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前回の「外勤の楽しみは食べ歩き その1」に続き、「孤独のグルメ」に触発されたB級外食食べ歩きについてです。

私は新卒で入社してから、東京(新宿)、名古屋(名駅)、大阪(本町・中之島)、東京(虎ノ門、渋谷、広尾、新宿)と勤務先(本支店)を経験してきましたが、当初は外勤営業が主体だったため事務所のある場所でランチを食べることは少なく、ほとんどは出先でひとりで食べていました。

焼肉定食大盛り東名阪の大都市でのランチ事情は、今と比べると大きく違っていました。今はフランチャイズを含む全国チェーン店の店舗がかなり多く浸食していますが、1980年代はまだそれほど多くはなく、ビジネス街にも地元の個人営業店が多くありました。

私は出身が関西のため、味付けなどは関西風に馴染んでいて、東京に住んでいたときも関西風の店や関西系チェーン店などをよく利用していました。

まず東京のランチですが、家賃が高いので料理の値段も高くなるのは仕方ないのと、味も全国から集まってくる人向けに万人に受けるようによく考えられていて、競争の激しい場所では外れはあまりありません。

しかし高層ビル群や大きなショッピングセンターなどでは、家賃も高額で競争店が限られていることもあり、美味しくない店や、ボリュームのない店も多く、そういうところはできるだけ避けていました。

つまり東京では店によって当たり外れがあるということと、美味しいものを食べたければお金をいっぱい払えばなんでも食べられるという感じです。逆に言えば特に都市部においては安くて美味しいものはあまりないという印象です。

その点、大阪のランチは「食い道楽の大阪」を象徴するように、どの場所でどの店を選んでも、まず当たり外れはなく、値段は安くても味やボリュームも満足できる水準にあります。

私も大阪で「お好み焼き定食」、お好み焼きをおかずとして、ライスと味噌汁がついている定食で、大阪では当たり前にありますが、それを当時初めて知って小躍りしたしました。今なら炭水化物だらけで敬遠するところですが。

大阪で特にお気に入りだったのは、ビジネス街にあるこぢんまりした一軒家風の洋食屋さんで、ランチタイムは500円程度で絶妙なタレで炒めた豚バラ肉と、ゆるめのスクランブルエッグをセットにしためちゃ美味しい焼肉ランチがありました。ライスはセルフで食べ放題、料理をダブダブ(肉と玉子のダブル)に増やして足繁く通いお気に入りでした。

その他には、20種類ぐらいある惣菜の大鉢1品と小鉢2品を自由に選び、それとライス(大中小)と味噌汁がついて500円ぐらいの店や、ランチの時間は塩ちゃんこ定食しか出さない店で、カウンターに置いてあるガスコンロの上で、ひとりちゃんこ鍋が楽しめる店、そして昭和初期に活躍した織田作之助がよく通っていて代表作「夫婦善哉」にも出てくる自由軒で、インディアンカレーや微妙に辛旨いドライカレーもよく食べました。

そして名古屋ですが、味がちょっと関西人には合わないのか、転勤が決まったときに「名古屋では食い物に苦労するかも」と同じ関西出身の先輩に忠告された通りでした。

特に揚げ物や焼き物、うどんまでなんでも八丁味噌で味付けするような食文化には関西人としては抵抗があり、東京大阪なら中身を知らなくてもオーダーできる定食類も、名古屋では中身をよく確認することが必須でした。

麺が硬くてボソボソした名古屋の味噌煮込みうどんは、ツルツルとのどごしが良いうどんと澄んだダシスープが当たり前に思っている関西人(私)が最初食べたときは「こんなのうどんじゃねぇー!」と思いましたが、何度か名古屋らしいランチが食べたいという出張者につきあって食べているうちに「慣れてくると悪くないかも」と思うようになりました。

名古屋モーニングサービス名古屋で素晴らしかったのは喫茶店で食べるモーニングで、これは東名阪の中ではダントツに優れた食文化だと思いました。

トーストにベーコンエッグ、ボリュームたっぷりのサラダやフライドポテト、さらには茶碗蒸しやコンソメスープ、フルーツがついていたりします。

そしてモーニングは11時半頃までやっているところが多く、ちょっと早めのランチにすることもできそうなボリュームでいつも仕事前の朝か、ひと仕事を終えてから早めのランチとして利用していました。

あまり先入観を持ってはいけませんが、それぞれの地方の食は、その地方に住む人の感性に最適化されているのが普通なので、誰に対しても素晴らしく感じる味や料理というのは本来はないでしょう。

それぞれ自分が持っている本来の味覚や感性とは違う味や量を楽しめる人が、ハッピーなんだろうと思います。「孤独のグルメ」の主人公のように。

【関連リンク】
1607 代表的なB級ファストフードの価格推移
1165 ラーメンと私
1015 丼飯を日本の文化として育てていきたい



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