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683
パナソニックやソニーなど大手製造業の不振が日本経済に大きな影響を及ぼしていますが、各地で大手企業の工場閉鎖が発表されると当然ですがそれにともない人員整理が行われることになります。
日立、情報機器の半導体製造終了 青梅の工場閉鎖(2012年12月7日)
ソニー・富士通・シャープ 工場の相次ぐ閉鎖で荒廃する日本の城下町(2012年11月14日)
日立、ソニーと相次ぐ工場閉鎖に揺れる岐阜・美濃加茂の悲鳴(2012年11月3日)
ダウ・ケミカル 衣浦工場を閉鎖へ(2012年10月25日)
東芝、蓄電池生産を柏崎に集約 佐久工場は閉鎖(2012年10月24日)
製造業で減産の動き相次ぐ 工場閉鎖、リストラ加速…回復見通し立たず(2012年10月13日)
富士通3工場を閉鎖、売却 国内半導体組み立てから撤退(2012年8月31日)
東芝ライテックが山形と茨城の4工場を来年3月末に閉鎖(2012年7月12日)

おそらく20年前までは、地方都市に大手製造業を優遇してでも呼び込むことが、その都市の税収を増やし雇用を作り町の発展に寄与しました。そのためこぞって工業団地を造り、税制や土地取得を優遇し、インフラを整えてきました。

地方の市や町は、ソニーが来た、トヨタが来た、富士通が来たと大喜びして、これで市の財政も雇用も安心とばかり工場進出バブルに酔いしれた時期もあったのでしょう。

しかしそのバブルも長くは続かず、現在は次々と国内の工場が閉鎖し、そこで働いてきた多くの従業員が路頭に迷うことになり社会問題化しています。

第一に地方で勤務していた従業員が、工場閉鎖で別の遠くにある地方の工場へ異動ができるか?という問題。第二に現在各製造業の主力工場の現場では、正社員従業員よりも派遣労働者、季節労働者、外国人労働者などの非正規社員の割合が急増していて、果たして異動先でも同じ給料と正社員の立場が守られるのか?という問題もあります。

地方都市で働く人にはその都市を離れられない人も多くいます。親の介護や子供の養育、妻の仕事の関係など、異動したくともできない従業員はただ指をくわえて閉鎖を見送るしかありません。

私も一度は企業の経営者をやったことがある人間ですから、その道理はわかります。企業を生き残らせるためには経営上非情な判断をしなければならないときが確かにあります。工場閉鎖や支店・営業所閉鎖による配転や人員整理はその最たるものでしょう。

一方では、配転や人員整理される側に立ってみると、心の中ではやむを得ないというあきらめもありながら、それでも「もっとちゃんと従業員の生活のことを考えてくれよ」と思ってしまいます。当たり前です。会社ごときに人の人生をめちゃくちゃにしてもらいたくはないものです。

うまく異動や配転により従来の雇用条件が維持されたり、高額の割り増し退職金が支払われるのはまだいいほうで、中にはひどい会社やリストラ担当者が、たいした保障もせずに自主退職を強く迫ってくるケースがあります。

そういう会社や責任者(上司など)には、無能のレッテルとたっぷりのペナルティで償ってもらわなければなりません。

退職強要問題を決着するには、突き詰めれば最終的には調定や裁判ということになりますが、企業側はできればそうなることを望んではいませんので、そこに至るまでに様々な懐柔や和解の条件を出してくるのが通例です。手っ取り早く言えば手切れ金(退職金割り増しや退職一時金)や転職サポート、関連会社への出向や転籍などです。

ただ、出向以外は従業員の了承が条件ですので、会社側からの提案に従業員が了承しなければその次の和解策、それでもダメなら労働問題調停、裁判へと移っていくことになります。

ただ、なんでも裁判に訴えかければいいかというと私は決してそうは思いません。

会社対従業員となると悪代官役は会社というケースが多いのですが、会社にとってみると裁判をおこなうこと自体は会社の顧問弁護士に全部任せておけるので、別にたいした問題ではありません。

「裁判を起こし会社と上司の悪行を世間に暴いて思い知らせてやる」なんて見得を切るのはもう完全に時代錯誤で、自分(従業員)の大事な人生の時間と労力を無駄にするだけと思っています。

裁判に慣れていない個人が訴訟を起こすのは、それなりに多くの時間や精神的な負担、そして費用もかかってきます。それで例え勝ったとしても、一審で終わるとは限らず、結審するまで数年もかかることさえあります。そのような無駄な時間や費用を考えると、もっと他に選択肢がないかと考えるべきでしょう。

もちろん裁判に訴えることがすべていけないとは言ってません。いろいろな選択肢の中のひとつで最終手段として考えるべきで、感情的になって「訴えてやる!」と闇雲に走ってしまわないことです。

さて、工場や営業所の閉鎖で会社から退職勧奨(強要)をされた場合に、まずどうすればいいでしょうか?

ソニーの労組(仙台支部)では下記の「リストラ・退職強要をはね返す10カ条」が書かれた職場新聞を組合員に配布していたそうです。なお一部要約をしています。

(1)「辞めません」とハッキリ言う。退職勧奨に及ぶ一切の言動に対して「辞めません」とはねつけましょう。

(2)やっぱり「辞めません」。辞めない理由を言うとつけ込まれる。「辞めません」が最強です。

(3)退職強要にはきっぱり抗議を。「辞めません」と言っているのに繰り返し呼び出すのは違法な権利侵害です。

(4)人権蹂躙には厳重に抗議を。別室に閉じ込めたり仕事を取り上げたりすることは人権蹂躙。その事実を必ずメモにしておきましょう。

(5)出向・配転・転籍も断る。辞めないと出向・配転がおこなわれるというのなら「そのとき考えます」と答えましょう。

(6)会社より自分の生活が大変。「会社は大変だ」と言われたら「私の生活が大変です。ソニー復活のためにがんばらせてください」と言いましょう。

(7)おだてにのらず、謙虚に拒否を。「社外に転進してみろ」と言われたら「あなたがどうぞ」と言いましょう。

(8)家族は首切りに反対です。短気は損気。頭にきたら負けです。家族と子どもを思い浮かべて踏みとどまりましょう

(9)最後は黙秘でがんばりましょう。会社の説得に詰まったら「とにかく辞めません」と言い続けて、最後は黙っていましょう。

(10)ソニー労組仙台支部に相談を。困ったときは、1人で悩んでいても解決方法は見つかりません

「ソニーのような大会社だから労組が力になってくれて・・・」と思う人がいるかも知れませんが、基本は労働法、労働基準法などで労働者の権利は厚く守られています。

世の中には「法律など関係ない!」とわめくワンマン経営者やバカ上司がいることも知っていますが、そういう人や会社には必ず法律により鉄槌が下されますから、逆にど素人相手の交渉でラッキーと思ってもいいかも知れません。

私も過去には経営者側、労働者側のそれぞれの立場で労働紛争の現場にいたことがありますが、結果的には冷静にそして多少ずる賢く対応した方が勝ちということです。

つい熱くなってしまい、暴言や売り言葉に買い言葉でヒートアップしてしまうと決していい解決はできなくなります。

また個人でも加入できる労働組合に紛争解決を依頼をするケースがあり、それで大いに助かることがあります。

しかしそれで最終的に本当にハッピーになったかというと、必ずしもそうではなかったケースも知っていますので十分に注意をして、選ぶ目を養いましょう。ちなみに私に組合について相談されても、知識不足ですので、お役には立てません。

あとTwitterで、フォローしている弁護士さんがツイートで書かれていた退職勧奨の考え方と強要されたときにできることをまとめると、

「退職勧奨はあくまでも労働契約を合意解約したいという使用者からの申込みに過ぎない。断るのは自由。また断る理由も不要。むしろ申込む側が信義を尽くしてなぜ退職勧奨をするのかを説明すべき。」

「退職勧奨を拒否してるのに執拗に続けると、退職強要となり違法性を帯びてくる。また退職させるために仕事を取り上げたり、別室に閉じ込めるのは退職強要の典型的手段。」

「出向・配転・転籍について。転籍は「退職+別会社入社」なので、労働者の同意なくしてできない。

出向は業務命令として命じることが可能な場合があるが、労契法14条※に従う必要あり。配転は判例で「契約上配転命令を出せる根拠があることが大前提で、業務上の必要性と労働者の不利益を考慮し、かつ不当な目的で行うものでない」ことが求めらる」

「退職勧奨(強要)の際、その話しを録音すること。密室でのやり取りなので、どんな酷いことを言われてもそれを立証するすべがないと争ったとき厳しい」(これ重要です。

経験から言えば相手から人格を否定するような暴言を引き出して録音できれば調停でも裁判でも勝ったも同然です)

一番いいのはそういう羽目に陥らないことですが、いまはいつなにが起きても不思議ではない時代ですので、お互いに気をつけるに越したことはありませんね。

(※参考)
労働契約法第14条(出向)
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

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682
やはり歳のせいなのか、昔々子供の頃に母親が作ってくれてよく食べた懐かしい料理が時々無性に恋しくなるときがあります。残念ながらそれらの多くは家族、特に子供達には不評のため、今の我が家の定番メニューとはなっていません。

それはなにかと言えば、
「紅ショウガの天ぷら」※1 
「他人丼」※2
「ビフカツ」※3
「水菜と油揚げ(薄揚げ)の煮物」
「高野豆腐の煮物」
「鯖(サバ)寿司」
「穴子や鱧(ハモ)の箱寿司」
「フルーティな酢豚」※4
「ネギ焼き」
※1 最近は刻んだ紅生姜しかなく、薄く平たくスライスした紅生姜が手に入らないのがネック
※2 牛肉と卵のコラボは親子丼と違ってまた絶品
※3 子供の頃近所の市場にあった肉屋さんの揚げ物では一番人気がビフカツだった
※4 子供の頃の我が家の酢豚はリンゴやパイナップルが入ったフルーティな食べ物でした


う~ん、自分で作るか、あるいは売っているものであれば勝手に買ってきて食べればいいのですが、なかなか一人ではそれもかなわずです。

少なくとも「紅生姜の天ぷら」や「他人丼ぶり」「ビフカツ」は関西では見掛けますが、関東では見掛けたことなし、「鱧料理」や「ネギ焼き」も関西だけなのか関東ではまず見掛けません。

さらに、一応は時々作って(買ってきて)くれますが、家族の中ではほぼ私しか食べないメニューがあり、それはというと、

「湯豆腐」
「カレースパゲティ」
「野菜あんかけインスタントラーメン」
「生卵かけご飯」
「ちりめんじゃこまぶしご飯」
「菜の花漬け、すぐき漬け」※5

20130130_1.jpg
※5 京都に住む知り合いから毎年冬(すぐき)と春(菜の花漬け)に送られてくる(感謝)

湯豆腐は私も子供の頃はあまり好きではありませんでしたが、歳を取るとこうしたあっさり系を好むようになります。

スパゲッティはゆで上がりのそのままよりも、少しバターで炒めたものが好きで、それにミートソースやナポリタンにして食べるのが好みです。

中でもカレー(レトルトでもOK)をかけて食べるのが一番美味しいと思っています。

これは1人住まいしていた学生時代に一番手間のかからない自炊として週1~2回は作って食べていたからかもしれません。

日本食といってもその多くは中国や朝鮮半島からやってきた変形ヴァージョンが多いのですが、ご飯に生卵をかけて、醤油をたらしよく混ぜて食べるというのは中国では絶対にあり得ません。

香港の日本レストランでそれをやった時、周囲にいた香港人みんなから思い切り気持ち悪がられました。つまりこれは純粋な日本料理と言えるでしょう。

国内旅行中のホテルや旅館で朝食をいただく場合、この生卵かけご飯+納豆+味付け海苔は欠かせません。

ちりめんじゃこは、子供の頃は3時のおやつの代わりにもなったぐらいポピュラーな食材で、いつも食卓にはありました。おかずが少ないときには、ご飯にまぶして(我が家では中になにが混じっているかわからない「ふりかけ」は禁止されていた)、醤油をかけてかっこんだものです。

「え!菜の花漬けって花を食べるのか?」と聞かれることがありますが、こんなに美味しいものを食べないのが不思議と思うのが菜の花漬け。慣れないと多少苦いですが、しっかり漬かっていると深いこくと味わいでご飯が何杯でもいけそうです。

ただ有名店の大量生産品は名ばかりの商品なので何度か買ってみましたが全然ダメでした。やはり菜の花漬けもすぐきも、地元の農家が昔ながら手作りしているものが最高です。

なので、ツテがないとなかなか手には入らないのですけどね。

一方、私が昔を思い出しつつ、料理または調理法を伝授し作った(作ってもらった)料理が、家族に好評を得て、我が家の定番メニューとなった料理というのもあり、

「牛肉の片栗粉焼き」
「炊き込みご飯」
20130130_2.jpg
「豆のキーマカレー+ナン」
20130130_3.jpg
「関西風串カツ」※6
「ちゃんこ鍋」
「ほうとう」
「ハムカツ」
「シチューとフランスパンの組み合わせ」
「鍋焼きうどん」※7
20130130_4.jpg
「太巻き寿司」※8
「いろいろな味の手作り餃子」
※6 串カツの究極モデルは「法善寺 串の房」の串カツです
※7 100円ショップで買った一人用土鍋が大活躍します
※8 子供の頃は我が家で寿司と言えばこの巻き寿司か五目ちらし寿司が定番


キーマカレー、ちゃんこ鍋、串カツ、ほうとうは子供の頃ではなく、社会人になってから知った味です。

中でもキーマカレーはインド料理店へ行ってよく食べたメニューで、ナンやチャイ、ラッシーと一緒に食べるとこれがまたとても美味しく、その味を再現したくて何度か家で挑戦をしました。

今ではキーマカレー用のルーが簡単に手に入りますからいつでもすぐ作れるようになりました。

串カツも子供の頃に家で作っていたものは一本の串に肉も野菜もキノコもいろんな素材が1本の串に刺さっていて、また嫌いな具材も一緒に刺さっていたり、また食べにくくてあまり好きではありませんでした。

一般的に定食屋にある串カツもこれですね。しかし社会人になってから、素材ごとに分けられた一口サイズの串カツと出会ってからは「これだ!」と大好きになりました。

またビーフシチューとフランスパンという組み合わせ、今の食卓なら別に不思議でも何でもありませんが、私が最初に出会ったのが1960年代の裸電球がひとつぶら下がっている狭くて薄暗い自宅の食卓でしたから、今から考えるとなかなかお洒落でチャレンジャーな母親でした。

家では以前からビーフやシーフードのシチューメニューはありましたが、私が提案して、シチューの時には大きなフランスパンを買ってきて、それを少し香ばしく焼いて一緒に食べるのが我が家のブームとなりました。

但し最後にお皿に残ったシチューはパンでぬぐって食べるという間違ったマナーを伝授してしまったことは大いに反省しています。

ということで、子供達にうまく伝授できたメニューより、まだ伝授できていないメニューが多く、これから戦略を練らなければです。

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681
先日と言ってももうずいぶん前となりますが、テレビニュースを見ていると「新築マンションを購入する独身の男女が増えている」という特集がありました。

特にアラサーと言われる30才前後の独身者で、年収が300万円~400万円ぐらいの人達が、都心に近い場所の新築マンションを購入していると聞いて腰を抜かすほど驚きました。

なぜそのようなことができるかというと、その番組からの受け売りですが、

1)1LDK、30~40平米のコンパクトな間取りで安価な物件供給が増えてきた
2)金利が低く低所得の人でもローンが組みやすい
3)いつ結婚する(できる)かわからないので貯めてきた結婚資金を頭金にして買う
4)月々の支払い額が賃貸の家賃とあまり変わらないのであれば買えそう
5)賃貸と違い(老後に)収入がなくなってもホームレスにならずに済む
6)もし結婚や転勤で引っ越したとしても人に貸せるので無駄にはならない
7)個人資産を持つことで独身者でも金融機関から事業資金が借りやすくなる

などの理由でした。

そのようなシングル向けのコンパクトマンションの供給が最近はかなり増えているそうです。新たに供給される戸数のうち、コンパクトマンションが3割を超えそうだという話しもあります。

確かに団塊ジュニア世代もすでに40才を過ぎ、その次に期待できる層といえば未婚者や結婚しても子供を作らないDINKSが多い世代で、それにターゲットを置いても不思議ではありません。

また団塊世代にあった都心から少し離れた郊外に家とクルマを持つライフスタイルから、現在は都心の駅近くに住みたいという若い人の願望も満たします。

20130126_1.jpg以前なら単身者が住むマンションといえば、買うのも借りるのもワンルームマンションが普通で、広さも20~30平米のものが主でした。

ファミリータイプのマンション(2LDK~3LDK)が50~70平米だとすると、このコンパクトマンションはその中間にあたる30~50平米ぐらいのマンション(1LDK~2LDK)という位置づけです。

それらコンパクトマンションの特徴は、部屋自体は狭いものの、分譲マンションならではの生活設備(ゆったりとした広めのお風呂や、三ツ口コンロ、IHクッキングヒーターなど)やプライバシー重視の部屋の防音対策、防犯セキュリティ対策などが賃貸物件よりも充実していて、また壁紙の変更など部屋の模様替えも自分の好みで容易にできます。

このようなシングル向きマンションが人口減少に向かう5年後10年後20年後にどのように市場価値が変化するのかわかりませんので、将来の資産価値は?と聞かれるとなんとも不明ですが、少なくとも都心から1時間以上離れた郊外にある、中途半端な広さ(2LDKとか3DK)の中古マンションよりは投資効果は高そうです。

またこれらの物件を買う人は、まだ結婚の可能性が未定の人が多く、もし結婚に縁がなくても、仕事を続けてローンを無事に返済できれば、とりあえずはホームレスにならなくて済むという「持ち家派」独特の精神的な安心感、満足感が大きいのでしょう(管理費や修繕費、固定資産税等は払わなければなりませんが一般的に家賃と比べるとそれには大きな差があります)。

20130126_2.jpgそのような都心にあるコンパクトマンションの値段は、新築1LDKの場合2000~3000万円ぐらいが相場で、例えば2000万円を30年ローンで組んだ場合、固定金利2.5%で月々8万円、変動金利1.5%で月々7万円ぐらいの返済となり(12ヶ月均等払い)、現在賃貸で7~8万円負担している人がターゲットになりそうです。

もちろん変動金利の場合、将来にインフレが起きた場合、支払が増えてとんでもないことになるリスクがあります。

もうひとつ気をつけないといけないのが、分譲マンションの場合、常識ですが修繕積立金や管理費などで月々1.5~2.5万円程度別途必要になることが多く、それを含めた上で月々の返済金額を考える必要があります。

この管理費や修繕積立金をなめていると購入後の負担に苦しむことになります。建築後10年ぐらい経った後、大規模な補修をするために積立金だけでは足りずに追加で何十万と支払わなければならなかったり、毎月の修繕積立金が大幅に上がってしまう可能性だってあります。

もしマンション敷地内に駐車場などがあり、そこの収入が修繕費に回せるようになっていると住人の負担が減り助かることもあります。

年収400万円の場合、収入の中から住宅ローンを返済できる限界が30%とすると年120万円ですから月々8万円(年間96万円)のローンの支払いはなんとか可能です(管理費など含めるとギリギリか)。

新しい政権でも住宅ローン減税の延長が議論されていますが、残念なことにこのような30~40平米のコンパクトマンションの場合は従来と同様、50平米以上という決まりで住宅取得減税の対象とならないようです。

20130126_3.jpgもし住宅取得減税の恩恵が受けられるのならば、年間で20~40万円(ローン残高や期間による)が数年にわたり戻ってきますので、思わぬボーナスと同じで、なにかと物入りな住宅購入直後に大いに助かります。

賃貸に住む人にはない大きなメリットです。私も過去に2度、金額や期間は今の制度より小さかったですがその恩恵を受けました。

もし50平米前後の物件(2LDK程度)を探しているのなら、この50平米未満か以上で、税金に大きな差があることを知っておくべきでしょう。考えてみればこういうところにも国は家族世帯を優遇し、単身者に冷たい扱いをしているのですね。

あと心配性の私から購入を検討している人に対してのアドバイスですが、家を持つことは決して悪くはないと思いますが、それは仕事(=収入)が長期にわたって安定しているというベースがあってこそです。

つまり強い転職願望があったり、会社業績が長期的にあまりよくない場合に、2千万円もの借金をするリスクを十分に考慮しなければなりません。

今の経済環境下では会社の業績が悪く。給料が1割減2割ダウンという事態が実際によく起きています。貯蓄もなくギリギリいっぱいでローンを組むとやがて生活が立ちゆかなくなります。

当然転職や独立にも大きなリスクを含んでいることも理解しておく必要があります。

逆に言えば、独立したり転職したばかりの人は、住宅ローンを借りる際の審査に引っかかりますので「正社員で勤続3年以上、個人事業者の場合は3年以上黒字という時にしかまともな家は買えない」と考えてもいいでしょう。

勤務する会社にもよりますが、会社が社員の住宅取得を支援していたり、会社と取引のある金融機関が社員向けに特別優遇金利を実施してくれるケースもありますので、信頼がおける人に相談し、使えるものはなんでも総動員して検討してみてはいかがでしょう。

なお記事内の写真はイメージ的な象徴として「エクセレントシティ杉並高井戸」の販売時のモデルルームの写真、イラスト等を利用させていただきましたが、記事の内容とは関係がありません。また私自身も売り主とは関係がありません。

エクセレントシティ杉並高井戸」の詳細
価格 2390万円~2750万円
間取り 1LDK 専有面積 30m2~32.06m2
京王井の頭線「高井戸」歩4分
売り主 新日本建設

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680
3年に1度厚労省が国民年金に関する調査をおこなっています。その2011年度分は新聞等でも書かれていましたので、読んだ方も多いかと思います。

国民年金は、企業や団体、公務員などサラリーマン以外の自営業者や学生、無職(サラリーマンの配偶者の場合は除く)の人達が将来年金をもらうために毎月支払う義務のある保険金です。

私も2002年に一度退職したあと、数ヶ月間無職の状態が続きましたので、その時には妻と二人分の国民年金を支払っていたことがあります。

サラリーマン時代には収入があっての天引きでしたから、痛みはほとんど感じなかったのが、無職の時は、収入がないのに(失業給付はありました)思いがけない大きな出費で泣きました。

この調査の目的は、サラリーマンや公務員が給料から自動的に天引きされて支払っている各種年金とは違い、国民年金は納付者が主体的に納付しなければならず、それがキチンと支払われているか?ということです。

また学生や低収入の無職者、貧困層などについては特例措置が講じられていますが、それら以外に未納者がいると、その原因追求と分析が重要となるわけです。

つまり納付されない理由は?年代別では?収入別では?など多角的に統計を取り、今後の徴収率向上に向けて参考にしようというものです。

自営業者の場合、サラリーマンや公務員と違って一般的に仕事の定年などはなく、生きている間は年金に頼らずとも商売で食っていけると言う人もいて、そういう人ならば国民年金なぞ不要だと思っている人もいるでしょう。

またサラリーマンだった人が脱サラし、商売を始め、本来なら厚生年金から国民年金に切り替えて支払わなければならないところ、商売開始時にはなにかと忙しく、お金もかかるので、知っていてもそこまで手が回らずに滞納してしまうことも起きるでしょう。

さらにサラリーマン時代は、配偶者は自動的に加入していたので、国民年金に切り替わる際、配偶者の分を忘れてしまったということもあるようです。いずれにしても知らなかったでは済まされない不注意には違いありません。

その調査を元に、私の興味のあるところだけをグラフにしてみました。

まず2011年度国民年金の納付状況のグラフです。

20130123_01.JPG

収めるべき対象者1737万人に対し、完納者(黄色)は6,679万人、収納率はたった38.4%です。これは衝撃的な数字ですね。

ちなみにサラリーマンや公務員が収めている年金保険料の収納率は99%だということです。なぜ100%にならないかというと、給料から徴収はしておきながら、国に収めるべき法人や団体が収めていないケースがたまにあるそうです。

それでも99%対38%と二倍以上の開きがあります。日本人って強制徴収されない限り、義務と言ってもそれには従わないいい加減な国民性があるのでしょうかね。

ただし未納者の中には、「申請全額免除者」13.2%、「学生納付特例者」9.9%、「若年者納付猶予者」2.2%が入っていますので、それらを除くと36.3%が「完全、または一部未納者」ということになります。それでも本来収めるべき人の全対象者の1/3以上で、完納者(38.4%)とほぼ互角です。

グラフの中で「1号期間滞納者」(ピンク)とあるのは、会社や役所に勤めていた期間は会社や公務員の年金に加入していて、それを辞めた後は支払っていないという意味になります。

なので20歳になって支払い義務が生じてから過去一度も年金を支払っていないという意味ではありません。

次に年代別の国民年金納付率のグラフです。

20130123_02.JPG

目立つのは50代は完納している人数・割合とも多いことと、30代~50代の「全額申請免除者」の割合が高いことです。全額申請免除者とは簡単に言えば届け出をして国民保険が免除された人達で、例えば障がい者や、無収入または低所得のため生活保護を受けている人達などのことでしょう。

年齢が高くなるにつれて支払う人が多くなるのは、20代30代の頃は年金がもらえるまでにまだ相当期間があり、役所からの催促も無視しがちになりますが、年金がもらえる年齢が近づくにつれ、支払わなければもらえないという実感が高まるからでしょう。

また50代の完納者が特に多いのは、あと○年納めると年金がもらえるという期限が明確になることで、そのチャンスを逃すまいとする心が働くものと考えられます。

今後これらの未納者や一部未納者(50代で134万人、40代で137万人)が高齢化して仕事ができなくなるとどうなるかと言えば、貯蓄や親の遺産など資産をたっぷり持っている人は除き、生活保護を受けて生計を立てていくしか方法がありません。

いま生活保護受給者が200万人を超えて社会問題化していますが、将来的にはこれらの国民年金が受け取れない人が自動的に新たに加わり、10年後には倍増していても不思議ではありません。

次に国民年金を納付しない理由の1999年からの推移です。
20130123_03.JPG

注目するのは「保険料が高く経済的に支払うのが困難」の割合が2011年の調査で急増していることです。一方自民党時代、無茶苦茶な浪費と放漫運営を許していた「社会保険庁(厚労省、年金機構)が信用できない」という割合は2011年の調査ではグッと減りました。

民主党政権になって様々な改革が進み不満が減ったとも言えます。確かにいままで自分がどういう状況にあるのか20年以上知らずにいましたが、社保庁改革(2010年)と年金の調査表や算出表などわかりやすくしてくれたことが影響していると思われます。

これらの不満は自民党政権下では巨額の利権としがらみにより、年金問題と社会保険庁に政治家が手を出せない聖域だったのでしょう。

ただ民主党政権でも、年金制度を悪用してきた元社保庁高官に対する損害賠償や、関連団体に天下りや渡りをしてきた元厚労省や元社保庁の官僚達を訴訟することはせず、その責任については、再び自民党政権に戻ったこともあり、曖昧にされたままで収束してしまうのでしょう。

いずれにしても国民年金の未納者455万人と一部未納者176万人の合計631万人が、今後の日本の社会保障費の増大に輪をかけて膨らませる要因となりかねません。

これでは「年金など真面目に支払うのはバカ」というのが現実となり、それでいて真面目に支払ってきた人の年金は当初の約束(例えば60才から支給など)など完全に反故にされ、税金とは違い年金支払い額の増額など、多くの国民が知らない間にサクサクと決定されてという悲惨な結果が見えてきそうです。

(参考データ)厚労省 平成22年度における国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について(PDF)

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679
きもの (新潮文庫) 幸田文

幸田文氏は「五重塔」などを書いた幸田露伴の次女で、1990年に亡くなっていますが、数多くの書物を残されています。この「きもの」という小説は最後の長編小説で、著者が亡くなった後の1993年に発刊(文庫は1996年)された自伝的小説とのことです。

20年以上前に亡くなった私の母親が、幸田文氏の作品が好きで何冊か実家の本棚にあったように記憶しますが、私は今回初めて読みます。

著者は1904年(明治37年)生まれですから、少女時代に明治から大正へと変わり、やがて20代には昭和へ移っていくちょうど日本の近代化の総仕上げの時期で、外国から様々なものや思想が矢継ぎ早に入り込んできて社会の転換期だったと想像します。

そしてその人生の中でも一番インパクトがあったでしょう、1923年(大正12年)9月1日、関東大震災が起きて、住んでいた下町一帯は炎につつまれ、近所の人達と共に上野公園へ逃げますが、家にあったものすべてが焼けてしまいます。

この小説のテーマでもある服装で言えば大正デモクラシーにより都市部に住む国民の洋服の普及が進み、それまでは男女とも和服が普通だったところへ、活動的で簡便な洋装へと変わっていった時代です。

主人公は父親が証券会社に勤める(幸田露伴は民間企業に勤めた経験はない)貧しくもないけれど決して裕福でもない普通の家に育ち、当時は日常に着るものとして普通だった様々な和服に子供の頃から馴染んでいます。しかし三女ということもあり(著者自身は次女)、姉たちからのおさがりが多く、また祖母から着物に関する様々な知恵や知識をその時に教わり、姉たちとは違った着物に対する感覚や目が養われていきます。「自伝的小説」と言われていますが、生きてきた時代だけが同じで、家族の設定などは大きく違っているので本人もそういうつもりではなかったかも知れません。

一言で和服といっても、普段着もあれば外出着や礼服、寝間着に、夏は浴衣などがあり、さらに様々な生地や柄で、その価値やTPOが変わってきます。それらのことを知る日本人も少なくなってきたと思われますが、この時代はまだ家庭の中では常識として生き続けています。その祖母や若くして亡くなる母親のきものに対する知識や知恵が娘に引き継がれていく姿がうまく描かれています。

私はまだ独身の頃に作ってもらった浴衣と帯だけは持っていますが、最近ではそれも着る機会はまったくありません。しかしこの小説を読んでいると、いつかは普段着用に一着は和服が欲しいなと思うようになりました。長く京都の西陣で働く高校時代の友人がいるので、かなわぬ夢かもしれませんが、いつかは彼に頼んで年齢に相応しい和服一式を調達したいなと。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

神去なあなあ日常 (徳間文庫) 三浦しをん

2009年の作品で、以前から「この作品はとても面白い」と噂は聞いていたのですが、文庫が昨年に発刊されましたのでようやく読むことができました。著者の作品は以前「風が強く吹いている」(2006年作品)を最初に読み、直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」(2006年作品)はまだ読んでいませんが、原作の映画のDVDを先に見ることになりました。

この「神去なあなあ日常」は今後シリーズ化されそうな青春物語で、横浜の高校を卒業し特にやりたいことが見つからず、このままフリーターでもするかと思っていた次男坊の少年が、将来を心配する両親と担任の高校教師にうまくやりこめられ、人手不足の三重県の山奥にある神去村へ送り込まれます。ま、普通なら「ならばちょっと行ってみようか」とも思わないでしょうが、なかなか骨のある主人公です。

いわゆるお仕事体験小説ですが、そこは直木賞作家、古くから伝わる山で働く者の伝承や、目に浮かびそうな高齢化した集落の姿など、古いものと新しいものをうまく結びつけながら描いています。そして林業にまったくの素人だった主人公が、一から営林作業を教わり、そのチームの一員となって人間として成長していく過程を笑いながら読む進めていくことになります。

ちょっと設定もストーリーもあまりにもベタ過ぎだなぁ、、、って思わなくもないですが、そこはそれ、いずれはきっと人気アイドルを主役に使ったテレビドラマか映画になって取り上げられると、ガラッと雰囲気が変わるのかもしれません。たぶん見ないけど。

わかりやすいストーリーをそれなりに面白く書く作家さんというのはよくわかりましたが、きっと読んでもらいたい対象が若い層なんだろうなという印象です。読書離れが進む若い人向けの作品も大事でしょうけど、50過ぎたおっさんが読んでも、それなりに読み応えのある物語もぜひお願いしたいものです。そんなのは浅田次郎や司馬遼太郎読んどけや!って言われそうかな。

著者別読書感想(三浦しをん)

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中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい? NHK_PR1号

Twitterで53万人ものフォロワー(2013年1月初旬現在)をもつNHKの広報マンが、Twitterを始めたきっかけやそのユルさゆえ様々な問題や葛藤を描いた本です。もちろんこのフォロワー数は、NHKの数多くあるアカウントの中でも圧倒していて、その人気は不動のものとなっています。

そのユルいツイートとは例えば、

NHK_PR:ひゃほー!都心でも雪が積もっています。気象庁によると、横浜市と秩父市では正午の積雪が7センチ。雪の多い地域の方から見れば「え?」っていう感じでしょうけれども、たぶん転ぶ人続出です。雪に慣れていないみなさん、足元には十分ご注意ください。 (1号)」
NHK_PR:このあと総合では、ダーウィン、ヤエ、イカ。 (1号)」
NHK_PR:「くっくっく…ダイオウイカか…」「ふふふ…あいつはイカ四天王の中でも…ふっ…」「くくくく…」」
NHK_PR:「NHKスペシャル▽深海の超巨大イカ」は、13日(日)の21:00から総合で放送じゃなイカ!」
NHK_PR:だが断る。 RT @kXXX: ツイート遅い!一時間前にはツイートしなさい!受信料払ってんだからさ!」
NHK_PR:(こちらは……NHK公式の中でも…ちょっぴりユル目の…会話をする…アカウントです…基本的に…役立つツイートは…あまりしません……情報が必要な方は…アカウント一覧 http://bit.ly/8MxZVy から…お気軽にフォロー/あんフォローして…お好みのものを…ご利用下さい…)」
NHK_PR:たぶん体重計。 RT @sXXX: @NHK_PR 元日に「今年は痩せるぞ!」っと決心して、NHKを見ながら雑煮を食べていたら既に1kg太ったんですが、この場合悪いのはNHKですか?雑煮ですか?」
(2013/1/13~14のツイートから抜粋)

とにかくこの方のツイートは面白い。単に面白いだけではなく知性と芸を感じます。普通NHKの職員といえば、真面目で固いイメージがありますが、この著書でも書かれていますがNHKの番組には報道番組もあれば、幼児や子供向け、学生向け、高齢者向け、主婦向け、ビジネスパーソン向けなどその幅の広さでは他の放送局を遥かにしのいでいます。

つまりお堅いというのは間違いが許されない報道番組や硬派のドキュメンタリーからくるイメージですが、おかあさんと一緒や紅白歌合戦などエンタテインメント系番組を紹介するときにまでお堅い必要はどこにもないわけです。

そういうお堅いNHKのイメージを変えたいという個人的な思いで始めたツイッターですが、当然お金を払っている視聴者から「ふざけてんな!」とか「真面目にやれ!」という批判など賛否両論があり、個人としても放送局としても悩むことになります。

しかしTwitterというのは、気に入ったアカウントを自らがフォローし、また気に入らなければアンフォロー(削除)すればいいだけのツールで、NHK視聴者すべてに気に入られようと考えるのが間違いで、多くの人にNHKのことをもっとよく知ってもらい、視聴者との会話を大事にしたいという初心は、NHKの各種アカウントの中でもフォロワーの数が圧倒的に伸びていることで証明していきます。

企業や団体がおこなう公式ツイートというのは製品やサービスのPRばかりだったり、批判や炎上を恐れて形式張ったくそまじめなものが多くフォローしていて楽しいものはほとんどありません。

NHKの他のアカウントもそうです。それに対してNHK_PRさんのツイートは、会話に親しみがあり、発言もほのぼのしていて、時には笑わせ、突っ込みどころが満載で(それは狙っているのですが)、いま日本中で大流行している「ゆるキャラ」にも似たところがあり、一度フォローをしたあとフォローを解除する人はあまりいないのではないでしょうか。

ただこの本の内容は生身のエリート広報マンが、このツイッターを始めるきっかけや、多くの人の心をつかむための試行錯誤、放送局内の様々な事情、フォロワーからの非難などを生々しく語っていることから、いつものツイートのように軽快なノリとは違う、表の素顔を見せつけられて、ちょっと引いてしまうところがあります。

この本が出たときにはTwitterで評判となりましたが、その後あまり書評や感想が出てこないので「なぜ???」と不思議に思っていましたが、読んでみてその理由がなんとなくわかりました。

そう、なにか控えめな成功体験談とちょっとした自慢話を読まされているようで「まともな感想が書けない」ていうところでしょうか。

あとそのような勘違いする人はいないと思いますが、世の中にはTwitter関連本は山とあり、この本はその中でも実用書やハウツー本ではないので注意が必要です。

フォロワーが53万名いると、単行本の初版5千部、新書1万部と言われる中で、この本がどれほど売れるかという実験本という気がします。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

【DVD】ノーカントリー 2007年アメリカ 監督ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン

日本では2008年に公開されたミステリアスなスリラー映画です。2007年のアカデミー作品賞にも輝いた、いい映画だという評判だけで内容は全く知らずに借りてきました。

ストーリーは、アメリカとメキシコの国境沿いの砂漠で、麻薬の取引の場でなにか手違いが起き、双方が撃ち合いとなり全滅した現場へ偶然出くわした地元に住むベトナム帰還兵の男が、通報はせずその場にあった取引用の大金をせしめようと企てます。

しかしその大金の中には発信器が仕込まれていて、大金を奪われた麻薬組織から放たれた追っ手の殺し屋がどこまでも追いかけてきます。

この殺し屋が一般的な殺し屋のイメージとは違い、いかにも変質者っぽく冷酷で粘着質で主役といってもいいぐらいに秀逸なのです。

と、同時にこの事件を追う老齢の保安官(缶コーヒーのコマーシャルでお馴染みのトミー・リー・ジョーンズ)も、逃げた男が組織から追われていることを知り、保護しようと探しますが、自分の管轄外の地域だと手が出せなかったりなかなかうまくいきません。

先に書いた麻薬取引での殺戮現場や、冷酷な殺し屋対元ベトナム帰還兵の対決などかなり派手で残虐な場面があり、まったく恐ろしい国だという実感ですが、それら人間ドラマが平板な映像で淡々と描かれ、最後には保安官がそれを回想するという割とアメリカ映画ではよくあるパターンでした。

記憶には残りそうな映画ですが、原作者や映画監督はこの作品でなにを言いたかったのか?なにを描き出したかったのか?というのは私にはわかりませんでした。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

【DVD】バトルシップ 2012年アメリカ 監督ピーター・バーグ

いかにもアメリカ人好みの宇宙から地球侵略のためにやってきたらしいエイリアンを不出来なアメリカ軍人が一念発起し、頑張っちゃって敵をやっつけ、ハッピーエンドで終わるというお気楽映画です。

異星人との闘いと言えば戦闘機の闘いが派手だった1996年に製作された「インデペンデンス・デイ」の海戦版と言ったらわかりやすいかも知れません。バトルシップとは、ほぼ直訳ですが日本語で戦艦を意味します。

見所は、アメリカの同盟国である日本の海上自衛隊もリムパック(環太平洋合同演習)に参加をしていて、この宇宙人との闘いに巻き込まれることになります。

護衛艦は敵の攻撃を受けてあっさりと撃沈されてしますが、この海自のイージス艦みょうこうの艦長役を浅野忠信が扮していて、主人公と共に宇宙人との闘いを繰り広げることになります。

そして最新兵器はすべてやられてしまい、そこで思いついたのが太平洋戦争、朝鮮戦争、さらには湾岸戦争でも現役戦艦として活躍し、その後退役して今では記念館となってパールハーバーに係留されている戦艦ミズーリを再度動かして敵に立ち向かうという奇想天外なところでしょうか。

最近アメリカ映画ではやたらと中国を向いていて、登場する東洋人といえば中国人というのが相場だったのですが、この映画ではアメリカの軍事パートナーは日本だということが鮮明に描かれていて、過去の日米対決の戦争映画ばかりを見てきた私にとっては、なにか不思議な感覚を覚えました。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

【DVD】まほろ駅前多田便利軒 2011年日本 監督大森立嗣 主演瑛太、松田龍平

原作は三浦しおん氏の同名小説で、まだ読んでいませんでした。なのでストーリーもまったく知らないまま見ました。DVDを借りてきたものの、ほぼ同時にテレビでも放映していてちょっとがっかりです。

まず驚いたのは、この映画の架空の街「まほろ」とは「東京都町田市」がモデルで、私も自宅から割と近いこともあり何度か行ったことがあります。映画のロケもその町田市内で行われています。

そのまほろ駅近くで地味に便利屋を開業している主人公が、仕事中に幼なじみの男とバッタリ出会い、一緒に連れて帰ったところから物語は始まります。

このような男二人が主人公のドラマでは、昔あった「俺たちの勲章」の松田優作と中村雅俊の関係、今では「相棒」などを彷彿させますが、関係は先輩と後輩、上司と部下とは違い、昔ふざけていて大けがをさせた元同級生という関係です。松田龍平は父親のイメージをしっかり引き継いでいるようですね。

また便利屋という仕事は、フィクションの世界では淡々と過ぎる日常生活とは違い、様々な設定を作れますので、こういう作品にはうってつけです。同様なものとして映画やドラマにもよく使われる探偵や刑事という職業とも共通するところがあります。

その便利屋の依頼は、路線バスの間引き運転の調査や、小学生を塾へ迎えに行ったり、子犬をしばらく預かったりという仕事です。

ただ、預け主がそのまま夜逃げをして消えていたり、小学生がヤクザに脅されて麻薬の運び屋にされていることがわかったり問題が生じますが、二人でそれをなんとなくうまく解決していきます。そういうなんとなく感が、若い人にとってはその自由奔放さがたまらなくいいのでしょう。

そして転がり込んできた幼なじみに、なにか事情がありそうで、やがては関係がうまくいかなくなりますが、その事情がわかってくると、今度は引き付けられていくことになります。

ま、瑛太と松田龍平のイケメンコンビを格好よく描いて、なんてことはない内容ですが、私が若いときに「俺たちの勲章」や「探偵物語」に夢中になったのと同様、今の若い人には、これが最高に面白いのでしょう。

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