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終身雇用が壊れだしたのは1990年代頃からで、大手企業においてリストラの名を借りた実質的な指名解雇がおこなわれてきましたが、考えてみると中小企業ではそれ以前からずっと業績不振やワンマン社長の好き嫌いなど環境や感情の趣くまま、従業員解雇なんて普通におこなわれていました。

それは大企業たる新聞社やテレビ局において身近なものではなく、記事や番組で取り上げられることがなかっただけのことで、いざ大企業でもリストラがおこなわれるようになって始めて「これは危険だ」と取り上げられるようになってきました。

それはさておき、私(56歳)以上の人達のほとんどは、新入社員の頃、日本の代表的な雇用スタイルで高度成長を支えてきたとされる、終身雇用、年功序列が当たり前で、それが壊れるなんて信じていませんでした。

そして、新卒後の数年で会社を辞めて転職など、まるで人生の落伍者のように見られていましたし、20代の中途採用市場も極めて小さく、もしどうしても転職するならベテランの域に達した30代で、それも三顧の礼を尽くし誘ってくれるところがあってというのが普通だったように思います。

しかし私が新卒入社してから10年ぐらい経つと、新入社員(ちょうどバブル入社組)で入ってきた若者が平気で次々転職するようになり、時代が変わったと実感したモノでした。

しかしその時に転職した若者が入った会社は、より小さな企業ばかりで、それで成功したかというと微妙な感じがします。小さな企業はダメと言っているのではなく、できることやれることがさらに小さくなってしまう可能性が高いのです。

転職の場合、なにを持って「成功」か「失敗」かという明確な基準がありません。人材紹介会社の場合は、「成功」=「転職できた」、「失敗」=「転職できなかった」の二つの基準でハッキリしているのですが、求職者にとっては転職できたからすべて成功だったかというと必ずしもそうではありません。

例えば「転職して給料や待遇が上がり、就業時間は短くなり、仕事には成長性があり」となればほぼ「成功」と言ってもいいのでしょうけど、「給料は上がったが、めちゃくちゃに働かされ、身体を壊したり、家族との時間がなくなった」では、果たして転職成功と言えるのでしょうか?

「希望する企業ではなく給料は下がり将来性があるとは言えない仕事だけど、ワークライフバランスがとてもうまくまわり毎日充実している」となった場合、これも人の価値観によっては「転職成功」と言えるでしょう。

もっと言えば、30代で転職した場合、その後まだ30年以上働き続けるわけですので、その会社が将来どうなるか?という長期的な観点でも「成功」「失敗」が違ってきます。

私が新卒の時に会社説明会で回ったある中堅商社は、その時はとても私など無理とすぐにあきらめたほどの盛況ぶりでしたが、私が別の会社に入社して5年目に研修を兼ねて香港へ渡ったときに、ちょうどその中堅商社が倒産したことを知りました。

そういった会社がどう転ぶかは誰もわからないリスクを軽減するには、自らが会社に頼り切らないで、自分のスキルを磨き、難易度の高い経験を積むに限るわけですが、同時に信頼できる人間関係を構築しておくのがベターな選択でしょう。

案外自分のスキルや経験を必要とする仕事や業界って狭いもので、転職するとなにかしら昔の知り合いとつながっていたりするものです。

転職活動の際に、複数の応募者と競争することは普通にあり、その時の面接で、「その方なら勉強会で知り合ってよく知っていますよ」と面接者と共通の知人がいることが判明したり、「○○さんならいま当社の関連企業にいますよ」とか、不思議な縁に出会うことがあります。

そういうつながりがあり、しかもその知人から「彼なら採用して大丈夫」というお墨付きがもらえれば、これ以上の推薦状はありません。

そこで転職をするのに最適な年齢は?というと、以前から企業が一番求めているのは20代後半~30代前半で大手、中堅企業でしっかり業務経験を積んできた人達ということになるでしょう。

ただ、現在は若手の転職者が少なくなり、逆に30代後半~40代の転職希望者の増加で、転職平均年齢が上がってきているそうです。

転職者の平均年齢は31.0歳 高年齢層の転職者増により5年で2歳プラス(インテリジェンス調査)
人材サービス大手インテリジェンスによると、転職者の平均年齢は2008年に29・2歳だったが、13年には31・0歳と2歳上昇した。年齢別でも35歳以上の転職者の割合が08年の10%から13年には23%まで増えており、ミドル世代の転職が盛んになっていることがうかがえる。

少し前なら40代以降の転職はリスクが多く、よほどのハイパフォーマーや自信家以外は難しいと言われていましたが、最近はそうでもなくなってきているようです。

それとも転職したくてしたわけではなく、早期退職制度や転職支援制度で半強制的に追い出された人が、やむにやまれず転職をしているせいなのかも知れません。そこのところは、この調査からはハッキリとは読み取れません。

ただ職種別では、「30代以上の割合が最も多いのは「技術系(建築/土木)」の73.6%で、次いで、「技術系(機械/電気)」(63.9%)、「技術系(IT/通信)」(61.3%)が続きます。」とありますので、大手製造業などが大量に実施してきた工場閉鎖や海外移転のための大リストラの影響で技術系中高年者の転職希望が増えている可能性があります。

特に1971年~1974年に生まれた団塊ジュニア世代が40~43歳となり、この年齢ともなれば大手企業でも管理職に就く年代ですが、どこの企業でもこうした年代のポストが不足しているように思えます。技術系職においても同様です。

そう考えると、転職平均年齢(適齢期ではなく)は、この数の多い団塊ジュニア世代が牽引していると言えなくもなく、当面はその団塊ジュニア世代の年齢とともに上がり続けることになるのでしょう。

では転職適齢期はと言えば、考え方としては数の多い団塊ジュニア世代と対抗して勝てるのは若さか経験かということですので、今すぐならば「若さ」の20代~30代前半までか、「経験」の50代前半ということになるでしょうか。ただ50代での転職は、今も昔も超難関なことには変わりなく、即戦力&人脈しかありません。

私もあと4年で定年がやってきます。雇用延長の義務化から、数年の雇用延長はお情けでやってくれるでしょうけど、果たしてそれにすがるか、それともまた別の新しい仕事人生を切り開くか早々に考えなければなりません。


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