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思考の整理学 (ちくま文庫)
数多くの著書を出されている著者ですが、その中でも代表作と言えるのが1986年に初出のこの本で、その後何度も重版を重ねている名著と言われています。
できれば10代後半とか20代の時に読みたかったですね。今頃読んでも~って気もしますが、初心、いや少年時代に帰って読むのも悪くないでしょう。
この著者の作品では2009年に「知的創造のヒント
当時の「意識高い系」?って思われそうですが、「2009年12月後半の読書」で同書のことを「自分がいいと思ったこと、好きな言葉や本の羅列でな~んもヒントにはなりません。」と酷い感想を書いています。
思えば2009年頃と言えば、リーマンショック直後で担当していた事業の業績が上がらず、なにもかも行き詰まっていた頃だったかも、、、
もっとも、これを読んだらいきなり思考力が高まり賢くなれるとか、問題が解決できるというハウツー本ではなく(ハウツー本で問題を解決できるとも思えませんが)、ちょっとした著者の考え方を知ることで、それが自分にも応用できればそれもよし、うまくいかなければ他の方法を考えれば良しと言ったものです。
例えば、学校教育をグライダーに例え、他者に引っ張ってもらって初めて飛躍することができる人間を作っているが、今の時代はグライダーではなく、みずからで飛び立てるエンジンの付いた飛行機にならなければならないとか、夜よりは朝の方がひらめきが多いことや、スピード社会だからと言ってすぐに結論を出すのではなく、しばらく寝かせておいて熟成させてから再度考えてみるとか、ベテランビジネスマンになると自然と身についているような技術や経験をうまく若手ビジネスマンに伝えています。
もう2年前になりますが、久米宏氏のBS放送の番組に著者が出てきて、当時の新刊「知的生活習慣
著書の感想も2009年当時とは違い、若い人にお勧めに値する内容の濃い作品であることは間違いありません。
ただ書かれた時代にはまだスマホはもちろん、携帯電話やネットやパソコンもほとんど普及しておらず、情報革命以前の話しで、情報の集め方や保管の仕方など現代とはあまりにも違っていて苦笑するところもかなりあります。
例えば調べるときには辞書や文献が主と書かれていますが、今ならネットで検索が主でしょうし、集めた情報をノートやカードに整理というのも今ではちょっとどうでしょう。
そうした現代との違いはあるものの、言わんとするところはわかりますので、それをもってこの本に書かれていることは古いと決めつけてしまうのはもったいないと思います。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
白砂 (双葉文庫)
2007年に単行本、2013年に文庫化された長編ミステリー小説です。
著者の作品を読むのは今回が初めてで、簡単に紹介をしておくと、京都在住の現在55歳で、2006年に出したシベリア抑留を描いた「東京ダモイ
独立した長編小説の他にも「京都・花街の女刑事 片岡真子シリーズ」や「イーハトーブ探偵シリーズ」と言ったシリーズものも手がけているようです。
この長編小説は、結構重いテーマで、東京でひとり住まいの若い女性が自宅マンションで誰かに後ろから鈍器のようなもので撲殺されているのが発見されます。
主人公の刑事は現場の物証などよりも地味で時間もかかりますが、被害者はなぜ殺されたのか?生きているあいだはどういう人物だったのか?など人の気持ちに深く関心をもって捜査を進めるタイプで、警察の中では異色の存在です。
殺された女性は京都の美山町という深い山の中の出身で、両親はすでに亡くくなっていますが、祖母が実家に住んでいます。しかしその祖母へ連絡を入れて遺骨引き取りを依頼すると「関係ない」とかたくなに拒否されます。
なぜ被害者は祖母からそのように疎まれているのか?美山町で暮らしていたときの生活は?なぜ東京でひとり住まいをしているのか?などを調べに刑事は美山町へ行きます。
そこでわかったことは、母親の思いをしたためた俳句を東京で発表し入選したことがわかり、それがやがて犯人に近づいていくことになっていきます。
細かなプロットを積み重ねていき、真実に少しずつ近づいていくというわかりやすい推理小説ですが、主人公刑事と一心同体になって古い過去に起きたことを突き止めていくというわくわく感はとても面白く、すいすいと読めました。
今は夏ですが、本来は秋の夜長にじっくりと読むのに適しているかも知れません。
★★★
◇著者別読書感想(鏑木蓮)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
ちょいな人々 (文春文庫)
2008年に単行本、2011年に文庫化された短編小説集です。この著者の本は文庫はほとんど読んでいるお気に入りの作家さんです。
収録されているのは「ちょいな人々」「ガーデンウォーズ」「占い師の悪運」「いじめ電話相談室」「犬猫語完全翻訳機」「正直メール」「くたばれ、タイガース」の7篇です。
タイトルにもなっている「ちょいな人々」は、本人は一生懸命でも、周囲から見るとその行動や発想がこっけいで、軽薄に見えてしまう人々っていう感じの話です。ま、そうしたイジられキャラの人っていますよね。
「ガーデンウォーズ」は一軒家の隣人同士、枝が伸びて日当たりが悪くなったり、家庭菜園でよく発生するうどんこ病が拡がったりとよく起きそうな問題でいがみ合いますが、最後は両家が協力せざるを得ないオチだったり。
う~ん、、この著者は短編作品も多いのですが、残念ながらこれはイマイチのってこれません。
デビュー作の「オロロ畑でつかまえて
★☆☆
◇著者別読書感想(荻原浩)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
静かな黄昏の国 (角川文庫)
短編ミステリー&ホラー小説で、2002年単行本、2007年に文庫化されましたが、2011年の福島原発事故のあと、2012年にそれを小説の中に盛り込んだ増補版となって出版されました。
収録作品は「リトル・マーメイド」「陽炎」「一番抵当権」「エレジー」「刺」「子羊」「ホワイトクリスマス」「静かな黄昏の国」の8篇です。
どうしてもこういう短編小説では、短い文章で読者の理解を得る必要があるため、まったく意味不明な現象た状態を無理矢理読者に押しつけておいて、それを楽しめないヤツは論外!っていう感じになります。
感受性が豊かな若いときにはそうした押しつけでもある程度は受け入れることができましたが、年齢を重ねていくと、あまりにも現実を知りすぎてというか、新たな発想とか想像の力が弱まってきて、結局はしらけた気持ちになってしまうものが少なくありません。
その点、短編の名手と言われた、O・ヘンリや、サキ、ロアルド・ダール、最近ではジェフリー・アーチャーの短編もすごく凝っていて好印象です。
そうした名手の短編では、読者が無理をせずとも自然とストーリーの中に入っていけて、時には主人公を思って涙腺が緩んだり、(心の中で)ブラボー!と喝采をおくったりということがあります、
そんなわけで、なかなか短編というのは想定読者を誰にするか?って問題もありますが、万人向けには難しいもので、最近絶賛できるものに巡りあったことがないのが残念です。
★☆☆
◇著者別読書感想(篠田節子)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
召集令状 (角川文庫)
2011年に亡くなられた著者が1960年代に発表した短編のSF小説で、発表から30年近く経った1995年に発刊されています。
今回は意図してなかったのですが、5冊中短編集が3冊と偏ってしまいました。できるだけ「小説(国内・海外)」「新書やビジネス」「ノンフィクション」の各ジャンルを混ぜて読むようにしていますが、なぜか偏るときは偏ってしまいます。
特に最近は、本の内容は見ず、著者の名前だけで買って読んでいるせいだと思います。
この作品の収録作品は「戦争はなかった」、「二〇一〇年八月十五日」、「地には平和を」、「春の軍隊」、「コップ一杯の戦争」、「夢からの脱走」、「お召し」、「召集令状」とテーマは戦争というか著者の子供の頃に味わった戦争体験を元にした作品が多く含まれています。
基本は突飛押しもないSF作品ですが、発想がユニークでホラーでもありコミカルでもあります。
「戦争はなかった」は太平洋戦争で敗戦し、広島や長崎への原爆の悲惨さを知っている戦中派の主人公が、大人になってから出た同窓会で軍歌を歌うと同窓生から不思議な顔をされ、軍隊生活の苦労を話すと誰も知らないと言われ「えぇ!?」となるものや、逆に「地には平和を」では戦争中と現代を行ったり来たりするパラレルワールドの世界など。
これこそテレビで時々やっている「世にも不思議なシリーズ」で映像に取り上げてもらいたい作品ばかりです。ってテレビドラマだと制作費をケチるから、迫力のないつまらないものになってしまいそうですが。
東映さん、久々に「8.15シリーズ」として、これらの作品をオムニバス映画として作ってみませんかね?お金は集まりそうもないですが、、、
★★☆
◇著者別読書感想(小松左京)
6月後半の読書 反逆、死にたくはないが、生きたくもない。、黒警、尖閣激突!ドローン・コマンド
6月前半の読書 本日は、お日柄もよく、巨人たちの星、ぼくらの民主主義なんだぜ、戦艦大和
5月後半の読書 バランスが肝心、獄窓記、十字架、碇星、ようこそ、わが家へ
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