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伝説のディーラーと呼ばれたこともあるフジマキ・ジャパンの藤巻健史氏が、日本の巨額の財政赤字、長く続いてきた超低金利、日本国債の信用リスクなどを根拠にし、1997年のタイや韓国が引き起こしたアジア通貨危機と同様な形で、日本発信の株、国債、円が同時に売られるトリプル安(ジャパンクラッシュ)が起きる可能性があると東洋経済のインタビューに答えています。
 
ジャパンクラッシュが起きると、どういう事になるかと言えば、世界中で日本の国債や株や円が大量に売り浴びせられ、それに応じて日本の金利が一気に上昇します。

また日本の通貨は世界的に信用を失い、大きく円安に動くことで、国内消費のほとんどを海外からの輸入に頼っている食料品や燃料などの価格が一気に高騰します。これらが合わさって起きるのがハイパーインフレです。
 
ハイパーインフレは1980年代にブラジルやアルゼンチンで起きていますが、その時は1年間で物価が40倍とも50倍、ひどいときにはひと月で80%も物価が上がったことがあると言われています。
 
つまり「先月までリッター130円だったガソリン代が今月からリッター6000円で、満タンにすると24万円必要です」「お米や芋など需給率の高い食料でも10倍、それ以外の食料品が全部50倍になった」「800円だった宅急便の配達料が1個4万円になった」「100円ショップがそのまま5千円ショップに看板を掛け替えた」というイメージです。
 
ガソリンや100円ショップだけなら買わなくても命に支障はないですが、食料品はそうはいかないでしょう。農家で自給自足できる人以外は、いくら高くても買わなければ餓死します。

農家だって肥料や耕耘機の燃料が高騰しますので買えなければ生産ができなくなります。
 
それでも国民の所得がその物価に応じて上がっていくなら問題はないのですが、年金で生活している人を含め決してそうはなりません。

つまり物価が10倍になったからと言っても給料はせいぜい2~3倍、年金にいたってはそのスピードにはついて行けず、ほとんど変わらないということです。
 
輸出が多いメーカーは一見すると円安により思わぬ利益が出ると思われますが、海外ですべてを生産をしていない限り、製品を作る原料代、燃料代、輸送代、それに人件費が高騰しますので、利益の恩恵よりも結局は販売価格に転嫁せざるを得なくなり、ますます国際競争力が失われていくことになります。

それより先に銀行がつぶれたり融資がとまったり引き上げられたりしますので、無借金でもない限り製造業で生き残れるのは少ないでしょう。
 
トヨタバッシングや普天間飛行場の移設先問題を見るまでもなく、日米関係は悪化してきています。通常ならば円安、株暴落、国債などはお互いに協調しあって維持をしていくものですが、両国の関係からするとそれがあまり期待できません。

欧米の投資家達はいつジャパンクラッシュが起きるかと虎視眈々とそのタイミングを狙っています。つまりいち早くその流れにのってジャパン売りをより早く大胆におこなった者が勝利する比較的リスクの少ないマネーゲームだからです。
 
アメリカの借金である米国債の最大の引受先だから「日本が危なくなるとアメリカも同じ運命だからきっと助けてくれる」と言っていた時期がありました。

しかし2007年頃から日本を抜きアメリカ国債の最大の引受先となった中国を始め、ブラジルやインドなどのBRICKS各国、中東の産油国などのシェアが急速に伸びてきており、10年前と比べると日本の存在感はかなり薄くなっています。

アメリカにとって日本の財政破綻がまったく影響がないとは言えませんが、積極的に日本を救おうという機運は、アメリカの政治家も国民世論も起きないでしょう。
 
但し、ハイパーインフレは悪いことだけではありません。
 
行き詰まったいる日本の財政赤字は、ハイパーインフレのおかげで一気に解消に向かうことも考えられます。つまり2010年3月現在1千兆円を超える日本全体の借金が、物価上昇により自然と目減りしていきます。

物価が10倍上昇し、超楽観的に税収も10倍に膨れあがれば、国の借金は相対的に1/10に下がります。なんと900兆円が一瞬にして消えてしまう?のです。
 
同様に住宅ローンを固定金利で借りている人は、ハイパーインフレ後の借金の価値は相対的に下がっていきます。

簡単に言えば毎月給料の1/4を住宅ローン返済にあてていたのが、ハイパーインフレで給料が10倍になれば、返済は給料の1/40で済むということです。これならローン返済は楽勝ですね。

但し、これが最大の難問ですが、失業せず、インフレに応じた収入が得られるという極めて特殊な条件の元での計算ですが。
 
逆に変動金利でローンを借りている人は毎月の返済額が何倍になってしまう可能性だってあります。現在の住宅ローンの変動金利は約1%ですが、今から27~29年前、1981年~1984年は多少インフレ気味で変動金利は8%を超えました。

またバブル景気の終盤も7%を超えていました。例えば3000万円を30年ローンで借りた場合、毎月の返済額は現在の1%の金利では約96,500円、8%になると220,100円とその差は123,600円です。

多少のインフレで返済額が2倍以上になるわけですから、ハイパーインフレともなれば変動金利で借りている人は確実に破綻するでしょう。
 
と、考えると、収入よりも借金のほうが多い国家や一部の個人は、いっそインフレにでもなってくれないかと、いささか期待しても不思議ではありません。

実は住宅ローン(固定金利)を支払い中の私もデフレで給料が下がる今はまさにその通りなのですが、そう思い通りにはいきません。
 
結局あと10年ほどでやっと住宅ローンを払い終えれば、今度はデフレを期待することになりますが、このところツキのない私のことですから、世の中は不公平にも逆をいき、急にインフレが加速していくって気がしなくもありません。その時すでに年金生活だったらもうそれは悲惨なことですね。
 
注意:日本政府の抱える国および地方の債務残高(概算値)をリアルタイムで表示されています。見ていると間違いなく憂鬱になってくるので、精神的にまいっている時は決して見ないでください
 



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