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やがて起きるであろう人口爆発で、世界の食糧不足が懸念されていますが、人類の知恵がそれを克服できるかどうか、様々な研究と実験が行われています。

現在国連WFPの報告では世界で8億1500万人が飢餓や空腹で苦しんでいるということで、これは世界人口の9人に1人という割合です。

今から46年前、1973年の映画に「ソイレント・グリーン」というのがあり、地球の環境悪化と食糧不足の近未来を描いたSF映画でした。監督は「トラ・トラ・トラ」(1970年)や「海底二万哩」(1954年)、「ミクロの決死圏」(1966年)などのリチャード・フライシャーです。

この映画が上映された当時はまだ中学生でしたが、その中身の異様さと、非道なまでの格差社会、無抵抗であきらめた一般市民の姿にひどく衝撃を受けたことを覚えています。

ま、SFはともかく、現実的に世界で食糧不足が近づいているのはヒシヒシと感じ始めていて、20世紀は主としてアフリカが飢餓に苦しみましたが、21世紀は人口増加率が高いアジア地域においても他人事では済まされなくなってきています。

モスバーガー「ソイモス野菜バーガー」
また地球環境の変化により、今まで穀物が大量に作れた地域が気候変動で収穫量が激減するようなリスクも警告されています。

そうした中で、最近注目されているのが、ベジタリアンやヴィーガン(完全菜食主義者)に人気の大豆から作る肉もどき(ソイミート)というものがあります。

菜食主義者でなくても、別の見方をすれば、牛肉でも豚肉でもそれが人の口に入るまでには長い時間と飼料(主として穀物)が必要で、その環境負荷を考えると、家畜をやめて、成長サイクルが早い穀物などをすべて人の食料に充て、もし肉が食べたいというなら、穀物の大豆で作ってしまえということです。

もちろんそういう高邁な理由だけでなく、健康志向やカロリー制限の人向け、そして宗教や法律などで一部の肉食が限られている場合もあるので、こうした穀物を加工して肉風にするのは、今後ますます流行していきそうです。

すでに肉と見分けがつかないアメリカ産のミートレスが人気だそうです。

米国で“肉のようで肉でないモノ”が売れている、2つの理由 (ITmedia)
ミートレスは、大豆などの植物由来の原材料を加工して作られる、いわゆる肉の代替え食品のことだ。ただ決して新しいジャンルというわけではない。この手の食品はずいぶん前から存在しているからだ。しかし、その技術が近年になって飛躍的に伸びているため、本物の肉に限りなく近い「肉ではない」食品として、米国でムーブメントを巻き起こしている。

私も最近ハンバーグ屋さんへいかないこともあり、知らなかったのですが、国内でもモスバーガーやロッテリアではソイミート(大豆を主成分としたパテを使ったハンバーガー)が数年前から売られています。

そしてもうひとつ、新しい食品として注目しているのが、完全食という食品です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」に基づき、たんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などの必須栄養素の種類と量を一食でまかなえてしまうという加工食品のことです。

食のIT革命? 「完全食」という未来の食生活を3ヶ月間体験してみた(文春オンライン)

まだこれから普及するかどうかってところですが、先進国では健康ブームは衰えないでしょうから、様々な形態の完全食が次々と登場しそうです。

あまり健康的とは言えず、また炭水化物ダイエッターから敬遠されがちな国民食のラーメンですが、すでに各種栄養を加えた完全食ラーメンも完成し、新宿のラーメン店で食べることができます。

スタートアップが「完全食」ラーメン(日経新聞)
食品スタートアップのベースフード(東京・目黒)は食事1回分に必要な栄養素を全て含んだ「完全食」ラーメンをこのほど発売した。麺単体で糖質を一般的な麺の5割減としたほか、具のない麺だけの状態でビタミンや食物繊維など国が推奨する一度の食事に必要なほぼ全ての栄養素基準を満たした。

こちらも健康的な完全食と、あまり健康とは言えない食品代表のラーメンとの合体で、話題が先行していますが、健康志向が進むにつれ、味も徐々に良くなってくれば今後伸びていきそうな予感がします。

その他にも大手食品メーカー日清食品からは完全食のパスタが出ていますし、レトルトのカレー、餃子、パンなどもあり、一気に選択の幅が増えてきています。

そりゃ、栄養がないものよりは、栄養のバランスがとれていて、健康になれる食品が、今までと変わらない味で提供されると喜ばしい限りです。まだ値段はちょっとお高い感じですけどね。

個人的には、先般高血圧の基準が見直され、正常な血圧の上限が上も下も10下げられたことから、今までギリギリセーフだった基準を超えてしまい、これからは減塩生活に取り組まなくっちゃって思ってますので、もっと外食にも減塩定食、減塩ラーメン、減塩カレーなど減塩食品がブームになって欲しいなという感じ。

インスタントの味噌汁や、醤油などにはすでに減塩製品が普通に買えますが、お店で外食するときに減塩というのは難しいな~と思ってます。

おそらく、減塩することで、料理の味が薄くなってしまい、味を調えるためには塩以外の高価な調味料やスパイスを使わなければならず、料理を提供するお店側としては、余程のニーズがなければ積極的には取り組みたくはないでしょう。

【関連リンク】
1332 鰹節の歴史とこれから
906 トクホが売れるわけ
712 最近気になる食品の安全性
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