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満願 (新潮文庫) 米澤穂信

2014年に単行本、2017年に文庫化されたベストセラー短編小説集です。

短編のそれぞれのタイトルは、「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」で、6編が独自のストーリーとして構成されています。

その中の3編、「夜警」「万灯」「満願」は、この8月にNHKでドラマ化され放映されていました。

そのドラマはすべて見ましたが、その中の「万灯」は、映画でも主役を張れる俳優の西島秀俊が本格的な海外ロケをおこない、制作費が少なくて安いギャラのお笑い芸人を使ったバラエティぐらいしか作れない民放では製作不可能な1時間ドラマです。

6編のうち、ふたつを簡単に紹介しておきます。

まずテレビドラマ化もされた「万灯」。バングラデシュで天然ガス開発のために赴任した商社マンが主人公で、その開発の拠点とするためにある村に目を付けて、交渉を始めます。

ところが、英国に留学した経験があるこの村の若いリーダーが、この国の資源は自国の発展のために使うからと交渉が進みません。

そうこうしていると、村の若いリーダーと対立している別のリーダー達から、開発で村が裕福になるなら、拠点として村を使っても良いと話しが来ます。

ただしそれには条件がつき、それが資源開発に反対する若いリーダーを殺してくれというもので、背には腹を変えられず、それに従うことになりますが、、、

ただ、普通の商社マンが、仕事のためなら簡単に人を殺してしまうと言う設定は、会社のためなら命がけで競争に明け暮れた高度成長期の頃の商社マンならともかく、現代の風潮から言ってちょっとどうなのかなと。

もうひとつは、「関守」という短編で、これは他の作品と少し違う、ブラックミステリー。

伊豆の峠道でクルマの転落事故が相次いで起きた場所があると聞き、それをネタにした怪奇現象記事を書こうと考えたフリーライターが、その峠近くに古くからあるドライブインへ行き、店を守る老婆から過去に起きた事故や、立ち寄った人のことを聞き出します。

事故に遭った人はそれぞれ年齢や職業など様々ですが、事故を起こす前にみなこのドライブインに立ち寄っていることを知ります。

そして詳しく話しを聞いていくうちに、なぜそれらの人達が崖から転落して亡くなってしまったのか、それを聞いたライターは、、、

と、かなりスリル満点で、どの作品も面白かったです。

★★★

著者別読書感想(米澤穂信)
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ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫) 東野圭吾

2012年刊、2014年に文庫版が発刊された、第1章から第5章までつながる中編の連作小説で、2017年には日本と中国でそれぞれ映画化されています。

日本版映画の監督は廣木隆一、出演者は山田涼介、西田敏行、尾野真千子などで公開済み。

一方の中国版は今年2018年10月に日本で公開されます(香港・中国・日本合作)。中国版では日本版の西田敏行と同じ役にジェッキー・チェンが従来のイメージとは違う老け役で登場しているそうです。

東京近郊の住宅地で、以前は活気があったものの、最近は人口流出が続き、商店街もシャッターが降りているようなイメージのある高台にある古びた雑貨店が舞台です。

話しに出てくる年代が、ビートルズが解散した1970年、政治的理由でボイコットしたモスクワオリンピックの1980年前後、そしてこの小説が書かれた現代(2010年頃?)と、行ったり来たりして、今読んでいるのはいつの年代?って迷ってしまうことがあります。

現代の人が書いた文章を1970年代の人が読むと、「携帯で」とか「ネットで」と書いてあっても、まったく意味が通じないということにあらためてそうだったなぁと思いました。

ネタバレが少し入りますが、つまり、1970年代から80年代に雑貨店を営んでいた経営者が、子供からの質問に対し、一つ一つ丁寧に返事を返していたことが拡がっていき、やがて人生相談など深刻な話しが持ち込まれるようになります。

それにも一生懸命返事を書いてきたことが、その後の人生に役立ったのかどうか知りたくて、自分が死んだあとの30年後に相談者にアドバイスが役立ったかどうかを書いてもらい、再び雑貨店のポストに投函して欲しいと息子に遺言で頼みます。

すると不思議なことに、その30年後に届くお礼の手紙が、その経営者が死ぬ直前に、時空を超えて届くという奇跡が起きます。

その時代感が上記に書いたようにちょっと複雑ですが、面白く楽しく読むことが出来ました。さすがベストセラー作家の作品だけあります。

★★★

著者別読書感想(東野圭吾)

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花まんま (文春文庫) 朱川湊人

ちょっと不思議な短編ミステリー、「トカビの夜」「妖精生物」「摩訶不思議」「花まんま」「送りん婆」「凍蝶」の六編が収められた小説で、2005年に発刊、2008年に文庫化されています。そして2005年にはこの作品で直木賞を受賞されています。

著者は1963年(昭和38年)生まれですから、私とは6年違いで、同世代と言うにはちょっとアレですけど、小説を読んでいると、同世代の人?と思えるような表現や事象がよく登場して、懐かしい思いに浸ることができました。

それは著者の幼少期(9歳まで)は大阪の下町?で暮らしていたということで、昭和30~40年代の頃の大阪の下町が色濃く描かれています。なぜかわかりませんが、織田作之助賞を受賞されていないことが不思議なぐらいです。

どの短編も魅力的で、しかも読みやすく、後味も悪くない作品に仕上がっていて、直木賞もなるほどと納得がいく出来映えです。

関西人なら誰でもわかる共感性も感じられ、「在日朝鮮人」「差別部落」「飛田新地」など、そこで生活している人にとっての日常と同居している濃い話題がサラリと入ってくるところなど、心地よいぐらいです。

6編のうち、特に好きなのは、小さな女の子が主人公で、飼うと幸せになれると言われ、怪しげな露店で買った謎の生き物の話し「妖精生物」と、部落差別で友人が出来ない少年に、故郷の弟を思い出すと公園墓地で話しかけてきた下手な関西弁を使う若い女性との短い出会いと別れを描いた「凍蝶」かな。

いずれも悲しいお話ですが、後を引かない悲しさで、大げさに言うと、逆に生きる活力が得られそうな話しです。

★★★

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雑学の威力 (小学館新書) やくみつる

漫画家というか最近はテレビのコメンテーターや相撲のゲストなどで有名な著者の2016年発刊の新書です。

中身はタイトルそのままということで、特に説明する必要はなさそうですが、私はほとんど見ていませんが、クイズ番組などでの博識ぶりは子供の頃からの一風変わった趣味と好奇心、そして人から「物知りですね~」と言われたい一心から様々な努力をして雑学力を高めていった話しが書かれています。

そう言えばクイズダービーでブレークした同じく漫画家の黒鉄ヒロシ氏や故はらたいら氏もたいへんに博識な方です(でした)。

それらの方に共通している時事漫画を描く上では、様々な方面に感度の良いアンテナを張り巡らしていることが大事で、それが結果的に時事問題以外の雑学全般にも連鎖的に詳しくなっていくのでしょう。

それにあまり良い意味では使われない「衒学的(げんがくてき:学があることをひけらかす)」なことを自ら求めていると公言していると書かれていて、テレビの場でもそうした自信たっぷりと言うか、自慢気な雰囲気があることにこの新書を読んで納得です。

個人的には、どちらかと言うと自分が体育会系に近いので、理屈や知識でやりこめる、こういうタイプの人は苦手なのですが、テレビや新聞等で見かける分にはユニークな素養と趣味の持ち主としてリスペクトしておきたいと思います。野球や相撲を題材にした1コマ漫画も面白いものが多いですし。

自分が新入社員の頃には、NHKの元アナウンサー鈴木健二氏が司会を務める「クイズ面白ゼミナール」の前にいつも言っていた「知るは楽しみなりと申しまして、知識をたくさん持つことは人生を楽しくしてくれるものでございます」を実践しようと、駅のホームで電車を待っている間にも、広告の看板を読み、流行を知ったり、景気の良さそうな業界を感じ取ったりと意識して知識を吸収するように心掛けていました。

そういうことの積み重ねが、その後の人生において、いろいろと身を助けてくれたこともあり、そうした雑学の威力は十分に同意するところです。

あとがきに、先々月寄って見学してきたばかりの、知る人ぞ知る鶴岡市の加茂水族館の話しがちょっと出ていてビックリ。

なんでも雑食性のウマヅラハギが集団で好物のエチゼンクラゲを襲って食い散らかす鬼畜なショーをクラゲで有名な加茂水族館でやれば盛り上がるのでは?というようなお話でした。

新書にはよくありがちなことですが、著者のちょっと自慢げな表現や事例が鼻につくところが減点1の★2です。

★★☆

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私たちの国に起きたこと (小学館新書) 海老名香葉子

初代林家三平の妻、長女・海老名美どり、次女・泰葉、長男・泰孝(九代目林家正蔵)、次男・泰助(二代目林家三平)の母として有名な著者で、落語一家の家族を書いた著述も多くあります。

この作品は、著者が11歳の時に起きた東京大空襲で、両親や兄弟を亡くすという壮絶な体験をしたのちに、貧しい戦後を親戚をたらい回しにされながらも生き抜き、縁があってまだ無名の落語家(初代林家三平)と結婚して現在までの話しが書かれている2015年発刊の新書です。

東京の下町で伝統ある釣り竿を製造販売していた家に生まれますが、ひとりで疎開をしていた3月10日に東京大空襲があり、兄の三男だけは生き延びて再会しますが、あとの親兄弟6人は行方不明となってしまいます。

自宅も焼けて跡かたなくなり、終戦後は戦災孤児として親戚の家を転々としますが、どこも自分の家族を養うことで手一杯で、歓迎されません。

そんなとき、亡くなった父親と釣りを通じて懇意にしていた顧客の3代目三遊亭金馬師匠を訪ねたところ、初めて歓迎してくれ、その後その家の子供のように育てられます。

そして落語家の林家三平との結婚、その後有名になっていく落語家の妻として、夫の闘病と死と、事実上、本人の自伝となっています。

その中でも特に戦災で家や家族を失った子供達の悲惨な状況を余すところなく書かれていて、それがこの新書の主題となっているようです。

★★☆

【関連リンク】
 9月前半の読書 幻の女、幸福な生活、神様のボート、それは経費で落とそう
 8月後半の読書 村上海賊の娘(1)(2)(3)(4)、京都ぎらい、眼球綺譚
 8月前半の読書 ドグラ・マグラ(上)(下)、11 eleven、「子供を殺してください」という親たち



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