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ドキュメンタリー小説「深海の使者」吉村昭著を読み終えて、過去に潜水艦を題材にしていたり、主要な場面に潜水艦が登場したりした小説や映画、コミックやアニメで読んだり見たものはどれほどあったかなと思って調べてみました。

割と最近に「終戦のローレライ」福井晴敏著と、その映画版「ローレライ」があります。ドイツがフランスから接収した連装の主砲を持つ架空の潜水艦を日本が譲り受け、さらにそれに人間特殊兵器を積み、終戦近く、撃沈されるのを覚悟の上で浮上し、広島長崎の後さらに東京へ原爆投下をするためにテニアン飛行場を飛び立つB-29爆撃機を潜水艦の主砲で撃ち落とすという奇想天外なストーリーでそこそこ楽しめました。

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またそれとほぼ同時期に映画で「出口のない海」、テレビドラマで「僕たちの戦争」において、同じ回天という魚雷を改造した特攻兵器を扱ったものです。

この2つは人気作家の横山秀夫氏と荻原浩氏の各小説で、映画やテレビで見る前に先に読んでいて、あとで映画化やドラマ化を知りました。

回天の実物は靖国神社の遊就館(博物館)に展示されていますが、そのすぐ横に置いてある魚雷とほぼ同じ大きさで、まさに鋼鉄の棺桶です。

2009年公開の映画「真夏のオリオン」の原作は、池上司著「雷撃深度一九・五」という実話を元にした小説で、内容はだいぶんと変えられていますが、終戦近く劣勢に立たされながらも伊号潜水艦がアメリカ駆逐艦と激しい攻防を描いたものです。

古い映画や小説では、ソ連が開発した新型推進装置を持つ最新鋭原子力潜水艦レッド・オクトーバーとともに艦長がアメリカへ亡命しようとするトム・クランシーの小説「レッド・オクトーバーを追え」が、小説・映画とも秀作です。

ちなみにこの映画では、潜水艦では当たり前にある迫力ある海中での戦闘シーンがありますが、撮影は水は一滴も使わなかったという、特殊効果だけで制作されています。

他の小説では池上司著の「無音潜航」は、自衛隊が誇る静かなディーゼル潜水艦対中国の艦船が一発触発の状態になるという内容で、尖閣諸島問題でお互いに譲れない緊張状態を早くから警告し、さらに今後このような事態がいつ起きても不思議ではないと思いました。

映画になるといっぱいありすぎて、もうすっかり内容も忘れてしまっているものも多いのですが、その中では、ドイツの誇るUボートとアメリカの駆逐艦との心理戦や駆け引きが見ものだった「眼下の敵」や、日本の駆逐艦対アメリカ潜水艦の闘いを描く「深く静かに潜航せよ」も、後者は日本がやられてしまう側なので複雑な思いながら緊張する場面の多いいい映画でした。

最近に見た「渚にて」は古い白黒映画ですが、核戦争によって放射能に汚染された地球において、南半球のオーストラリアとアメリカの潜水艦のみが生き残っているという設定で、東西冷戦下の核兵器開発競争時代を皮肉った秀作でした。

やがてオーストラリアへも放射能が忍び寄ってくることがわかり、アメリカ原潜が選んだ道は、どうせ放射能にやられて死ぬなら故郷に帰ってという、重い選択がなされます。

Uboat7C.jpg

「Uボート」は西ドイツ(当時)が制作した大作映画で、アカデミー賞6部門にノミネートされる実績を残しました。

この映画では、多くの武勲をあげたことでなにかと英雄視されがちなUボートですが、乗組員にとっては海に浮かぶ棺桶と同じで、非情で過酷でとても厳しいものであったことを訴えかけ、しかも最後はあっけなく悲しい結末となるものです。

日本でも英雄や特攻隊員を賞賛するものではなく、そういった一乗組員の目線で潜水艦映画を作ってもらいたいものです。

「1941」は若き頃のスピルバーグ監督の映画で、太平洋戦争初期(1941年)、真珠湾を攻撃したあとアメリカ本土にも日本が攻めてくるという危機感をコミカルに描いたものですが、その中に三船敏郎が艦長役で潜水艦に乗ってアメリカまでやってきて、サンタモニカにある有名な桟橋を攻撃し、観覧車を破壊するシーンが笑えました。

「K19」はソ連の原子力潜水艦の原子炉が火災に遭い、それを消火するために、多量の放射能を浴びながらも必死で格闘する実話を元にした潜水艦映画です。

消火活動中の乗組員の姿は、見るに忍びない悲惨極まりない状態ですが、どうにか消火でき、無事に帰港することができます。

そして数年後に艦長の下に乗組員が集まった時には、その多くは無事元気な姿で再会を喜び合うという最後にホッと安心できた映画でした。

この映画を思い浮かべると、福島で必死に放射能漏れを食い止めようとしている人達とダブってしまいます。

下記に映画の潜水艦艦長役の一覧を書きましたが、潜水艦の艦長というのは、当然主役でもありますが、それにしても日米ともトップクラスの役者が演じているのには驚きます。

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コミックの「あかつき戦闘隊」は、故園田光慶氏が少年サンデーに連載していた漫画ですが、戦時中の人間関係の描写もリアルで、絵もうまく楽しめました。

主人公は戦闘機パイロットですが、決してヒーローではなく、次々と仲間が死んでいき、最後には主人公も撃墜され亡くなります。

物語の終盤では潜水艦(伊号)との関わりが増え、その中に格納していた戦闘機(水上機ではなく)を飛び立たせるなど、今思うとあり得ない設定もありましたが、小学生当時(1969年)はワクワクして読んでいたことを思い出します。

潜水艦を扱ったものでまだ読んでいない小説や、見ていない映画もありますが、小学生の頃はいくつもの潜水艦のプラモデルを作ってお風呂で遊んでいました。

なぜそれほどに潜水艦が好きかというと、その理由は自分でも不明です。

ちなみに会社のパソコンでは、スケジュールされた会議などの時間が来たときに画面のPOPアップと音声で知らせる機能を付けていますが、その時の音声にはソナーの発信音(本物)を採用しています。


■潜水艦を扱った小説で読んだ一覧
レッド・オクトーバーを追え トム・クランシー

無音潜航 池上司

雷撃深度一九・五 池上司

終戦のローレライ 福井晴敏

新紺碧の艦隊 超潜出撃須佐之男号・風雲南東太平洋 荒巻義雄

深海の使者 吉村昭

出口のない海 横山秀夫

僕たちの戦争 荻原浩


■潜水艦を扱った映画、DVD、TVで観た一覧
眼下の敵 1957年米 駆逐艦艦長役:ロバート・ミッチャム

深く静かに潜航せよ 1958年米 潜水艦艦長役:クラーク・ゲーブル

渚にて 1959年 米 潜水艦艦長役役:グレゴリー・ペック

海底大戦争 スティングレイ 1964年英 人形劇

原子力潜水艦浮上せず 1978年米 潜水艦艦長役:チャールトン・ヘストン

1941 1979年米 潜水艦艦長役:三船敏郎

復活の日 1980年東宝 潜水艦艦長役:チャック・コナーズ

Uボート 1981年独 潜水艦艦長役:ユルゲン・プロホノフ

レッド・オクトーバーを追え 1990年米 潜水艦艦長役:ショーン・コネリー

クリムゾン・タイド 1995年 米 潜水艦艦長役:ジーン・ハックマン

K19 2002年米・英・独・加 潜水艦艦長役:ハリソン・フォード

Uボート最後の決断 2003年米 潜水艦艦長役:ウィリアム・H・メイシー

ローレライ 2005年東宝 潜水艦艦長役:役所広司

出口のない海 2006年松竹 潜水艦艦長役:香川照之

僕たちの戦争 2006年TBS 回天乗組員:森山未來

真夏のオリオン 2009年東宝 潜水艦艦長役:玉木宏


■潜水艦を扱ったコミック・アニメで読んだ一覧
沈黙の艦隊 かわぐちかいじ

サブマリン707 小澤さとる

あかつき戦闘隊 園田光慶



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