忍者ブログ
リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~ HomePage https://restrer.sakura.ne.jp/
Calendar
<< 2025/04 >>
SMTWTFS
12 345
6789 101112
13141516 171819
20212223 242526
27282930
Recent Entry
Recent Comment
Category
1   2   3   4   5   6   7  



1821
世界の終わり、あるいは始まり(角川文庫) 歌野晶午

世界の終わり、あるいは始まり
2002年に単行本、2006年に文庫化された長編ミステリー小説です。ミステリーには違いないですが、主人公の妄想?がメインとなっていて、どこまでが現実なのか妄想なのかが途中わからなくなってきます。

主人公は埼玉郊外の一戸建て住宅に妻と小学生の長男、長女の4人で暮らしている東京の食品会社に勤務するサラリーマン。

ある日、長男と知り合いの近所の小学生が誘拐され、殺されるという悲惨な事件が起きます。さらに続けて同様の誘拐事件が自宅周辺地域で3件起き、連続誘拐殺人事件となります。

一連の誘拐殺人の特徴は、小学生を誘拐した後、拳銃で殺害したあと、その子供の携帯電話を使い父親の会社あてにメールで犯行声明と身代金を要求するもので、その身代金はすぐに用意できそうな少額です。

犯行は目撃者もなく、警察が関与したお金の受け取りにも現れず捜査は難航しています。

子供のことはほとんど妻に任せっきりにしていましたが、あるとき長男の机に誘拐された子供の父親の名刺を見つけ、どうしてなんの関係もなさそうな誘拐事件の被害者の父親の会社の名刺があるのか?そこから疑心暗鬼となっていきます。

さらに子供の部屋を調べると、犯行に使われたと思われる拳銃などが見つかります。

父親のとるべき方法としては、長男を連れて警察へ出頭するべきか、その前に犯行に使われた証拠品をなぜ持っているのか聞くべきか、いやもし小学生の長男が犯人だった場合、社会は両親や妹に対し猛烈なバッシングを浴びせるだろうし、一生返せない莫大な賠償額などを背負うことになり、、、とグルグルと妄想が渦巻いていきます。

確かにそういう事態が起きて発覚すると、その人(保護者)にとっては「世界の終わり」です。しかし本当にだんまりを続けていて良いのか?それともカオスな「世界の始まり」なのか?

終わり方は、読者それぞれに判断を任されているようで、ちょっとモヤッとしますが、それまで散々妄想と付き合わされてきたので、晴れやかな気分でもあります。

★★☆

著者別読書感想(歌野晶午)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

世界でいちばん透きとおった物語(新潮文庫) 杉井光

世界でいちばん透きとおった物語
タイトルだけ見ると「世界の中心で、愛をさけぶ」のような不治の病に冒された悲しいラブストーリーか?と思いましたが、全然違っていて最後にその意味がわかるという仕組みの長編ミステリー小説でした。

本著は、2023年に文庫で出版されましたが、紙の書籍であることが必須の仕掛けが施されています。ライトノベルなどが多い著者の作品は今回初めて読みました。

元グラフィックデザイナーの京極夏彦氏の小説には「ひとつの文章が次のページにまたがらない」(必ず文末で改行される)という独自ルールがあり、小説の中にはその京極氏に教えを請いたいという主人公の父親の推理小説家が出てきます。

過去に京極夏彦氏の小説は6作品を読んでいますが、そのような独自ルールで書かれていたなんてまったく知りませんでした。しかも単行本や文庫などそれぞれの文字数や行数に応じて修正しているそうです。

この小説もその京極氏の独自ルールが採用されていて、その影響なのかスラスラとリズムに乗って読みやすくなっています。が、しかしここでは明かせませんが、本著の超絶独自ルールはそれだけではありません。

ただ、文中に三点リーダー「・・・・・・」や長音符号「------」がやたらと多いのには違和感がありましたが、その理由は最後になってわかりました。タイトルにも関係しています。

主人公は有名な推理小説家の愛人だった母親の息子で、その小説家が癌で亡くなったことを知ります。母親も数年前に事故で亡くなっています。

一度も会ったことがない父親(推理小説家)のことはどうでも良いと思っていましたが、小説家の息子(義理の兄)から電話があり、遺作がどこかにあるはずなので探して欲しいと頼まれ、フリーで校正作業を出版社から請け負っていた母親と親しかった大手出版社の編集者と一緒に遺作探しをおこないます。

なかなか凝った内容となっていて、久しぶりに驚かされました。

なお、すでに続編「世界でいちばん透きとおった物語2」も出版されているので、そのうち読みたいと思っています。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

クズリ ある殺し屋の伝説(講談社文庫) 柴田哲孝

クズリ
タイトルから想像できるように長編クライムノベルで、2015年単行本、2017年に文庫版が出版されています。

タイトルの「グズリ」とは、日本には生息していないイタチ科クズリ属に分類される食肉類で、別名クロアナグマと呼ばれています。凶暴で爪と強力な顎で自分よりも大きな動物を一撃で倒すことができ、大きな熊も逃げていくそうです。その愛称を持つ殺し屋が主人公です。

20年も前に日本で暗殺の痕跡を残して消えてしまった殺し屋が、横浜に戻ってきて暗殺の仕事を再開します。

殺す相手は犯罪者で、特に麻薬に関連する人物をお金で依頼を受けて実行します。

警察庁の対テロ対策を担う外事課の警察官もその動向に注目しますが、使われた拳銃以外はまったく謎の人物で、過去に拳銃を売った密売人や、母親と思える人物と親しかった人物と会ったり、裏の動向に詳しい情報屋からネタを受け、ちょうど中国マフィアから送り込まれている二人の殺し屋とグズリを対決させ相打ちしたところで一網打尽にしようと目論みます。

主人公の出自はかなりややこしく、ロシア人の父親と日本人の母親で幼い頃にはロシアで育てられた記憶があり、子供の頃に父親も母親も亡くしています。

そして警察官の狙い通りに中国マフィアと本牧ふ頭で対決することになりますが、結果は想像通りの展開で、特にひねりや驚きはありません。このあたりは他の作品にも共通するパターンであっさりした終わり方です。

この作品の続編として「殺し屋商会」が2023年に発刊されています。

★★☆

著者別読書感想(柴田哲孝)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

向こうの果て(幻冬舎文庫) 竹田新

向こうの果て
著者は山野海という女優さんで、演劇やドラマの脚本なども書く多才な方で、この作品はwowowの連続ドラマ(2021年放送)の脚本を手がけ、そこから派生した小説で、女優以外のペンネームが竹田新ということのようです。

女優としていくつものNHK大河ドラマに出演、数多くのテレビドラマや映画、テレビCM、そして本業とも言える舞台と活躍の場は多いのですが、残念ながら私の記憶にはありませんでした。

ストーリーは、保険金目的の殺人事件で逮捕された女性と検事の対話が主になっていて、その女性の過去や周辺にいた男性達、そして検事自身の過去などが徐々に明らかになっていくという流れです。

容疑者の女性も殺人を認めていて、簡単な裁判になるはずでしたが、検事が女性の沼にはまっていくところはドキドキさせられます。

なにか内容は全然違っていますが、以前読んだ山田宗樹著の小説「嫌われ松子の一生」や有吉佐和子著「悪女について」をふと思い出しました。

いずれも貧しく壮絶な子供時代を送った女性が必死に生きていく姿を表していたからだろうと思います。

各章に視点(語り手)となる人物名がそれぞれ書かれていて、またテンポの良さもあって一気に読めてしまうのも特徴だと思います。

★★★

【関連リンク】
 12月後半の読書 指名手配、白い遠景、時効を待つ女、歴史のミカタ
 12月前半の読書 生存者ゼロ、七つの会議、遺言、名もなき少女に墓碑銘を
 11月後半の読書 カササギ殺人事件、探偵は絵にならない、歩きながら考える、遠い唇

[PR] Amazon 書籍 売れ筋ランキング

ビジネス・経済

ビジネス実用本

新書

文庫

文学・評論

コミック

ゲーム攻略・ゲームブック 

ハヤカワ・ミステリー  

創元推理文庫

新潮文庫

講談社文庫

角川文庫

集英社文庫

岩波文庫

文芸作品

ノンフィクション

ミステリー・サスペンス

SF・ホラー・ファンタジー 

歴史・時代小説

経済・社会小説

趣味・実用

リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
PR



1819
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


ビジネス界からリタイアしてからはや4年が過ぎ、今年の夏には5年目となります。

元々人に対して過剰なほど気を遣う性格なので、多くの人に交じって働くと大きなストレスを感じます。働かないということはこれほどストレスがなく、精神衛生上に良いものかと日々実感しています。

ただし肉体的に老化で自然に衰えていく分は仕方がないとして、少しでも健康でいたいので、毎日1時間ほどの早歩きを取り入れたウォーキングとストレッチ、家事やDIYなどをこなして身体をよく動かしています。

お正月と言えば年賀状ですが、ここ10年間で鬼籍に入った方や年賀状仕舞いなどで少しずつ減っていき、今では50枚ほどが続いています。

こうした古くからの慣習で、私自身も物心が付いた4~5歳の幼稚園の頃から始めている習慣なので、できればまだ続けたいところですが、今後はどうしようかと考えています。

しかしはがきの値段が今年一気に1枚22円も値上がりし85円になったことでもう愛想が尽きかけています。効率を上げるためだったはずの郵政民営化が正解だったのかわからなくなりました。

私がまだ幼児だった頃、母親あてに実家の祖母からよくはがきが届いていて、いつも見せてもらっていましたが(達筆すぎて読めなかった)、その頃(昭和30年代終盤から昭和40年頃)ははがきの値段は5円、封書が10円だったのをよく覚えています。

そのイメージが強く残っているので、60年間で17倍!(5円→85円)というのはいくらなんでも横暴な上昇としか言いようがありません。ちなみに大卒初任給で言えば昭和40年(1965年)が2.4万円だったのが、令和6年(2024年)が21.6万円で9倍です。

さて、正月早々の愚痴もそこそこにして、今年もスタートは読書感想からです。

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

指名手配(創元推理文庫) ロバート・クレイス

指名手配
1953年アメリカ生まれの小説家の著者は、1987年からロサンゼルスの私立探偵を主人公とした「エルヴィス・コール&ジョー・パイク」シリーズを執筆していて、本作は2017年に出版(邦訳版は2019年)されたシリーズの17作目です。

原題は「THE WANTED」で、直訳です。でも内容は私立探偵の人捜しですので、一般的に想像する警察がおこなう「指名手配(犯)」とはちょっとイメージが違っています。

著者の作品には他にも警官と警察犬を主人公としたシリーズもありますが、著者の作品を読むのは今回が初めてです。

探偵小説が好きで、チャンドラーや、パーカー、ブロック、コナリーなどを読んできてこのクレイスに気がつかなかった自分は大恥モノです。

その仲でもマイクル・コナリーとは親しい間柄で、双方の作品中にお互い相手の主人公(ハリー・ボッシュとエルヴィス・コール)を登場させるぐらいの仲だそうです。

このコールシリーズを最初から読みたいけど、初期の作品はすでに絶版状態で、気長にブクオフに出てくるのを待つしかなさそうです。またシリーズ17作品の内、邦訳されているのはその半分ぐらいです。

内容は、高級な腕時計を隠し持っていた息子が犯罪に関わっているのではないかと思い、その母親が探偵に調査を依頼しますが、その過程で高級住宅ばかりを狙った連続空き巣犯一味の可能性が高くなってきます。

息子は母親と探偵にバレて警察へ自首することを求められたことで、家出をして行方不明となります。

そこで探偵が様々な関係先を回って調べていくことになりますが、警察以外にも息子を探していることがわかり、、、

強面の相棒で元海兵隊のジョー・パイクはスペンサーシリーズで言うならホークの役で、主人公コールの良き理解者として大いに活躍します。

そう言えば私立探偵コールも相棒パイクもベトナム戦争の帰還兵という設定で、ハリー・ボッシュの経歴とかぶります。

ベトナム戦争でアメリカが関わった時期は1965年から1975年までですから、1975年に20歳で軍に従軍したと考えても、2017年時点では62歳になっているはずですが、スペンサーシリーズと同様(スペンサーは朝鮮戦争に従軍)、何年経っても歳をとらないサザエさん一家のようなスタイルです。その点、ハリー・ボッシュやマット・スカダーは作者と同様に年老いています。

どうしてもこうした長いシリーズとなった場合には、主人公の年齢や過去の経歴などに矛盾点などが発生してしまいます。

サザエさんが最初に登場したのは1946年ですが、戦争の影響もあったでしょうけど当時の日本人男性の平均寿命が50歳、サザエの父親の波平は孫もいる54歳の設定です。30年以上も寿命が延びて、54歳で孫までいる大家族というのは現在では滅多にお目にかかれないでしょう。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

白い遠景(講談社文庫) 吉村昭

白い遠景
著者の二つ目のエッセイ集で、1979年に単行本、今回読んだのは2015年版の文庫ですが、それ以前に文庫化されていたかは不明です。

主に昭和40年代に書かれたものがほとんどで、時代を感じるものもあれば、作家の矜持のような普遍的なものまで様々です。

1927年(昭和2年)生まれの著者は、代表作に「戦艦武蔵」など戦記物が多いので、太平洋戦争に従軍していた方と思っていたら、戦時下で学校を繰り上げ卒業したものの予備役で終戦を迎えたとのこと。もう数ヶ月早く生まれていたら完全に徴兵され、他の多くの同級生と同様、南方へ送られ生きては帰れなかっただろうとのことで、人の運命なんてわからないものです。

エッセイでは著者の様々な小説の裏話というか取材の実際や、事件や事故が起きた現地へ足を運んでその場所を確かめることを常としていることなどがよくわかります。

太平洋戦争の話しは取材できる相手がまだいた時代(昭和40年代)ですが、江戸時代や幕末の頃の話しは直接見聞きした人からの取材はできず、そのため様々な古文書や研究資料から史実は曲げない範囲で著者独自の創作力が発揮できて楽しいということです。

多くの新聞や雑誌にそれぞれ掲載されたものを集めていますので、かなり重複しているところもありますが、小説では書けなかった著者が感じた雰囲気や、戦争の悲惨な現場に実際遭遇した人たちがポツリポツリと話す内容には小説以上の重々しさがあります。

★★☆

著者別読書感想(吉村昭)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

時効を待つ女(徳間文庫) 新津きよみ

時効を待つ女
2005年に出版された短編小説集です。短篇は「時効を待つ女」「筆が殺した」「彼女に流れる静かな時間」「種を蒔く女」「捨てられない秘密」「わたしのもの」のそれぞれ独立した6篇が収録されています。

著者はサスペンス・ホラー要素の強い作品が多いのはよく知られていますが、先日読んだ「帰郷 三世代警察医物語」は意外な感じがしましたが、真っ当な家族愛とミステリーを絡めた作品でした。

さて今回はどのような展開なのかな?とわくわくしながら読みました。

タイトルになっている初っぱなの「時効を待つ女」はミステリー要素が強いものの、ひねりが効いていて最後の大どんでん返しでは「え?えっ?えぇぇぇ!」と、最初に戻って読み返すことになるほど驚かされました。

「ムフフ、してやったり」とまったく会ったこともないし見かけたこともない方ですが、著者のにやけ顔が思い浮かびます。

他の短篇もそれぞれにユニークな発想で、ありえねぇー!と思いつつも、意外な展開で面白かったです。ただ一番目の作品の衝撃が大きかったため、期待値が大きく上がってしまい、それと比べるとややパワー不足に感じました。

★★☆

著者別読書感想(新津きよみ)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

歴史のミカタ(祥伝社新書) 井上章一、磯田道史

歴史のミカタ
2021年に出版された共著の新書です。1955年生まれの井上氏は京都にある国際日本文化研究センター所長で、1970年生まれの磯田氏はテレビでよく見かけるようになりましたが歴史学者で国際日本文化研究センター教授ということで表面上は上司と部下という関係です。

タイトルの「ミカタ」とは「見方」であって「味方」ではありません。読むまでどっちなんだろう?と思っていました。歴史学者としては、歴史をもっと好きになって欲しいという歴史の「味方」という意味も裏にはありそうです。

共著には違いないですが、もっぱら主導して喋っているのは歴史学者の磯田氏で、井上氏はわざとかも知れませんが的外れというか、茶化したり、脱線した話が多いように感じました。

幅広い日本の歴史を語るには、古文書をスラスラ読めて、さらにNHKで歴史番組を長くやっている磯田氏にはかないませんから、磯田氏の独壇場になるのは仕方ないでしょう。井上氏は自身が生まれ育った京都の歴史や世界史、特にローマ時代などには造詣が深いです。

本書で語られていますが、日本の歴史の学習はとにかく年号や人名などの暗記が主となっていて、それでは興味を持ってくれる若い人が少ないというのもうなづけます。

また大河ドラマでは語られない英雄達の派手な女性関係など、時代錯誤と言われる今の時代では取り上げにくい話などにこそ興味を引く面白いことがあったりします。

また女性天皇(国王)が、文明が発生した大陸では少なく、欧州(半島)や朝鮮半島までくるとやや増えてきて、日本や英国のような島国では結構多くなると言う文化が伝わってくる時間と距離によって変わってくる経緯など「なるほど!」といった話しは面白いです。

★★☆

著者別読書感想(磯田道史)

【関連リンク】
 12月前半の読書 生存者ゼロ、七つの会議、遺言、名もなき少女に墓碑銘を
 11月後半の読書 カササギ殺人事件、探偵は絵にならない、歩きながら考える、遠い唇
 11月前半の読書 十二月八日の幻影、メーデー極北のクライシス、この青い空で君をつつもう、健康を食い物にするメディアたち

[PR] Amazn ほしいものランキング

携帯電話・スマートフォン  

スマートウォッチ

空気清浄機

洗濯機・乾燥機

衣類・ふとん乾燥機

テレビ・レコーダー

車&バイク


ヘルメット

洗車用品

自動車整備工具

釣りフィッシング     

ゴルフボール

ランニングシューズ

メンズスニーカー

レディーススニーカー

ベビー&マタニティ

ハンドケア・フットケア

シャンプー・コンディショナー 

リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX


1816
生存者ゼロ(宝島社文庫) 安生正

生存者ゼロ
なぜか、東は早稲田大学出身、西は京都大学出身の作家さんが多い気がしますが、本作品の著者は1958年生まれの京都大学(大学院工学研究科)出身の方です。

本書は著者のデビュー作でありながら、2012年の「このミステリーがすごい!」で大賞に輝いた作品で、ベストセラーになりました。この作品は、2013年に単行本、2014年に文庫化されました。

私は過去に著者の作品では「ゼロの迎撃」(2014年)を読んでいてこの作品が2作目です。

読んでみて思ったのは、とてもデビュー作とは思えない力作で、受賞したのも十分に頷けるものでした。ただあれこれと余計に盛り込みすぎて、やや間延びしてしまうのが残念なところです。

しかも、規模は違いますが(小説では北海道内だけで想定何十万人もの死者が出ている)、2019年末から拡がってきた新型コロナ騒動を彷彿させる内容で、先見の明というかバイオSF的にも読めます。

主人公は、自衛隊員ですが、ドンパチする現場の隊員ではなく、さる事情から内勤の陸上自衛隊の中央情報隊に配属されていて、見えない敵と戦うことになります。

国内で想定外の事件が起きると、決められない総理大臣、官房長官、厚労大臣、その他関係省庁大臣などがオロオロする中で、自衛隊と警察が盾となり奮闘しますが、なにが起きていて、なにと戦っているのかが皆目わからないというジレンマがあります。

普通ならば、映画「感染列島」(1994年)や、小松左京著の小説で映画にもなった「復活の日」(1964年)のように、人類とウイルスや細菌との戦いというのが今までのこういう場合はアルアルですが、この小説の場合はそれだけでは終わりません。そこが凄いです。ヒントは途中から出てくるヒロインが生物学者ということです。

原発事故やパンデミック、さらには台湾有事など、国の未来を大きく左右する時にこそ、総理大臣の正しいリーダーシップや有能で即座に行動できる内閣がないと、とんでもないことが起きるということがこの小説でよくわかります。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

七つの会議(集英社文庫) 池井戸潤

七つの会議
2011年に日経電子版に連載され、2012年に単行本、2016年に文庫化されたビジネス小説です。2013年にはNHK「土曜ドラマ」が、2019年には映画化されています。

著者が得意とする銀行ものではなく、中堅電機メーカーを舞台にした連作の短篇を集めたような仕組みになっています。

過去には三菱自動車のリコール隠しを小説化した「空飛ぶタイヤ」(2006年)を2010年に文庫で読みましたが、その舞台を自動車メーカーから電機メーカーに変えたような内容です。

ただし、リアルな出来事を小説にしたものとは違い、アクが強かったり、妙に魅力ある登場人物が何人もいてエンタメ小説として成功していると思います。

第1話から第8話までの短編小説風ですので、それぞれに登場人物が代わっていきます。したがってこの小説では、舞台となる大手電機メーカーソニックの子会社で、いかにも昭和にはよくあった猛烈会社の東京建電という会社が主人公と言えます。

私自身、こうしたノルマを追い求める猛烈な営業が中心の会社に長く在籍していたことから、登場人物の気持ちはよくわかります。もしギリギリのノルマ達成のため、甘い不正の誘惑があれば、普段は真正直な人でも気持ちが揺れ動くということは、その場にいる人でないとわからないかも知れません。これは会社の体質そのもので、個人に責任はないとも言えそうです。

でもそれを一時の迷いでやっちゃうと、後日会社の存続を揺るがす取り返しが付かない大事に至るというのがこの小説でもよくわかります。

★★☆

著者別読書感想(池井戸潤)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

遺言。(新潮新書) 養老孟司

遺言。
2017年に出版された新書です。今年87歳でまだお元気そうなので、出版から7年も経ち、「遺言。」はそろそろ書き直す時期にきているかもしれません。

21年前の2003年に大ベストセラーの「バカの壁」を読んで、正直言うとなにが言いたいのかよく理解できず、文系のしらけ世代の私にはきっと理解し合えない著者なのだろうと勝手に決めつけ、それ以来の著者の新書です。

さすがに20年経てば双方に歩み寄れることもあるだろうと読み始めました。

しかし、やっぱりダメでした。こうした秀才で自己本位型が強烈な人の話しにはどうもついていけませんし、理解ができません。えぇ私がバカなだけですけど。

「感覚と意識の対立」とか「同じとイコールへの収斂」、「芸術は同じからの解毒剤」など、無理矢理自分の中の複雑な考えを披露されていますが、まったく理解ができません。えぇ、私がバカなのです。

「おまえの脳みそは筋肉でできている!」と言われそうですが、確かに文化会系か体育会系か?と問われると体育会系に違いないし、文系か理系かと問われると当然文系だし、記憶力は良い方か?と問われると、まったく人の顔が覚えられない記憶力の悪さだし、そういう日本人がいるということがこうした秀才には理解できないというか、ハナから見捨てているのでしょう。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

名もなき少女に墓碑銘を(PHP文芸文庫) 香納諒一

名もなき少女に墓碑銘を
2018年に「絵里奈の消滅」というタイトルで単行本が出版され、その後2021年にタイトルを変更して文庫化されました。私が内容も見ずにタイトル買いをしたぐらいですから、この改題は成功したと言えるでしょう。

著者の作品は過去には「心に雹の降りしきる」とアンソロジー「名探偵で行こう」の中の一篇「花を見る日」を読んでいます。

ストーリーは、昔刑事だった頃に2度捕まえたことのある常習空き巣犯だった男が出所して連絡してきましたが、その時は電話に出られずそれっきりになってしまいます。

その元空き巣犯だった男が多摩川に浮かんでいるのが発見され、直前に電話を入れていたと言うことで刑事が探偵を訪ねてきてその男が死んだことを知らされます。

死んだ男が娘を探していたことを知り、すでに依頼者はいないのに娘を探しているうちに、娘の母親で、男が昔結婚していた女性の複雑な家庭環境を知ることになり、事件に巻き込まれていくという流れです。事件の謎を追う探偵モノ小説は大好物で、元警察官の男臭いハードボイルドものです。

ただ日本の小説では珍しく巻頭に登場人物の一覧があるので助かりましたが、人間関係が複雑で、誰と誰が兄弟で、誰の子で、誰の孫とか混乱します。

また出生の秘密とか、出生届の問題など、あまり詳しくはないですけど、そういうことが事実上可能なのかどうかってことも気になります。

この私立探偵のシリーズは他に「熱愛」(2010年)が本書の前に出版されています。そちらも読みたくなりました。

★★☆

著者別読書感想(香納諒一)


【関連リンク】
 11月後半の読書 カササギ殺人事件(上)(下)、探偵は絵にならない、歩きながら考える、遠い唇
 11月前半の読書 十二月八日の幻影、メーデー極北のクライシス、この青い空で君をつつもう、健康を食い物にするメディアたち
 10月後半の読書 幸福寿命、ゾディアック、おもかげ、野わけ

[PR] Amazonタイムセール/売れ筋ランキング

Amazonタイムセール

ホーム&キッチンの売れ筋ランキング 

枕・抱き枕の売れ筋ランキング

旅行用品の売れ筋ランキング

ミラーレス一眼の売れ筋ランキング 

空気清浄機 タイムセール

掃除機の売れ筋ランキング

ペット用品の売れ筋ランキング

リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX


1814
カササギ殺人事件(上)(下)(創元推理文庫) アンソニー・ホロヴィッツ

カササギ殺人事件
著者は1955年生まれの英国人で、本著の原題は「Magpie Murders」で、2016年に出版、翻訳版は2018年にタイトルはほぼ直訳です。但し「Magpie」はカササギという意味以外にも様々な意味があり暗喩としても使われています。

この小説は、日本国内の「このミステリーがすごい!」、「週刊文春ミステリーベスト10」、「本格ミステリ・ベスト10」、「ミステリが読みたい!」などの賞に輝いています。文庫の帯には7冠と書かれています。それだけ評価が高かったのでしょう。

文庫上下巻で735ページにわたる長編ミステリー小説ですが、ユニークなのは上巻のほとんどが小説上の架空の売れっ子ミステリー作家の小説「探偵アティカス・ピュントシリーズ第9作目」、タイトルは「カササギ殺人事件」の出版前の原稿で、その原稿にはなぜかミステリーの肝と言える最終章の謎解きの部分だけが抜けています。

そして下巻では、そのミステリー作家の担当編集者の女性が、謎解き部分がない原稿を読み終わり不思議に思っていたところ、執筆した作家が謎の自殺をしてしまい、同時に遺書が郵便で出版社の上司宛に届きます。

そこで、その女性編集者は、ミステリー小説の謎解きと同時に作家が自殺した、あるいは自殺に偽装された死の謎について探偵よろしく様々な関係者に会って調べていきます。つまり小説の殺人事件の謎と、現実の自殺の二重の謎解きという構図になっています。

上巻のほとんどを占めるミステリー小説の時代背景は、50年ほど前の英国の郊外で、富豪の名門家の女中が階段から転落し亡くなり、さらにその2週間後には名門家の主人の男爵が首を切断され亡くなります。その謎解きにエルキュール・ポアロに似た雰囲気のロンドン在住の私立探偵が登場してきます。

一方の下巻では作家が自殺したことで結末が不明のままで最新作が出版できない事態に陥った編集者の謎解きは現代の英国が舞台です。

二つの時代を交互に繰り返していく小説はよくありますが、ミステリー小説の中にミステリー小説があり、その二つの時代のミステリーがそれぞれに影響したり、物語の中に解決のヒントが組み込まれていたりしてしっかり読み込まないと混乱してしまいます。

登場人物の名前だけでも、上巻のミステリー小説と、下巻の現代の有名作家の自殺騒動とで二種類の登場人物があり、油断していると「あれ?誰だっけこの名前は?」と混乱しちゃいます。記憶容量が急激に少なくなってきた年齢ですので、、、

このまま、モヤモヤした二つの謎解きはどうなるのか?と心配でしたが、ちゃんと最後の最後には明かされますので安心してください。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

探偵は絵にならない(ハヤカワ文庫) 森晶磨

探偵は絵にならない
著者は1979年生まれの推理小説を得意とする作家さんで、読むのは今回が初めてです。デビュー作は「黒猫の遊歩あるいは美学講義」(2011年)でその後「黒猫シリーズ」が9作続きます。

何度も書いてますが「マーロー」や「スペンサー」「スカダー」「スペード」「沢崎」「神山」など「探偵」の小説が好きなので、タイトルにあると内容はともかく買ってしまいます。

本書は2020年に書き下ろしが文庫で出版され、その後続編の「探偵は追憶を描かない」が2021年に出版されています。

この小説には特に探偵という職業は出てこず、単に同棲していた女性がいなくなり、それを探しに画家の主人公の生まれ故郷の浜松へ戻るという流れです。人捜しなので探偵ということなのでしょうけど、単に素人の人捜しなので全然探偵小説の範疇には入ってこない感じです。

味があると思ったのは、地元浜松でアロマテラピーの店を経営している主人公の友人がいて、香りで様々な推理をしたりアドバイスをします。その各種のアロマについてもうんちくも楽しいです。

ちょっと思っていた探偵小説とは違いましたが、やや重めのミステリー小説「カササギ殺人事件」を読んだ直後だったので、サラッと軽くてリフレッシュできました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

歩きながら考える(中公新書ラクレ) ヤマザキマリ

歩きながら考える
コミックや映画の「テルマエ・ロマエ」の大ヒットのあと、一発もの作家に終わらず、多才な人でその後もテレビやエッセイ集などで大活躍中の著者ですが、本書はコロナ禍真っ只中の2022年に出版された新書です。

新型コロナが広がり始めた2020年に出版された「たちどまって考える」の続編と言える作品でしょうか、前作は読んでいないのでわかりませんが。

著者は夫とその家族が住むイタリアと、著者自身の主な仕事場の日本(東京)の二重生活(当時は子供がハワイに住んでいたので三重生活?)をしていたこともあり、2019年暮れから始まった新型コロナ騒動で行動制限がかかり著者の生活に大きな変化をもたらしたことでしょう。

本書が書かれた2022年時点では、すでにワクチンや治療薬があり、東京オリンピックも開催され、かなり行動制限は緩和されていて、経済をまわそうという動きがあり、そこで著者も外へ出掛けて従来とは違った新たな視点をもって、、、と思っていたら、後半1/3は映画や読書の話しがメインになって、若い人向きの人生訓などへと移っていきます。

このようにコロナ禍で人生、特に仕事や人間関係などに大きな変化が起きた人は著者のみならず多数いたでしょう。私は幸いにもコロナ禍以前から在宅ワークを実践していたので、その在宅リモートの日が増えただけであまり変わりませんでしたが、それでも週に3~4回はしていた外食に行きにくかったり、映画館など大勢人が集まる場所は避けたりと多少の変化はありました。

10数年後には「失われたコロナの2年間とか3年間」とか言われるのでしょうけど、2024年時点ではすでにコロナ禍はかなり遠くの存在になってしまい、それよりも物価高が続く経済問題や、別の感染症などの心配をするようになっています。

本書を読むと、あの頃のことが蘇ってきますが、それにしてもコロナ禍の中で著者の日常や考え方を一方的(紙の書籍だから双方向はあり得ませんが)に述べられても、「あぁそうですか」という感想以外は出てきません。

著者は、17歳で画家を目指し海外に出て、未婚のままで出産をし、子育てしながら苦労して漫画で大ヒットを飛ばし、著名知識人の仲間入りした方で、現在は14歳年下のイタリア人と結婚、子供も大学を卒業して子育ても終わりという通常の内向きな日本人には理解しがたい特殊な経験の持ち主だけに、その知識はともかく生き方や価値観などは参考にはなりません。

なので、波瀾万丈物語やそうした経験を元にした人生訓を聞かされても、年寄りにとっては眠たいだけに終わります。しかしもっと感性豊かで夢と輝かしい未来のある若い人が読むと勇気づけられたりするのでしょう。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

遠い唇(角川文庫) 北村薫

遠い唇
2016年に単行本、2019年に文庫化された短篇集作品です。その後2023年にはタイトルを「遠い唇 北村薫自選 日常の謎作品集」と改題し、2篇を増補した文庫に改訂されています。今回読んだのは改訂前の文庫です。

収録作品は、「遠い唇」「しりとり」「パトラッシュ」「解釈」「続・二銭銅貨」「ゴースト」「ビスケット」の7篇です。

短篇作品もあれば、ショートショート的な短い作品もありますが、いずれも謎解き作品となっています。

ただ、中には江戸川乱歩の作品「二銭銅貨」を多少は知らないとよくわからないものや、著者の過去の作品「八月の六日間」の主人公が登場する作品があるなど、多少はツウ向けの作品集なのかなと思いました。

表題の作品「遠い唇」は、暗号もので、読者が推理し解読するのはまず無理という内容、「しりとり」と「ゴースト」の主人公は、「八月の六日間」で山歩きをするやり手の女性編集者、「パトラッシュ」は若い男女の恋愛ものです。

「解釈」は私の一番のお勧め短篇で、地球外生命の新星探査隊基本情報調査官達が、人間が読んでいる書籍を奪ってこの星の状況を調べようとしています。奪った本は夏目漱石の「吾輩は猫である」、太宰治の「走れメロス」、川上弘美「蛇を踏む」で、それぞれの言語記録(小説)からこの星を支配する人間というものを理解しようと試みます。小松左京や星新一ののショートショートに似ています。

「続・二銭銅貨」は江戸川乱歩の大正12年のデビュー作「二銭銅貨」をモチーフに、その中にある小さな謎について新たな解釈というか謎解きをするというもの、「ビスケット」は著者の過去の作品の「冬のオペラ」などに何度か登場した探偵が謎解きをする短篇です。

それぞれにユニークさが際立ち、著者の幅広い知識や興味の世界がわかり、ミステリー短篇の名手としての地位は不動です。

★★☆

著者別読書感想(北村薫)

【関連リンク】
 11月前半の読書 十二月八日の幻影、メーデー極北のクライシス、この青い空で君をつつもう、健康を食い物にするメディアたち
 10月後半の読書 幸福寿命、ゾディアック、おもかげ、野わけ
 10月前半の読書 ヴェアヴォルフ オルデンベルグ探偵事務所録、草笛の音次郎、自分をどう愛するか<生活編>、新月譚

[PR] Amazon 医薬品・指定医薬部外品 売れ筋ランキング

鼻水・鼻炎

便秘改善

肌・皮膚トラブル改善

睡眠改善

関節痛・神経痛

肩こり・腰痛・筋肉痛

胃腸改善

整腸剤

喉・口中改善  

目薬

育毛・養毛剤   

痛み止め

リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX



1812
十二月八日の幻影(光文社文庫) 直原冬明

十二月八日の幻影
1965年岡山県生まれの著者は、大学卒業後にサラリーマンや議員秘書を経験した後、2014年にこの作品で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し作家デビューした方です。

2014年にデビューしてから現在までに3作品が出版されていますが、専業作家としてはえらく少ないようです。専業ではないのかも知れません。

タイトルの12月8日と言えば昭和16年の真珠湾攻撃の開戦の日と昭和生まれならばすぐピンときますが、平成生まれ以降の人ならわからない人も多いでしょう。昭和は遠くなりにけりです。

タイトルを見てその程度の知識で読み始めましたが、主人公は海軍の軍令部特別班に所属する少佐と、故郷に錦を飾りたくて艦隊勤務を強く希望しながらもこの防諜が仕事に配属された新任少尉です。

戦前の諜報活動をテーマにした小説では、私も読みましたが柳広司著「ジョーカー・ゲーム」シリーズが有名ですが、「ジョーカー・ゲーム」シリーズが陸軍のスパイ養成機関中野学校をモデルにしているのに対し、こちらは海軍の諜報機関(と言ってもこの時点ではメンバーは二人だけ)です。

昭和16年の夏頃、日々日米関係が悪化していく中、互いの諜報活動が活発化していきます。

そんな中、海軍が12月8日にハワイの真珠湾を攻撃するという計画が英国のスパイを通じアメリカ大使館へ漏洩しているのではないかと、陸軍の諜報機関が気がつきます。

陸軍には、電気そろばんという今で言うコンピュータを大学教授が開発し、それを使ってアメリカの暗号電信文を解読してわかったことです。

まったくのフィクションですが、こうしたスリリングな展開の中で、それまでは「諜報活動など卑怯で武士道にもとる」という思想が海軍にはあり、結局は暗号をアメリカ軍に解読されてコテンパンにやられたということがわかっている中で、もしこうした優れた防諜機関が機能していればというところでしょう。

実査の歴史を下敷きにした歴史フィクション小説は好きですが、ちょっと海軍と陸軍、そして憲兵隊などが様々な垣根を越えて協力する姿など、ちょっとリアリティがなさすぎです。

どちらかと言えば、英国のスパイを主人公にして、陸海軍や憲兵隊と諜報活動で死闘を繰り広げ、「真珠湾攻撃」の重要機密をアメリカ大使に伝えたものの、信じてもらえず、、、と言ったストーリーのほうが理にかなっていそうです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

メーデー 極北のクライシス(二見文庫) グレーテ・ビョー

メーデー 極北のクライシス
著者はノルウェー生まれで、小説作家以外に脚本家、映画監督など多彩な活躍を見せている女性で、本作品が作家デビュー作となります。

原書の発行は2020年で、2023年に日本語訳版が出版されています。原題は「MAYDAY」で、遭難信号という意味です。

ストーリーはNATO軍の演習がノルウェーとロシアの国境近くでおこなわれ、そこでノルウェー空軍の女性パイロットとアメリカ空軍の教官が戦闘機のF-16で飛行中、ロシア空軍の戦闘機が近づき接触、F-16がロシア国内に入って墜落してしまいます。

墜落前に脱出した二人のNATOのパイロットですが、極寒のロシア領内で、墜落したNATOの戦闘機がロシア国境を越えていたことや、ロシアの町中に墜落したせいでロシア側に多大な犠牲者が出ていたことで、ロシアの特殊部隊スペナッズに追われることになります。

またロシアとNATOの関係が悪化し、第三次世界大戦の危機が迫ります。この辺りのロシアの動きは、この本が出版された2年後にロシアが「自国民を守るため」を理由に宣戦布告なくウクライナ領土に攻め入ったきな臭さとなにか似ていて、ロシア大統領の領土拡張の野望を予言していたかのようです。

日本人にはノルウェーとロシア国境の事情などほとんど知る人はいないでしょうけど、両国にまたがって親戚がいたり、同じ民族が分かれてしまっているということをこの小説で知ることができました。

また厳しい寒冷の地域に住む住人達の大変さもよく伝わりました。こうした自分の知らない知識を楽しみながら得られるのは、日本人作家の小説よりも外国、それも数多くあるアメリカや英国以外の作家の作品を読む大きなメリットです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

この青い空で君をつつもう(双葉文庫) 瀬名秀明

この青い空で君をつつもう
2016年に単行本、2020年に文庫化された青春ラブストーリー(文庫帯の記載)長編小説です。

著者の小説は過去に4作、今回が5作目ですが、1995年にデビュー以来、小説は年間1作ペースで出版(その他にノンフィクションや共著なども多数あり)されているので、現在までに小説だけでも20数作品があります。

ただ一番最初に読んだデビュー作「パラサイト・イヴ」(1995年)の印象が強く残っていて、著者のイメージは生物学的SFホラーというイメージが私の中にはあります。

しかし今回の小説は、折り紙を通じた青春ラブストーリー(但し病気で亡くなった高校の同級生との恋愛感情という変わり種ですが)で、従来のイメージが大きく変わります。

折り紙?そう、鶴や蛙、薔薇や手裏剣など様々な形を1枚の紙を折って作る折り紙です。

知りませんでしたが、「日本折紙学会」というのがあるそうで、折り紙ファンは日本だけでなく世界中に拡がっていて、新しい折り紙の研究や普及が進められているそうです。

夜中に亡くなった同級生にもらった折り紙が突然動き出すとか、ある折り方をすることで変化するなどにわかには信じがたい話が出てきますが、考えればすでに普及している形状記憶合金や形態安定シャツなど、あるきっかけで形状を変えてしまう物質があることは誰もが知っています。

それを紙に応用すれば、なにかのきっかけで折り紙が突然動き出したり、折り目に思いを込めたりすることも可能ということで面白い発想です。

正直、高校生のラブストーリーを読むにはもう歳をとりすぎていて感動も共感も得られませんので、こうした高校生が主人公の小説はできるだけ読むリストから外すようにしています。

今回はなぜかつい買ってしまいました。なぜかっていうより、久しぶりに懐かしい著者の名前を見つけたので、「BRAIN VALLEY」を読んでから12年ぶりに読みたくなったからなんですけど。

★★☆

著者別読書感想(瀬名秀明)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方(ディスカヴァー携書) 朽木誠一郎

健康を食い物にするメディアたち
著者は群馬大学医学部を卒業しながらも医者の道へはいかず、様々なメディアや編集プロダクションでライターや編集を経験し、2017年にBuzzFeed Japan Newsへ入社し医療記者として活躍し、その後の2018年に、過去に記者として経験してきたことをまとめたこの新書を出版します。

2019年には朝日新聞社へ転職していて、よく言えば身軽、悪く言えば腰の据わらないジャーナリストです。どうせならフリーで記事を書けば良いと思いますが、後ろ盾があるといろいろ便利なのでしょう。

特に本書でスポットを当てているのがDeNAの健康・医療系サイト「WELQ」の記事内容の不正確さやSEO目的に記事が乱造されていることを追求し、それが各メディアや都議会に取り上げられて大きな社会問題となったことが繰り返し書かれています。

その他にも、大手製薬会社や健康・医療系情報サイトの実名を出して事実と違う医療関連情報などの追求がなされていて、自信があるのでしょう、なかなか気骨あるジャーナリストぶりです。

そうした医療情報の誤りを指摘できるのは、医学部を出て専門的な知識があり、さらに各種メディアで記事を書いてきた経験があることから、適確な指摘や報道が可能なのでしょう。

本書にも繰り返し書かれていますが、医療は人それぞれによってなにが最適かというのは違っていて、また誰に対しても効果があるということはありません。

そして現在の医療には当然限界があり、お金に糸目を付けない高度医療が最適ということもなく、それが逆効果ということすらあり得ます。

しかし人間誰でも健康でありたい、苦しい病気を治したい、人より元気に、美しくありたいなど、様々な欲求がある限り、誤解を与える、あるいは儲けるための広告や、記事と広告の境目が曖昧な誤解や錯誤を生じさせる情報(記事など)が蔓延しています。

この本を読むと、かなり衝撃を受けることもあり、一般メディアにおける医療・健康情報はあまり信用がおけないということに気がつきます。

私自身、過去に医療系ではありませんがネットメディアで働いていたことがあるので、そういった誤情報や広告と記事の境界線といったあいまいで微妙な点の指摘はよくわかります。

★★★

【関連リンク】
 10月後半の読書 幸福寿命、ゾディアック、おもかげ、野わけ
 10月前半の読書 ヴェアヴォルフ オルデンベルグ探偵事務所録、草笛の音次郎、自分をどう愛するか<生活編>、新月譚
 9月後半の読書 老人をなめるな、パラドックス13、顔をなくした男、京の怨霊 元出雲

[PR] Amazon 書籍 売れ筋ランキング

ビジネス・経済

ビジネス実用本

新書

文庫

文学・評論

コミック

ゲーム攻略・ゲームブック 

ハヤカワ・ミステリー  

創元推理文庫

新潮文庫

講談社文庫

角川文庫

集英社文庫

岩波文庫

文芸作品

ノンフィクション

ミステリー・サスペンス

SF・ホラー・ファンタジー 

歴史・時代小説

経済・社会小説

趣味・実用

リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
ブログ内検索
プロフィール
HN:
area@リストラ天国
HP:
性別:
男性
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
============
プライバシーポリシー及び利用規約
Template & Icon by kura07 / Photo by Abundant Shine

Powered by [PR]


忍者ブログ