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1980年代まで主流だった国民総中流社会では「価格相応にいいもの」または、「他人と差別化ができる」、さらには「お得感があるもの」を作れば、あまり手の込んだことをしなくてもモノはどんどん売れていくのが普通でした。

その要因としては購買意欲の高い団塊世代が、消費者の中心にいたからと思えます。

しかしその団塊世代も引退し、高齢者はそこそこお金持ち(世帯平均1600万円の貯蓄)だけど、それを積極的には使うことはありません。

お金を使うであろう若い世代はと言えば、長引く不況でみんな貧乏で、従来のような「いいものだから売れる」「差別化できるから売れる」というビジネス感覚はもはや風前の灯火です。

では、どうするか?

 1)お金を使わない高齢者にもっとお金を使わせる仕組みや商品を作る
 2)お金がない貧乏な若者から少しずつお金を取る方法を考える

の二つです。

1)はすでに様々な試みがおこなわれていますが、もの凄い大ヒットというのはあまり聞きません。例えば満額の退職金をもらい、定年で暇になった高齢者夫婦向けに、世界一周の船旅とか、リゾート地にある永住型ケアハウスとか、趣味の高級一眼カメラとか、お孫さんに買ってやる商品などはそこそこ売れていますが、流行しているとは言えません。

高齢者は体力ばかりでなく基本的に消費意欲も衰え、さらに今後の老後のことが心配なのでお金は貯蓄に回します。それが振り込め詐欺やリフォーム詐欺などの格好の餌食となってしまっているわけです。

振り込め詐欺で数千万円を騙し取られたという報道が決して珍しくありませんが、いったいこの高齢者はいくら貯金を持っているのか?と下世話に思ってしまいます。そういう意味では振り込め詐欺などは裕福な高齢者に向けて大ヒットしているビジネス(もちろん違法)と言えるのかも知れません。

あと、若者というわけではありませんが、貧困ビジネスというのは、ホームレスの人などに声をかけて、生活保護費が受給できるよう住居や申請のノウハウを提供し、それで支給された生活費のほとんどを巻き上げてしまうあくどいビジネスですが、それをもっと合法的にスマートにして若者向けにおこなうのがおそらく2)のパターンとなります。

例えば今は若者にとって携帯電話は生活していく上で絶対必要なツールです。職探し、仕事、恋愛、投資、友人とのコミュニケーション、情報検索、ニュース、話題、ブログ、SNS、カメラなど、それなしではもう生きていけないという人も多いのでしょう。

携帯電話を持つには基本料金が最低でも月に千円程度が必要です。千円ならばアルバイトで生計を立てている貧乏な若者でも支払っていけます。しかしその基本料金だけでは絶対に済まないのも携帯電話です。

通話料、ネット接続料、留守録などオプションに加えてゲーム、お財布携帯、ナビ、有料アプリだと言ってその金額は膨れあがっていきます。携帯電話料金の引き落とし直前にはいつも慌てて借金したり、日雇いバイトをして、食費を削ってでも電話を止められることがないように最優先で支払っていると聞いたことがあります。

しかもそれが高額になっていくのを選ぶのは利用者なので、サラ金のように「借りすぎ注意」の警告や業界の自粛、罪悪感など微塵もありません。

携帯電話会社としては、美味しそうなメニューを一見安く見えるようにして並べておいて、例え貧乏で食事を我慢して携帯料金を支払うような人にも、もっと使いたくなる、使わなければいい思いができないようPRをすればいいわけです。

したがってひとつひとつのサービスを見ると月数百円という単位が多く、ついつい利用してしまうという戦略が徹底しています。これも言ってみればひとつの貧困ビジネスだと思っています。

そのようにして、若者を携帯電話中毒患者にしてしまえば、あとはもう何年、何十年と黙っていてもお金を支払い続けてくれるわけですから、これほど美味しいビジネスはありません。2年縛りの新規契約ならそれこそ例えば最初の半年間すべてを無料にしてもその後で十分利益が得られるでしょう。

このような少額だけど毎月延々と支払続けるビジネスと言うと、昔から公共料金と言われる、NHK、電力、水道、ガス、固定電話などがあります。

これらは生活する上で必要なコストなので、嫌だから払わないというわけにはいかず、しかも地域独占事業なので競争がなく一般的に割高です。赤字になりそうなら値上げすればそれで潤いますから楽な商売です。

今回の福島の事故により、電力会社がいかに儲かるか、無駄遣いをしてきたか、自民党に巨額の政治献金しているかなどが明らかとなりましたが、マスコミや政治家や学者を囲い込むため何千億円というお金をばらまいてそのおいしい利権を守ろうとしてきたかがよくわかります。

それに国民が気がついてしまい、電力会社は事故以上に慌てていますが、その儲かる仕組みや請求する根拠になる詳細なデータは民間会社の壁として、一切非公表のままです。

そりゃ出せばその内容の不明瞭さは明らかで非難囂々ですから出せるわけがありません。

NHKは地デジ化によってテレビを捨てる人の影響で、受信料が1割減収と試算しているようですが、ネットで視聴する人からも受信料を支払わせるため、法律を変えてその減収を穴埋めしようと懸命です。

元々NHKは視聴者からの受信料と多額の税金で番組を制作しているので、言ってみれば豊富な過去のコンテンツは国民の共有財産とも言えます。

それをまたぼったくりの高い料金で再配信をしたり、天下りだらけの関連会社で高額なDVDにして売って儲けるのはまったくけしからんことです。

以前某カード会社から「特典いっぱいのプラチナカードへグレードアップしませんか」の電話が頻繁にかかってきたことがありました。

そこでは「初年度は今と同じ標準の年会費でいいから、とりあえず1年だけでも入ってみませんか」と言われました。しかしカード会社の契約を解約や変更するのは結構手間で、電話をして書類を送ってもらい、手書きで記入し、捺印して返送するとか考えるとついつい忘れたり面倒になり、そのまま継続してしまう、、、というのが敵方の作戦です。

なので「1年後に自動的に元のカードの契約へ戻してくれるなら入ってもいいよ」と返事しましたが、なぜかそれはできないということで交渉は決裂しました。

もっとも、プラチナ会員向けの豪華絢爛なな会報誌を送ってもらったり、1泊十数万円の高級ホテルの宿泊や、数万円のディナーを優待価格で2割引きにしてもらっても、利用する機会は私の場合皆無です。

それが何度も勧誘され、あまりにうるさいので、通常のカード(年会費数千円)まで解約し、今は会費永年無料のカードを使っています。やりすぎると逆効果ってことを少しは学んでもらいたいものです。

話しはちょっとずれましたが、このように、古くからある毎月少額を途切れることなく延々と支払わせる方法こそが、貧乏な若者(若者とは限らず一般的な庶民から)からお金をむしり取る、最近のトレンドなのです。

独身でも世帯主ならば、公共料金や携帯電話以外にも、毎月あるいは毎年決まって長年にわたって支払続けているものがあるでしょう。例えばCATV視聴料、ネットプロバイダー料金、レンタルサーバ、ヤフオクプレミアム会員料金、有料メルマガ、モバイルデータ通信カード、デジタルフォトフレーム利用料、電子新聞、パソコンのサポート保守料、クレジットカード年会費、セキュリティソフト更新料、レンタルビデオ店の年会費などなど。いずれも最初は月数百円~千円程度で、相手に身構えさせない金額となってます。

販売側もこのように長期間安定した収入が得られるというのは、非常にありがたいことで、毎月新規加入と退会者の差だけをチェックしていればよく、売上は年間を通して安定したものとなります。「初年度無料」とか「3カ月無料」をうたっているものは、そうしても結局は儲かるのがわかっているからに他なりません。

さすがにもう「初年度無料」に魅力を感じて新たに高額な契約を結ぶ人はいないでしょうけど、下に小さな文字で、「○年以上の契約者に限る」とか、「1年未満で契約する場合には違約金として…」と書かれているケースが多く、これほど流行や技術の変遷が早く、企業やサービスの寿命が短い時代に2~3年も固定されるというのは結構大きなリスクです。

毎月自動的に引き落とされるものって、徐々にお金を支払っているという感覚が薄れ、さらに解約するのは面倒なようにできているので、例え無駄だとわかっていても、ま、数百円だからいいかと、ついつい解約せずに支払い続けてくれる人を狙い打ちしていくわけです。

そういうやり方で貧乏な若者からも少しずつお金を取るように世の中はなっているのです。



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無題
今度高齢者向けビジネスを考えてるので、大変勉強になりました。
2012-01-27 Fri 14:52
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