リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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網走番外地 北海篇 1965年 東映
監督:石井輝男 出演者:高倉健、千葉真一、田中邦衛他
高倉健の出世作とも言える「網走番外地」「続 網走番外地」「網走番外地 望郷篇」に続くシリーズ第4作目です。主演の高倉健は演技に磨きがかかってきた34歳の頃です。
脇役で最初の少ししか登場しませんが、ニヒルなイケメン千葉真一は26歳、当時から老け顔の田中邦衛は33歳、途中から最後までずっと愛嬌を振りまく助演と言える大原麗子はなんと19歳のギャルです。その他にも嵐寛寿郎や由利徹、小林稔侍、石橋蓮司なども出演しています。
主人公が網走刑務所から仮出所する前に囚人仲間から母親へお金を届け、自分の妻を奪ったヤクザの組長にけじめをつけさせて欲しいと頼まれ請け負い一暴れして組長の指を詰めさせるなど相変わらずの無謀ぶりです。
そして金を受け取るために釧路の運送会社へ向かいますが、現金がないと断られ、その代わり雪道を走る高額報酬の特別便のトラック運転手をしてくれるなら高額報酬を支払うということで請け負います。
怪しげな二人の荷主と隠れて乗ってきた運送会社の娘を乗せてボロトラックで山道を走ります。これは古典の名作、ジョン・フォード監督の「駅馬車」をモチーフにしたものです。
閉ざされた山の中で、麻薬を密造するために材料を運ばせていたことがわかり、雪原の中で、偶然出会ったマタギの刑務所仲間と協力し、派手な打ち合いが始まります。
シリーズ4作目となり、単純な勧善懲悪がややマンネリ化もしてきたらしく、ストーリーにはやや手抜きな感じもうかがえます。しかし当時の背景や映画のスタイルがよくわかって楽しめました。
東映の網走番外地シリーズは、石井輝男監督で10作、他監督で8作が製作されています。当時は鶴田浩二主演の映画とこの高倉健主演の映画が年2本ずつ製作され2本立てで上映されていました。
★★☆
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首 2019年 KADOKAWA
監督・原作・脚本 北野武
出演者 ビートたけし、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、木村祐一、浅野忠信、大森南朋
たけし流解釈の「本能寺の変」を主題に、織田信長(加瀬亮)とその部下の大名、羽柴秀吉(ビートたけし)、明智光秀(西島秀俊)、徳川家康(小林薫)、荒木村重(遠藤憲一)、黒田官兵衛(浅野忠信)などの主従関係や裏切り、そして信長の後継者争いを描いています。
もちろん現在一般的になっている本能寺の変の構図とは一線を画しているのと、信長や光秀などの男色がそれぞれの思惑や人間関係に影響を与えています。
ま、有名な中年男優が裸で抱き合っているシーンなどはちょっとひきますが、戦国時代には男色は特に珍しいものでなかったことはよく知られています。
またタイトル通り、首がはねられるシーンが多く、R15+に指定されています。考えてみるとアニメや映画になっている「鬼滅の刃」も鬼の首をはねるシーンが多いですがそちらはPG12指定です。その差は人間と鬼の違いなのか、実写とアニメの違いなのかどうなんでしょう。
久しぶりの北野映画と言うことで注目されましたが、カンヌ国際映画祭ではノミネートのみ、その他あまり評判が良いとは言えず製作費を上回る興行収入はなかったようです。
見た感想は、様々な小説や映画、ドラマで幾度も繰り返される織田信長像や本能寺の変だけに、少しひねった(秀吉や黒田官兵衛などの謀略で、光秀に信長暗殺を焚きつけた)ストーリーにも少し無理があり、特に日本の戦国時代に詳しくない外国人などが見るとよくわからないストーリーということになるでしょう。
その点、黒澤明監督の時代劇、「七人の侍」や「用心棒」「影武者」などは、ストーリーはいたってシンプルで、日本人にはもちろん、外国人にもよく理解できて楽しめるものでした。
もう、戦国時代のきらびやかな衣装や、武将、忍者、殺陣だけで人気がでるものではなく、ストーリー性に魅力がないとイマイチ受けないのかも知れません。
★★☆
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駅 STATION 1981年 東宝映画
監督 降旗康男 出演者 高倉健、倍賞千恵子、いしだあゆみ、烏丸せつこ
北海道の道西地域の増毛町、銭函、雄冬などを舞台にして、そこで活躍する射撃の得意な警察官を主人公に1968年(昭和43年)~1979年(昭和54年)頃の様々な人間模様が描かれます。倉本聰氏の脚本と言えばおおよその想像がつくと思います。
その中でもちょっと衝撃を受けたのは、主人公の警官の実家が雄冬にあり、その当時はまだ陸路がなく、実家に帰省するには離れ島でもないのに増毛から定期連絡船に乗ることになり、陸の孤島と言われていた場所です。
現在は国道231号線が全線開通し、石狩から雄冬(岬)を通って増毛や留萌方面へ海岸沿いに抜けられますが、その国道ができたのは1992年(平成4年)と割と最近のことで、日本海オロロンラインと名付けられて北海道一周旅行には欠かせない道路になっています。
ストーリーは、主人公が警察の仕事と次のメキシコオリンピックの射撃選手としての役目と責任を背負うことで夫婦関係が壊れ、妻と離別するところから始まります。
映画の中でも食堂のテレビニュースでプレッシャーに押しつぶされた円谷幸吉の訃報が流れていて当時のオリンピック選手の精神的な負担が大きかったかが偲ばれます。
映画は大きく三篇に分かれていてそれぞれにひとりの女性がフューチャーされ、1部が1968年1月直子、2部が1976年6月すず子、3部が1979年12月桐子とサブタイトルが入ります。直子は主人公の別れた妻、すず子は張り込み先の殺人犯の妹、桐子は増毛の居酒屋の女将です。
仲間の殉死や、実家にいた妹の結婚、同郷の仲間との友情などがあり、仕事では殺人犯の妹を見張り逃亡犯を捕まえるなど貢献します。
増毛でふと訪れた居酒屋に入ると、ひとり寂しげな女将とやがて関係ができますが、その女将を訪ねてきた元彼が同僚を射殺して逃げている殺人犯というのに気がつき、撃ち合いになって射殺します。
ひとりの男と3人の女、そして射撃の名手というアクションとエンタメ要素がキチッと散らばめられている楽しめる映画でした。
軽薄そうなアイドルばっかりの最近の映画とは違い、この頃の映画はちょい役でもちゃんとしたまともな演技ができる俳優達が演じるので映画の質はグッと高いです。
★★★
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張込み 1958年 松竹大船
監督 野村芳太郎 出演者 大木実、宮口精二、高峰秀子
原作は松本清張の短篇小説で、初出は1955年に小説新潮、その後短篇集の収録作品として1996年に出版されました。
時代背景も1950年代初頭で、ほとんど現場ロケで製作されたと思われ、当時の社会風俗がよく反映されていて面白く見られます。
最近の映画では、こうした戦後間もない頃の生活風景はCGやFSXで作られますが、どうしても嘘くさい雰囲気が残ります。
この映画では、真夏の1週間がメインですので、家や旅館、鉄道にもエアコンなどがない中で、満員の長距離列車の中では下着姿で通路に寝ている人や、旅館の中でいつも団扇でバタバタとあおぎつつ吹きだす汗をタオルで顔や身体を拭いていて、画面の中から汗のにおいがムッと漂ってきそうな感じです。
この映画の中で普通に見られる今は消えてしまったシーンを挙げておくと、「蒸気機関車」「満員の客車内での喫煙」「ボンネットバス」「冷房がない客車や旅館」「一泊3食付き700円の宿」「刑事が所持しているFN ブローニングM1910拳銃」「刑事が必ずかぶっているハンチング帽」など。
あとロケ地になった「1957年頃の佐賀市内の様子」も佐賀城のお堀付近?と思われる場所はあまり変わりがないと思われますが、その他の地域は今では想像も付かないほど変貌しているでしょう。
古い映画を見ると、どこか懐かしい(私も1950年代生まれなので)様々なモノや風景を見ることができて「そうそう、あの頃はそうだった」と蘇ってきます。
内容は、東京で起きた強盗殺人事件の重要容疑者のひとりが逃げて行方不明になります。容疑者の実家が山口にあり、さらに東京へ出てくる直前まで付き合っていた恋人が、現在は結婚し佐賀市に住んでいることを知っていることから、そのどちらかに立ち寄るのではないかと判断し、張り込んで逮捕するため警視庁から刑事が山口と佐賀に派遣されます。
その佐賀に派遣された刑事二人の張り込みと、元恋人だった女性の変貌が見どころとなっています。
今のエンタメ映画からすると、どこか稚拙な感じで、リアリティに乏しいところがいくつもありますが、当時は刑事の仕事や、女性の二面性など面白おかしく楽しめたのでしょう。
★★☆
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60歳のラブレター 2009年 「60歳のラブレター」フィルムパートナーズ
監督 深川栄洋 出演者 中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子
住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)が主催し、毎年60歳を迎えた夫婦を対象に互いに感謝を伝えるメッセージを募集する企画があり、その中から優秀作品を書籍化しています。そうした中から選ばれた作品を映画化したものです。
主人公は60歳を迎え大手広告会社を定年退職しますが、愛人もいて妻との関係はギクシャクしていて離婚することになります。二人はそれぞれの道へ足を踏み出しますが、一度壊れてしまった関係はその後、、、
もうひと組の魚屋の夫婦は、夫が60歳になり糖尿病を患い、好きな酒を断たれ、妻に叱咤激励されてジョギングをする毎日です。その成果もあり、夫の糖尿病は改善してきたところ、今度は妻のほうに異常が見つかり、、、
もうひとり、病院の内科に勤務する60歳の男性は5年前に妻を亡くし、中学生の娘と二人暮らしですが、医学書の翻訳で知り合った有名な翻訳家に惹かれていきます。しかしその翻訳家の女性の態度や生活は亡くなった小学校の教員だった妻とあまりにもかけ離れていることから娘が反抗し始め、、、
という60歳を迎える3つの夫婦や家庭を中心に、夫婦とは?結婚とは?を問いかけていきます。
そういう映画なのでハッピーエンドはお約束ですが、こうした素人じみた俳優ばかりで映画を作る難しさを感じた作品でした。
★☆☆
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(原題:Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb) 1964年 米・英
監督 スタンリー・キューブリック 出演者 ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット
この長いタイトルは監督の強いこだわりがあってのことで、世界中で翻訳するときにもタイトルは直訳以外は認めないという条件に入れたと言われています。
ただ原題を日本語に直訳すると「ドクター・ストレンジラブ あるいは: 私はどうやって心配するのをやめて爆弾を愛することを学んだのか」となりますが、日本のタイトルはわざと?少し変わっています。
ブラックコメディ映画の範疇で、東西冷戦中で米ソ核開発競争が盛んな時代、ソ連の近くで警戒飛行中のアメリカ空軍の核爆弾を搭載した爆撃機に、米空軍基地の司令官から「アメリカ本土がソ連から核攻撃を受けたので、大至急ソ連の核ミサイル基地へ核爆弾を投下せよ」と攻撃命令が下されます。
爆撃機は敵からの偽通信を防ぐため、司令官が決めた暗号を受信しない限りは通信ができなくなり、大統領を含む政府首脳などが集まり対策会議を始めますが結局は間に合わずに攻撃がおこなわれることになります。
一方、ソ連側には、核攻撃をされたときには自動的に米国に反撃するタイマーが設置されていることがわかります。
狂った司令官と話ができる英国から来ていた空軍大佐がいましたが、逆に軟禁されてしまい、米陸軍は空軍基地を攻撃して司令官を捕まえようとしますが、突入寸前で自ら命を絶ってしまい絶体絶命となり、、、
映画が公開された1964年というと、1962年に起きたソ連がアメリカの喉元とも言えるキューバに核ミサイルを配備する計画が起き、米ソが激しく対立し、全面核戦争が起きるかも?と思われていた直後です。
水爆に詳しい博士に大統領が「ソ連からの核攻撃を受けた時の対処法」を聞くと、「古い鉱山などの地下深くに逃げ込み、そこで半減期の500年ほど過ごせば出てこられる」(意訳)という回答だったのにはもう笑うしかありません。
主演のピーター・セラーズが、アメリカ大統領、英国空軍大佐、ストレンジラヴ博士のそれぞれまったく違った三役を演じているのもこの映画の面白さです。
ややB級映画っぽい雰囲気ですが、「2001年宇宙の旅」などとともにキューブリック監督の代表作のひとつに数えられています。
★★☆
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フィラデルフィア(Philadelphia) 1993年(日本公開1994年) 米
監督 ジョナサン・デミ 出演者 トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン
映画のタイトル「フィラデルフィア」は、アメリカの最初の首都であり、その意味はギリシア語で「兄弟愛」ということです。
映画は同性愛者でエイズに罹っている優秀な弁護士男性が、職場では病気を隠していましたがあるとき幹部に呼ばれて解雇を通知されます。
同性愛者、また当時は不治の病エイズ罹患者ということで、職場で差別的扱いを受けたとして弁護士事務所の幹部を訴えるという内容で、これは実話が元になっています。
とにかく、主演のトム・ハンクスの顔つきがエリート弁護士の頃とエイズで次第に弱っていく姿とでは別人か?と思うほど変わっていきます。エイズは急激に痩せ衰える病気なので、その変化を見事に表現しています。
特殊メイクもあるでしょうけど、2000年の映画「キャスト・アウェイ」でも、お腹がたるんだDHLの会社員の姿から一転、無人島でサバイバル生活を送る筋肉隆々の細マッチョ姿へ変身する驚愕の変わり身もあるので、役者魂が本物だということがわかります。
日本映画に登場するアイドル達が、江戸時代の武士や、戦争中の兵隊の役なのに長髪だったりするのとは大違いです。
アカデミー賞でもトム・ハンクスは主演男優賞を受賞しています。その後「プライベート・ライアン」や「フォレスト・ガンプ」などに主演して大ヒットを飛ばすことになる、31年前のトム・ハンクスの演技を見るだけでも価値がある映画です。
★★★
【関連リンク】
2024年9~10月に見た映画 弾を噛め(1975年)、スノーデン(2016年)、ハプニング(2008年)、ひとよ(2019年)、エアフォース・ワン(1997年)、放浪記(1962年)
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2024年5~6月に見た映画 岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年)、ハドソン川の奇跡(2016年)、ケイン号の反乱(1954年)、ゴールデンカムイ(2024年)、ダンディー少佐(1965年)、kapiwとapappoアイヌの姉妹の物語(2016年)、PERFECT DAYS(2023年)
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