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散る。アウト 盛田隆二

2004年に発刊、2009年に文庫化された小説です。(文庫版の)盛田氏の作品は過去概ね読んできましたが、その中ではちょっと異色の作品です。「散る。アウト」は「chill out」とかけていて、意味は「頭を冷やせ」とか「落ち着け」と言ったような意味です。

主人公は大学を卒業し、信州の精密機械メーカーに勤務し、順風満帆な生活をおくっていたものの、ある時から先物相場に手を出してしまいます。結局、その穴埋めでサラ金などから1千万円以上の借金を作ってしまい、妻は逃げだし職場からは追われ、借金取りから逃れるために東京の公園で寝泊まりしています。

日比谷公園で遠く中国やモンゴルから飛来する黄砂を浴びながら、死ぬことだけを考えていたところ、外国人との偽装結婚にスカウトされ、モンゴルへ飛び立つことになります。

そこで現地の女性と結婚式をあげ、証明書を発行してもらって帰国する予定が、同行していた男性がホテルで何者かに殺され、事件に巻き込まれてしまいます。その辺りから盛田作品には今までなかったハードボイルド的な展開となってきます。

モンゴルは元々社会主義国で日本との関係はそれほど深くはなかったものの、ここ数十年のあいだは様々なODA援助や資源輸入など関係は深まってきています。日本からも毎年2万人程度が観光やビジネスで訪れ、日本の国技と言える大相撲の力士ではモンゴル勢が上位を占めているのは両国の友好に貢献しています。

しかし、モンゴル国内はと言えばまだまだインフラ整備が遅れ、治安も悪く、ストリートチルドレンが多いなどアジアの中でも経済発展が遅れています。おそらくそのようなモンゴルの姿を著者が目の当たりにして、創作意欲をかき立てられたものと思います。

以前の社会主義国によくある外貨稼ぎのために観光客を誘致し、その観光客が辿るルートだけは見かけ上綺麗にしておくものの、一歩裏道に入ると腹黒い役人や様々な利権を手にするマフィアが暗躍し、捨てられた子供達が路上で必死に生きているという貧しい国の姿がよく伝わってきます。

主人公の日本人はモンゴルに着いてからは、ひ弱ながらも懸命に生きようともがきながら、やがては運命にまかせてロシアへ、そして再び日本へと帰ってきます。最後の終わり方がちょっと気に入りませんが、この主人公のその後を描いた続編を期待したいところです。

著者別読書感想(盛田隆二)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

盗作 (上)(下) (講談社文庫) 飯田譲治・梓河人

飯田譲治氏はどちらかといえば小説家というより映画監督や脚本家としてのほうが有名で、監督・脚本作品としては「NIGHT HEAD 劇場版」(1994年)、「らせん」(1998年)、「アナザヘヴン」(2000年)など、その他「世にも奇妙な物語」など数多くのテレビドラマの脚本等を書いています。

この小説は2006年に単行本、2009年に文庫化されました。梓河人氏との共作はこの「盗作」をはじめ、いくつかの小説でおこなわれていますが、実際この梓河人氏がいったいどのような人か調べてもよくわかりません。謎ですね。

この小説を読み始めたときは、女子高生の学園ドラマかと思いましたが、そうではなく、ちょっと精神世界に踏み込むオカルトチックなテーマのものです。

主人公の女子高生に、ある日突然天から神が降臨してきたような超常現象が起き、筆をとりがむしゃらに絵を描くことになります。そしてその絵を見ると誰もが呆然としてしまう傑作が出来上がっています。そしてその絵が全国的に話題になるも、やがてそれがあるモザイク絵とうり二つだということが判明し、盗作の疑惑をかけられてしまいます。

時は過ぎ、主人公は社会人になって東京で地味なOL生活をおくっていた時、やはり絵を描いた時と同じような突然のひらめきで、歌を作詞作曲します。これがまた大ヒットして多額の印税を手にすることになりますが、今度はオーストラリアの原住民アボジニが歌う曲とそっくりということがわかり、再び大きな非難を浴びてしまうことに。

本人は絵にしても曲にしても元の作品とはまったく接点がないのに、なぜそのような瓜二つの作品ができてしまうのかという奇妙な出来事に打ちひしがれてしまいます。自分の頭に浮かんだひらめきを作品にすることが芸術だと信じていたものの、それが盗作だと言うことになれば、創作とはいったいなんだという疑問にぶつかります。

そして盗作の疑惑をかけられたまま、逃げ出すように結婚してアメリカへ渡り、子供も授かり幸せな暮らしをおくっていた主人公は、三度自己の欲求を抑えることができず、夫の制止を振り切り、家を飛び出して今度は大河小説を書くことになります。その小説がなんとノーベル文学賞を受賞することになりますが、果たしてその作品は、、、という最後までドキドキハラハラの展開です。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

黄昏の百合の骨 (講談社文庫) 恩田陸

2004年発刊、2007年に文庫化されたミステリー作品ですが、初出は文芸誌メフィストで2002年だったということで、10年以上前に書かれています。デビュー後10年が経ち、人気作家として次々とヒット作品を発表していた頃でもあります。

三月は深き紅の淵を」(1997年刊)、「麦の海に沈む果実」(2000年刊)の続編で、主人公だった水野理瀬のその後が描かれていますが、実は読み始めてからそのことを知り、その前作は読んでいません。道理で複雑な人間関係がすでに知っているものとして次々登場し、この作品から読み始めると、その複雑な縁戚関係、人間関係がどうなっているのかがすぐにはつかめません。ちょっと失敗してしまいました。

そう言うときはいったん読むのを中止して、前作から読むのが筋なのですが、気がついたのがもう半分近く読んでからでしたので、ままよと最後まで読むことに。

貴志祐介氏の「黒い家」のように、とかく変な噂と謎が多く近所の人から「魔女の家」と呼ばれ、室内にはいつも白百合が飾られている家で、そこの住人が連続して事故死する事故が起きます。その亡くなった祖母の遺言で留学中のイギリスから帰ってきてその家に住むようになった主人公の高校生は、同居する伯母や京都から法事にやってきた従兄弟とその謎について調べていきます。

恩田陸氏の小説にしては、ちょっと過激なシーンが多くて驚きですが、ストーリーを盛り上げていくにはそのような場面も必要なのでしょう。そして最後の最後までドキッとさせられるのもちょっと意外な感じで、これですべてが終わったとは思えない結末となり、またそのうち続編が出てきそうです。もう出ているのかな?よく知らないけど。

著者別読書感想(恩田陸)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

兎の眼 (角川文庫) 灰谷 健次郎

灰谷健次郎氏は、貧しい家から苦労して大学を出て、小学校教員を務めながら小説を書いていた苦労人で、その中の短編小説「笑いの影」(1962年)では、部落解放同盟から差別小説と激しく糾弾を受け、身内の不幸などもあり、その後教師を辞めています。

小学校教員としての経験を生かして文筆業に入り、実質のデビュー作品となるこの「兎の眼」は1974年に発刊され、児童文学の傑作として、ミリオンセラーに輝き、1979年には壇ふみ主演で映画化もされています。ということで、今さらながらと言われそうですが、人からのお薦めで読んでみました。

児童文学というと、小学生向けの文部省推薦図書というイメージを持っていましたが、実際はそうではなく、この小説は小学生でも読みやすくなっていますが、それよりも子供を持つ親や、教員を目指す若い人達にぜひ読んでもらいたい小説です。

小学生の教師を主人公にした小説は、古くは壺井栄氏の「二十四の瞳」や、伊集院静氏の「機関車先生」、湊かなえ氏「往復書簡(二十年後の宿題)(映画「北のカナリアたち」の原作)など数多くありますが、その中でもこの作品は特に秀逸と言えるものでしょう。発刊当時ミリオンセラーを記録しているので、おそらく65才以上の人はよく馴染みがあるのではないでしょうか。

ストーリーはゴミ処理施設が近くにあり、その処理施設で働いている貧しい家庭も多い小学校へ赴任してきた新任の女性教師が、子供やその親、同僚の先生に支えられて差別や子供の教育を学び、自らも成長していく姿を描いています。

中でもゴミ処理場近くに住み一言も喋らず暴力的な性格の問題児が、ハエのことになると夢中になり、それをきっかけとして先生が文字を教え、心の交流をしていくところは感動します。またそのゴミ処理場で働く祖父が実は早稲田卒のインテリで、戦争中には壮絶な思いをして朝鮮人の友人を失った記憶を訥々と語るところなども、物語にいいスパイスを効かせています。

また教頭の反対を押し切り、知恵遅れの子供を養護学校に行くまでしばらくの間、普通の小学校で預かることを受け入れ、最初は様々な問題を起こし、生徒や父兄からの激しい非難や苦情をうけながらも、やがては生徒や同僚教師の助けが得られ、保護者達にもこれこそ本当の教育だと理解されていくところは感動さえ覚えます。

解説に書かれていましたが、この本を読むことで、教師を目指している若者から「このようなたいへんな試練があるのならとても自分には勤まらない」という感想が出てくるのはすごくまともなことで、単に「子供が好きだから」「人に教えることが好き」というだけで教師にはなってもらいたくはないと思う反面、そうした問題意識を心の隅に置いているのなら、もう立派な教師の卵になっているとも言えます。

この小説は40年前の小学校の姿ですが、登場する一部の保護者のモンスターぶりや、子供のことよりも自分の出世や学校の評判ばかりを考えている上司(教頭)などいまの学校となにも変わっていないようです。そうした発見ができるだけもこの小説をよむ価値はありそうです。久しぶりにいい本に出会えました。

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