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私が新人社員だった1980年代前半は、商社が一番輝いていた時代でした。

当時5大総合商社と言えば三菱商事、三井物産、丸紅、住友商事、伊藤忠商事で、10大総合商社という場合には、兼松江商、日商岩井、トーメン、ニチメン、安宅産業(1977年に消滅)が加わりました。

総合商社も元々は専門商社からスタートし、その後扱い品目が増えていき、それぞれに得意分野とか、海外の輸出入ルートを開拓してきました。

最初は商社はその名称通り、買ったり売ったりしてそのわずかなマージンだけが利益と思っていましたが、やがてそればかりではなく、商圏を拡大するために開発事業や、相手国の政府に潜り込んで公共事業を共におこなったり、石油やガスを採掘したりなど巨大なプロジェクトを動かすダイナミックな商売だと知りました。

私も新卒の就活で、冷やかしがてらにある商社の説明会にも行きましたが、会場には入りきれないほど学生が詰めかけ、競争率は天文学的な数字ですぐに諦めました。

1977年に破綻し伊藤忠商事に吸収されることになった安宅産業も、それまで堅実におこなってきた金属や繊維原料、鉱物などの輸入事業から他の総合商社に追いつこうと拡大を急ぎ、慣れない原油ビジネスに手を出した直後にオイルショックが起き、経営破綻することになりました。

この破綻へ至る模様は、松本清張の小説「空の城」(1978年)を原作とした1980年放送のNHKテレビドラマ「ザ・商社」で見られました。

が、このように大きなリスクに社運をかけ、他の分野へ積極的に拡大していった企業が大手総合商社として上り詰めていきます。

私は仕事柄、これらすべての大手商社に出入りをすることがあり、そこで感じたのは、それぞれに特徴というか社内風土があり面白かったことを覚えています。都銀と総合商社の社員と言えば日本ではトップクラスのエリートばかりですから話しをしても学ぶことが多かったです。

特に成り立ちが三菱商事や三井物産のように東京で創業して地盤が東京にあるスマートな商社と、大阪の繊維商社から大きくなった目端の利いた商売人が集まったような丸紅や伊藤忠商事、社名からも大阪の繊維専門商社の呪縛から抜けきれてなかった「まいどおおきに!」的なニチメンやトーメンなどとは明らかに社員の出身地や出身大学が違い、社内の雰囲気も違いました。

兼松江商は、それぞれに繊維関連の輸入を手がけていた兼松と江商が1967年(昭和42年)に合併した総合商社ですが、1980年代においても社内は兼松派と江商派の目に見えないバリアがあり、社内の統一感というかワンチームという雰囲気が乏しかった印象が残っています。

日商岩井も日商と岩井の合併会社ですが、1978年に起きたダグラス・グラマン事件で常務が自殺するなど1980年当時もまだダークサイドというイメージが社内にも残っていて、社員の士気はいまいち高くなく、その後ニチメンに救済されるようにして生き残ります。

総合商社以外にも、繊維商社や食料品商社、エネルギー商社、電子部品商社、医療機器商社、建設機器商社、など様々な専門商社が大中小の規模で活躍していて国内はもとより、海外との交易で日本の産業を動かしていることを実感できました。

そうした商社が少しおかしくなってきた象徴的な事件が「イトマン事件」で、1990年に発覚した不正事件ですが、バブル崩壊以降、それまでの無理をしてきたひずみが現れました。

ただ私は1990年以降、仕事(職務)が変わり商社へ出入りすることはほとんどなくなり、その後の動向はあまり知りませんでした。

昔は十大商社と言われていた総合商社は現在7大総合商社と言われ、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅、豊田通商、双日の7社です。

双日は、日商岩井とニチメンが合併し、二つの日が合併した、安易な感じの社名です。そして世界中で自動車を売りまくり、トヨタ自動車の成長に支えられて好調の豊田通商はトーメンを吸収して大手総合商社に加わっています。

かつて十大商社の一角を占めていた兼松江商(現兼松)は、バブル崩壊後に多くの事業を失うことになり、現在は総合商社の看板を降ろし専門商社となっています。

2022年時点の商社売上上位12社は下記の表の通りです。

社名 売上高 従業員数 総合/専門別
01 三菱商事 12.8兆円 5,725人 総合商社
02 伊藤忠商事 10.3兆円 4,264人 総合商社
03 三井物産 8兆円 5,587人 総合商社
04 丸紅 6.3兆円 4,389人 総合商社
05 豊田通商 6.3兆円 2,692人 総合商社
06 住友商事 4.6兆円 5,240人 総合商社
07 メディパル ホールディングス 3.2兆円 169人 専門商社
08 アルフレッサ ホールディングス 2.6兆円 38人 専門商社
09 スズケン 2.1兆円 4116人 専門商社
10 日鉄物産 2兆円 1,840人 専門商社
11 阪和興業 1.7兆円 1,532人 専門商社
12 双日 1.6兆円 2,551人 総合商社

この中にちょっと聞き慣れない企業名が2社入っていますが、メディパル ホールディングスは医薬品や日用雑貨等の卸売り企業グループ、アルフレッサ ホールディングスも医薬品や医療用検査試薬等の卸販売企業グループで、いずれも持ち株会社(ホールディングス)です。だから従業員数が極端に少ないのですね。あとの10社はそれぞれ歴史がある名門商社あるいは合併後の商社です。

売上で豊田通商に抜かれた名門の住友商事ですが、どうでもいいつまらない話しをひとつ。

1980年代、住友商事本社(大阪)のオフィスに行った時の話しで、担当者とオープンな応接間で話しをしていたとき、近くをウロウロと歩く年配の人がいて、「?」と思ったら、担当者の方が「あの人知っている?」「いえ」「あれが小松左京の弟さん(当時住商の社員)」「・・・」「いつもあーしてウロウロしてんだよなぁ」「ww」ということがありました。言われれば顔も体型も兄によく似てました。いろんなエリートがウロウロしていたのが総合商社です。

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