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世界の終わり、あるいは始まり(角川文庫) 歌野晶午
主人公は埼玉郊外の一戸建て住宅に妻と小学生の長男、長女の4人で暮らしている東京の食品会社に勤務するサラリーマン。
ある日、長男と知り合いの近所の小学生が誘拐され、殺されるという悲惨な事件が起きます。さらに続けて同様の誘拐事件が自宅周辺地域で3件起き、連続誘拐殺人事件となります。
一連の誘拐殺人の特徴は、小学生を誘拐した後、拳銃で殺害したあと、その子供の携帯電話を使い父親の会社あてにメールで犯行声明と身代金を要求するもので、その身代金はすぐに用意できそうな少額です。
犯行は目撃者もなく、警察が関与したお金の受け取りにも現れず捜査は難航しています。
子供のことはほとんど妻に任せっきりにしていましたが、あるとき長男の机に誘拐された子供の父親の名刺を見つけ、どうしてなんの関係もなさそうな誘拐事件の被害者の父親の会社の名刺があるのか?そこから疑心暗鬼となっていきます。
さらに子供の部屋を調べると、犯行に使われたと思われる拳銃などが見つかります。
父親のとるべき方法としては、長男を連れて警察へ出頭するべきか、その前に犯行に使われた証拠品をなぜ持っているのか聞くべきか、いやもし小学生の長男が犯人だった場合、社会は両親や妹に対し猛烈なバッシングを浴びせるだろうし、一生返せない莫大な賠償額などを背負うことになり、、、とグルグルと妄想が渦巻いていきます。
確かにそういう事態が起きて発覚すると、その人(保護者)にとっては「世界の終わり」です。しかし本当にだんまりを続けていて良いのか?それともカオスな「世界の始まり」なのか?
終わり方は、読者それぞれに判断を任されているようで、ちょっとモヤッとしますが、それまで散々妄想と付き合わされてきたので、晴れやかな気分でもあります。
★★☆
◇著者別読書感想(歌野晶午)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
世界でいちばん透きとおった物語(新潮文庫) 杉井光
本著は、2023年に文庫で出版されましたが、紙の書籍であることが必須の仕掛けが施されています。ライトノベルなどが多い著者の作品は今回初めて読みました。
元グラフィックデザイナーの京極夏彦氏の小説には「ひとつの文章が次のページにまたがらない」(必ず文末で改行される)という独自ルールがあり、小説の中にはその京極氏に教えを請いたいという主人公の父親の推理小説家が出てきます。
過去に京極夏彦氏の小説は6作品を読んでいますが、そのような独自ルールで書かれていたなんてまったく知りませんでした。しかも単行本や文庫などそれぞれの文字数や行数に応じて修正しているそうです。
この小説もその京極氏の独自ルールが採用されていて、その影響なのかスラスラとリズムに乗って読みやすくなっています。が、しかしここでは明かせませんが、本著の超絶独自ルールはそれだけではありません。
ただ、文中に三点リーダー「・・・・・・」や長音符号「------」がやたらと多いのには違和感がありましたが、その理由は最後になってわかりました。タイトルにも関係しています。
主人公は有名な推理小説家の愛人だった母親の息子で、その小説家が癌で亡くなったことを知ります。母親も数年前に事故で亡くなっています。
一度も会ったことがない父親(推理小説家)のことはどうでも良いと思っていましたが、小説家の息子(義理の兄)から電話があり、遺作がどこかにあるはずなので探して欲しいと頼まれ、フリーで校正作業を出版社から請け負っていた母親と親しかった大手出版社の編集者と一緒に遺作探しをおこないます。
なかなか凝った内容となっていて、久しぶりに驚かされました。
なお、すでに続編「世界でいちばん透きとおった物語2」も出版されているので、そのうち読みたいと思っています。
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
クズリ ある殺し屋の伝説(講談社文庫) 柴田哲孝
タイトルの「グズリ」とは、日本には生息していないイタチ科クズリ属に分類される食肉類で、別名クロアナグマと呼ばれています。凶暴で爪と強力な顎で自分よりも大きな動物を一撃で倒すことができ、大きな熊も逃げていくそうです。その愛称を持つ殺し屋が主人公です。
20年も前に日本で暗殺の痕跡を残して消えてしまった殺し屋が、横浜に戻ってきて暗殺の仕事を再開します。
殺す相手は犯罪者で、特に麻薬に関連する人物をお金で依頼を受けて実行します。
警察庁の対テロ対策を担う外事課の警察官もその動向に注目しますが、使われた拳銃以外はまったく謎の人物で、過去に拳銃を売った密売人や、母親と思える人物と親しかった人物と会ったり、裏の動向に詳しい情報屋からネタを受け、ちょうど中国マフィアから送り込まれている二人の殺し屋とグズリを対決させ相打ちしたところで一網打尽にしようと目論みます。
主人公の出自はかなりややこしく、ロシア人の父親と日本人の母親で幼い頃にはロシアで育てられた記憶があり、子供の頃に父親も母親も亡くしています。
そして警察官の狙い通りに中国マフィアと本牧ふ頭で対決することになりますが、結果は想像通りの展開で、特にひねりや驚きはありません。このあたりは他の作品にも共通するパターンであっさりした終わり方です。
この作品の続編として「殺し屋商会」が2023年に発刊されています。
★★☆
◇著者別読書感想(柴田哲孝)
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向こうの果て(幻冬舎文庫) 竹田新
女優としていくつものNHK大河ドラマに出演、数多くのテレビドラマや映画、テレビCM、そして本業とも言える舞台と活躍の場は多いのですが、残念ながら私の記憶にはありませんでした。
ストーリーは、保険金目的の殺人事件で逮捕された女性と検事の対話が主になっていて、その女性の過去や周辺にいた男性達、そして検事自身の過去などが徐々に明らかになっていくという流れです。
容疑者の女性も殺人を認めていて、簡単な裁判になるはずでしたが、検事が女性の沼にはまっていくところはドキドキさせられます。
なにか内容は全然違っていますが、以前読んだ山田宗樹著の小説「嫌われ松子の一生」や有吉佐和子著「悪女について」をふと思い出しました。
いずれも貧しく壮絶な子供時代を送った女性が必死に生きていく姿を表していたからだろうと思います。
各章に視点(語り手)となる人物名がそれぞれ書かれていて、またテンポの良さもあって一気に読めてしまうのも特徴だと思います。
★★★
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