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カササギ殺人事件(上)(下)(創元推理文庫) アンソニー・ホロヴィッツ

カササギ殺人事件
著者は1955年生まれの英国人で、本著の原題は「Magpie Murders」で、2016年に出版、翻訳版は2018年にタイトルはほぼ直訳です。但し「Magpie」はカササギという意味以外にも様々な意味があり暗喩としても使われています。

この小説は、日本国内の「このミステリーがすごい!」、「週刊文春ミステリーベスト10」、「本格ミステリ・ベスト10」、「ミステリが読みたい!」などの賞に輝いています。文庫の帯には7冠と書かれています。それだけ評価が高かったのでしょう。

文庫上下巻で735ページにわたる長編ミステリー小説ですが、ユニークなのは上巻のほとんどが小説上の架空の売れっ子ミステリー作家の小説「探偵アティカス・ピュントシリーズ第9作目」、タイトルは「カササギ殺人事件」の出版前の原稿で、その原稿にはなぜかミステリーの肝と言える最終章の謎解きの部分だけが抜けています。

そして下巻では、そのミステリー作家の担当編集者の女性が、謎解き部分がない原稿を読み終わり不思議に思っていたところ、執筆した作家が謎の自殺をしてしまい、同時に遺書が郵便で出版社の上司宛に届きます。

そこで、その女性編集者は、ミステリー小説の謎解きと同時に作家が自殺した、あるいは自殺に偽装された死の謎について探偵よろしく様々な関係者に会って調べていきます。つまり小説の殺人事件の謎と、現実の自殺の二重の謎解きという構図になっています。

上巻のほとんどを占めるミステリー小説の時代背景は、50年ほど前の英国の郊外で、富豪の名門家の女中が階段から転落し亡くなり、さらにその2週間後には名門家の主人の男爵が首を切断され亡くなります。その謎解きにエルキュール・ポアロに似た雰囲気のロンドン在住の私立探偵が登場してきます。

一方の下巻では作家が自殺したことで結末が不明のままで最新作が出版できない事態に陥った編集者の謎解きは現代の英国が舞台です。

二つの時代を交互に繰り返していく小説はよくありますが、ミステリー小説の中にミステリー小説があり、その二つの時代のミステリーがそれぞれに影響したり、物語の中に解決のヒントが組み込まれていたりしてしっかり読み込まないと混乱してしまいます。

登場人物の名前だけでも、上巻のミステリー小説と、下巻の現代の有名作家の自殺騒動とで二種類の登場人物があり、油断していると「あれ?誰だっけこの名前は?」と混乱しちゃいます。記憶容量が急激に少なくなってきた年齢ですので、、、

このまま、モヤモヤした二つの謎解きはどうなるのか?と心配でしたが、ちゃんと最後の最後には明かされますので安心してください。

★★★

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探偵は絵にならない(ハヤカワ文庫) 森晶磨

探偵は絵にならない
著者は1979年生まれの推理小説を得意とする作家さんで、読むのは今回が初めてです。デビュー作は「黒猫の遊歩あるいは美学講義」(2011年)でその後「黒猫シリーズ」が9作続きます。

何度も書いてますが「マーロー」や「スペンサー」「スカダー」「スペード」「沢崎」「神山」など「探偵」の小説が好きなので、タイトルにあると内容はともかく買ってしまいます。

本書は2020年に書き下ろしが文庫で出版され、その後続編の「探偵は追憶を描かない」が2021年に出版されています。

この小説には特に探偵という職業は出てこず、単に同棲していた女性がいなくなり、それを探しに画家の主人公の生まれ故郷の浜松へ戻るという流れです。人捜しなので探偵ということなのでしょうけど、単に素人の人捜しなので全然探偵小説の範疇には入ってこない感じです。

味があると思ったのは、地元浜松でアロマテラピーの店を経営している主人公の友人がいて、香りで様々な推理をしたりアドバイスをします。その各種のアロマについてもうんちくも楽しいです。

ちょっと思っていた探偵小説とは違いましたが、やや重めのミステリー小説「カササギ殺人事件」を読んだ直後だったので、サラッと軽くてリフレッシュできました。

★★☆

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歩きながら考える(中公新書ラクレ) ヤマザキマリ

歩きながら考える
コミックや映画の「テルマエ・ロマエ」の大ヒットのあと、一発もの作家に終わらず、多才な人でその後もテレビやエッセイ集などで大活躍中の著者ですが、本書はコロナ禍真っ只中の2022年に出版された新書です。

新型コロナが広がり始めた2020年に出版された「たちどまって考える」の続編と言える作品でしょうか、前作は読んでいないのでわかりませんが。

著者は夫とその家族が住むイタリアと、著者自身の主な仕事場の日本(東京)の二重生活(当時は子供がハワイに住んでいたので三重生活?)をしていたこともあり、2019年暮れから始まった新型コロナ騒動で行動制限がかかり著者の生活に大きな変化をもたらしたことでしょう。

本書が書かれた2022年時点では、すでにワクチンや治療薬があり、東京オリンピックも開催され、かなり行動制限は緩和されていて、経済をまわそうという動きがあり、そこで著者も外へ出掛けて従来とは違った新たな視点をもって、、、と思っていたら、後半1/3は映画や読書の話しがメインになって、若い人向きの人生訓などへと移っていきます。

このようにコロナ禍で人生、特に仕事や人間関係などに大きな変化が起きた人は著者のみならず多数いたでしょう。私は幸いにもコロナ禍以前から在宅ワークを実践していたので、その在宅リモートの日が増えただけであまり変わりませんでしたが、それでも週に3~4回はしていた外食に行きにくかったり、映画館など大勢人が集まる場所は避けたりと多少の変化はありました。

10数年後には「失われたコロナの2年間とか3年間」とか言われるのでしょうけど、2024年時点ではすでにコロナ禍はかなり遠くの存在になってしまい、それよりも物価高が続く経済問題や、別の感染症などの心配をするようになっています。

本書を読むと、あの頃のことが蘇ってきますが、それにしてもコロナ禍の中で著者の日常や考え方を一方的(紙の書籍だから双方向はあり得ませんが)に述べられても、「あぁそうですか」という感想以外は出てきません。

著者は、17歳で画家を目指し海外に出て、未婚のままで出産をし、子育てしながら苦労して漫画で大ヒットを飛ばし、著名知識人の仲間入りした方で、現在は14歳年下のイタリア人と結婚、子供も大学を卒業して子育ても終わりという通常の内向きな日本人には理解しがたい特殊な経験の持ち主だけに、その知識はともかく生き方や価値観などは参考にはなりません。

なので、波瀾万丈物語やそうした経験を元にした人生訓を聞かされても、年寄りにとっては眠たいだけに終わります。しかしもっと感性豊かで夢と輝かしい未来のある若い人が読むと勇気づけられたりするのでしょう。

★☆☆

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遠い唇(角川文庫) 北村薫

遠い唇
2016年に単行本、2019年に文庫化された短篇集作品です。その後2023年にはタイトルを「遠い唇 北村薫自選 日常の謎作品集」と改題し、2篇を増補した文庫に改訂されています。今回読んだのは改訂前の文庫です。

収録作品は、「遠い唇」「しりとり」「パトラッシュ」「解釈」「続・二銭銅貨」「ゴースト」「ビスケット」の7篇です。

短篇作品もあれば、ショートショート的な短い作品もありますが、いずれも謎解き作品となっています。

ただ、中には江戸川乱歩の作品「二銭銅貨」を多少は知らないとよくわからないものや、著者の過去の作品「八月の六日間」の主人公が登場する作品があるなど、多少はツウ向けの作品集なのかなと思いました。

表題の作品「遠い唇」は、暗号もので、読者が推理し解読するのはまず無理という内容、「しりとり」と「ゴースト」の主人公は、「八月の六日間」で山歩きをするやり手の女性編集者、「パトラッシュ」は若い男女の恋愛ものです。

「解釈」は私の一番のお勧め短篇で、地球外生命の新星探査隊基本情報調査官達が、人間が読んでいる書籍を奪ってこの星の状況を調べようとしています。奪った本は夏目漱石の「吾輩は猫である」、太宰治の「走れメロス」、川上弘美「蛇を踏む」で、それぞれの言語記録(小説)からこの星を支配する人間というものを理解しようと試みます。小松左京や星新一ののショートショートに似ています。

「続・二銭銅貨」は江戸川乱歩の大正12年のデビュー作「二銭銅貨」をモチーフに、その中にある小さな謎について新たな解釈というか謎解きをするというもの、「ビスケット」は著者の過去の作品の「冬のオペラ」などに何度か登場した探偵が謎解きをする短篇です。

それぞれにユニークさが際立ち、著者の幅広い知識や興味の世界がわかり、ミステリー短篇の名手としての地位は不動です。

★★☆

著者別読書感想(北村薫)

【関連リンク】
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