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私の住んでいる地域(神奈川県東部)でも明らかに高齢者住人の割合が増えていて、空き地や農地だったところ、そして普通のアパートやマンションだった跡地に、老人ホームが建設されるパターンが目に見えて増えてきました。

一般的に老人ホームや介護施設というと、高齢者が不自由なく終の棲家として余生を過ごす集合住宅の施設というイメージがあります。

しかし終の棲家となる長期間利用できる老人ホームは限られていて、大きく分けると、療養型(一時滞在)老人ホームと、終身型老人ホームに分かれるようです。

基本は自分の家(持ち家でも借家でも)で、できるだけ長く老後を過ごし、最後に身体の自由が利かなくなり食事など生活に支障が出てから終の棲家となる老人ホームに入るというのが望ましい形なのでしょうけど、なかなかそううまくいかないのが世の常です。

特に核家族化で老夫婦だけの生活であれば、夫婦のどちらかが健康を害すると、老老介護となり、日常生活がだんだんと厳しくなってきます。その結果介護付きだったり、医療設備付きだったり、3食サービス付きの老人ホームなどへ入居せざるを得ないという流れです。

また同じ老人ホームという名称でも、介護の要不要、運営母体が公共か民間かなど、様々な形態があり、それぞれに入居条件、サービス内容、入居できる期間、入居(利用)費用が違ってきます。こうしたいくつもある施設で、入居できる条件や、費用負担の差などがまたややこしいです。

ここではあまり細かく分類すると、役所の案内書のようにわかりづらくなってしまいそうなので、大ざっぱな話しにとどめておきます。いずれ自分もお世話になるかもしれないので、その備忘録的見地という位置づけです。

したがって細かな点では、例外があったり、地域によって差があったり、いくらでもつっこみを入れることができますが、それはご勘弁ください。

老人ホームの種類や特徴は、下記のサイトが割とわかりやすく書かれていますのでご参考に。
老人ホーム・介護施設の種類と特徴」(HOME'S介護)

 ◇ ◇ ◇   ◇ ◇ ◇

まず今回は、その中でも公的な老人福祉施設について調べたことをまとめておきます。

高齢者が利用できる公的な福祉施設としては、自活できる人向けの「福祉施設」と、介護が必要な人向けの「介護保険施設」と2種類があります。

「福祉施設」としては「養護老人ホーム」と「ケアハウス(軽費老人ホーム)」があり、それぞれに入居できる条件等が決まっています。

介護が必要な場合は「介護保険施設」の利用となりますが、それらとの境界線は、どうも曖昧なところがあるようで簡単には表せません。

どちらかと言えばこの「福祉施設」は身寄りや安定収入のない高齢者で、例えば生活保護を受けているような方が多いように思えます。必ずしもそうでない人も多くいらっしゃるとは思いますが。

公的な介護保険施設には「特別養護老人ホーム(特養)」、「介護老人保健施設(老健)」、「介護療養型医療施設」という3つの形態の施設があります。

聞くことが多い「特別養護老人ホーム」は、心身の病気(障害者)や高齢で介護が必要な場合に、その要介護の度合いによって利用することができます。

費用も安く初期費用は0円、月額費用はおよそ5~13万円となっています。なんと言っても初期費用が不要かつ月額も安いというのが絶対的魅力です。

月額は本人の年金でなんとかまかなえそうですから、家族の負担もあまり必要となりません。

もし十分な蓄えがない高齢者でも、いざとなればここに入れるというルートが確立されていれば、老後の不安というものがずっと減り、死ぬその時まで「老後のために」と貯蓄に励むようなことがなくなるのでしょうけどね。

また社会問題化しつつありますが、高齢の父親や母親が要介護者となり、その看護や介護を子供がしていると働けず、親子共倒れになってしまうので、なんとかこうした施設に預けたいけど、なかなか受け入れてもらえないというパターンがあります。

それは高齢化のスピードが急すぎて(当然何十年も前からわかっていたことですが)施設の数が十分でなく、要介護の人は増え続けていますので、まったくその数が不足していて、実際には何年待っても入居ができないというのが実情です。

「特養」は全国に7,865箇所あり51万6千の居室があります(2014年度)。

それでも現在で全国でなんと50万人を越す人が待機しているという話しもあり、よほど運とツキと強いコネがないと、申し込んでも数年のあいだに入居できる見込みは薄いようです。

入れた人と入れない人(の家族)の格差が今後あからさまに生じてきそうです。

平均すれば1施設の居室は66部屋で、1施設あたり平均すると約60名以上の待機者がいますので、それはいまいる入居者全員が亡くなってから、ようやく最後に並んだ自分が入居できるという勘定になります。

さらに入居は必ずしも並んだ順ではなく、緊急性が高いと判断される場合もあり、そのあたりのことはよくわかりません。

待機者をなくすには、現在ある「特養」の同じ数を作ればとりあえずは間に合いますが、現在すでにそれだけの予算がないのと、団塊世代が75歳以上になる10年後にはおそらくまた数十万名の待機者が新たに増えることになりそうです。

少し前に「保育園落ちた、日本死ね」のブログが盛り上がっていましたが、同時に要介護の高齢者とその家族にとっては「特養入れず、日本死ね」と言いたくなりそうで、これからますます大きな社会問題となっていきそうです。

なぜその「特養」が人気なのかと言うと、公的機関の運営で料金が安いことが一番の理由ですが、年齢に関係なく重度の要介護者用の施設で、現実的にはそこを出ると他では暮らせないので、終身で利用できることが本人や家族にとって大きな魅力だからでしょう。つまり要介護者の終の棲家であるわけです。

また医療の高度化により寿命が伸びるのにしたがい、寝たきりの状態でも、長生きをする高齢者が増えてきていて、そのため入居者の入れ替わりが少なく、したがって部屋に空きが出ないということです。

その点「介護老人保健施設」は、同様に公的機関の施設で料金も安いのですが、在宅復帰の短期利用を目的とする施設なので、3ヶ月ごとに状態の審査があり、復帰可能と判断されると退所を求められます。費用は初期費用が0円、月額費用はおよそ8~13万円です。

「特養」のような終身とか長期の利用ができない仕組みになっている分だけ入所者の入れ替わりがあり、「特養」と比べるとまだ入りやすいのですが、病院と同様、一時避難的な施設とも言えるでしょう。

「老健」は2014年度で全国で3,994箇所、34万9千の居室数がありますが、それでも施設によっては数百名の待機者がいるようです。

それでもこちらは終身の「特養」と違うので、地域によるでしょうけど、待機する時間はまだマシなのかも知れません。

「介護療養型医療施設」はより重度の介護が必要な場合等に入所できる公的機関の施設ですが、医療を目的とする施設なので、「特養」のように終身利用は想定しておらず、「老健」同様改善したと認められると退所を求められます。

2014年度で全国に1,575箇所、7万3百の居室があります。費用は初期費用が0円、月額費用はおよそ9~17万円となっています。

いずれにしても公的な施設では、重度の介護や緊急の医療が必要な場合を除き、入居は期待薄と考えた方がよさそうです。

また「老健」や「療養型医療施設」に一旦入居ができても、それは一時的なもので、そこで長期間暮らせるわけではないので、その次を考えておかねばなりません。

高齢者の場合、若い人と違い、しばらく療養したからと言って、すっかり改善するってケースは少なく、老化と共に徐々に悪化していくのが普通です。

それなのに、「多少改善したから退所」と言われても、働きながら介護をしなければならない家族としては困ってしまうでしょうね。

となると、やっぱりお金はかかりますが、民間の有料介護付き老人ホームということも考えておかなければなりません。それは次回に。

老人ホームについて調べてみた(2) 2016/4/27(水)

【関連リンク】
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
889 公的な高齢者移住計画は成功するか?
888 火事と高齢化社会の因果関係
810 高齢者向けビジネス(第1部 居住編)
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか





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