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私が会社に入社したのは1980年ですが、その時経理部の人から「確実に儲けたいならなんでもいいから新規公開株の公募に投資せよ!」と言われました。

確かにその頃(1980年代)からバブルが終わるまで、いやおそらくバブルが弾けたあとの2000年頃までは、公募されるブックビルディングの公募価格と実際の公開直後の初値を比べると、6~7割の銘柄は初値が上回り、残りも公募価格よりも大きく下がるということはほとんどなく、横ばいだったように思います(未確認)。

もっとも史上最高の平均価格を付けたバブル時以降は、例え公開直後の初値では上回っていても、その後数カ月の間に公募価格を割り込み、ひどいのは紙くず同然や、1/10以下になってしまうような新規上場株も多く見られました。

つまりその頃までは、公募価格で買うことさえすれば、6~7割の勝率があり、欲を出してもっと上がるかもと持ち続けたりしないで、初値でとっとと売ってしまえば確実に儲けることができる投資だったというのが新規上場株だったのです。

しかし2000年頃からは、次第に公募価格を初値が下回るケースが増えてきて、とても6割の勝率を期待できるものではなくなりました。大きな要因としては平均株価がバブル以降下落し続け、日本の株式へ投資をする人(外国人含む)が減ってきたということでしょう。

そして従来ならば業界紙や証券会社の営業マンからしか情報が得られなかった新規上場株が、ネット取引が急増し、誰でもが簡単に情報を得ることができるようになったことはいいとしても、期待度が大きな人気株ばかりに購入希望が殺到し、逆に期待度が薄いと公募株は余って上がらない(逆に下がってしまう)ということがあるのでしょう。

最近8カ月間の例で見ると、
20111030_1.jpg

22社中、公募価格から初値が5%以上上昇したものが8社、逆に初値が5%以上下落したものは6社、ほぼ横ばい(-5%~+5%)だったものが8社となり、勝ちは36%、負けが27%、引き分けが36%という結果になります。ちなみに引き分けでは証券会社への手数料や、売却時の税金を差し引くと結局は損をすることになってしまいます。

比較のため、1980年代のがみつからないので、バブルもはじけた後の2000年のデータを比較してみましょう。
20111030_2.jpg

つまり、以前とは違い、公開株を公募価格で買っても、やや勝ちが上回るものの、もはや大勝ちすることは滅多になく、この8カ月間で言えば、初値が公募価格のほぼ2倍になった駅探(現在は大きく下げ初値の約1/7の749円)、2倍以上になったKLab(現在価格は順調に伸ばし初値の1.3倍の5,180円)やブレインパッド(現在価格は初値の2/3に下がり4,230円)ぐらいしかうま味はなかったということでしょう。

いずれにしても、もう新規公開株取引は、新入社員がなけなしのお金をつぎ込んでやるようなものではなく、余裕のあるところでしか、できなくなってきたようです。

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