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明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。



今年2015年のお正月休みは、昨年12月27日(土)~1月4日(日)までの9連休のところが多かったのではないでしょうか。

こりゃ~年の初めから縁起がいいやねぇ~と感じた人もいたのではないでしょうか?えぇ私のことです。

定年が近づいてきたせいか、それとも年相応に身体のあちこちが傷みだしてきたせいか、どうも労働意欲が衰えてきます。

これは30代40代の働き盛りの時にはまったく思ってもいなかったことで、少しでも身体を休ませられる休日がとても楽しみになっています。

通常自分で商売をやっている人や、宿泊や飲食、警備、交通などサービス業、医療や介護、農業や畜産業に就いている人は、9連休のような休みがとれることなどほとんどないわけですが、一般公務員や製造業、建設業、商社、流通業などでは時々こうした長期連続休暇が一斉にとれることがあります。

学校の先生など9連休など珍しくないという人も多いと思いますが、休みの時もそれなりに研究会の出席や、個人差があるにしても独自に勉強が欠かせないというのもあるでしょう。

サラリーマンを30年以上やってきて思うのは、こうした8連休や9連休という長期休暇が気兼ねなくとれることは特権とも言えることで、すごくラッキーだということです。

若いときには労働者の当然の権利みたいに考えてしまいますが、一部業種をのぞくサラリーマンや公務員でなければ、仕事の心配事なしに、また同僚に負担を強いることなしに、こうした長期休暇がとれるなんてことはありません。

フリーランスになって自由だと言っている人も、頭の片隅では次の仕事、その次の仕事、新しいプランというプレッシャや不安が離れられないはずです。

私の20代の時には土曜日も毎週普通に出勤でしたから、連休というのはせいぜい祝日と日曜日の2連休か、夏休みとお正月にとれる4~5連休が最大でした。

それから比べると、昨今の労働環境は夢のような休日だらけとも言えます。若い人には当たり前すぎてもっと休暇をよこせって声も出てきそうですが。

そしてそれが普通になってきて、今度は有給休暇の消化にまで及び、ダイバーシティやイクメン、ライフスタイルの多様性などと言って、さらに労働時間を短縮できるか?というステージに移っています。

この労働時間の短縮と、日本の産業力低下には深い関係があります。

もちろん、劣悪な環境より人間らしい生き方、自分が望むような仕事ができる働き方のほうがいいに決まっていますし、それに反対するつもりはありません。

一方では毎年利益を出さなければ、やがては滅びてしまう企業は、労働時間短縮のため業務の効率化を図り、無駄を廃し、コストを下げてという力学が働きます。

利益は関係ない公務員でも、民間と比べると緩やかではありますが投入されるコストと求められる成果について測られるようになってきました。

その結果、合理化で注意不足による設計ミス、究極のコスト削減による品質劣化、コミュニケーション不足による職場人間関係の悪化、ユーザーの信頼消失、正社員と非正規社員との格差増長、商品の安全性や耐久性の軽視へとつながっていくように思えてなりません。

安全で耐久性があるものを丁寧に作って提供するにはやはりそれなりのコストと時間と関わる人達の余裕が必要です。

しかし出来上がった製品の外見だけでは、多くのユーザーの意見を取り入れ、十分な過酷なテストを経てできたものかどうかはわからず、消費者は値札を見て見当を付けるしかありません。

それを実感するのは、家電やPC、自動車部品・用品類などで、値段は確かに下がりましたが、昔と比べ長期間使い切れる製品がかなり少なくなってきました。

特に低価格のいかにもアジアン製品の壊れる速さは、一時期流行った使い捨てカメラのように、1年おきに買い直してくださいと言わんばかりです。

精密機器であるPCもすでに国産品は珍しくなってきましたが、3年は持たない設計?と思ってしまうほどで、数年でHDDやメモリーや、接続端子が壊れていきます。

日本のメーカーブランドがついているからと言って安心は出来ません。製造は外国で、ブランドだけ日本名をつけて売られているものも多く、それの故障率たるや凄まじいものがあります。

海外で製造しているものの日本から技術指導や品質管理までを徹底しておこなっている良品は別です。

国産品でもタカタのエアバックリコールの問題を見てもわかるとおり、おそらく合理化や他の海外製品との激しい競争でコスト削減の煽りを受けている気がします。命に関わる部品だけに見逃すことが出来ません。

「その代わりにユーザーに届く商品は安くなっていいるでしょ?」と言われるとその通りなのですが、使い捨ての文化というのがエコ賞賛時代に果たしてどうなのよ?って思う気持ちがあります。

個人的には愛着ある製品は、壊れると修理して長く使いたいところですが、中のコンポーネンツはブラックボックス化され、仕様はコロコロ変わって補修部品がなく、修理に出そうとすると「部品がないので新しいものを買ってください」と言われる始末です。

つまるところ、1980年代までの働き蟻と称されていた日本の労働環境が、国産品の質を高めることに成功したものの、やがてはそれが過剰品質とまで言われ、最終的にはシンプルで安い外国製品に駆逐されているというのが現状です。

そして労働条件が労働者に優しくなるにしたがい、より過酷な労働をする諸外国にコスト、品質、技術で追いつかれ、追い越されていくというのが日本の製造業の宿命でしょう。

日本の製造業は、低コストを追い求めることに汲々してしまった結果、海外生産に移ってしまいましたが、本来なら、ジャパン品質を「高いけど優秀、すぐには壊れず、ユーザーに優しく、デザインも優れ、もし故障しても修理が可能」を徹底追求してもよかったのではないかと今さらながら。

世界の道を席巻しているトヨタのランドクルーザー70は30年間という長きに渡ってモデルチェンジをせず(細かなマイナーチェンジはおこなわれる)、日本を代表するクルマのひとつですが、そうした長く愛される製品こそがジャパンブランドではないかなと思います。

「安ければどこの国の製品でもOK」という人もいれば、「日本のブランドなら安心」という買い方をする人もいるわけなのに、その日本のブランド価値を貶める結果になったのは工場の海外移転だったのではないでしょうか。

日本の製造業は、戦う相手と場所を誤ってしまったのかも知れません。

しかし、今年こそ一転製造業の反撃の年になると、日本の景気も上向きになりますが、さてどうでしょうか。

著名なエコノミストのJesper Koll氏はこう言っています。

「日本の23歳に生まれ変わりたい」
海外エコノミストが語る、日本がこれから黄金時代を迎える3つの根拠
(ログミー)

ぜひ期待したいものですね。


【関連リンク】
725 農業の大規模化と零細な起業
639 前からだけど日本の大手製造業はやっぱり変だぞ
611 海外移転で製造業の労働者はどこへいったのか?
591 日本の平均有給休暇取得数
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