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テレビ東京で夕方に再放送されている「孤独のグルメ」は、コミックの原作を元にした1話完結の実写ドラマですが、主人公井之頭五郎役に俳優の松重豊を起用しそれがズバリと当たった作品です。
内容は、輸入インテリア雑貨を販売する事業を営んでいる自営業の主人公が、スーツ姿で各地の客先へ出掛けて行き、商談のあとその地域で店を探しランチや夕食を食べるというものです。
松重豊は細身で、どこにそれだけ入るの?というぐらい、料理を注文をしまくり、ガシガシと美味しそうに食べます。ドラマでは食費にかかる費用までは出てきませんが、大衆食堂のランチに関わらず3~4千円分ぐらいを平気で注文しているのが現実離れしています。
それはさておき、このドラマを見ていると、懐かしさがよみがえってきます。
というのも、1980年に社会人となり、その後25年間ぐらいは外勤営業の仕事をメインにしていたので、外出先でひとりで食事をすることがほとんどでした。まさに「孤独のグルメ」の世界です。また結婚してからも夜遅くまで働いていたことから、夕食もほとんどは外食していました。
夕食は会社で店屋物を食べるか、あるいは帰宅途中にある店で食べるかで、場所や料理は概ね決まっていましたが、ランチはドラマの主人公と同様、出掛けた先の近くでブラッと店を探して入るということが多かったです。
それでも、長年外勤をやっていると、例えばよく行く機会のあった渋谷駅周辺ならこの店か、あの店、東京駅周辺ならココ、品川駅なら、、と駅や地域ごとにだいたいいくつかの候補が決まっていましたが、初めての場所だとドラマの主人公のように勘を頼りに新規開拓です。当時はスマホやぐるなびのようなサービスもありません。
ドラマと一番違うのは、やはりボリュームで、主人公のようにセットや定食以外に何品も追加で注文したり、さらに定食を食べた後にラーメンやデザートを追加するということはありません。
それに若い頃は、ドラマのように昼飯代で3~4千円も使えませんでしたし、個人的にはランチは食後のコーヒーを含めて1980年代だと700円以内、1990年代で800円、2000年以降は1000円以内がめどでした。値上げラッシュの今だとコーヒー含めて1000円以内ってのは大都市圏ではほぼ難しいでしょう。
当時お昼になにを食べていたかなぁと考えると、日々のことであまり印象に残らないのか、店は覚えていても何を頼んでいたかはあまり覚えていません。
好きなメニューは、コロッケやメンチ、生姜焼き、野菜炒めなどの定食、トンカツ、ラーメン、カレー、牛丼、カツ丼、チャーハン、焼きそば、スパゲティと言ったところでした。 ドラマの主人公は好き嫌いはなさそうで、未知の料理、食材でもチャレンジングにオーダーし、そして美味しそうに食べていますが、私の場合は、好き嫌いがあり、寿司や刺身など生魚、鶏肉系は基本的に好んで食べないので、自ずと店やメニューが限られてきます。
また喫茶店でもお昼に美味しくてボリューム(これ大事)のあるランチを提供してくれる店もあり、そういうところもよく利用していました。外勤で身体を使うのでしっかりボリュームがあって安い店をいつも探していました。味はその次です。
ただ喫茶店という形態は1990年頃を境として急激に数が減ってしまい、代わりにドトールや、高いので滅多に行きませんがスターバックス、ターリーズなどへと変わってきたので、個人的には残念な思いです。
下記グラフは、喫茶店数の推移です。データ出典は、総務省統計局「事業所統計調査報告書」と 「経済センサス基礎調査」です。
1980年代は圧倒的に数が多い団塊世代が30代後半になり、脱サラで始める商売として喫茶店の人気があり、1980年代には15万店を超えていました。しかし1990年代に急速に減り始め、2000年には9万店を切り、2021年には5万8千店と最盛期の4割以下に減っています。
当時の喫茶店には、朝はモーニング(トースト、ゆで卵、サラダ、コーヒー)のセット、昼時はランチでセットものがあり、スポーツ新聞や週刊誌、漫画誌などが置いてあり、サラリーマン、特に外勤営業マンの憩いの場でした。馴染みだった喫茶店がなくなってしまうと、もうガッカリしたものです。
今でこそ、スマホやパソコンで、どこの場所でどういうものを食べるかというのはチャッチャとネットで調べられますが、当時は当然そう言うものはなく、またドラマの主人公もガラ携を使っていて、本能のまま直感勝負で店を選んでます。
そうした初めての店に入ってみて初めてわかる店の雰囲気やメニューなど、ちょっとドキドキしたものですが、今ではあらかじめ行く店を調べておき、メニューもある程度は決めていることが多いので、そういう楽しみが減ったなと思います。当たり外れはもちろんあります。
今は暇があるので、昔よく通った店巡りでもしようかなと思っているところです。つぶれていないことを願うばかりですが、ビルの中(多くは地下)にあったお店は、ビルの建て替えなどで家賃が大きく跳ね上がり、また店主の高齢化もあり個人営業の定食屋や喫茶店はなくなってしまうケースが多いようです。
(その2へ続く)
【関連リンク】
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634 味覚の変化について
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