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1838
月神(角川文庫) 葉室麟

月神
2013年に単行本、2015年に文庫化された歴史小説で、幕末の混乱から明治時代に渡りあまり知られていない実在した人物を据えた小説です。

幕末が小説に取り上げられると、そのほとんどは薩摩や長州、新撰組などを中心にするのが定番ですが、この小説では薩摩と長州に挟まれ、尊皇攘夷派と維新派の中で翻弄される福岡藩の武士が前半の「月の章」の主人公です。

そして後半の「神の章」がとても面白いのですが、前半の「月の章」ではチラッと登場する前半の主人公の甥が主人公で、明治政府の官僚として北海道に渡り、新たに北海道開拓に従事させる目的で国内の受刑者を収監する樺戸集治監を設立します。

以前、網走監獄博物館へ行ったとき、明治時代、収監された罪人は過酷な環境で、道路建設などに従事させられ、多くの人が亡くなったという話を知りました。

網走監獄は明治23年(1890年)に釧路集治監の分監として網走囚徒外役所ができたのが最初ですが、樺戸集治監はその9年前の明治14年(1881年)に石狩川の上流部に新たに開拓して建設され、この小説の主人公月形潔の名前からとって月形町として現在も残っています。

その後半の舞台となる樺戸集治監は現在は月形樺戸博物館として残されています。

★★★

著者別読書感想(葉室麟)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

潔白の法則 リンカーン弁護士(上)(下)(講談社文庫) マイクル・コナリー

潔白の法則
刑事弁護士 ミッキー・ハラー シリーズの6作目で、2020年にアメリカで出版され、2022年には邦訳文庫が出版されました。原題は「The Law Of Innocence」で、邦題もそのままの直訳です。

裁判の弁護が成功し、そのお祝いのパーティをおこなったあと、事務所兼移動用として使っている愛車のリンカーンに乗って帰宅していた時、パトカーに停められトランクを開けると中から射殺された死体が見つかり逮捕されるところから始まります。

殺されたのは過去に弁護を担当したことがある詐欺師の男で、主人公ハラーの自宅駐車場で犯行がおこなわれたものとわかります。そしてその殺された男から弁護士費用が支払われず、強い督促をしていたことも犯行の動機だとみなされます。

そして刑務所に収監されますが、裁判では自分の弁護をするために、様々な対策を練ることになります。

面白いのは、単に無罪判決を受けても、それが有罪の疑いが残るような判決ではその後の仕事が成り立たなくなります。

そこで、誰が自分を陥れようとしているのか?実際に殺人の実行犯や指示したのは誰か?など事件の背景を調べ、さらに機密であるはずの弁護方針が漏洩するのはなぜか?など、数々の障害を乗り越えていくことになります。

レギュラー陣の調査員シスコとともに、すでに警察を引退した腹違いの兄弟ハリー・ボッシュも脇役ですが登場し、お得意の推理と行動力で無罪の証明を手助けしていきます。

そして物語の時代設定が、執筆された時と同じ2019年から2020年頃とされ、当時まだ対策がよくわからない新型コロナが徐々に拡がっていく背景が描かれていて、それも敵の正体がわからない不気味さを増大させています。

こうしたリーガル・サスペンスは、日本の司法制度とも違っていて複雑で退屈になりがちですが、展開が早く、細かなところはうまく端折ってテンポ良く読めるのが著者の優れたところです。とても面白く読めました。

★★★

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ(中公新書) 磯田道史

歴史の愉しみ方
映画にもなった「武士の家計簿」や歴史学者としてテレビでも活躍中の著者が2012年に出版した新書です。

埋もれている古書を探し出して解読するのが仕事でもあり趣味でもある著者が、図書館や古書店、由緒ある家の蔵などから発掘してきた古文書を手がかりに、あまり知られてなかった歴史の新しい解釈や発見を披露しています。

我々一般人は、学校の教科書で習う歴史の他、歴史小説や映画、大河ドラマなどで一定の歴史観を持っていますが、教科書に載っている歴史は時代と共に変わっていくのと、歴史小説やそれを原作とする映画やドラマはあくまで著者の想像が多く含まれるフィクションです。

その点、著者など歴史学者は、残された遺物や古い文献、交わされた手紙や命令書などを元に歴史の出来事を解明、推理していくのが仕事です。

特に古文書が多く残っている戦国時代以降は、それまで常識とされてきたことがそうした遺物で解釈が大きく変わってしまうことも珍しくありません。

さらにこの新書が書かれたのが東日本大震災直後ということもあり、歴史学者としては、過去に起きた震災について書かれたものを探しだし、それを未来の災害対策に役立てようとの試みも書かれています。

江戸時代にも過去の経験から津波の恐ろしさがわかっていて、住人が逃げ込める現代で言うところの津波タワーに相当する場所を作ったことが書かれた文書なども紹介されています。

そうした過去に起きた巨大地震、東南海地震を調べるため、2012年には震源地に近い浜松にある大学へ勤務先を変えるなどその行動力には驚かされます。

★★★

著者別読書感想(磯田道史)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

怪物の木こり(宝島社文庫) 倉井眉介

怪物の木こり
1984年生まれの著者の作品を読むのは今回が初で、この作品は2018年の「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作品です。

2019年に単行本、2020年に文庫化され、2023年にはこの小説を原作とする三池崇史監督、亀梨和也、菜々緒出演の映画が公開されています。

タイトルは、童話(絵本)で出てくる斧を持った木こりが、突然怪物に変わり次々と話し相手を殺して食べていくことを模倣したような怪物の面を付けた殺人鬼が連続殺人事件を起こすところから来ています。

そのシリアルキラーは殺した相手の頭を割り、脳みそだけを奪っていくという習性があり、警察はその謎に迫っていきます。

と、同時に、悪徳弁護士で、自分がそのシリアルキラーに狙われていることがわかった主人公も、その殺人鬼の正体を暴こうと反撃に出ます。

ストーリーは警視庁の女性刑事と、自分自身がサイコパスだと理解している悪徳弁護士の二人の視点で進んでいきます。

日本でも時々サイコパスと思える犯人が起こすシリアルキラー事件がありますが、この小説では殺して脳みそを持ち去るというかなり残虐で突飛な犯行だけに、警察の力を持ってすれば犯人の目的などは容易に調べが付きそうです。しかし殺人鬼と先に対決することになったのは、、、

サイコパス対警察という図式のストーリーは数多くありますが、もうひとつ、サイコパスの弁護士(と友人のサイコパスの医者)が絡んでいるのがユニークで面白いサイコサスペンスでした。

★★☆

【関連リンク】
 4月後半の読書 それをお金で買いますか、メインテーマは殺人、漱石先生ぞな、もし、何もかも憂鬱な夜に
 4月前半の読書 43回の殺意、汝の名、ジーヴズの事件簿才智縦横の巻、シクラメンと見えない密室、ゴースト
 3月後半の読書 サイコパス、高慢と偏見(上)(下)、少女 湊かなえ、寝ぼけ署長

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1837
大日本帝国 1982年 東映
監督 舛田利雄 出演者丹波哲郎、三浦友和、西郷輝彦、関根恵子、夏目雅子

大日本帝国
上映時間180分という長時間の映画のため、真ん中で分け2部制となっています。その間に休憩時間が挟まれています。

第1部は「シンガポールへの道」、第2部は「愛は波濤をこえて」というサブタイトルがついています。

1980年公開の「二百三高地」(東映)が大ヒットしたことで、柳の下のドジョウを狙った戦記物の大作です。

もう少し史実を掘り下げた歴史検証的な内容かなと思っていたら、まったく違って大衆に受けそうな派手な戦闘シーンとその対照的なラブシーンの二つをたっぷり盛り込んだエンタメ作品でした。

日本のいちばん長い日」(1967年)や「連合艦隊司令長官 山本五十六」(1968年)など、ライバルの東宝の戦争シリーズ「東宝8.15シリーズ」には、ラブシーンの入る余地はなく、女性俳優の出演もほとんどありませんでした。

しかし大衆迎合のエンタメ映画では戦争物でもメロドラマは必要と東映は考えていたのでしょう。そのせいで関根恵子や夏目雅子がドラマに花を添えて良い演技でした。

この頃の映画ではCGなどは当然ないので、その時点にある戦車やトラック、飛行機などを使って撮影するしかなく、また戦闘機や艦船の戦闘シーンはミニチュア模型の特撮で、近年の映画と比べるとリアリティや迫力に欠けるのは仕方ありません。

しかし大人向けの映画とはいえ1本で180分という長い映画で、時短やタイパが優先される現代では180分の映画というのは理解に苦しむでしょう。

そう言えばひとつの映画で過去に見た一番長かった作品は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(1984年)で、オリジナル版269分の大作でした。香港の映画館で見ましたが、当然途中に休憩時間が2回ありました。その映画からすると約1時間半も短いです。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

飛べ!フェニックス(原題:The Flight of the Phoenix) 1965年 米(日本公開1966年)
監督 ロバート・アルドリッチ 出演者 ジェームズ・ステュアート、リチャード・アッテンボロー

飛べ!フェニックス
サハラ砂漠を飛ぶ石油会社の輸送機が、砂嵐に遭遇して砂漠の中に不時着してしまいます。

パイロットがリーダーとなり救助を待ち厳しいサバイバルを続けますが、予定航路を外れていたこともあり、救援機は来ません。

偶然近くを通りがかった地元商人に見える男に救援を依頼しようと近づいた乗員の軍人は無残に殺されてしまい、絶望の中に追い込まれていきます。

乗員の中に変わり者の航空機のエンジニアが乗っていて、独自の設計図を描き、双発エンジンのうち無事なほうを使って単発機を作って飛ばそうと提案します。

最初は誰も相手にしませんでしたが、なにもしないでただ死を待つより何かをしている方がマシということで飛行機の改造を始めます。

飲み水が残りわずかになった頃、ようやくつぎはぎの機体が完成しますが、最後の難関は、限りある爆薬カートリッジでエンジンを発動させようとしますが、、、

戦後20年頃の輸送機のエンジンはまだ単純なレシプロで、今の電子機器類もほとんどないアナログだからとりあえず飛ばすことは可能ということでしょうけど、パイロット以外は座席などなく、翼の上につかまったままで飛行するという離れ業には笑いました。

軽くするためパイロットだけが乗って救援を求めればいいのにと思いましたが、食料や飲料水がなくなりもう一時も不時着地では待てないという瀬戸際の状況だったと考えれば仕方がないかも知れません。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

必殺スペシャル・春 世にも不思議な大仕事 主水と秀 香港・マカオで大あばれ 1991年 ABC・松竹
監督 原田雄一 出演者 藤田まこと、三田村邦彦、中川安奈

必殺スペシャル
テレビドラマ必殺シリーズの長時間スペシャル第18弾です。公式には映画ではありませんが、バブル絶頂の時期らしく海外ロケなど大掛かりなもので、映画に加えさせて頂きました。

長いタイトルに概ね内容が込められていますが、江戸時代の中村主水と同じ仕事人仲間の飾り職人の秀が、タイムスリップして香港・マカオで誘拐された王女を救うために活躍するというたわいもない話です。

なぜそんなものを見たかって?それは、1991年というと、まだ香港やマカオは中国に返還されてなく、私が働いていた頃(1985年頃)の、まだ英国領、ポルトガル領だった時代の懐かしい街が見られと思ったからです。

しかし残念ながら私が主にいたビジネス街やカジノの風景が映ることはなく、ドラマで出てくるのは古い教会や路地裏っぽいところばかりで、多くの場面は日本でロケやセットで撮られたもののようです。

ちょっと変わっているのは、中村主水や秀の子孫が香港マカオ旅行に来ていて、時代が江戸時代と現代とが交差していること。ちょっとややこしいっていうか、かなり無理があって無茶苦茶です。バブル時代だからこそ作れたドラマです。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

15時17分、パリ行き(原題:The 15:17 to Paris) 2018年 米
監督 クリント・イーストウッド
出演者 スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス

15時17分、パリ行き
2015年にフランスの高速列車の中で起きた「タリス銃乱射事件」を、その関係者が本人役として出演した、再現ドラマ風のヒーロー物語です。

「タリス銃乱射事件」とは、乗客554名を乗せたアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリス車内で、AK-47(機関銃)で武装したイスラーム過激派の男が乗っ取りを企てましたが、偶然乗り合わせた乗客4人がテロリストを取り押さえ、二人が負傷しただけで済みました。

犯人を取り押さえたお手柄の乗客4人のうち3人はアメリカ人の幼なじみの友人同士で、3人でヨーロッパを旅行中でした。そのうち二人は現役の軍人だったことが、機関銃を持った犯人にもひることなく制圧につながったようです。またテロリストがひとりだけだったことも幸いしました。

映画では、その3人の幼なじみの子供時代から、やがて学校を経て社会に出てからも友人関係のままで、仕事の休暇を合わせてヨーロッパをグルッと回る観光旅行をすることにします。

そして楽しくあちこちを旅行しつつ、オランダのアムステルダムからパリへ向かおうとしているとき事件に遭遇します。

そのアメリカ人の二人は軍人、ひとりはビジネスマンの3人の役を俳優ではなく本人達が演じています。また他の乗客の一部も本人役として素人が演じています。

それが素人とは思えないほど堂に入っていて驚きました。監督のイーストウッドの力もあるのでしょう。

日本ではほとんど知られていない事件ですが、アメリカでは自国民が活躍したこともあり大きく話題になり、帰国後はヒーロー達を称えるパレードがおこなわれましたが、映画の興行はあまりうまくいかなかったようです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

君がいた夏(原題:Stealing Home) 1988年(日本公開1989年) 米
監督 スティーヴン・カンプマン
出演者 マーク・ハーモン、ジョディ・フォスター

君がいた夏
Mr.Childrenのヒット曲ではなく、アメリカのNYの少し南側にあるフィラデルフィアで展開される青春映画です。

主人公の少年時代に憧れていた年上の従姉妹とひと夏の思い出を作りますが、大人になってからは疎遠となります。

幼なじみ同士や、少年と女性教師とかの甘く切ない恋を描いた映画はよくありますが、相手が従姉妹というのは珍しいです。

そしてある日、結婚して外国に住んでいた従姉妹が自殺したという連絡を受け、その遺灰の処分は一番よくわかっているはずだからとその主人公に任せたいとの遺書があり、遺族から受け取りますが、どこへ埋葬すれば一番喜ぶのかわからず、あちこち思い出の地を巡りながら考え続けます。

昔、従姉妹と一緒に行った古い別荘のプールの排水口が好きだったからと、そこへ行ってみるともうプールはなく埋められていました。そして様々な過去の行動を思い出していき、やがてある結論へ確信していきます。

美しいフィラデルフィアの街や海岸が最大の見どころで、それ以外は、、、って感じです。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ラーゲリより愛を込めて 2022年 映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会
監督 瀬々敬久 出演者 二宮和也、北川景子、松坂桃李

ラーゲリより愛を込めて
辺見じゅん原作のノンフィクション作品「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」(1989年)の映画化作品で、満州で終戦を迎え、その後シベリアへ連行され、そこで病に倒れた山本幡男氏(元一等兵)を描いた実話を元にした映画です。

ラーゲリとはロシア語で収容所のことです。辺見じゅん氏の作品と言えば、映画にもなった「男たちの大和」(1983年)を思い出します。

実在した主人公の山本氏は戦前に東京外国語学校(東京外大)でロシア語を学んでいたことから、シベリア抑留中は通訳としての役割も担っていました。

厳しい捕虜生活の中で、仲間達を励まし、誠実さを貫く性格は、荒々しい他の収容者からも慕われますが、長引く収容所生活で喉頭癌を患い、余命わずかと診断されてしまいます。

家族に宛てた遺書をしたためますが、持ち物検査で書き物はスパイ行為としてすべて破棄されることがわかっていたので、仲間達が遺書を分担して内容を記憶することにします。

アイドルが主演する映画で、映画のセットと出演者全般の演技に軽さはゆがめませんが、ストーリー的には泣かされる映画だと聞いていました。その通り終盤には主人公の家族への思いと無念が涙を誘います。歳をとるということは涙腺が緩まるってこともあります。

結局主人公と一緒に収容されていた捕虜達が日本に帰国できたのは1956年(昭和31年)で、戦後11年も経ってからのことです。

「もはや戦後ではない」という言葉が経済白書に載ったのが1956年ですが、その時代にもまだ戦争を引きずり帰国が果たせなかった多くの人がいたということに驚かされます。私はその翌年生まれです。

そう言えば幼い頃、町へ出掛けると、白い服を着た手足のない傷痍軍人らしき人が物乞いをしていたことはよく記憶に残ってますから、まだ昭和30年代というのはそういう時代だったということでしょう。

あと以前、シベリアに抑留されそのご帰国を果たした小熊英二著「生きて帰ってきた男―ある日本兵の戦争と戦後」を読みましたが、その著者は「日本軍従軍時よりソ連軍捕虜の時のほうがずっとマシ」と言うように、この映画でもシベリア抑留中に死亡するのは脱走を試みた数名のみで、食料のひどさや待遇(鉄拳制裁など)、傷病者への自殺強要など日本軍はひどかったけど、ソ連軍はそれと比べるとずっと人道的で常識的なことがこの映画でもわかります。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

クライ・マッチョ(原題:Cry Macho) 2021年(日本公開2022年) 米
監督 クリント・イーストウッド 出演者 クリント・イーストウッド、エドゥアルド・ミネット

クライ・マッチョ
1970年代のアメリカテキサスで、役に立たなくなった老カーボーイが主人公で、牧場主からメキシコに行って、別れた元妻の元にいる13歳の息子を連れてきて欲しいと頼まれます。

妻と子を交通事故で亡くした後、自暴自棄に陥っていたときに助けてくれた恩人の頼みということもあり引き受けます。

メキシコに入り別れた富豪の妻の元を訪れると、酒浸りで、用心棒が周りを固めているような状態で、息子はそんな母親の家には寄りつかず、盗みや闘鶏で生活費を稼いでいる不良少年ということがわかります。

それでも父親が会いたがっていることや、牧場を経営している金持ちだということで説得し、連れ出すことに成功しますが、侮辱された母親が用心棒を使い、少年を取り戻そうとします。

危機に陥ると助けてくれるのが、少年が飼っていていつも連れ回している闘鶏用の鶏のマッチョです。少年は強くたくましい男性になることに憧れていて、自分の鶏に「マッチョ」と名付けました。

アメリカへ向かう途中、クルマを盗まれたため、別のクルマを盗み旅を続けている途中、保安官の取り調べを受けそうなときに助けてくれた食堂のママさんと仲良くなり、しばらくそこで父親の仕事を助けるため少年に牧童の仕事を教えます。

この辺り、ロバート・B・パーカーの小説で、スペンサーシリーズの名著「初秋」を思い出します。不幸な目に遭っている不良少年に対し、生きていく術をアカの他人が慈愛を持って教えていくというのが同じです。

主人公のご老体は、少年を父親に引き渡した後はメキシコへUターンし、仲良くなったママさんのところへ戻り、ちゃっかり一緒に暮らすというラストは容易に想像が付きました。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

野良犬 1949年 新東宝
監督 黒澤明 出演者 三船敏郎、志村喬、淡路恵子

野良犬
黒澤映画では常連の三船敏郎と志村喬の二人を師弟コンビとしてうまく利用した刑事ドラマです。

当時まだ20代だった三船敏郎は若手の刑事役で、スリに遭って拳銃を盗まれてしまいます。その拳銃が強盗事件で使われ、ベテランの刑事とともに犯人を追いかけるストーリーです。

1949年の公開なので、撮影は終戦後3~4年の1948年~1949年に撮影されていると思いますが、東京にはまだ闇市が建ち並び、舗装されていない道路をトラックが走り、後楽園球場でおこなわれていた巨人対南海の熱狂するプロ野球の試合などが出てきて当時の世相や風俗がよくわかります。

野球好きの犯人が後楽園球場に来ているはずと網を張っているシーンでは、実際の試合が使われていて、川上哲治や川崎徳次、青田昇など往年の名選手が出場しています。

エアコンなどのない真夏の風景で、扇風機や団扇であおぎながら、汗を拭くシーンが多くあり、ムッとした蒸し暑い空気が映像からも沸き立ってくるようです。

また松竹歌劇団の学生だった淡路恵子は、黒澤監督に見いだされ、この映画がデビュー作になります。出演当時まだ若干16歳だったにも関わらず、犯人の恋人でダンスホールのダンサーで、色気も必要な難しい役です。

戦後の日本で刑事ドラマや映画は、その後数え切れない数の作品が制作されますが、この映画がその原点と言ってよいでしょう。

★★★

【関連リンク】
2025年1~2月に見た映画 TAXY NY(2004年)、LIFE!/ライフ(2013年)、ある兵士の賭け(1970年)、恐怖のメロディ(1971年)、トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(2015年)、かくしごと(2024年)、居眠り磐音(2019年)

2024年11~12月に見た映画 網走番外地 北海篇(1965年)、首(2019年)、駅 STATION(1981年)、張込み(1958年)、博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年)、フィラデルフィア(1993年)

2024年9~10月に見た映画 弾を噛め(1975年)、スノーデン(2016年)、ハプニング(2008年)、ひとよ(2019年)、エアフォース・ワン(1997年)、放浪記(1962年)

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1836
それをお金で買いますか 市場主義の限界(早川書房) マイケル・サンデル

それをお金で買いますか
2010年に出版された『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』が大ヒットし一躍世界的に有名な哲学者となった著者が2012年に出版した続編的な哲学本です。

原題は「What Money Can't Buy: The Moral Limits of Markets」で直訳すれば「お金で買えないもの:市場の道徳的限界」となります。日本語タイトルはややあおり気味ですが売れそうなうまいやりかたです。

過去に「ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業」(2010年早川書房)を読みましたが、理解はできるが、結局どうすりゃいいの?と、私なんかは古い日本人の典型で、すぐにハッキリした回答を求めてしまいますが、そうした明確な方向や判断は示されず、「自分で考えなさい」という話なのでモヤモヤが残ったまま早々に頭の中から消し去るようになってしまいます。

現代の市場経済で、「それは道徳的にどうなの?」「法律違反ではないけど汚らわしい」というような問題点をいくつも例に出して、賛否双方の言い分を解説してくれます。

日本でも遊園地の人気アトラクションやいつも行列が絶えない人気レストランで優先的に案内されるファストパスが堂々と高額で売られています。また注目裁判の傍聴券を得るために金で雇われて並ぶのはOKで、人気コンサートのチケットを転売目的で購入して欲しい人に高額で転売する(ダフ行為)のはダメというのはどうして?すべてお金で目的を達することに変わりはないはずです。

余命数ヶ月という重病人の生命保険(死亡保険)を買い取り、生きている間に現金を手に入れられるようにする生命保険の売買(米国では普通にある)では、生命保険を購入した投資家は人の死が自分の大きな利益になるというのは是か非か?

薬物中毒やアルコール中毒の女性が出産すると高い確率で障害をもった赤ちゃんが生まれて大きな社会負担につながることから、そうした女性にかなりの一時金が支払われる代わりに避妊手術を受けるというサービスは是か非か?

などなど、面白い実例がいっぱい出てきます。

確かに市場経済で考えさせられる様々な問題提起ですが、それぞれに考え方がみな立場や人種、宗教観、年齢、所得水準などで違ってくることが多く、「これ!」という回答はなさそうです。

それにしてもこうした道徳問題を得意とする著者に、道徳などゴミくず同然の著者の国のトップ(大統領)に対してどういう感想を持っているのか聞きたいものです。

★★☆

著者別読書感想(マイケル・サンデル)

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メインテーマは殺人(創元推理文庫) アンソニー・ホロヴィッツ

メインテーマは殺人
昨年に読んだ名著「カササギ殺人事件」(翻訳版2018年出版)の翌年2019年に日本語翻訳本(文庫)が出版された長編小説で、「カササギ殺人事件」と同様、2020年に「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」「本格ミステリ・ベスト10」の4冠に輝いた作品です。

原題は「The Word Is Murder」で直訳すると「言葉は殺人」で、「The Word」には言葉以外に発言や命令、知らせなど様々な意味がありますが、日本語訳に付けられた「メインテーマ」という意味はなさそうです。

この作品は「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズの第1作目となり、すでに続編が4作出ています。

「カササギ殺人事件」が大変面白かったので、今回は多大な期待をして読みましたが、その期待を裏切らない面白い推理小説でした。

一人称で語る主人公は本著の作家ホロヴィッツで、探偵ホームズに対してちょっと的外れな相棒のワトソン役です。その探偵ホームズ役は、刑事だった頃にあることがきっかけで辞めざるを得なかった中年男ホーソーンで、ホームズと同様に鋭い観察力の持ち主です。

その探偵役の男は警察を辞めた後も、警察上層部からその特筆すべき才能を惜しまれ、難しい事件が起きると警察顧問として協力を求められ、今回の謎多き殺人事件で声がかかり、さらにその捜査から解決までを小説にしてお互い利益を得ようと、当時多くの警察ドラマの脚本を手がけていた主人公の作家に声をかけることになります。

事件は、あるひとり住まいの裕福な老婦人が、葬儀屋を訪れるところから始まり、その葬儀屋で自分の葬儀の依頼を細かく指示したあと、その夜に自宅で何者かに絞殺されてしまいます。警察は単なる物取り強盗と判断しますが、、、、

「カササギ殺人事件」と比べると至極真っ当な探偵ミステリー小説ということになりますが、事件を追う二人の関係が名声と金で結ばれユニークで面白く、その後の続編も読みたくなりました。

★★★

著者別読書感想(アンソニー・ホロヴィッツ)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

漱石先生ぞな、もし(文春文庫) 半藤一利

漱石先生ぞな、もし
1992年に単行本、1996年に文庫化された夏目漱石に関するエッセイ集で、1993年には続編の「続 漱石先生ぞな、もし」が出版されています。

日本のいちばん長い日」や「レイテ沖海戦」など太平洋戦争の戦記物小説が多い作家さんですが、その他のエッセイやノンフィクションなども多くあります。

タイトルに使われている夏目漱石は、著者の妻が漱石の孫という関係があり、著者の義理の祖父ということになります。それゆえ、義理の祖父のことや残した作品についてのことをいろいろ調べて書こうと思ったそうです。

漱石が残した小説や手紙、俳句などから、その時代や思想などがよくわかってそれと小説が書かれた時期を合わせると「なるほど」と思えることもありそうです。

漱石が生きた時代は、日清戦争や日英同盟、日露戦争などが起き、日本が富国強兵に力を入れ、まだ文学にはそれほど影響はなかったものの、軍部が政治にも影響を及ぼしつつある時代です。

このエッセイ集では「坊っちゃん」「吾輩は猫である」「草枕」「二百十日」「三四郎」など有名な小説に関するうんちくが取り上げられています。

また「漱石」という雅号の由来や、作家の友人や門下生などの話なども面白く読めました。

ただ、夏目漱石の小説をほとんど読んでない人には、理解できないことが多く、私も漱石の小説の多くは何十年も前の中高生の頃に読んだきりで、もうすっかり記憶になく、意味がよくわからないというものも多かったです。

★★☆

著者別読書感想(半藤一利)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

何もかも憂鬱な夜に(集英社文庫) 中村文則

何もかも憂鬱な夜に
2009年に単行本、2012年に文庫化された社会問題を読者に問いかける長編小説です。

犯罪容疑者は逮捕されるとまずは警察の留置所に留置され、その後裁判で結審するまでは裁判所に近い拘置所で拘置され、裁判で実刑が決まれば刑務所へ送られることになります。3段階があるのは知りませんでした。

この小説の主人公は、親に捨てられ施設で育ち、現在はこの中間の拘置所で刑務官として勤務する男性です。

親と親の愛情を知らず世捨て人のような感情を持ちながら働いている主人公ですが、中学校卒業まで暮らした児童養護施設の施設長の暖かなサポートや、今までまるで縁がなかった音楽や書物などの芸術を教えてもらい、生きていく意味を教えてもらった恩が忘れられません。

そして自分と同じように親に捨てられ、その反動で殺人事件を起こし、遺族やマスコミから「死刑は当然」と決めつけられ、第1審の判決でも死刑を言い渡された収容者のかたくなな心を解きほどいていくようになります。

日本の死刑制度について、死刑を実施する刑務官の厳しさ、死刑の判決が世論などで左右される問題点などの社会問題を鋭く突いています。

一方では、1948年に起きた「一家四人殺傷事件」で死刑が確定したものの、1983年に無罪が確定した免田栄氏や、この小説は2012年出版なので、まだその時点では無罪が決まっていませんでしたが、1966年に起きた一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌氏の再審が実り、2023年に無実が確定し48年間の拘留から解放されたケースなど、えん罪で死刑や長期拘留となる場合があります。

無実で死刑が言い渡されるのは、これ以上ない非道なことですが、過去にはえん罪事件は数多く発生しています。

★★★

著者別読書感想(中村文則)

【関連リンク】
 4月前半の読書 43回の殺意、汝の名、ジーヴズの事件簿才智縦横の巻、シクラメンと見えない密室、ゴースト
 3月後半の読書 サイコパス、高慢と偏見(上)(下)、少女 湊かなえ、寝ぼけ署長
 3月前半の読書 もう過去はいらない、短劇、神秘(上)(下)、つやのよる

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1835
人口減少が進んでいますが、同時に不安なことは1世帯人員の数も急速に減少していることです。つまりファミリーやカップルで暮らすより、一人で暮らす単身世帯が急増しているということです。

国立社会保障・人口問題研究所が2024年に報告した「日本の世帯数の将来推計」では、8年後の2033年には平均世帯人員がついに2人を切ると推定しています。

それのなにが不安かというと、高齢者の場合は孤独死が増え、ゴミ屋敷や空き家、認知症関連事故、火災事故、高齢者詐欺が増えていきそうです。

若い人の単身世帯の場合、一人住まいをすることで、それで不便もなく完結してしまい、結婚しない人が増え、未婚率が上がり、生涯独身という人が増えていくという少子化に歯止めがきかない社会の入り口となっています。

また偏見に近いかも知れませんが、未婚で単身者の場合、家族や同居人の抑えが効かず、なにかのきっかけがあれば安易に犯罪に手を染めてしまうということがあります。

そうした若者が闇バイトに手を出し、なりすまし電話やリフォーム詐欺など犯罪者が好んで狙うのは高齢者の単身世帯ということになります。

【将来推計】2033年に1世帯平均2人未満に 未婚の高齢者も急増(NHK 2024年4月12日)
全世帯に占める「1人暮らしの世帯」の割合は2020年の38%から増加を続け、2050年には44.3%と30年間で6.3ポイント増える見通しです。これに伴って1世帯あたりの人数は減少する見通しです。
2020年の平均2.21人から減り続けて9年後の2033年には1.99人と初めて2人を下回り、その後、2050年には1.92人にまで減少すると推計しています。

ここ40年間(3年おき)の世帯数と平均世帯人員の推移グラフです。グラフのデータは「2023(令和5)年 国民生活基礎調査」のものです。

世帯数と平均世帯人員推移
世帯数と平均世帯人員推移

人口減少が本格的に始まったのは2011年で、すでに10年以上が経過していますが、世帯数は2023年時点で伸び続けてきました。つまり1世帯当たりの人員が大きく減り続けてきたということです。

上のグラフは2024年発表のデータで2023年分までしかありませんが、それまでずっと伸び続けてきた世帯数は、2023年についにピークとなり、2024年以降は下がっていくと予想(2024年のデータはまだなし)されています。つまり昨年の2024年が世帯数という視点では一大転換期ということになります。

世帯数が減っていくと、当然ながら空き家が増えていきます。また3LDKや4LDKというファミリー向け物件より、1LDKやワンルームのような単独世帯向けに人気が集まっていきます。

下のグラフは、単独世帯数と、全世帯の中で単独世帯が占める割合の推移です。元データは上記と同じです。

単独世帯と全世帯の中で単独世帯が占める割合
単独世帯が占める割合

単独世帯の割合が急増していて、2022年に3割を超えましたが、今年2025年には4割を超えると想定されています。つまり世帯の半分近くが単独世帯、つまり一人住まいという、昭和の人間にとってはちょっと信じ難い世の中になっています。

当然ながら東京や大阪など大都市ほど単独世帯の割合が高いと思われるので、都市部への一極集中はこうした問題にも拍車をかけています。

この傾向が一気に進んでいるのは、若者が独立して一人住まいをするからだけでなく、高齢者夫婦のうち片方が先に亡くなり(ほとんどは男性が先に逝く)、高齢者(主として団塊世代)の単独世帯となるケースが急増しているということです。

最近よく耳にする高齢化世帯への強盗事件やリフォーム詐欺は、こうした高齢世帯を狙うことが、簡単にできる素人向きの犯罪であることを現しています。

狙う高齢者世帯はいくらでもあり、その中でも資産を持っていそうな家を狙い、金に困っている使い捨ての素人を集めて指示をして、脅したり騙して、現金やキャッシュカード、売買契約書などを交わしてしまえばいいだけです。

今後も手を替え品を替え、高齢世帯をターゲットにした犯罪は増加していくのでしょう。

今後の対策としては、いわゆる(高齢者向けの)シェアハウスやグループホームのような住環境を進めていき、ひとり住まいの高齢者を減らす政策が必要です。

つまり高齢者向けのシェアハウスやグループホーム、介護付きマンションに大きな補助金を投入してそのビジネスを促進させることです。

そうすることで、高齢者の犯罪被害を減らせ、介護の効率化が図られ、毎日人と会話をすることで認知症予防にもなります。なにより孤立死が防げます。

問題はかたくなに保守的になった高齢者が、それまで気楽なひとり住まいから、なにかと気を遣うそうした場所へ移ってくれるかどうかでしょう。

【関連リンク】
1639 パワーカップルとマンション価格の相関
1189 人口は減っているのに右肩上がり成長が続く世帯数
1069 世帯数や住宅総数は増えていき、空き家も増える


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1834
43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の真相(新潮文庫) 石井光太

43回の殺意
著者は1977年東京都生まれの作家さんで、ノンフィクションや小説、漫画原作などを発表しています。作品を読むのは今回が初めてです

2012年に出版されたノンフィクション「遺体:震災、津波の果てに」を原作とした西田敏行が主演した映画「遺体 明日への十日間」が2013年に公開され、本もよく売れていた印象があります。

本著は、2015年に川崎市の多摩川で起きた川崎中1男子生徒殺害事件をルポしたノンフィクションです。タイトルの「43回」とは、殺された中3の少年が友人だった3人にカッターナイフで切りつけられた数を表しています。

当時は同じ川崎市に住んでいることもあり、新聞で読んだぐらいでしたが、その時の印象としては、「不登校で家に寄りつかなかった不良少年が、仲間だった年上の不良少年達を怒らせてリンチを受け殺されてしまった」「川崎市では珍しくない家庭的に恵まれないフィリピン人とのハーフの不良少年たちが仲間割れしての犯行」というものでした。

しかしこのノンフィクションを読むと、話は単純ではなく、もっと複雑な家庭状況や、不良仲間同士の関係性、主犯とされた加害少年の異常な性格や飲酒癖などが掘り下げられています。

ただ残念なことに、主な取材先は離婚後遠く離れた場所で暮らしていた被害者の父親がメインで、被害者少年と一緒に暮らしていた母親や兄妹には話がまったく聞けていなく、本文中にエクスキューズされていましたが一方的な内容の偏りはあります。

また同級生や事件には関わっていない知人の不良少年などにはインタビューができていますが、まだ精神的に幼い未成年のためか、話に信憑性や正確性に乏しい印象があります。中には話が聞きたいなら金を出せという少年もいたようです。

裁判の結果、主犯の少年は9年以上13年以下という判決が出ましたので、2015年から収監されていたため、従犯の二人はもう社会に復帰していて、主犯だった少年も早ければすでに、いずれにしても間もなく社会に復帰してくる頃と思われます。

被害者遺族の気持ちは計り知れないですが、まだまだ長い加害者達のこれからの人生がどういうものになっていくのか、気になるところです。

★★☆

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汝の名(中公文庫) 明野照葉

汝の名
私と同年代(1959年東京生まれ)で、ミステリー小説が多い女性作家さんで、作品を読むのは今回が初めてです。

本著は2003年に単行本、2007年に文庫化、2020年に新装文庫化され、これを原作として2022年にテレビドラマ化されています。

内容は有吉佐和子著「悪女について」や、貫井徳郎著「新月譚」などを見るまでもなく小説やドラマでテーマとなることが多い、女性主人公が肉体や才能を最大限に生かしてのし上がっていくというものです。

働かない同棲男に見切りをつけ、名前を変えて肉体や才能を使って勝ち組エリートを目指していきますが、他の小説と違うのは、主人公が姉妹と称して同居している見かけも思考も対照的な二人いるという点です。

ひとりは美貌と抜群のスタイルで、それで得たスポンサーの協力でタレント派遣会社の経営者です。

もうひとりの主人公は地味で目立たない勤務していた製薬会社を辞め、もうひとりの主人公(タレント派遣会社社長)の高級マンションに同居し家事全般を担っています。

ひとりの主人公が元製薬会社にいたということで、これは薬物犯罪ものだなぁとすぐ想像はつきましたが、その通りの展開です。

仲が良かった二人の関係が、あるエリート男性の出現で崩れていくというのは現実でもよくありそうです。特に女性同士でルームシェアをしている場合、この小説と同様、二人の関係はいとも簡単に崩れていくことは大いにありそうです。

女性の心理描写が多く、高齢のオッサンが読んでも「そんなものか」ぐらいにしか感じませんが、極端な発想の裏表をネチネチ見せられ続けると、面白いと言うより煩わしく思ってしまうのは昭和の人間だからでしょう。

★★☆

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ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻(文春文庫) P・G・ウッドハウス

ジーヴズの事件簿
20世紀初頭に活躍した有名な英国生まれの小説家で、ユーモア小説が多かったようです。

今回の作品は1920年代頃に英国で出版されたものの中から抜粋し、2005年に日本語版として出版した単行本「P・G・ウッドハウス選集 ジーヴズの事件簿」(原題:The Casebook of Jeeves)を、2011年に文庫化する時に、1巻を2巻に分冊したうちの1巻です。

連作短篇集で、時代背景は著者が生きていた時代、20世紀初頭のロンドンで、才智優れたジーヴズという名の執事と、主人たるバーティという名の軽薄な独身貴族青年とのあいだで起きる軽快なユーモア小説です。

収録作品は、「ジーヴズの初仕事」、「ジーヴズの春」、「ロヴィルの怪事件」、「ジーヴズとグロソップ一家」、「ジーヴズと駆け出し俳優」、「同志ビンゴ」、「バーティ君の変心」の7篇です。

分冊されたもう片方は、「ジーヴズの事件簿 大胆不敵の巻」ですが、もう読みたいとは思わないかなというのが感想です。

短篇のユーモア小説ではブラックユーモアのサキ著の短篇集が好きですが、こちらは笑えないつまらない子供向けの漫画でも読むような感じで私には合いませんでした。

★☆☆

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シクラメンと、見えない密室(光文社文庫) 柄刀一

シクラメンと、見えない密室
2003年に単行本が発刊された「シクラメンと、見えない密室 魔女の花だより」を、2006年に文庫化にあたりシンプルに改題をしています。

連作短篇集で、収録作品は「傷とアネモネ」、「遠隔殺人とハシバミの葉」、「シクラメンと、見えない密室」、「クリスマス・ローズの返礼」、「オークの枝に、誰かいる」、「おとぎり草と、背後の闇」、「夾竹桃の遺言」の7篇です。

いずれもカフェのママさんとその娘の二人が、相談に訪れた客や、遭遇した事件、事故などで、推理を駆使して難解な事件を解決していくというもので、連作短篇と言うこともあり、内容は軽く、サクッと読むのに適しています。

タイトルからもわかるように、花や樹木の植物をキーとして、その花言葉や由来、伝説などを駆使し、殺人事件や、自殺未遂の謎など、ミステリーを解いていくという変化球のストーリーがなかなか楽しいです。

草木を使った薬学に詳しく、古い知識に詳しく、まるで何百年も前から生き続けているような西洋風の魔女というものが、現代の日本に蘇れば、案外、普通のカフェで店主(ママさん)をやっていたりするという想像も面白い発想です。

★★☆

著者別読書感想(柄刀一)

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ゴースト(朝日文庫) 中島京子

ゴースト
2017年に単行本、2020年に文庫化された短編小説集で、「原宿の家」、「ミシンの履歴」、「きららの紙飛行機」、「亡霊たち」、「キャンプ」、「廃墟」、「ゴーストライター」の7話が収録されています。

著者は1964年生まれ、2003年に「FUTON」で作家デビューされ、2010年には「小さいおうち」で直木賞を受賞されています。

各短篇は各個別の小説で、いずれもゴースト(幽霊)がモチーフとなっていますが、中にはゴーストライターのような幽霊とは言い難いものまで含まれています。

一番良かったのは「ミシンの履歴」で、戦前から酷使されてきたミシンが主人公で、その時々の女性達がそのひとつのミシンをよりどころに生活していく姿が目に浮かんできます。

というのも、私がまだ幼かった頃には、足踏みミシンが2台自宅にあって、父親も母親もそれを自在に使えたことや、そのミシンで衣服を縫ってもらったりしたことをかすかに覚えています。

あの無骨ながらも凜々しく思った蛇の目だったかシンガーだったか忘れましたが、足踏みミシンが、あの当時の女性が内職をして生活の糧を得る方法だった時代を思い出しました。

★★☆

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