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1208
その癖、嫌われます (幻冬舎新書) 竹内一郎

2005年に「人は見た目が9割」でミリオンセラーをぶっ飛ばし、それだけで印税収入が1億円近く(実際は所得税等税金があるのでそのまま収入ではないが)という大ヒットを持つ著者の2012年の新書です。

当時、新書では「タイトルに数字を入れると大ヒット」と言われていて、上記のミリオンセラーもその通りとなりました。他には「99・9%は仮説」「若者はなぜ3年で辞めるのか? 」「7つの習慣」「新版 年収300万円時代を生き抜く経済学」などもベストセラーとなっています。

誰でも七癖と言ってなにかしら癖を持っていそうですが、他人に迷惑をかけていても、それに気がつかないというのが本人のみという残念な性格のものです。

私自身、この本を読んで、「あぁ~なにげなく仕事中にため息をついているなぁ~」とか、話しをしても「嫌いな人とは目を合わせないようにしているなぁ」とか、「夏場の外勤の時には、(中年の)汗臭さ満載だったなぁ~」と、反省するところがいくつも出てきます。

過去に他人がやって嫌だったことは「食事でペチャペチャと音をたてる人との食事」「鼻水をすすり続ける人との会議」「しゃべる合間合間に必ず『あの~』と入れるプレゼン発表」「夏場にせわしなくハンカチでパタパタと顔をあおぐ女性」「満員電車で、身動きがとれない中で、鼻くそをずっとほじっている男性と、枝毛?の手入れに余念のない女性」「不必要にPCのキーボードをパンパン強く叩く人」などなど。

人の癖で困るのは、それを注意すると、相手が注意した人に敵愾心を持つことです。

癖を指摘されて「感謝をされる」ということは皆無でしょう。だって、その人にとって癖は、自覚がなくやっていない(と思い込んでいる)ことだからです。指摘されると猛烈に恥ずかしく、その相手に攻撃されたと敵意を感じます。

また同時に人に癖を指摘されることは、自分はなにも悪いことをしていないのに、いきなり難癖を付けられ、恥をかかされたということでしょう。そりゃ腹を立てます。

だから敵を作りたくないと思う多くの人は、他人の癖に対して注意ができません。見て見ぬふりするのが一番だと悟っています。

この新書でも、そうした癖を注意する方法などが書かれていますが、それはどうかな?って思ってしまうほど、対処が難しいものです。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

失われたミカドの秘紋 エルサレムからヤマトへ「漢字」がすべてを語りだす!(祥伝社文庫) 加治 将一

2008年に「舞い降りた天皇―初代天皇「X」は、どこから来たのか」を書いた著者の、天皇関連第二弾の2010年単行本刊、2014年に文庫版刊の長編歴史小説です。

感想は主人公が天皇の祖先の推理や中国の歴代皇帝の人種などに触れて、警察からも中国警察からも付け狙われるという微妙な問題を多く含んでいるのと、特に何度も出てきますが秘密主義で自分たちの利益を守るだけと宮内庁を攻撃しているところが、小説と言うより私怨を強く感じられる文章になっています。

端的に言うと、古代に進んだ文明をもったエジプトやユダヤから、陸続きのユーラシアを旅して中国へ、そして朝鮮半島や日本へもその係累が住み着き、強力な武器で土着民を支配し、やがて王朝を作っていったという流れです。

特に、古くからある漢字の意味や発音がユダヤ語と親和性が高いことなどから、漢字が生まれた中国を含み元々土着していた漢民族や大和民族はではなく、西方からやってきた異民族がその根っこにはあるのだとする言説を主人公に推理させています。

小説の出来としては少々読みづらく、変なエンタメ精神などどうでもいいので、もっと端的に整理して書いてくれたら読者も増えるのだろうになと思います。

多くの古代の名前や都市名等が次々と出てきて、その関連性や時代背景が専門家の論文ではなく、ほとんど予備知識がない人が読む小説としては、ただ混乱を与えるだけでしょう。

しかし個人的にはこういう古代歴史推理小説は嫌いでなく、高木彬光氏の小説「邪馬台国の秘密」や「成吉思汗の秘密」「古代天皇の秘密」などはコンパクトにまとめられ、ロマンもあって楽しめました。

また著者が主人公に言わせているように、日本の全国に散らばっている古墳など、宮内庁が許可をしない場所を徹底的に発掘調査すれば、歴史の謎や天皇をはじめとする有力者のこと、そのDNAを調べてどこから来た人種とか判明し、古代ロマンが拡がっていくのにって思いますが、知らぬが仏、空想していられるときが幸せなのかもしれません。あるいは知られて困るようななにかを隠しておきたいのかも知れません。

★★☆

著者別読書感想(加治将一)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

盲目の予言者 ローレンス・ブロック

1988年刊で原題は「Random Walk」(直訳すると「不規則な歩行」)の小説で、著者の有名なシリーズ「マット・スカダー・シリーズ」「泥棒バーニイ・シリーズ」「殺し屋ケラー・シリーズ」「快盗タナー・シリーズ」のどれにも属さない単独の長編です。

この小説は文庫化がされてなく、単行本でもすでに絶版となっていて、ブックオフあたりにもまず出てこないので、今回はAmazonのマーケットプレイスで入手しました。

高倉健主演の映画「あなたへ」(2012年)のように、主人公がひたすら旅をするロードムービーと言われる映画がありますが、こちらはそういう言葉があるのかどうか知りませんがロード小説と言えます。

バーテンダーの主人公は、ある時、意識の中で「歩け」という天の言葉を聞き、それに従うべく、仕事を辞めて、マイカーも売り、銀行からお金を下ろし、アメリカ西海岸からひたすら陸地を目的もなく東に向かって歩き続けます。

いくつもの州を超えて歩くうちに、ひとり、またひとりと同行する人が増えていきますが、その中に、目が見えなくなったシングルマザーで精神カウンセラーがまだ幼い息子と一緒に加わります。タイトルにある「盲目の予言者」とはこの人のことを指しています。

一緒に単に歩くようになると、不思議な現象が次々と起きていきます。例えば高齢で歩くことができなかった老婆が杖もなしで歩けるようになったり、癌に罹って余命わずかだった女性が劇的に回復したり、大人で抜けた歯が新たに生えてきたり。

ま、そのあたりはなにかファンタジー小説か、宗教教本のようですが、なにか閉塞感に追いやられて苦しんでいるアメリカ都会人にとってはそうした神秘的な癒やしに憧れている気もわかります。

特に最後までこれと言った転結があるわけではありませんが、同時進行で100人もの女性を殺めた凶悪な殺人者がその行進に加わったことで、自らの犯罪を告白し自戒していくなど、できすぎというかやりすぎって感じもします。

★★☆

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

追伸 (文春文庫) 真保裕一

2007年に単行本、2010年に文庫版が発刊された、往復書簡中心の長編小説です。

こうした男女間で往復書簡のやりとりがそのまま小説となる手法は何度か見かけますが、個人的にはあまり好きではないです。

というのも、本来手紙というのは私的な文章で、それを小説に仕立て上げるには、読者にもわかりやすくするためそこに無理が生じます。

「よく知った男女間で、手紙においてそんなまどろっこしい言い回しや説明は普通ないだろう?」っていう記述が、これでもかって感じで続きますから、しらけてくる場合が多いのです。

なので、これは手紙ではなく、単にストーリーの説明文なんだと思い込んで読み進めていくことになり、それだったら、なにも手紙の風体をとらなくてもいいんじゃないか?って思ってしまいます。

著者の作品は好きで、これまで17作品を読んできましたが、割と多作な作家さんですので、いろいろと趣向を変えた作品をということなのでしょうけど、こればかりはあまり成功したとは思えません。

ストーリーは、ギリシャに単身赴任中の夫と日本にいる妻との往復書簡で、妻から一方的に離婚届が送られた夫が、なぜ妻がそういう思いに至ったかを考え、その妻の母親がなにかを隠してきたことや、やがて判明してくる妻の祖父母について不思議だった過去が、祖父母が交わしていた書簡で明らかになっていくという内容です。

なので夫婦の往復書簡の中に、祖父母が取り交わしていた往復書簡があるというややこしさです。

最後もこの主人公たる夫婦がこの先どうなっていくのか、消化不良のままなんとなく終わってしまい、結局なにが言いたかったのか、よくわからないままで終わってしまいました。私の読解力不足かな。

★☆☆

著者別読書感想(真保裕一)

【関連リンク】
 2月後半の読書 紀ノ川、はじめまして京都、訣別の海、ファミレス(上)(下)
 2月前半の読書 夜明けの光の中に、山猫の夏(上)(下)、人間の分際
 1月後半の読書 ビター・ブラッド、ちょっと今から仕事やめてくる、リバース、23区格差



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1207
いつ頃からだったか、1軒の家やマンションを何人か集まって住むシェアハウスというのが増えてきました。

昔は会社の独身寮だったりしたところを、シェアハウスに改装して使っていたり、空き家を利用して部屋ごとに貸し出すというのが、貸し手、借り手ともに好都合な場合があり、うまく時流に乗ってきたなという感じです。

元々アメリカでは、こうしたシェアハウスは以前からあって、部屋の賃貸が高額になりがちな都市部に住む場合、地方から出てきたばかりの安月給のシングルは、まずシェアハウスを探すというのが普通です。

日本も都会ではひとり住まいの世帯がここのところずっと増え続けていることで、これからはファミリー向けの大きな家やマンションよりも、単身世帯用のコンパクトな部屋の需要が高まっています。

コンパクトマンションが流行っているらしい 2013/1/26(土)

借り手からすれば、シェアハウスはアパートのひと部屋を借りるよりも安い金額で入居ができ、さらに住人同士の連帯感やコミュニケーションを通じ、都会に出てきた孤独感が多少は薄らぐという側面があり、貸し手からは、いくつもの部屋がある中古住宅を貸せるファミリー層が減ってきて、長く空き状態(=無収入)が続くリスクを減らせます。

また金融機関の金余りの産物で、主婦やサラリーマンでもできる投資目的の副業として、従来からあるアパート・マンション経営と同様に、より少額で投資ができるシェアハウスオーナーというのも増えてきました。

そうした中で、投資目的が転けてしまう例も出てきています。

女性専用シェアハウス運営会社、賃借料支払いを突然停止(産経ニュース)
首都圏で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開する不動産会社が、物件所有者への今月の賃借料の支払いを突然停止し、トラブルになっていることが20日、分かった。所有者は数百人に上り、銀行から多額の「アパートローン」を借り入れ、1億円超の新築物件を購入した人が大半とみられる。

ま、投資にリスクはつきもので自己責任ですから、投資に失敗してもそれは本人の責任で済ませられますが、シェアハウスってこれからどのような発展をしていくのか、少し気になっているところです。

まず現状のシェアハウスの入居者はどうなっているのか?

国土交通省住宅局住宅総合整備課賃貸住宅対策室(長げーよ)が制作した「シェアハウスガイドブック」(2017年版)に、いくつか参考になるデータが載っていたので一部だけ抜き出しておきます。

◆入居者男女比 女性が多い68% ほぼ均等20% 男性が多い12%
◆入居者年齢層 20~30歳未満56% 30~40歳未満33% 40~60歳未満5% 60歳以上5%
◆入居者の就業状況 正規社員48% 非正規社員18% その他33%
◆物件状況 空き家・戸建て49% 空き家・共同住宅24% 新築物件21%

女性の利用が多いのに驚きです。安いのが魅力というのと、男性よりは協調性があってシェアハウスに向いているのでしょうか。最近は女性限定のシェアハウスというのも増えています。

年齢層は30歳未満の若い人が中心です。中高年者や高齢者はごくわずかです。

入居者の就業状況では、正規社員が半数です。その他(33%)というのは学生さん(留学生含む)や無職ということでしょうかね?

学生ならともかく、無職の人がニートや引きこもりでシェアハウスを利用ってあまりなさそうですが、あればちょっと他の入居者とは溝ができてしまいそうです。

空き家増加の影響でしょうか半数が戸建て空き家を使ったシェアハウスです。マンションの空き部屋や、会社の寮を利用する場合は「空き家・共同住宅」になるのでしょうけど、それらは意外と少ない印象です。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

現状のシェアハウスを理解したところで、次はシェアハウスには向かない人というのがいます。

例えばコミュニケーション障害というか、知り合いに会っても挨拶すらできない人のように、他人と関わることを極端に嫌う人達。

次に特に高齢者に多いですが、快適だけど一定の制約やルールがある施設より、快適ではないけど勝手気ままで自由なホームレス生活などを選ぶような性格の人達。

こうした人達に共同生活意識が必要なシェアハウスを勧めても難しいでしょう。

また、知らない人達の中でうまく自己表現や協調ができない人や、我が強くて自己中心的な人も周囲の人達とトラブルとなってシェアハウスには向きません。

シェアハウスは基本個室なので、他人と関わりたくなければそうすることもできる?って思われがちですが、トイレや風呂、キッチンなど日常生活に必要な場所は共用ですから、譲り合いや協力、協調が求められます。いつでも自分の入りたい時間にお風呂に入れるわけではありません。

また共有部分の清掃やゴミ出しなどは当番制だったりするので、「自分はキッチンを使ってないのでゴミ出し当番はしない」とか「共有リビングは使わないので清掃当番から外して欲しい」というわがままは通りません。

その他でも、実際にシェアハウスに住んでいた人の話として、「共有部分に置いていた食品が勝手に食べられた」とか「共有の家電品がよく盗まれる」「キッチンを使って汚れたまま放置」「私物を長期間共有部に置く」とか、マナーを守らない守れない人が一定数いるということは心配のタネです。

もっと怖いのは「古参のボスがいて絶対服従」「部屋に盗聴器が付けられた」「部屋の中のお金が盗まれた」とか、犯罪が起きる可能性もあります。一般的なシェアハウスは住人を選べませんから、注意しないとそうしたことは普通に起きそうです。

一方で、高齢化、孤独死、孤立化を防ぐために、ひとり住まいの高齢者で、軽い介護が必要な人の場合、介護施設を何年も空き待ちしているより、そうしたシェアハウスをうまく利用するというのは良いかもしれません。

例えば、寮母さんのように夕食をまとめて作ってあげる代わりに、食材や日用品の買い出しは別の住人がおこなってくれるとか、高齢者が病院へ通院するときには誰かが手伝うとか。

高齢者ばかりがひとつのシェアハウスに住むのも、お互いに見守り支え合っていけてそれもいいのですが、若い人と一緒に住むことで、高齢者も若いエネルギーがもらえるし、年が離れていると、人間関係に気をつかったり、関係がギグシャクすることも少ないでしょう。

シェアハウスの可能性はまだこれから拡がっていくと思いますが、それを投資や商売のタネとしか考えないと、上記のように大きなリスクをかぶってしまうことにもなりかねません。

空き家対策、高齢化社会、福祉と一体に考えていくことで、明るいシェアハウスの未来が開けていくのではないかなと思っています。


【関連リンク】
1156 空き家バンクの無能ぶりと空き家に思う
1069 世帯数や住宅総数は増えていき、空き家も増える
1019 老人ホームについて調べてみた(1)
995 2LDK、販売価格10万円のリゾートマンション

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1206
俳句、和歌、短歌、川柳の違いって、誰でも知っていそうで、よくよく考えると、「あれ?」ってことありませんか?

小学校や中学校で、俳句や短歌については一応みんな学んでいるはずですが、その後何十年も関わりがないと、俳句や川柳は5・7・5、短歌や和歌は5・7・5・7・7ぐらいの知識しか思い出せない人も多いのではないでしょうか?

えぇ、私のことです。

ではまず和歌と短歌の違いは?って言うと、明瞭な回答ができる人は案外少なかったりします。

答えは、短歌は和歌の一種で、現代ではほぼ同じものと言ってもいいとのことです。代表的な和歌では百人一首がありますね。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

代表的な和歌や短歌

田子の浦に うち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ
山部赤人(百人一首)

花の色は 移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに
小野小町(百人一首)

いにしへの 奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな
伊勢大輔(百人一首)

幾山河 越えさり行かば寂しさの 終てなむ国ぞ今日も旅ゆく
若山牧水(海の声)

やは肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや道を説く君
与謝野晶子(みだれ髪)

ふるさとの 山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな
石川啄木(一握の砂)

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

次に俳句と川柳の違いは?というと、こちらは第一生命が毎年出しているサラリーマン川柳などがあるおかげで、割と知られています。

つまり俳句は、小学校で習ったとおり、中に季語が必須で、春夏秋冬などの季節や、自然を表現したもの、川柳はそうした俳句に求められる条件を取っ払って自由にカジュアルに作られたものと分かれます。

代表的な俳句

柿くえば 鐘が鳴るなり 法隆寺
正岡子規  季語は柿(秋)

五月雨を 集めてはやし 最上川
松尾芭蕉 季語は五月雨(梅雨時)

菜の花や 月は東に 日は西に
与謝蕪村 季語は菜の花(春)

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

川柳は最近のものと思われがちですが、江戸時代中期に柄井川柳という人がルールを無視した俳句を選んで出版した句集が人気を博し、それが川柳の原型となったようです。

詠み人知らずですが、江戸時代後期の随筆「甲子夜話」にある、徳川家康、豊臣秀吉、織田信長を表した
「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(ホトトギス)」
「鳴かぬなら鳴かしてみしょう時鳥」
「鳴かぬなら殺してしまえ時鳥」
も川柳です。

昨年までの過去8回のサラリーマン川柳 第1位作品は、

2017年 ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?
2016年 退職金 もらった瞬間 妻ドローン
2015年 皮下脂肪 資源にできれば ノーベル賞
2014年 うちの嫁 後ろ姿は フナッシー
2013年 いい夫婦 今じゃどうでも いい夫婦
2012年 「宝くじ 当たれば辞める」が 合言葉
2011年 久しぶり~ 名が出ないまま じゃあまたね~
2010年 仕分け人 妻に比べりゃ まだ甘い

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

Twitterの利用者数(アカウント数)は日本で4500万人(2017年10月)とされ、世界の人口比では日本人はわずか1.6%に過ぎないのに、Twitter利用者数は世界利用者数の中で約14%を占めています。

もちろん人口の多い中国など一部の国ではTwitterが使えなかったり、貧しい国ではネットがない、使えないというところもまだまだ多くありますが、それにしてもTwitter人口の急拡大は世界の中でも日本は突出した存在です。

これは以前からも言われていましたが、俳句や短歌、川柳など、短い言葉で物事を表現することが古くからの文化として根付いていて、伝統的に短文投稿が得意だということと無縁でないかもしれません。

定年後の楽しみとして、平均寿命が50歳以下だった江戸時代に、老境に入った45歳で東北を主として徒歩で縦断旅行した松尾芭蕉の「奥の細道」ではないですが、元気に外へ出掛け、こうした俳句や短歌を四季に応じ作って楽しむのも良い趣味と思いますが、はて自分にその才能があるかどうかは?です。


【関連リンク】
1027 格安スマホ(MVNO)に替えた
851 松尾芭蕉のおさらい
820 高齢者ビジネス(第2部 趣味編)
749 TwitterとFacebookの現状
320 五月雨をあつめて早し



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1205
高齢化社会を反映してか、報道番組やドキュメント番組などで老人ホームが特集されることが増えてきました。

一概に老人ホームと言っても様々な形態や種類があって、なかなかそれが理解できせんが、1月末に火事で多くの高齢者が亡くなった札幌のNPOが運営する生活保護受給者の自立支援施設などは、取材が難しい?せいか、一般的にあまり知られていません。

NHKで昨年放映された『ドキュメント72時間「海が見える老人ホーム」』は、リゾート施設のような立派な老人ホームで、入居するためにはひとり何千万の費用が必要で、さらに長い順番待ちということで、一種エリート高齢者施設です。そういうところは取材が楽なのですね。

さて、そうした、老人ホームや介護施設などが舞台となる番組を見ていて思うのは、登場する高齢者の8~9割方が女性だということです。

上記の『ドキュメント72時間「海が見える老人ホーム」』に登場する入居者も8割方が女性で、しかもみな元気いっぱい。残りの2割の男性は、みなおとなしく、小さくなっているって感じがしました。

そりゃ寿命が違うからと言われますが、2017年に厚生労働省公表の平均寿命は男性が80.75歳、女性が86.99歳ということで、6.24歳だけ平均的に女性が長生きします。約6歳の違いはここ何十年も変化はなく、それが老人ホームの利用者にそれほどに差がつく?って思います。

それにしても、老人ホームに住む男性が少ないなぁって気がします。単にそうしたテレビなどの取材を嫌って表に出てこないだけかも知れませんが。

常識的に考えると、男性は妻の介護の元、自宅で最後を迎え、ひとり残された妻がホームに入るケースが多いのではないかという私の推論ですが、もうひとつの理由として、身体が元気なうちは、共同生活を余儀なくされる老人ホームに入りたくないという強い意志が、特に男性には働いているのではないかなと思っていたわけです。

女性はご近所づきあいや親戚づきあい、ママ友、趣味のサークル活動など、割と誰とでもすぐに仲良くなれて、共同生活もあまり苦にならない素質を持っているように思います。

そして今まで家事や子育て、親や夫の介護で忙しかったのに、それらから解放されて、伸び伸びと余生を楽しんでいる姿が想像できます。

しかし男性は今まで仕事以外の一般社会とは隔離され、特定の人とだけ付き合えばよいという会社人間として何十年を過ごしてきて、今さら見も知らない、価値観も違う多くの人の中で交わり、興味のない人の話を聞いてあげて、あげくは同意や協調を求められても、うまくいくはずもなく、、、

そのように思っていたら、下記のような記事を見つけて、やっぱりなぁって。

男の老人ホーム入居は不屈の覚悟を --- 中村 仁

この元新聞記者さんのブログに書かれていますが、現在老人ホームに入っている主として80代以上の人は、ネットやブログなどで自主的に発信するという意欲も文化もなく、あまり公にはなってきませんでしたが、老人ホームの実態はなんとなく想像が付きます。

ただ、この元ネタの老人ホームに入居しているという人が書いたブログが、リンク先も書いてないし、検索しても探し出せませんので、事実の話しかどうかは不明で、話半分ぐらいに読んでおく必要はありそうです。

一般論ですが、世の中には平気で嘘をつく人も、創作を事実のように話す人もいっぱいいますので、なんでも書いてあることをむやみにそのまま信用してしまうのはよくありません。

と、言うことを前提にして、書いてあることは、まず老人ホームには男性入居者が少なく、まして同じ趣味を持った人は少なく、自分が関心のある話しができないこと、同じ入居者同士でも、相手によるでしょうけど、女性相手に気軽に会話ができないこと、男性がいても難聴や脳梗塞を患っていたりして会話がまともにできないこと、ホーム側も早く手間のかからない呆けた好好爺になってもらいたいと思っていて、刺激がなく早く呆けてしまいそうだということなど、様々な苦労があるようです。

ま、自分は変えずに相手やホーム側に対する感想や不満だけを述べていて、贅沢と言えば贅沢な話しではありますけどね。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

逆に孤独死や高齢者の独居テーマの特集やドキュメンタリーでは、一転して男性高齢者ばかりが取り上げられます。

ガイアの夜明け「どう生きる? "シングル"社会」

高齢女性の独居も多いはずですが、女性は比較的地域やご近所さんとのコミュニケーション、福祉団体との関わりなどがあって、それほど孤立が問題となっていないと思われますが、高齢になってからの男性の独居は、馴染みのない地域社会と断絶されてしまい、孤立を深めていくことになるようです。

お金と健康があれば、まだ救われるのですが、その片方、または両方がなくなると、途端に社会と断絶してしまい、孤独死に直面していきます。

そうしたことが起きないよう、それぞれの所得や資産に応じた老人ホームや介護施設、社会福祉制度があるのでしょうけど、特に男性の場合は、共同生活が嫌で、かたくなに施設等に入居するのを拒むケースが多そうです。

ホームレスの人が福祉施設を紹介されても、風呂と食事だけ使って施設をすぐに出て行ってしまうのと感じが似ています。

施設側でもっとできることもあるでしょうけど、高齢者側が自らの意思で施設に入るようにする説得手法や、高齢者への教育、告知、社会体制なども考えていかないと、なんだか世知辛いし、場合によっては失う者は何もないと自暴自棄で犯罪を犯す高齢者が増加するという世の中になりかねません。

行政もそうした高齢者の実態に詳しいNPOなどと協力して、柔軟な対応ができる制度へ変わっていく必要がありそうです。


【関連リンク】
1020 老人ホームについて調べてみた(2)
1019 老人ホームについて調べてみた(1)
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
989 老人クラブの野望


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1204
紀ノ川 (新潮文庫) 有吉佐和子

1959年刊ですのでおよそ60年前に書かれた作品です。和歌山出身の著者がその故郷を舞台にして、激動の明治、大正、昭和とつながっていく、およそ60年にわたる「花」「文緒」「華子」3代の女系女子を主人公にした小説です。

1964年にNHKでテレビドラマ化され、1966年には中村登監督、司葉子、岩下志麻などの出演で映画も製作されました。いずれも見ていませんが、映画は機会があればそのうち見たいなと思っています。

第1部はまず明治時代から始まり、和歌山の九度山村に住む素封家で大地主の娘が主人公で、祖母が決めた縁談に従い、紀ノ川下流の新興の家へ嫁いでいきます。

その主人公が、昭和の時代になって亡くなるまでがこの小説ですので、女3代と書きましたが、実質はこの第一部の明治生まれの女性「花」が最後まで通して主人公といっていいでしょう。

第2部は、元号が大正に変わってから生まれた主人公の長女「文緒」の話しが多く、伝統や家制度などに反発し、昔ながらの女性らしさを求める母親には反抗的で、大学へはその母親から離れたい一心で東京へ出て行き、そのまま東京で恋愛結婚をします。

第3部は、その長女の長女(主人公からは孫)が昭和になってから生まれ、早産のため病弱ながらも、母親と違って、古き伝統などを大切にする考え方が主人公(祖母「花」)と似ている女性です。

文庫の解説にも書かれていましたが、この小説に登場してくる男性が、どいつもこいつも軟弱だったり呆け者だったりして、以前読んだ「女系家族」(山崎豊子著1963年刊)を思い出しました。

2015年9月後半の読書と感想、書評(女系家族)

物語の都度都度に、紀ノ川や和歌山城の美しい風景、方言、地元に様々な言い伝えなどが出てきて、著者の地元愛がよく伝わってきます。

★★★

著者別読書感想(有吉佐和子)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

はじめまして京都 トノイケミキ・宮下亜紀

書籍というか史跡やお店紹介のガイドブックに近いもので、2010年に発刊されています。

著者の二人の女性は京都生まれ、京都育ちとのことで、お寺や神社、カフェに雑貨、京都土産に和菓子やスイーツなど、ちょっとレアなところが紹介されています。いかにも女性向きの趣味かも知れません。

なにかの特集でこの本が紹介されていたので、内容は知らないまま購入しましたが、もう少しうんちくや解説が多い本かと思っていました。写真が中心で読書と言うにはおこがましい部類です。

別に京都だけではないでしょうけど、それぞれの土地を深掘りしていけば、様々な発見があり、美味しいものにも出会えます。

テレビで安上がりな街歩き番組が隆盛を極めるのも、そうした新鮮な発見や出演者との出会いがほのぼのとして視聴者に喜ばれるからでしょう。

以前は、そうした街歩きとは言え、すべて事前に仕込みがされていて、中には番組スポンサーを忖度したお店や内容が含められていたりして、裏側が知れると興ざめもしましたが、最近の街歩きは、そうした反省からか割とぶっつけ本番になってきています。

でもその場合でも、生放送というケースはないので、後の編集作業でいくらでもうまく印象を変えてしまえます。都合が悪い部分、本音がポロッと出た部分はもちろん放映しませんし。

こうしたガイドブックも、以前は取材する店(大きく取り上げる店)から広告宣伝費をとって掲載するというバーター的なものがほとんどでしたが、ネット社会になってからそうしたあからさまな紹介本はすぐにバレてしまうので、この本のように広告などとは関係なしに、著者の感性だけで気に入った名所やお店、人物を紹介しているという体が増えてきています。

★☆☆

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訣別の海 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ) ロバート・B・パーカー

ジェッシイ・ストーンシリーズ第5作目の作品で、2006年に米国で発刊、日本語翻訳版は2007年に出版されています。原題は「Sea Change」、直訳すれば「海の変化」です。

ジェッシイ・ストーンシリーズは「暗夜を渉る」「忍び寄る牙※」「湖水に消える※」「影に潜む※」「訣別の海※」「秘められた貌※」「容赦なき牙」「夜も昼も」「暁に立つ」と全部で9作品があり、そのうち※マークの5作品を読んだことになります。

またこの小説を原作としたアメリカの映画「警察署長ジェッシイ・ストーン 訣別の海」が、2007年にトム・セレック主演で製作されています。

舞台はボストンの近くにある架空の地方都市パラダイスで、その関係もありボストンが舞台のスペンサーシリーズでお馴染みの登場人物達が時々出てきたりします。

この小説でも、ヒーリー警部、リタ・フィオーレ(弁護士)が登場し、名前こそでてきませんが、スペンサーと思われるボストンの私立探偵から聞いたという話しも出てきて思わずニヤリとします。

逆にスペンサーシリーズの中で、ジェッシイ・ストーンが登場するのは、シリーズ30作目の「真相」(2003年)です。

内容は、海で溺死したと思われる女性に、なにが起きたのかを問い詰めていくという、いつものパターンですが、当初から疑わしいと思われた二人の金持ちで遊び人のヨット乗りから、突然、方向転換する終盤に緊迫感があってなかなかよろしい。

ただいつものことながら、主人公の警察署長は、浮気して離婚した元妻とまた暮らし始めていて、その点でグズグズと思い悩み、精神科医にもかかっている姿はどうにも釈然としないです。

アル中だった過去と決別したのはローレンス・ブロックの「マット・スカダー」と似てはいますが、マットはここまで女性に対し、意志薄弱、軟弱ではないですね。

いわゆるスペンサーシリーズのようにハード・ボイルド一辺倒ではない主人公を描きたいのだと思いますが、犯人を追い詰める姿と、元妻とデートするシーンとであまりの落差に読者は戸惑ってしまいます。

★★☆

著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)

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ファミレス (角川文庫)(上)(下) 重松清

2013年刊、2016年に文庫版が発刊された長編小説で、元は2012年から日経新聞夕刊に連載されていた作品です。2017年には遊川和彦監督、阿部寛、天海祐希主演で映画「恋妻家宮本」というタイトルで公開されていました。

映画も見てないし、日経夕刊も読んでいないので、どういう内容かはまったく知らずに読み始めました。

主人公は40代後半の中学校の国語教師で、子供達が就職や進学で家から出て行き、突然夫婦二人だけの生活になり、長く連れ添った夫婦関係がギグシャクしてくる頃です。

二人目は、その主人公の同世代の友人で、大手出版社で雑誌の編集長をやっている男性の妻は介護を理由にして京都の実家へ帰ってしまって別居状態。

三人目のもう一人は、嫁と姑の関係がこじれて離婚し×1となった男性で、再婚するにあたり、実家のお弁当屋をそのまま継ぐと、再び妻に嫁姑の関係で気苦労をかけると判断し、キッチンカーを購入し、お弁当やおかずの移動販売を手掛けている男性が話しの中心となります。

そこへ主人公と編集長が趣味で通っている「男の料理スクール」の講師で×2の女性が関わってくることになります。

その講師には妊娠している娘がいて、相手は元・売れないロックバンドメンバーで、妊娠を知ってバンドを辞めたものの、講師親子からは絶縁されています。

その他、主人公が勤める中学校の生徒で母親が不倫していたときに事故に遭い入院してしまったり、主人公の妻が書いた離婚届が本の間からみつかったりと、とにかく夫婦の関係がこれでもかというぐらいに揺さぶられていきます。

こういう小説を読むと、「結婚ってなんなの?」とか「夫婦ってなに?」って考えさせられます。

タイトルの「ファミレス」も、「ファミリーレストラン」の略ではなく、家族ではなく、独身者が多く集まる「ファミリーレス」の縮小型ではないのか?と、父親は海外へ単身赴任し、母親は不倫という夫婦の子供に言わせています。

でも現実に、専業主婦がメインだった時代を過ごしてきた妻が、夫が定年を迎えた機会に「熟年離婚」を言い出して騒がれた時代から、今では子育てを卒業して「卒婚」と称し、共働き夫婦で、まだお互いが元気なうちに新しい生活を手に入れようと別れる時代へと変わってきているのかも知れません。

私は別に結婚にこだわる古い考え方でもなく、また大きなお世話ですが、そうした流行で今後ますます結婚したいと思う若い人が減っていくことがないように願うばかりです。

★☆☆

著者別読書感想(重松清)

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