けてくれ」と秀吉に密使がきていて、単に形だけの攻撃をするつもりでしたが、当主が小田原へ出向いた後に留守役として忍城に残った甥がとった行動は「降伏はしない」でしたから、敵も味方も出来レースと知っていましたので唖然とします。

このあたりは、本当は生きるか死ぬかの緊迫する中にあって、笑い事ではないのですが思いっきり笑えます。
 
ちなみに忍城側は付近の農民を入れて2千名、攻撃する三成勢は2万と言われています。しかし勇猛果敢でならした坂東武士の活躍と地の利を生かした防戦でなかなか城は落ちません。

そこで三成がとった史上最大級の作戦とは、、、この城が後世に「浮き城」と呼ばれることから想像ができると思います。
 
映画では、忍城を守る側は臨時総大将となる成田長親役に野村萬斎、武将役には佐藤浩市や成宮寛貴、山口智充など、攻める側は豊臣秀吉に市村正親、石田三成役に上地雄輔となかなかユニークな配役と思えます。ちなみに「のぼう」とは野村萬斎演じる成田長親のことで、でくのぼうの省略形です。

著者別読書感想(和田竜)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 

会社に転がっていた本ですが、暇つぶしに借りて読んでみました。元々は様々なアングラっぽい仕事を取材をして1998年頃に「怪しい人々」として書かれたもので、内容は、例えばインターネットではなくパソコン通信や草の根BBSが出ていたりします。そのあたりが今読むとちょっとレトロっぽく思えます。
 
この著者の北尾トロという人、年齢は私とほぼ同年代で主にフリーライターとして活躍されている一方、早くからネットを使った古書店を開設したりとなかなかアイデアマンです。
 
おそらく一番有名な著書は「裁判長!ここは懲役4年でどうすか-100の空論より一度のナマ傍聴」と思われますが、その裁判の傍聴体験やこの怪しいお仕事の従事者へのインタビューなどフリーライターの本領発揮で体験型執筆を得意とされているようです。
 
この怪しいお仕事の中では、悪徳興信所、競馬の予想屋、野球賭博師、お寺売買のコーディネーター、「車で融資」の金融業者などが経験談を元に取材されています。

ま、概ね想像の範囲内で、特にビックリしたという内容はありませんでしたが、お寺や住職の生臭い世界はちょっと興味がわきました。これからの超高齢化社会、お寺と坊主の仕事は当面数少ない成長産業でしょうから。
 

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472
遥かなる未踏峰 (新潮文庫)  上・下巻 ジェフリー・アーチャー

数年に1冊ぐらいのペースでしか文庫が出ないアーチャーですが、毎回楽しみにして購入しています。

この人の本、古くは「百万ドルをとり返せ! 」「ケインとアベル 」「チェルシー・テラスへの道 」など20数冊にのぼりますが失敗したと思ったものは1冊もなくすべて当たりです。

今回もアーチャーお得意の古き良き時代の英国の話しですが、間違いなくいい作品です。
 
ストーリーは、北極点、南極点への到達が他国に先を越され、最後に残された未踏峰エベレストへ、第一次世界大戦が終了した1920年代に果敢に挑戦した英国人(実在の人物)を主人公にした小説です。登場人物のほとんどが実在の人達ですから、基本的に悪役はいません。
 
主人公(ジョージ・マロリー)は、アメリカの新聞記者に「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか?」と問われて「そこに山があるから(Because it is there)」という返答をしたという有名な話しがあります。私も子供の頃にその話を聞いたことがあります。
 
少し出来すぎに思えるぐらい登場人物がそれぞれの役目をキッチリと果たし、未踏峰征服の大プロジェクトへ向かって進んでいきますが、小説では2回となっているエベレスト行きが実際には下調べを含め3回行っていることや、登山家として活動すると従来勤めていた教職には就けず、生活費に困ってしまうことなど、やや端折った部分もあるようです。(Wikipedia等には詳しく書かれている)
 
おそらくいずれはこれを原作とした映画も制作されるのでしょう。今から100年近く前の装備で、エベレスト登頂というのは考えただけでも無謀な冒険ですが、小説ではわかりにくい当時の貧弱な装備が映画で見られるとそれが実感できるのではないかと思います。

著者別読書感想(ジェフリー・アーチャー)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 

北海道警シリーズの「笑う警官 」「警察庁から来た男 」「警官の紋章 」に続く第4弾となるこの本は2009年10月に発刊されましたが、2011年1月時点ではまだ文庫化はされておらず、知人からいただいた単行本を読みました。
 
以前のシリーズ作品と登場人物含め共通した点は多いのですが、今回の事件はそれらとはほとんど関係ない(関係なくはないのですが)、ストーリーとなっています。

特に過去の一連の作品で共通した「腐敗した北海道警のキャリアや幹部達」という流れは、今回は抑えた内容となっています。

その代わりに札幌の名物となっている「YOSAKOIソーラン祭り」をメイン舞台とし、シリーズを通して出てくるレギュラー陣の北海道警警察官が活躍します。
 
小説の中で一箇所、犯人とおぼしき男が乗っていたバイク(スーパーカブ125cc)のナンバー照会を、警官が陸運局に問い合わせをする場面がありましたが、この原付2種のバイクの登録は市区町村なので、陸運局に問い合わせるのは間違いです。

この点は本田技研で働いていたこともあり、バイクをテーマにした作品をいくつか残しているバイク好きの作者にしてはちょっと残念なところです。

著者別読書感想(佐々木譲)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 

先月読んだ「封印されていた文書(ドシエ)―昭和・平成裏面史の光芒〈Part1〉 」の続編です。

続編ですから前作を読んだときほどのインパクトはなくなってしまいますが、逆にパターンを先読みできるようになり読むスピードが速くなりました。
 
このPart2で選ばれた事件や事故は下記の通り
 
 ・国松長官狙撃事件 平成7年3月
 ・金大中拉致事件 昭和48年8月
 ・中川一郎怪死 昭和58年1月
 ・グリコ・森永事件 昭和59年3月
 ・全日空機函館ハイジャック事件 平成7年6月  
 ・吉展ちゃん誘拐事件 昭和38年3月
 ・小渕恵三首相死亡 平成12年4月 
 ・日本赤軍・重信房子逮捕 平成12年11月
 ・沖縄サミット医療オペレーション 平成12年7月
 ・金正男不法入国・国外強制退去事件 平成13年5月
 
この中ではやはり吉展ちゃん誘拐事件(昭和38年)は、私がまだ幼少の頃に起きた事件なので、リアルタイムでは記憶にありませんが、昭和の犯罪史を語る上でよくその名前が登場しますので、いまでは概要については知っていました。

それ以外の事件や事故は、新聞やテレビなどのリアルタイムの報道を通じて知っています。
 
先日2月5日に元連合赤軍幹部の永田洋子(65歳)死刑囚が、刑を受けるのではなく、病気にて死亡しましたが、この本に登場する重信房子とは同い年の極左女性リーダーで、二人は直接的な関わりはなかったようです。

二人は似たもの同士という気がしますが、私は全共闘世代ではなく、そのしばらく後の世代なので詳しくは知りません。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
告白 (双葉文庫)  湊かなえ

湊かなえ氏のデビュー作で、いきなり第6回本屋大賞を受賞するという快挙を達成した小説です。

すでに松たか子主演で映画化もされ有名になりましたが、とにかく新人の作品としては「凄い!」のひと言です。
 
最近の小説としては短めな部類に入りますが、登場人物のモノローグだけで構成され、その告白や日記等がとても新鮮で読者をグイグイと引き込んでいきます。そして最後には驚愕の結末が待っています。
 
主人公の愛娘を事故に見せかけて殺した犯人やその動機は、早々に判明しますが、物語はそこからさらに深みへとはまっていきます。

最後はとてもおぞましい結末というか、決してハッピーエンドではないことだけは言っておきます。映画(DVD)も見たいと思いますが、後味が悪くならなければいいのですが、、、

著者別読書感想(湊かなえ)
 

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 469
著者が過去に週刊誌や新聞等に発表した様々な書評を一冊にまとめた本です。書評としてはわずか数行だけのものが多く、極めてシンプルで「いい」か「悪い」か、「面白い」か「残念」か、「好み」か「好みでない」かをズバズバ切りまくっていて気持ちがいいです。
 
しかしいかんせん、帰国子女であり、本業がロシア語通訳で、ロシアや東欧の熱烈ファンということで、書評に上がる多くは日本人にはあまり馴染みのないロシアや東欧の現代作家や評論家などの本(和訳本)が多く、著者が「面白い」という本が果たして普通の日本人に(何を持って普通と言えるかは別として)とって共感を得られるかと言えば甚だ疑問が残ります。なんたって20世紀で一番ひかれる男性がゾルゲ(ソ連の元スパイだったドイツ人)だと言い切る人ですから。
 
もちろん書評ですから自分が思ったことをズバリと書くことはなんら問題はありませんが、「彼女が面白いと書いているのでぜひ読んでみよう!」とはなりそうにありません。なにか面白い本を探そうと思ってこの書評を読むとちょっとガッカリするかもしれません。
 
1日に7冊は平気で読むと言う著者ですから、紹介されている書籍数も半端な数ではなく、ロシアや東欧もの以外の書籍で何点か「読んでみてもいいかな」と思えるものがありました。そういうのは忘れないうちにとりあえずAmazonの「ほしい物リスト」に入れておくと、あとでAmazonの書評や、懐具合を考えて判断できますので便利です。
 
この米原万里氏は2006年5月に56歳で癌により惜しまれつつ亡くなりましたが、そのギリギリ直前までの書評が残されています。書評の日付を見ると2005年、、、2006年1月、2月、3月、4月と最後は5月に掲載後なんの予告もなくぷっつり終わっているのが泣けてきます。
 
また書評を書きながら癌との闘病記録も同時に書かれています。癌治療に関して様々な治療法を探して、自ら実験台となり新しい治療法について調べたり、受診を受けたりした記録が書かれています。そしてそこで何度も書かれているのが、多くの癌関係の書籍の多くを「余命幾ばくもない癌患者がすがりたくなる気持ちを利用し、あれを買えこれを試せという悪どい金儲けビジネス」として非難しています。
 
知識が半端なく豊富で、せっぱ詰まった上に基本的に人を疑うことが信条みたいなこういう患者さんを持ってしまった医者は、本文に何度か出てきますが「今までのお金は返すからもう来ないでくれ」ということになってしまいます。それを読むと患者のわがままにも相当問題がありそうに思え、医者が気の毒になってきます。
 
様々な治療法を試すために多くの医者にかかり、結果、心から信頼できる医者や治療法に巡り会えなかった(と推察する)不幸もあるのでしょうが、著者は命をかけていたわけですから、納得がいかなければ喧嘩も持さずで、患者のわがままとばかりは言ってられないかなと思います。
 
ま、才色兼備で国際的な人脈が豊富で、時の総理大臣のモーションすら袖にした貴重なある意味貴重な女史を失ったことを惜しむひとりです。

著者別読書感想(米原万里)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
死角 オーバールック (講談社文庫)  マイクル・コナリー

現代的なハードボイルド主人公ハリー・ボッシュシリーズ13作目で2007年発表の作品です。1990年代半ばに出たシリーズ第1作「ナイトホークス 」で虜となり、それ依頼ずっと文庫が出ると買って読んでいます。今回の作品は今までと比較すると短めです。
 
ストーリーは、ロス市警殺人課の刑事ボッシュが偶然担当することになった事件に、FBIが関与してきて、元恋人だったFBI捜査員と前作に続き解決に当たるというものです。二重三重に仕掛けられた謎や、毎度お馴染みのFBIとロス市警の対立関係などが盛り込まれています。
 
前作長編「エコー・パーク 」で気合いが入りまくりだったのに対して、この作品はイマイチ乗り切れていないような感じを受け、私の中では凡作の部類に入るかも知れません。当初か偶然が重なるご都合主義的な、例えば知的で計画的な犯人がたいへん重要な犯罪の証拠品を、犯行現場近くの街のゴミ箱に廃棄するなんてことがあるはずもなく、そういった無理な設定に飽きてきたのかもしれません。
 
すでにアメリカでは出版されているらしい次回作に期待しますが、もしそこで、期待が外れてしまうようならば、今後私の愛読書から外さざるを得ません。現在売れっ子だからといって安心していては、次々と出てくる若くて野心のある作家に一夜にしてコケにされますよ。と言ってもそういう声が届くわけもなし。

著者別読書感想(マイクル・コナリー)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
この高嶋哲夫氏は2000年に初出、2004年に文庫化され、2007年に映画にもなった核兵器を搭載した米軍戦闘機が冬の日本アルプス山中に墜落し、それを奪取しようとする北の兵士と自衛隊員との闘いを描いた「ミッドナイトイーグル 」で一躍有名になった作家さんですが、クライシスノベルを得意とする方のようです。
 
私はこの作家さんの本は、その「ミッドナイトイーグル 」と、石油枯渇問題を一気に解決することができる石油を作り出す特殊なバクテリアを日本人研究者が発見する「ペトロバグ―禁断の石油生成菌 」(2007年文庫)を過去に読んでいます。
 
ところが、この小説では従来のイメージとは趣向がガラリと変わり、サラリーマンの誘拐事件を核とした多少ハードボイルド的要素を交えた中年男の人間ドラマです。昔の小説だか映画の宣伝文句にあった「ダメ男にも意地がある」みたいな感じです。
 
ストーリーは、妻子がいながら仕事一辺倒で家庭をまったくかえりみない中年エンジニアが、社長の自宅へ報告書を届けに行った帰り道、社長と間違えられて誘拐されてしまいます。しかし誘拐した犯人の男女と隠れ家で交流を深めていくうちに、なにかがおかしいことに気がつき、、、というものです。
 
ちょっと過去の小説のイメージとは勝手が違い、最初は戸惑いましたが、なかなかよく考えられて作られていると思います。ただ、高度成長期ならいざ知れず、企業の幹部が社員を殺害してまで保身をしようとするのは、ちょっと考えにくいことだったり、上場企業を退職した元社員が、勤務していた企業の社内ネットワークにいとも簡単に侵入できたりするのは、あまり現実的ではないかなと思ったり。
 
ま、それほど細かなところにリアリティを追求するのが目的ではないのでいいのですが、タイトルにもなっているファイヤーフライ(蛍)については、タイムリーに印象的なことがあります。
 
それは少し前に福山雅治が出ていた東芝レグザのテレビコマーシャルで、CGでしたが蛍のかたまりが突然ばらけていくシーンがありましたが、そのシーンとこの小説の中で誘拐の犯人だけが知っている蛍の墓場へ誘拐された主人公を連れていき、互いに心を通わす場面とが重なりました。文章ではなかなか伝わりにくいシーンですが、この世とは思えない蛍が創り出す美しいイメージが想像できました。

著者別読書感想(高嶋哲夫)
 
 

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464
書店員さんお勧め本として購入しましたが、SF小説とはまったく知らずに購入しました。実はSF小説はあまり好きではなく、アーサー・C・クラークやフィリップ・K・ディックのいくつかの名著はともかく、日本人作家では小松左京や半村良を少し読むぐらいですから、読んだうちには入らないかも知れません。
 
なので、最初読み始めてしばらくは、聞き慣れないカタカナが次から次へと登場し、これがSF小説だということを知り、買ったことを後悔していましたが、読み進めていくうちに、とてつもなくよくできた近未来小説であることがわかりました。

一般的には取っつきにくいタイトルなので、たぶんそのせいで読み手が限られてしまうのが損をしています。
 
ストーリーは、テロに核爆弾が使われ出した近未来の世界で、ある日突然に発展途上国の各地で大虐殺が行われます。その大虐殺が起きる場所には、決まってあるアメリカ人の存在があり、それらの虐殺になんらかの関係をしていることが疑われ、最初は暗殺、その後捕らえるために主人公のアメリカ人特殊部隊員が送り込まれます。
 
ここで面白いのは主人公はじめ登場人物の多くがアメリカ人や欧州人で、その舞台は世界中という物語なのですが、書いている作家は日本人です。読んでいると日本人作家ではなくトム・クランシーなどアメリカ人作家の小説の翻訳版?だったっけ?と思えてしまいます。

柳広司氏の「トーキョー・プリズン」も主人公がニュージーランド人という変わった設定でしたが、小説の舞台は日本でしたので、この「虐殺器官」のようなまったく日本や日本人とは関係がない例は他には知りません。でも違和感はほとんどありません。
 
この小説で出てくる平和な社会がある日突然「あること」が引き金となって国中で殺戮が起きてしまうその「あること」を意図的に起こすことでその地域で虐殺事件を起こす因果関係方程式がとても不気味です。

現実の世界で虐殺が起きた場所にいた人に話を聞くと「なぜこういうことになったのか、さっぱりわからない」というのが、現実の中で実際に起きているからです。

過去の多くの虐殺事件で、その生き残った関係者の証言は、自己弁護や責任逃れと言うこともあるのかもしれませんが、ほとんどの場合そう言います。
 
この小説で描かれている未来はというと、そう遠くない未来、おそらく今から20~30年先には実現していそうなインフラや武器、兵器が登場し、とてもリアル感があります。

最後はSF小説の常であるかのように、あっけない幕切れとなってしまいますが、将来性を感じる作家だなぁって思っていたら、この伊藤計劃氏すでに2009年3月に癌のため34歳という若さで亡くなっていました。残された作品も少なく残念な限りです。

著者別読書感想(伊藤計劃)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
お正月の読書用にと借りてきて読みました。グリコ・森永事件と言えば、若い人には記憶にない人も多いでしょうけれど、1984年から1985年にかけて大阪で起きた一連の企業脅迫事件です。その中には江崎グリコ社長誘拐監禁事件も含まれます。
 
私はこの事件が起きた頃は、入社5年目で事件が起きた大阪で働いていましたので、よく覚えています。ただその当時は報道規制もあり、マスコミも警察にとって都合のいい発表しか伝えず、断片的な情報しか伝わってきませんでした。

当時は独身でしたから、グリコや森永のお菓子に青酸ソーダが混入されても、それがすぐに身の危険を感じるような立場にはなく、のんきに客観的に報道を見ていました。
 
とにかく警察の連携ミスや失敗をあざ笑うかのように(当時はその事実の多くは警察によって隠されていたが)、犯人は次から次へと大胆な犯罪を行っていたことが、後から明らかになります。
 
そのような一連の犯罪をまとめたのがこの本で、いかに警察が頼りないか、縦割り組織の弊害、都道府県をまたがる場合の連携の悪さ、報道規制による世論誘導、現場警官に対する情報伝達のまずさなどが明らかになってきます。

事件後容疑者は何名かあがりますが、アリバイがあったり、実証できるものが乏しく、いずれも逮捕には至らず、結果的にすべての事件について時効を迎えてしまいます。
 
この本で暗示される主犯と思われる人は、別の事件の取調中に自殺して亡くなっており、関係者と思われる人も別の犯罪で受刑中だったり、ピカレスク小説のように「犯罪で得たお金で優雅な海外生活を送っています」という雰囲気ではどうもなさそうです。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
この本は買ったのではなく、寝正月用に内容は深く知らないまま、会社の休憩室のラックに置いてあったのを拝借してきたものです。

麻生幾氏は日本の犯罪ドキュメントや最近テレビでドラマ化された「外事警察 」などちょっと特殊な警察モノを得意とする謎の多い覆面作家さんです。
 
同氏の作品では北朝鮮特殊部隊が原発破壊を狙って日本に上陸、国内の治安維持なので当初は警察の部隊が対応するものの、圧倒的な武力差で犠牲者が続出してしまい、政府の判断で自衛隊が出動するものの、武器の使用や、相手に攻撃されるまで反撃できない様々な法的な問題を抱え、現場が混乱する小説「宣戦布告 」を読んだことがあります。

この原作は映画化もされて、私も5~6年前にレンタルDVDを観た記憶があります。内容はだいぶんと変えられてましたが、自衛隊の様々な矛盾点を浮き彫りにしたいい映画だと思いました。
 
さてこの本ですが、昭和から平成にかけて日本で起きた謎多き事件や事故について、今まで封印されていた調書や証言をあらためてまとめたものです。
 
取り上げられている事件・事故とは、
 
 1.三菱銀行人質事件
 2.オウム真理教本部サティアン捜査
 3.赤軍派あさま山荘事件
 4.ホテルニュージャパン大火災
 5.ロッキード事件と田中角栄逮捕
 6.在ペルー日本大使公邸占拠人質事件
 7.影の総理金丸信逮捕
 8.国鉄初代総裁下山定則変死事件
 9.ベレンコ中尉亡命(最新鋭戦闘機ミグ25)事件
 10.日本海不審船追跡事件「北朝鮮工作船」への自衛隊海上警備行動発令
 
というものが列挙されています。
 
この中では、下山事件だけは生まれていない時の事件なのでまったく知りませんでしたが、他の事件、事故については、リアルタイムで新聞やテレビでニュースを見ています。
 
私の中では、ニュージャパン火災は社会人1年目で、朝早く、新宿の高層ビルにあった会社に出社すると、窓から遠くにもうもうと黒い煙が上がっているのが見えて、会社にあったテレビをつけるとその現場中継をやっていて火災事故があったことを知りました。
 
オウム事件はサティアン捜査の原因となった地下鉄サリン事件で、私が乗っていた地下鉄の1本前でサリンがまかれたとあとで知りました。サリンをまかれた車輌に乗っていた社員もいて、他線の人も含め何名かの社員が病院へ運ばれていました。
 
それ以外の事件事故は、自分とかなり遠いところで起こったものなので、新聞テレビ以上のことは知りませんでしたが、いずれも警察発表しか報道しない新聞テレビと違い、池上彰風に言えば「そうだったのか!」という話しがいくつか出てきます。

しかし結果的にそれがその時にわかっていたとしても、自分とは距離がありすぎて、関心は薄かっただろうなと思います。
 


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460
1Q84 BOOK 1 2 3(BOOK1、BOOK2、BOOK3) 村上春樹
本名が青豆という変わった名前のスポーツジムトレーナーの女性と、天吾という作家志望の予備校教師の男性が交互にストーリーが展開していきます。BOOK3からはそれに青豆や天吾と関わってくる牛河という異様な元弁護士の裏世界の調査・情報屋がそれに加わってきます。
 
ストーリーについては多くの場所で語られているので、詳しくは書きませんが、1Q84とはバブル時代がまもなく最高潮に華開こうとする1984年の数カ月間に起こる現実とパラで進行している特殊な別の世界の話しです。

村上春樹の特長であるクラッシック音楽やロックなど、古めの曲がいつもバックグラウンドに流れていることを感じられる作品です。
 
1984年といえば、そこには携帯電話もなければ、長引く不況の陰もなく、お金を得るのにさほど苦労することもなく、やろうと思えばなんだってできるいい時代で、そういう時代を反映しているとも言えます。
 
山梨県に拠点を置くオーム真理教を彷彿させるカルト教団や、NHK視聴料金集金人の跋扈、ドメスティックバイオレンス被害者の駆け込み寺、そしてしばしば登場する性的な場面。子供からお年寄りまで万人が観るテレビ放送向けではなく、「ノルウェーの森」が映倫PG12指定ですから、こちらは観る人をもう少し選ぶR15指定ぐらいの映画向けの作品と言う感じです。映画化されるとしてもまだだいぶんと先のことでしょうけどね。
 
ただ、最後があっけなく、今まで溜めてきたワクワク感はそこで一気に消えてなくなってしまうのがあまりにも残念です。続編があるのかどうかは知りませんが、エピローグがあってもよさそうな感じがしました。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
海炭市叙景 (小学館文庫) 佐藤泰志

海に三方を囲まれた佐藤氏の故郷函館市をメインとし、また多くの炭坑跡を抱える北海道の寂れた地域をミックスした架空の街で暮らす市井の人々の出来事を短編化した小説です。

バブルも華やかしき20年ほど前に書かれた小説ですが、映画化されこの12月から公開のようです。それに合わせた形でこの小説も注目されるようになったのでしょう。
 
それぞれの短編は独立したものですが、主人公はそれぞれになにか問題を抱えたまま、決して解決もすることはなく、突然に終わってしまうというもので、なにか新鮮さを感じさせます。
 
この小説はTwitterで書店員さんがお勧めの本だったので買ってみたのですが、私が積極的に手に取るような本ではなく、今までにあまり読んだことがないジャンルなのでそのように思ったのかもしれません。
 
著者の佐藤泰志氏は6作品を書き、1990年に41歳で妻子を残したまま自殺をした方で、この作品が遺作となるようです。

この作品の中からも、なにか現状から抜け出せなくてもがきながらも、あきらめの境地に達しているというやるせなさ、はかなさというのが感じ取れますが、自死の理由はわかりません。また映画がレンタルDVDになれば観てみたいなと思います。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ) 本谷有希子

う~ん、この本も書店員お勧め本として載っていたので買ってみた本ですが、何が言いたいのか、何を求めているのか、なにを提起しようとしているのかがさっぱりわからないストーリーですが、この小説も浅野忠信、美波、小池栄子等の出演で映画化され、2010年10月に公開されていたと言うことです。知りませんでした。
 
作者の本谷有希子氏は今年32歳で、女優、劇作家であり劇団も主宰しているということなので、多才な方だと思いますが、おそらく私の年代には馴染みがないものの、きっと若い人達を中心に特定の根強いファン層がいるのでしょう。
 
ストーリーは、安アパートで生活する変わったカップルが住んでいて、よく理由がわからないが男が女に復讐をするためにその方法を考えていたり、女はひたすらその復讐をジッと待っていたり。

男は両親が起こした昔の交通事故で足が不自由だけど、今は保健所に勤務していて、ペットの殺処分の仕事をやっている。

その職場の後輩とそのグラマラスな彼女がその不思議なカップルと絡んでくるが、待つ女とグラマラスな彼女は元同級生だったりして。
 
私には意味不明だらけだけど、今の高校生や大学生、20代ぐらいの人には、なにか共感を感じることがあるのでしょう。

私でももっと読み込めばわかるのかな?とも思いますが、他にも一生かかっても読めない多くの本が待っているので、この本を繰り返して読む価値があるとも思えず感想もここまでです。映画も浅野忠信や小池栄子には興味あるものの観たいとは思いません。 
 

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