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卑弥呼の葬祭 天照暗殺(新潮文庫) 高田崇史

卑弥呼の葬祭
「QEDシリーズ」や「古事記異聞シリーズ」などシリーズものが多い著者さんですが、これは2018年に単行本、2019年に文庫化された単独の歴史ミステリー小説です。

単独と書きましたが、作中には以前事件を解決してくれたという「毒草師シリーズ」の主人公の名前が出てきたり、他の作品を全部読んだわけではないので不明ですが、完全に独立した作品かどうかは定かではありません。

テーマは、卑弥呼は誰か?ということですが、魏志倭人伝や記紀などから、国造りの神話、古代天皇など、様々に展開していき、多少はその辺りの知識がないと理解するのは結構大変です。

私は幸い、以前著者の「古事記異聞シリーズ」を読んでいて、国造り神話の解釈や登場人物について、ある程度の免疫ができていたので、さほど苦しむことなく面白く読めました。

舞台は、大分県の宇佐神社、宮崎県の高千穂周辺で、実際に存在する凶首塚古墳や百体神社、天岩戸神社など、いわくありげな地名や名称がいろいろと登場して読み応え十分です。

決して旅行ガイドブックではないですが、私は出雲地方へ旅行する前に「古事記異聞 鬼棲む国、出雲」を読んでおいてたいへん役立ちました。もし九州方面へ旅行する時には、一度読むことをお勧めしたい小説です。

★★☆

著者別読書感想(高田崇史)

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オーパーツ死を招く至宝(宝島文庫) 蒼井碧

オーパーツ死を招く至宝
著者はこの作品で2017年の「このミステリーがすごい!」の大賞を受賞した1992年生まれの若い作家さんです。この作品がメジャーデビュー作となり、2018年に単行本、2019年に文庫化されています。

タイトルの「オーパーツ」とは、「out of place artifacts」 の略で、発見された場所や時代とそぐわない遺物や加工品のことで、ひとことで言えば「場違いな工芸品」です。

例えば古代マヤ文明の遺跡から見つかったクリスタルスカルや、コロンビアの古代文明の遺跡から見つかった黄金のシャトル(飛行機)などが有名です。

この作品では、連作で4つの物語が収録されており、第1章「十三髑髏の謎」、第2章「浮遊」、第3章「恐竜に狙われた男」、第4章「ストーンヘンジの双子」とエピローグで構成されています。

第1章では、映画インディ・ジョーンズの「クリスタル・スカルの王国」で有名になったクリスタルスカル(水晶髑髏)、第2章では黄金シャトル、第3章では恐竜土偶、第4章ではストーンヘンジなどの石柱と、それぞれオーパーツがテーマとなっていて、そこに殺人事件が絡んできます。

主人公は、自称オーパーツ鑑定人の男子学生がホームズ役、顔がうり二つの同じ大学生がワトソン役として事件を解決していくというものです。

ミステリー小説としては、まだ荒削りというか、かなり設定に無理がありますが、日本人にはあまり馴染みがないオーパーツをテーマにした小説という珍しさがあり興味を惹かれます。

エピローグでは第4章に登場した謎の兄妹の双子について、続編を想像させる内容でしたが、今のところまだその続編は出ていないようです。

★★☆

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大名倒産(上)(下)(文春文庫) 浅田次郎

大名倒産
2026年から文藝春秋に連載され、2019年に単行本、2022年に文庫化された長編時代小説で、2023年には、まだ見ていませんが、前田哲監督、神木隆之介、杉咲花、松山ケンイチらの出演で映画が製作されています。

3万石の越後の小藩では巨額の借金が積み重なり財政破綻が間近に迫っていたことから、藩主である先代が、町人の娘に手を出して産ませた人の良さそうな四男に家督を譲り、財政破綻の責任をすべて負わせ廃藩に追い込もうと画策します。

主人公はその悪だくみにはめられた長屋育ちの四男で、なにも知らされずに名門家の跡継ぎとなり、やがて自分が窮地に立っていることを知ることになります。

本作の舞台、丹生山(にぶやま)藩は越後の3万石を治める架空の藩ですが、立地的なモデルは江戸時代の村上藩(新潟県村上市)だそうです。

最初のうちは、真面目でシリアスな歴史小説と思いきや、途中から貧乏神やら七福神、疫病神、死神、薬師如来まで出てきて、てんやわんやの騒ぎです。

そう言えば著者の同じ江戸時代末期の時代小説に「憑神」という貧乏神が出てくる似たようなものが過去にありました。

そして文庫の解説の代わりに「浅田次郎×磯田道史」という対談が巻末に載っています。事実を追い求める歴史学者と、ほどほどに史実を散りばめて創造力を駆使しエンタメに仕上げる小説家が、それぞれの視点で歴史小説について対談をすることがとてもユニークで面白いです。

その対談は、文藝春秋のサイトでも読めます。
対談 浅田次郎×磯田道史 改革をなし得る人とは

小説と映画では登場人物に違いがあり、内容も少し変わっていそうですが、映画も見たくなりました。

★★★

著者別読書感想(浅田次郎)

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給食のおにいさん(幻冬舎文庫) 遠藤彩見

給食のおにいさん
テレビドラマや映画の脚本家として1996年頃から活躍し、2013年に初めて本作品を発表し、小説家デビューした作家さんです。

また本作品は単行本→文庫という通常の流れではなく、文庫書き下ろしです。

タイトルから想像していたとおりの展開で、仕方なく給食の調理員となった若い男性主人公が、その仕事や子供達との交流を通じて、今までの考え方をあらため、成長していくというストーリーです。

続編がすでに「給食のおにいさん 進級」(2014年)、「給食のおにいさん 卒業」(2014年)、「給食のおにいさん 受験」(2015年)、「給食のおにいさん 浪人」(2016年)と4作品が出版され、シリーズ化しています。

主人公はフレンチの名店で修行した経験があり、各種の料理コンテストで優勝した経験もある料理人で、独立して自分の店をオープンした直後に火事に見舞われ、しばらくどこかに勤めて貯金をしようと募集していた小学校の給食調理員になります。

様々な家庭環境の子供達や、給食という予算や栄養、子供達の好み、300人を超える大量の食事を短い時間で作るなど多くの制約がある中で、奮闘していきます。

私が小学生の頃(60年前)の給食と言えば、美味しいと思ったことは一度もなく、単にお腹を膨らませるためのもので、給食の時間が楽しみとか楽しいという感じはありませんでしたが、様々な報道などで知ってはいましたが今の給食は様変わりしています。

私の小学生の頃には主食は必ず食パンで、ご飯だったことは一度もなく、副菜もたいていは1品だけでした。

そして低学年の頃はまだ脱脂粉乳という飲むのさえ苦痛が伴うものが毎日出て、高学年の途中から牛乳に変わって救われた思いがありました。そして給食を全部食べるまで遊びには行けず、残すことは許されませんでした。

その様変わりした給食の内容を本著で詳しく知り驚きと共に、残しても良くなっているのは子供達の人権や、やかましい親に配慮した結果なのでしょう。

当初はよくあるお仕事小説かな?と思っていましたが、現代の給食事情や、モンスターペアレント、ネグレクトなど様々な社会問題をはらんだ社会派小説とも言えます。

★★☆

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