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2013年の1月から12月までに新旧刊の小説、ビジネス書など全86話(上下巻など分冊をすべてカウントすると98冊)を読みました。
月間に換算すると8.17冊となります。その中で、私のもっとも感動した本、ためになった本、人に推薦できる本をあげておきます。
予算の都合上、最新作(単行本)はまず読んでいませんので、あまたある書評の類とはタイミングが大きくずれています。
まずは昨年は気乗りせず、あまり読まなかったのですが、新書やビジネス系部門では、「寝ながら学べる構造主義 (文春新書)」内田樹著、「発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190)」星野仁彦著、「脳に悪い7つの習慣 (幻冬舎新書)」林成之著、「なぜ日本でiPhoneが生まれなかったのか?」上村輝之著、「「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの (PHP新書)」中島義道著あたりがその候補になりますが、特に「すごーくよかったなぁ」、「ためになったなぁ」と言い切れるものはありませんでした。
たいていの新書やビジネス本は、自己啓発、ポジティブシンキング、やる気を出す方法、クリティカルシンキング、もっと勉強しろ、意外な数字と統計、新発見ネタ、世の中の仕組みに騙されるな的なものが多く、それに対して最近私の気持ちが、先のことを考えばかりにどうもネガティブすぎるのかも知れません(反省してます)。
中島義道氏や内田樹氏の毒舌?やら愚痴などは気軽に読めて参考になる(二重取消線)面白いのですが、役立つ、タメになるかと言われると、私的にはちょっと違います。
若者や万人向けの本を読んで自己啓発するにはもう歳をとりすぎているのかもしれません。なんでも歳のせいにするのはよくないのですが(反省してます)。
したがって昨年の新書・ビジネス書大賞は「該当なし」ということで。今年はもう少し気合いを入れて新書・ビジネス本を読むよう心掛けます(反省しています)。
さて、世の中には、真面目に「小説を読む意味が分からない。」と言う人もいて、世間は広いようで狭く、狭いようで広いものです。これは価値観の相違というものでしょう。
なにも小説を読むことに理由は不要で、「人生に役立てよう!」とか「生きる糧となる」とか「ストレスが発散できる」というもっともらしい理屈で読むわけでもありません。強いて言うなら「そこに面白そうな小説があるから」読むわけです。私の場合。
ただ学生の頃や若いビジネスマン時代には、もう少し違った読み方をしていたかも知れません。例えば「恋愛の仕方」とか「日本経済の歴史」とか「大人の会話」とか「いろんな業界のこと」を知りたいがために小説を読んでいた時期もあります。
話しを戻し、次はノンフィクション・エッセイ部門です。全体の中では少ないのですが、こちらはキラッと光ったものがいくつかありました。
対象は、「タクシードライバー―一匹狼の歌 (幻冬舎アウトロー文庫)」梁石日著、「ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)」米原万里著、「遠野物語(角川ソフィア文庫)」柳田國男著、「三陸海岸大津波 (文春文庫)」吉村昭著、「父・こんなこと (新潮文庫)」幸田文著などで、その中から今さらと言われそうですが、「三陸海岸大津波」を強く推します。
もしこの本が東北沿岸各地の学校や企業の防災教育の教材として本格的に使われていたら、津波に対してもっと警戒心が保て、被害は最少に抑えられていたかもしれません。
吉村昭氏はすでにお亡くなりですが、この本をベースとして2011年の津波の話しも盛り込み、「続・三陸海岸大津波」を出版し、50年後、100年後のその時にぜひ役立ててもらいたいものです。また地震や津波の発生が多い国や地域に、各国語翻訳版を日本国が発行し、津波の怖さと知識を世界に向けてぜひ伝えてもらいたいものです。
「遠野物語」柳田國男著は、最初は読むのに苦労しましたが、それもやがて慣れてくると旧漢字や文体も普通に飛び込んでくるようになります。現在では青空文庫でも読めますので、デジタル版で読むのが苦痛でない人はあらためて購入する必要はないでしょう。
小説部門ですが、外国人作家と日本人作家に分けて、多くの中から、私が推薦する作品からあげていきます。
まず日本の小説部門では、
「きもの (新潮文庫)」幸田文著
「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」三浦しをん著
「神様のカルテ2 (小学館文庫)」夏川草介著
「東京セブンローズ (文春文庫)(上)(下)」井上ひさし著
「ハルカ・エイティ (文春文庫)」姫野カオルコ著
「一刀斎夢録 (文春文庫)(上)(下)」浅田次郎著
「マンチュリアン・リポート (講談社文庫)」浅田次郎著
「写楽 閉じた国の幻 (新潮文庫)(上)(下)」島田荘司著
「そして、警官は奔る (講談社文庫)」日明恩著
「散る。アウト」盛田隆二著
「兎の眼 (角川つばさ文庫)」灰谷健次郎著
「恋愛時代 (幻冬舎文庫)(上)(下)」野沢尚著
がイチオシってところです。
古い本もあり、新刊本中心の書店ではまず置いてないだろう作品も多く含まれています。
外国の小説部門では、読んだ作品中のほとんどがノミネートされますが、
「死への祈り (二見文庫)」ローレンス・ブロック著
「盗まれた貴婦人(ハヤカワ・ミステリ文庫)」ロバート・B・パーカー著
「緋色の研究 (新潮文庫)」アーサー・コナン・ドイル著
「時のみぞ知る クリフトン年代記 第1部 (新潮文庫)(上)(下)」ジェフリー アーチャー著
が秀逸作品。
外国人作家の小説は、それぞれのジャンルで一時代を築いたすでに著名な作家さんの作品ばかりでハズレはありませんでした。
で、いよいよその中から小説部門の大賞を発表します!
ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、デン!
日本人作家部門からは「東京セブンローズ(上)(下)」井上ひさし著 1999年初出
外国人作家部門は「緋色の研究」アーサー・コナン・ドイル著 1887年初出
にそれぞれ独断で決定!
いずれも最近の話題本ではなく、古い本ですが、いいものはいつまでもいいものです。
読後の感想は、
「東京セブンローズ」 1月後半の読書 2013/2/6(水)
「緋色の研究」 9月前半の読書と感想、書評 2013/9/18(水)
にあります。
「東京セブンローズ」の舞台は太平洋戦争前後の東京で、そこで暮らす普通の庶民が、戦時中という非日常生活の中で力強く一生懸命生きる姿を描き、文章からは下町の懐かしい風景と香りが漂ってきます。
おそらく私より10歳以上上の世代(団塊世代以上)には、一部自身の経験と重なる部分があったりしてたまらないでしょう。
セブンローズの由来は7人の占領軍の幹部達を相手にする娼婦達の名称ですが、それがこの小説の主題というわけではなく、あくまで市井の庶民が主役の小説です。
著者の井上ひさし氏は太平洋戦争終結の時はまだ東北の児童養護施設から小学校へ通っていた少年で、上京したのは戦後10年近く経って大学生になってからです。
それなのに、この小説では戦争前後の東京下町とそこで暮らす人々を、まるで見てきたように詳細に再現しているのは驚きです。
次点としては「写楽 閉じた国の幻」(島田荘司著)をあげておきます。現在でも謎が多い奇想天外な謎の浮世絵師写楽を、人気役者を思い切りデフォルメし、過去の常識やテクニックにとらわれない作風から、手慣れた当時の浮世絵画家ではなく、まったく異質の芸術家の作品ではないかと大胆な推理で読ませてくれます。
読後感想は、4月後半の読書 2013/5/1(水)
「緋色の研究」は世界的に有名になったシャーロック・ホームズシリーズの第1作目作品で、軍医として赴いていた戦地から、ロンドンへ帰ってきた青年医師ワトソンが、独りで住むには家賃が高いとルームシェアができる借家を探していたところ、風変わりな学者(ホームズ)が住んでいる家を紹介され、そこに住むようになってから、二人の関係と役割が決まっていくという過程がわかって興味深いです。
そして主人公シャーロック・ホームズの活躍をワトソンという準主役が事件簿として語っていくという当時としては珍しいスタイルはこれも有名ですがエドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人 」を真似たとも言われています。
このホームズシリーズはその後40年に渡り、短編を中心に60編が世に出され、テレビドラマ化、映画化、コミック・アニメ化はその数は知れません。
以上、いかがだったでしょうか?
もし推薦していただける本がありましたら、ぜひご連絡(コメント)をください。よろしくお願いいたします。どんなジャンルのものでも構いません。ただ読後の感想は当然ながら私の主観で書きますので、予めご了承ください。
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