忍者ブログ
リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~ HomePage https://restrer.sakura.ne.jp/
Calendar
<< 2025/07 >>
SMTWTFS
12 34
6789 1011
13141516 1718
20212223 242526
27282930 31
Recent Entry
Recent Comment
Category
1537   1536   1535   1534   1533   1532  


1847
犬はどこだ(創元推理文庫) 米澤穂信

犬はどこだ
2001年にデビューした著者の比較的初期の作品で2005年に単行本、2008年に文庫化された長編探偵小説です。

個人的には探偵小説が好きで、タイトルからそれとわかる作品は好んで買いますが、さすがにこのタイトルで探偵小説という理解は及びませんでした。

主人公は有名な大学を出た後、都市銀行に入行しますが、肌が合わず病気になってしまい、都落ちで地元に帰ってきます。

病気療養という名の引きこもり生活をしていましたが、地元に戻ると病気はすっかり回復し、なにか自営業でもと思って「行方不明になった犬などペット探し」の調査会社、紺屋S&R(サーチ&レスキュー)を開設します。

しかし友人の紹介で訪ねてきた客はペットではなく人捜しや町の神社で見つかった古文書解読の仕事で、イヤイヤながらもそれに取り組むことになります。

都合良く、大学時代の後輩が出来高制で働いてくれたり、事務所開設直後に2件の依頼が入ったりと、まったく現実の厳しさは無視されていますが、軽薄で頼りなさそうな後輩が意外な活躍ぶりを見せたり、地元の喫茶店店主と結婚していた妹が意外な活躍をしたりと、ストーリー展開には激しい動きがあって面白く読めました。

そしてクライマックスでは、読者の多くが「あっ!」と驚く仕掛けが仕込まれています。さすがに一筋縄にはいかない作家さんです。

★★☆

著者別読書感想(米澤穂信)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

巡査長 真行寺弘道(中公文庫) 榎本憲男

巡査長 真行寺弘道
著者の本は今回初めて読みました。私とも年齢が近い映画監督や脚本なども手がけている多才な方で、2011年に監督や脚本を手がけた映画「見えないほどの遠くの空を」を小説として出版したのが実質的な作家デビュー作品です。

本著は後に「巡査長 真行寺弘道シリーズ」となるシリーズ第1作目で、2018年に文庫として出版されました。

そういう意味ではまだ作家としては駆け出しの頃の作品と言うことになりますが、それを知らずに読んでいるとかなりベテランの作家さん?と思って読んでいました。

それほどストーリー展開や人物描写がうまく、460ページを超える長編ですが引き込まれてサクッと読めました。視点が主人公の一人称だけというハードボイルドのスタイルで、他の登場人物が限られ読みやすいということもあります。

ただ個人的には、小説や映画でよく使われるリアリティに欠ける安易な手法、つまり天才ハッカーが主人公に協力して様々な入手不可能なデータを不正入手したり、システムを書き換えたりするということが物語の重要ポイントになっていることが、どうにも安易で小説の質を下げてしまうことになり面白くありません。

巡査長とは警察の中でも最初に就く巡査の上の階級的職位で、実質はヒラの巡査と同じ階級にあたります。

主人公は50代で、刑事部長賞も得るなど事件解決では優秀な警視庁の刑事で、本来なら課長級の地位にいるのが普通ですが、自ら現場で好きなように捜査をしたいため昇級試験は受けずヒラに留まったままの変わり者の刑事です。

シリーズ作品としては、「ブルーロータス 巡査長 真行寺弘道」(2018年)など4作品がすでに既刊ですので、読んでみたいと思います。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

罪責の神々 リンカーン弁護士(上)(下)(講談社文庫) マイクル・コナリー

罪責の神々
弁護士のミッキー・ハラー・シリーズの第5作目で、原題は「The Gods of Guilt」、米国で2013年、日本語翻訳版は2017年に出版されています。

順序としてはこの後の作品の「潔白の法則 リンカーン弁護士」(米国2020年、日本語2022年)を先に読んでいます。

家族の問題や、過去に関連した人物がこの小説で再登場をしますが、ストーリーは続編的な展開ではないので、読む順番はあまり関係がありません。

もう一つの著者の代表作「ハリー・ボッシュシリーズ」は三人称で書かれますが、このシリーズは一人称です。それ故に登場人物が多くても視点がひとつなので読みやすいです。

今回の法廷劇は、娼婦が絞殺され、その娼婦のポン引き役の男が分け前のトラブルがあり逮捕されますが、その男が殺された娼婦からハラーのことを聞いていたことからハラーに弁護を依頼してきます。

娼婦のことを調べると過去に弁護をしたことがある女性で、娼婦の世界から足を洗わせたという自負があったものの、再び名前を変えて夜の世界に戻り殺されたことがわかります。

そこから話しがややこしくなりますが、娼婦がなぜ殺されたのか?という事情を調べていくうちに、様々な行動監視や妨害、意図的な事故が身に起き始めます。

また過去に殺された娼婦の弁護をしている時に、司法取引で麻薬を扱うメキシカンマフィアの大物を売ったことにも関係し、本来なら狙われるべき相手と手を組み、より大きな敵と対峙していくことになります。

ま、いつもと同じパターンで、終盤は痛快でテンポの良いリーガルサスペンスで、検事や相手側の証人をバッタバッタと斬っていくという次第です。

しかし、特に弁護士や検事などの経験はない作家(作家になる前は新聞記者)で、これだけの司法手続きや法律などに詳しいというのは驚くばかりです。

★★☆

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで(中公新書) 磯田道史

日本史を暴く
元は読売新聞の「古今をちこち」で連載されたエッセイをまとめ、2022年に発刊された新書です。執筆当時が新型コロナ禍が流行していた頃で、その関係から疫病の歴史について詳しいです。

のたりくねった筆跡で書かれた戦国時代や江戸時代の古文書をスラスラと読んで、知識のない人にもわかりやすく解説してくれる能力と爽やかな弁説はテレビ向けでもあり各メディアはたいそう重宝しています。

私もNHK BSで放送されている「英雄たちの選択」は、毎週欠かさず録画して見ています。

第1章は「戦国の怪物たち」で織田信長や松永久秀、明智光秀、徳川家康などの裏話など、第2章は「江戸の殿様・庶民・猫」で、江戸時代の猫について書かれている古文書を探し出して紹介しています。

第3章は「幕末維新の光と闇」で、西郷隆盛、坂本龍馬、松平容保、伊藤博文などが登場し、チョンマゲのやめ方などもあります。

最後の第4章は、著者がもっとも力を入れている歴史から学び、災害を予見し、備える活動に準じた「疫病と災害の歴史に学ぶ」です。

「徳川家康が目指した社会」とか「本能寺の変が起きた理由は?」など、一般的な歴史の話しは、教養というのではなく雑学としての知識しか役に立ちそうもありませんが、疫病や災害について書かれた古文書や伝聞は現代でも大いに役立ちそうです。

★★☆

著者別読書感想(磯田道史)

【関連リンク】
 6月後半の読書 夜明けの雷鳴 医師高松凌雲、魂をなくした男、日本の地方政府、神座す山の物語
 6月前半の読書 果しなき流れの果に、センス・オブ・ワンダー、わくらば 短篇集モザイクIII、人新世の「資本論」
 5月後半の読書 花の鎖、世界インフレの謎 そして、日本だけが直面する危機とは?、蝉かえる、氷の闇を越えて

[PR] Amazon 書籍 売れ筋ランキング

ビジネス・経済

ビジネス実用本

新書

文庫

文学・評論

コミック

ゲーム攻略・ゲームブック 

ハヤカワ・ミステリー  

創元推理文庫

新潮文庫

講談社文庫

角川文庫

集英社文庫

岩波文庫

文芸作品

ノンフィクション

ミステリー・サスペンス

SF・ホラー・ファンタジー 

歴史・時代小説

経済・社会小説

趣味・実用

リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
PR

コメント
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
ブログ内検索
プロフィール
HN:
area@リストラ天国
HP:
性別:
男性
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
============
プライバシーポリシー及び利用規約
Template & Icon by kura07 / Photo by Abundant Shine

Powered by [PR]


忍者ブログ