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1590
現役時代、人材ビジネス業界に長くいたので、多いときは1日10名以上の面接を毎日する機会があり、さらに慣れていると言うことで人事部に頼まれ、新卒や中途採用の正社員や契約社員の面接をする機会が多くありました。

さらにこれは面接とは違いますが、年2回、社員の人事考課で多くの社員面談をする機会もあり、人との面接、面談をこなしてきた数は国内有数かも知れません。

おかげで人を見る能力は鍛えられました。

そうした面接の中でも社員採用の場合は、あまり履歴書は見ないで、軽い世間話をしながら人となりを見ることに重きを置いていました。

新卒の場合は、一般的によく言われる「地頭」重視ではなく、「やる気」「本気度」「可能性」「誠実性」「礼儀やマナー」などを、中途採用の場合は「誠実性」「過去職の退職理由」「理想の生き方」「やりたい仕事」などをメインに聞いていました。

そして、その中で世間話の一環でよく聞いたのが「最近どういう本を読みましたか?」という質問。

どういう志向の人なのか、なにに興味を持っているのかをサラリと聞くためでもあります。

この質問にすぐに答えられる人は意外と少なく、しばらくジッと考えたすえ「少年ジャンプです」とマジ顔で答えた新卒で就活中の最高学府の学生さんもいました。

よくある無難な答えとして「村上春樹をよく読みます」とか「宮部みゆきの火車です」と、軽めの小説をひねり出してくる人が多かったです。

残念ながら「イワン・ツルゲーネフです」とか「ジェフリー・チョーサーです。チョーサーの作品はは長編も好きですが、詩がとても素敵だと思います」などと即座に答えてくれる人は、数百名の中でひとりもいませんでした。

読書好きな人なら答えはすぐに出てくるでしょうけど、採用面接ともなれば「思想や宗教本ではなく無難なモノを選んで答えた方が良さそうだな」と、読書家ではない人は、「ハテ、前に本を読んだのはいつだっけ?大学の教科書じゃダメだろうな?うーんどうしよう」という感じですぐには返答が返ってきません。

しかし、この「愛読書は?」的な質問は、昨今では採用面接ではダメなんですってね。知りませんでした。

少なくとも私がその手の質問をしていたのは、15年以上前のことですから許してもらえるでしょう。

採用面接でNG質問「愛読書は?」急増、巣ごもりで「読書が趣味」の高校生増え(読売新聞)
「愛読書は?」。企業の採用選考の面接では、能力や適性に関係がない質問だとして「NG」とされるが、滋賀県教育委員会の高校生対象の独自調査で、愛読書を尋ねた事例が昨年度は前年度の3倍近くに増えたことがわかった。
中略
採用側が能力や適性に関係ない事柄を質問することは就職差別につながる恐れがある。厚生労働省はホームページで、両親の仕事などの「家族」、愛読書や尊敬する人物などの「思想信条」に関することを不適切な質問として例示

ということらしいです。

「愛読書」は「思想信条」に影響するらしいけど「最近読んだ本」はどうなのでしょう?やっぱり返答によっては「思想信条」に関わったり、「能力や適性に関係がない質問」とされるのでしょうか。

私は、履歴書に書いてあることに関連した質問をしても、あらかじめ無難でお利口さんの返答を用意しているのはわかりきっているので、それとは関係がない「最近読んだ本」を世間話的に聞くことで、「予期しないことへの対応力」や「軽い雑談的な話しをして緊張を解いてあげよう」というつもりなんですが、返答次第では「愛読書」と同様「思想信条」に関することになるのかも知れません。

しかし、特に履歴書の中に「趣味:読書」と書いてあれば、どういう分野(人文科学とか外国語とか歴史とかビジネス書とか古典小説とか)が好きなのかを面接官が知りたいと思うのは普通のことだと思います。しかし厳密に言うとそれすら「能力や適性に関係がない質問」としてダメなんでしょうね。

なにかそれは違うような気がしますけど、最近読んだ書籍によって、「彼の思想は危険かも」「彼女の趣向はやっかいそう」という判断につながりかねないとも言えませんから難しいものです。一般的に人事部って企業の中でも一番保守的な考えをする人が多いセクションですから。

【関連リンク】
1441 コロナ後の日本の行くべき道は
1144 面接の達人?
1113 ありきたりだが新入社員へ贈る言葉



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1588
風に舞いあがるビニールシート (文春文庫) 森絵都

2006年上半期の直木賞を受賞した短篇小説集です。短篇のタイトルは「器を探して」「 犬の散歩」「守護神」「鐘の音」「ジェネレーションX」「風に舞いあがるビニールシート」の6篇です。

著者の作品は過去に「カラフル」(1998年)と「永遠の出口」(2003年)の2作を読んでいます。

さすが賞を得るだけあってどれもおもしろく良い短篇小説でした。

その中でも個人的に一番気に入ったのは4つめの「鐘の音」で、これは仏像を彫る仏師になろうと美大までいき、そこでの評価も高かったのにかかわらず、自己葛藤で満足ができず、悩んだ結果、古い仏像を修復する仏像修復師に弟子入りした男が主人公です。

こうした仏師や仏像修復師の仕事って一般的には馴染みがない世界で、こうした小説の世界で初めて知ることができ、興味をそそられます。

師匠の元で仏像修復を続けていると、あるとき、珍しい不空羂索(ふくうけんじゃく)観音像の修復をすることになります。

こうした仏像にも様々な宗派や形態があることすらあまり知りませんでした。

主人公が修復することになった古い仏像にはなにか違和感がつきまといますが、なぜか強く引き寄せられるものがあり、それが結果的には全国の寺社を渡り歩く修復師を辞め、つきあっていた女性の元へ帰る結果となります。

人を寄せ付けず世渡りが下手な芸術家として苦悩する主人公と、「あらゆる衆生をもれなく救済する観音」の不空羂索観音との関係はとてもわかりやすくて良かったです。

★★★

著者別読書感想(森絵都)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

探偵刑事 (実業之日本社文庫) 南英男

作品中に、ネット検索なども出てきて、若い作家さんかと思っていたら、今年77歳のベテラン作家さんでした。今回初めて著作を手に取ったもので、失礼しました。

この作品は、2018年文庫書き下ろし作品で、タイトル通り、主人公は警視庁捜査1課の刑事でありながらも、昔お世話になった先輩刑事がリタイア後にやっていた探偵事務所の仕事を手伝っています。

厳密に言えば公務員法違反になりますが、探偵の方は一切報酬を受け取らず、休日や業務時間後におこなっています。

よく私立探偵の小説では、警察官のフリをして、相手に喋らせる手法や場面が出てきますが、こちらは現職の刑事だけあって、探偵としての聞き込みでも、ヤクザや反社組織に対して容赦なく、そりゃーずるい!て思わなくもなく。

警察庁の監察官は、警察官の不正がないかを調べますが、意外なことに、主任監察官が部下の監察官に対し疑いを持ち、その証拠を主人公に密かにつかんで欲しいと頼まれます。

しかし、その疑惑の対象となった監察官は、主人公の目の前で鮮やかに拉致されてしまい、その後他殺体として発見されます。

同時に、元々パートナーと共に担当している4年前の未解決事件、ジャーナリストが殺害された捜査をしつつ、探偵の仕事として売春組織に軟禁されている女子大生を事件化せずに救出と、読んでいても、話題があちこちに飛んでいき追うのがたいへんです。

でも、あまり危機というか、こうした小説ではつきものの主人公が奈落に落とされるようなことはなく、理解ある上司やコンビを組むパートナーにも恵まれ、八面六臂の活躍は読んでいてスカッとします。

一箇所、明らかなミスを発見。プロの校正者に出していないの丸わかりです。

86ページ「溝口が数人のホステスに見送られて」と「溝口が気に入ったホステスを」はいずれも「手島が・・」の誤り。溝口はの前のページでその1時間前にひとりで店を後にしています。

こうした安易なミスは、通常の雑誌掲載→単行本→文庫では、多くのプロの目がチェックしているのでまず起きませんが、書き下ろしの場合は経費削減?のためか、校正が不十分で起きるのでしょう。編集者の力量がなかったとも言えます。

それはさておき、ちょっとうまくいき過ぎてスリルはないものの、おもしろく読めましたので、著者の他の小説も読んでみようと思いました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

桶川ストーカー殺人事件―遺言―(新潮文庫) 清水潔

前に読んだ「足利事件」を追ったノンフィクション「殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―」を読んで、事件記者としての厳しさと醍醐味を味わえたので、こちらのノンフィクションも読んでみました。

202年12月前半の読書と感想(殺人犯はそこにいる)

多くの人が衝撃を受けた「桶川ストーカー事件」ですが、私も当時の新聞やテレビで、「オミズ商売していた綺麗な女子大生がストーカーに襲われた」ぐらいにしか記憶は残っていませんでした。

事件が起きたのは今から22年前の1999年で、埼玉の桶川市で起きました。

ややこしかったのは、ストーカーとして疑われていた男性と、駅前で女性を刺した犯人の特徴がまったく一致せず、警察内部でも混乱していた様子がうかがえました。

しかし、この本でわかったのは、事前にストーカー相談をし、告訴状まで出していたに関わらず、警察はまったく相手にせず、告訴状も面倒なので、警察内部で勝手に被害届に偽造していたことが判明します。

そうすると警察としては、必死にそうした怠慢を隠蔽するため、被害者の女性を風俗で働く派手好き女性というイメージを拡げていきます。

実際は友人に頼まれ2週間だけスナックでアルバイトをしたことがあるだけで、事件当日身につけていたものに大事に使い古された腕時計やバッグがブランド物だったというだけでした。

また告訴状に書かれていたストーカー男性を検挙すると、それまでの警察の対応が間違っていたことになるので、そのストーカーを探すことはせず、また殺人犯に対する捜査にも消極的な姿勢が見られました。

そうした中で、当時写真週刊誌「FOCUS」の記者だった著者が、被害者の友人や家族などに接触し、信頼を得て犯人捜しを始めますが、警察権力なしで事件を追いかける難しさ、根気と熱意、編集部との関係など、今さらながらドキドキしてしまいます。

しかしこの本を読んで何度もしつこいほど繰り返して書かれていたことが、「ここまで警察組織は腐っている!?」ということです。

今でも殺人事件の記者会見の場で、亡くなった被害者の方への哀悼や尊厳もなく、捜査本部の警察官がニヤニヤしながら集まった記者に対して「厳しい質問のないようによろしく」とわけのわからないことを最初に言い、被害者が刺された場所を記者に聞かれて、「脇腹かな」と満面の笑みで答える捜査1課長代理や上尾署長(いずれも当時)の動画がyoutubeに残っていますが、元々精神的におかしい人達なのか、別世界の人としか思えません。あるいは警察組織に長くいるとこういう性格になってしまうのでしょうか。

ともかく、こうした警察権力の闇、もしかすると加害者側となんらかの関係があって隠し通したかった反社会勢力と警察との関係をあぶり出そうとする命知らず?のジャーナリストがいて、それを警察発表しか載せられない御用記者クラブのしがらみがない雑誌社がまだあった(FOCUSは休刊しましたが)ということは少し救われた思いです。

そしてこうした警察の怠慢や不祥事を国会で野党議員が取り上げ、この事件の反省から、ストーカー規制法ができたのは有名です。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

白い声〈上〉〈下〉 (新潮文庫) 伊集院静

2002年に単行本、2005年に文庫化された恋愛長編小説です。

ただ先に言っておくと恋愛と言うにはあまりにも身勝手で節操のない色情ダメ男と、幼いときから規律正しいクリスチャンとして育てられた若い女性との一方的な恋愛ですので、あまり気分が良い恋愛物ではありません。

小説の舞台となるのは、金沢の街と、スペイン北部のバルセロナからサンティアゴ巡礼の道などで、スペイン大好きな人には恋愛部分はすっ飛ばし、紀行小説としても楽しめるかもしれません。

主人公は、父親の仕事の関係で中学生の頃までスペインで過ごした後、訳あって叔母が住む金沢で高校生活を送っている女性。

もうひとりの主人公は、能登半島で極貧生活を送ったあと、20歳でベストセラー小説を書いて一躍作家になったものの、様々な鬱積にまみれ、その後20年間次作が書けず、ジゴロというか女のヒモの生活を続けている男性。

暴力と血にまみれ、女にだらしなく、口だけは巧いこういうワル男はモテるのだ!と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、その男のことを知る人は皆「あの男には近づかない方が良い」と言っても、「あの人はそんな人ではありません」と繰り返し、なすがままにされ、それで満足を得る聖女のような主人公もちょっとあり得そうもない感じです。

著者らしい小説と言えばそうなのかも知れませんが、個人的には花村萬月氏の小説と、白川道氏の小説と、宮本輝氏の小説を足して3で割ったような、なにか中途半端な感じがしました。

軟弱でモテない男性にとっては夢のような物語でしょうが、恋愛部分はただただ男の願望だけが詰め込まれていてつまらないものでした。

なお、この小説は2011年にも一度読んで感想も書いていました。10年前とは言え、後になって気がつくとは、歳のせいにしたくないけど、毎度のことながらことながらトホホです。

★☆☆

著者別読書感想(伊集院静)

【関連リンク】
 10月後半の読書 沖で待つ、瑕疵借り、熊野古道殺人事件、東京消滅、最後の命
 10月前半の読書 後巷説百物語、すべては死にゆく、シルエット、ニュータウンは黄昏れて、60歳からの生き方再設計
 9月後半の読書 ダークナンバー、人間の叡智、おにのさうし、センセイの鞄

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1583
沖で待つ (文春文庫) 絲山秋子

著者は1966年生まれで、大学卒業後、総合職として大手住宅設備機器メーカーの営業職を経験したのち、2003年に作家デビューされた方です。

その後いくつか文学賞を受賞されましたが、2005年にこの作品で芥川賞を受賞されています。

そのタイトルから、漁師さんの恋愛もの?ぐらいの想像しかなかったのですが、まったく違い、著者の住宅設備機器会社での仕事をメインに、恋愛とは違う新卒同期の友情?がテーマになっている話しです。

この文庫は、その受賞作と、やはり著者が仕事を辞めた後の経験を下敷きにしたと思われる「勤労感謝の日」と、すべてひらがなとカタカナで書かれた児童文学的な「みなみのしまのぶんたろう」の短篇とセットになっています。

どの作品も、なにかとても新鮮な感じで、面白く読めました。さすが芥川賞!です。正直、過去に読んだ中ではあまり面白いと思った芥川賞作品ってないのですけどね、、、

私も卒業後に入社した会社で、転勤が何度かあり、まったく知らない街にひとり住み、営業の仕事で地元の人と交渉する仕事をしてきたという共通点があり、主人公の心の中がよくわかります。

ただ、私の場合は、著者とは違い、楽観的で住めば都、どこへ行っても、その街が好きになり、このままずっと住んでも良いなと思いながら、数年後には後ろ髪を引かれつつ次の職場へ転勤していくという青春時代を送り、仕事も生活も人生でもっとも充実していた時期かも知れません。

タイトルは、主人公の同期の男性が書いた下手な詩の中に出てくる愛の言葉で、涙を誘う展開となっていきます。

★★★

著者別読書感想(絲山秋子)

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瑕疵借り (講談社文庫) 松岡圭祐

2018年に単行本と文庫が同時に発売されたという珍しいパターンの作品です。著者としては先に単行本で回収したいでしょうけど、読者側としては大いに助かります。

著者の作品は「千里眼シリーズ」や催眠、マジックなどというものが多く、それらもいくつかは読みましたが、個人的には最近増えている歴史時代小説が気に入っています。

今回は、そのどちらでもなく、不動産の賃貸を借りている人が、孤独死で亡くなったあとしばらく発見されなかったり、部屋で自殺や事件が起きて亡くなった場合、その部屋や建物が事故物件扱いされることで起きる様々な「心理的瑕疵」がテーマです。

不動産業で不文律とされている「瑕疵借り」とは、そうした事故が起きた部屋に、誰かを一時的に住まわせることで、周囲の住人の「心理的瑕疵」を和らげたり、新たな入居者への重要事項説明で「瑕疵」の存在を早々に省いてしまおうとするものです。

私も読んで初めて知りましたが、お笑い芸人さんが笑いを取るためでもなければ、そうした瑕疵があるアパートやマンションに喜んで入居する人は少ないでしょうし、その部屋だけでなく、建物全体に影響することから、家主側からすればできるだけ早くそのような瑕疵の説明を終わらせたいということもわかります。

ただこの小説において事故物件に入居する主人公は、単にそういう家主の損得の意向を受けたものだけではなく、借主が死に至った謎や真の理由を解明し、瑕疵物件の「心理的瑕疵」にかかわる大きな不安を一掃することが目的です。そういう意味では、謎解きの探偵に近いものがあるとも言えます。

瑕疵物件と直接関係はないですが、偶然今月「高齢者の賃貸入居拒否問題と空き家 2021/10/9(土)」という記事を書いています。

不動産の話しは、身近でありながら、知らないことが数多くあり、調べてみると興味がわいてきます。

それに加えて、こうした小説を読むと、さらに深掘りして考えてみたいなと思えてきます。

小説では賃貸の事故物件が主ですが、分譲住宅においても当然事故物件は多くあり、これからも持ち家の高齢単身者の孤独死や自殺が全国各地で発生していきそうです。

というのも、自殺者の報道ではいじめなどを苦にした10代ばかりが取り上げられますが、実は年代層でみると60歳以上の自殺者が突出して多く、最近まで年間1万人を超えていました。

そうしたことも踏まえてこの小説の続編も期待したいところです。

★★☆

著者別読書感想(松岡圭祐)


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熊野古道殺人事件 (中公文庫) 内田康夫

文庫あとがきで知りましたが、この浅見光彦シリーズの長編ミステリーは、主人公が違う短篇2篇を組み合わせ、さらに新たに取材をした時に考えついたことを加えた特殊なものということです。

実はこの文庫は、テレビで浅見光彦シリーズのドラマを見て興味を持ち、2012年に一度読んでいましたが、なぜか感想を書いてなく、あらためて読んでみました。

1991年にノベルスとして初出ということですから、30年前のことで、文庫化されたのは1995年です。浅見光彦シリーズの長編としては75番目ということになります。

シリーズの特徴でもある「ご当地紀行小説」のひとつですが、今回はタイトルでもわかるように、巡礼者が今も多い熊野古道や、古い時代におこなわれていた宗教行事、補陀落渡海(ふだらくとかい)、人形供養の淡嶋神社、女の怖い情念を描いた安珍・清姫伝説など、紀州和歌山の見所が詰め込まれています。

登場人物はちょっとややこしく、主人公の浅見光彦、ワトソン役の作家内田康夫、その内田の旧友で大学教授とその妻、その教授の下で助手を務める男とその妻、研究室の学生達、あとはいつもの地元警察官などです。

そう言えば、シリーズにはつきものの、浅見光彦に好意を寄せる美しいヒロインがこの小説に限っては出てきません。

その代わり、いつもは裏方の作家内田康夫氏が光彦よりも先に事件の不可解な謎を知ったり、光彦の愛車ソアラを運転して大事故に遭うなど大活躍します。

熊野詣と言えば常道の熊野三山(新宮市の熊野速玉大社、田辺市の熊野本宮大社、那智勝浦町の熊野那智大社)が小説の舞台としては全然出てきませんが、これらは当たり前過ぎてわざと外したのかな?と思います。

近いうちに、熊野詣をしたい気持ちになりました。

★★☆

著者別読書感想(内田康夫)


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東京消滅 - 介護破綻と地方移住 (中公新書) 増田寛也

以前「地方消滅 東京一極集中が招く人口急減」(2014年刊)を読んでなかなか面白かったので、その続編とも言える本書(2015年刊)を読んでみました。

5月前半の読書と感想、書評(地方消滅 東京一極集中が招く人口急減)

2014年と2015年の2年間に3冊の書籍を一気に出されていますが、これはあとになってわかりましたが、2016年の東京都知事選に出るために「東京のことをこれだけ考えている」というものだった?とも思えます。

しかしその都知事選挙では自公などの推薦を受け、当時の安倍首相からもビデオメッセージをもらいながら小池氏に大差で惨敗しました。

ま、それはさておき、「地方消滅」と同様、様々な公表データを元にした細かな分析が延々と続きますので、老眼の入った眼にはつらく厳しい新書です。

そして著者の主張は、「日本版CCRC」と「東京圏から地方への移住政策」の二つです。

CCRCは、70年代のアメリカで始まった「高齢者が元気なうちに終末まで過ごす地域コミッティに参加する生活共同体」のことで、「Continuing Care Retirement Community」(直訳:継続ケア退職コミュニティ)の略です。

その日本版CCRCは、地方移住でも現在住んでいる地域でもどちらも良いのですが、大きな団地などによくある住民会理事がその団地の修繕計画や保安など様々なことを決めていくようなことを介護まで進め、地域で元気な住人(高齢者含む)が主体となって介護や援助が必要な高齢者の面倒を見ていき、自分が介護や援助が必要になったときには元気な人に世話を受けることになります。

アメリカでは、そうした高齢者ばかりが住む地域があり、リタイアした人達が楽しく余生を過ごす環境が整っています。

「都市から地方への移住」は、本書が書かれた以降にコロナ禍が起き、リモートワークが可能となった若い人の地方移住が流行ってきましたが、以前から言われてきたことです。

本書では、データを分析し、この先2040年頃にどこの地方なら医療や介護に余裕があるか?という具体的な地域まで記載されています。移住をしたいが場所は決まっていないと言う人には参考になりそうです。

国や自治体が進める移住政策に関して、明治時代から戦後にかけて南米やハワイ、満州、北朝鮮など様々な形で多くの国民を海外移住させたり地上の楽園と偽って帰還させ、また明治時代には北海道の奥地に国内移住を進めてきました。

これらは一種の棄民政策で、悲惨な結果になったことが多く、国や役人が言う移住政策など「まったく信用ができない!」というのが個人的な見解です。

国や自治体に頼らず、自分が住みたい場所をいくつも見て回り、お試しで少し住んでみて、それで決めるのならば問題はありませんが、少しでも国や役所が顔をのぞかせた瞬間、嫌悪する人はまだ多いのではないでしょうか。

それはともかく、そうした移住をいう人は限って「自分は生涯東京に在住が基本」です。それは、巨大企業出身の評論家などが「学生は大手ばかりに目を向けず、中小、ベンチャー企業に就職すべし!」というがごとしです。

★☆☆


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最後の命 (講談社文庫) 中村文則

2007年に単行本、2010年に文庫化された小説で、2014年には松本准平監督、柳楽優弥主演で映画も公開されています、見ていませんが。

どんなあらすじなのか知らずに読み始めましたが、一人称で語られる仕事を辞めたばかりの男性主人公が事件に巻き込まれていくのをドキドキしながら読みました。

最初にこの本のタイトルを見たとき、筒井康隆著「最後の伝令」をふと思い出しましたが、内容は全然違っていて、シリアスでミステリアスな自己精神分析チック小説でした。

子供の時に友人と一緒に見てしまったことがトラウマとなっていてその友人とは長く疎遠にしていたところ、突然連絡が来て会うところから物語は進んでいきます。

そのトラウマというのが思わせぶりでなかなか出てこないのでイラッとしますが、それでも同じ男性として主人公に共感したり感情移入したりしながら読めてなかなかおもしろかったです。

ただ、小説やドラマでは当たり前になっている、偶然で事故や事件が起きて・・・というのはどうもリアリティがなさ過ぎて、そういう箇所だけは遠い場所から冷ややかに眺めているという感情が出てきます。

自分にも小説の主人公のように人の生き死にではないものの、子供の頃に受けた強烈なトラウマがいくつかあり、50年以上経った今でも頭をよぎることがありますが、それがその後の人生に影響を受けたということはたぶんなく良かったと思います。

★★☆

著者別読書感想(中村文則)

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1579
後巷説百物語 (角川文庫) 京極夏彦

「巷説百物語シリーズ」の第3作目で、2003年に単行本、2007年に文庫化され、2003年下半期の直木賞に輝いた作品です。

連作の中篇5作で構成されていて、それぞれのタイトルは「赤えいの魚」「天火」「山男」「五位の光」「風の神」となっていて、文庫で800ページを超えるかなりボリュームのある作品です。

シリーズは、「巷説百物語」(1999年)、「続巷説百物語」(2001年)と続き、この3作目のあとに、「前巷説百物語」(2007年)、「西巷説百物語」(2010年)と5作品があり、さらに現在シリーズ新作が雑誌に連載されているので、近いうちに6作目が登場予定です。

本当なら、シリーズ1作目から読みたかったのですが、つい直木賞受賞作というのに目がくらみこの3作目からとなってしまいました。

3作目の時代背景は、徳川時代から維新を経てご一新が起きた後の頃で、様々なところで騒がれる妖怪の仕業?と思える怪異な出来事や事件を論理的に説明がつくよう4人の男が調べていき、さらに江戸時代に各地を回って不思議な伝承などを集めていたという隠居した老人の元に集まって昔語りを聞くという流れです。

決して怪談話のようなものではなく、古来からあり、また古い書物や伝承で残っている不思議な現象や事件を逆手にとって、実はその現象は老人が若いときに出会った「小股潜りの又市」という人物が口先八丁、現代で言うとスマートな詐欺師が仕掛けていたという裏があったというスタイルで、爽快感こそあれ、おそろおどろしい怖さはありません。

「赤えいの魚」は秋田の男鹿半島近くの沖合に誰も近づけない不思議な島があるという謎、「天火」はいわゆる昔から言い伝えられている光る人魂の正体は?という話しなど、たいへん面白く読めました。

ただ大作ゆえ、文庫版は文字が詰め込まれて小さく、老眼が進んでいる我が眼には非常につらく、初めて遠近両用眼鏡を作りに走りましたが、発注から完成まで2週間もかかるということで、ついぞ間に合いませんでした。

★★★

著者別読書感想(京極夏彦)

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すべては死にゆく 二見書房 ローレンス・ブロック

しばらくマット・スカダーシリーズを読んでいなかったなと思って調べてみると、2017年にようやく見つけて読んだシリーズ第1作目の「過去からの弔鐘」(日本語版1987年)以来でした。

この「すべては死にゆく」は2005年に発刊(日本語版は2006年刊)で、もう10数年前に単行本が発刊された作品で、そのうち文庫化されるだろうと思ってずっと待っていましたが、全然その様子はなく、シリーズでその後の「償いの報酬」が文庫で出てきて結局あきらめて単行本を買いました。

シリーズは主人公の年齢も年齢ですから「償いの報酬」で終わりかなと思っていましたが、その次の「石を放つとき」(2020年)がすでに単行本で出ています。またこれも文庫化はされないのかな。

本編では主人公のスカダーが68歳になっていて、そろそろ探偵業から引退しようかという頃で、もちろんアルコールとも縁が切れていますが、禁酒を目的とするアルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous)の集会には律儀に参加しています。

マットスカダーシリーズはこの主人公が警察官時代に犯人逮捕の際、自分が撃った銃弾が跳弾して少女を殺してしまったトラウマから酒浸りとなり、警察を退職した後も、酒での失敗を繰り返す日々を送ります。

そしてあるとき恋人やAA集会で知り合ったよき助言者を得て、アルコール依存症から何度も何度も失敗しながら、ようやく抜け出すことに成功した姿を理解していなければ主人公を本当に理解できません。

このシリーズの主人公を「アル中探偵」という表現をされますがそれは第7作の「慈悲深い死」あたりまでで、それ以降は、なんとかアルコールを遠ざけて、ニューヨークの酒場でもコーヒーを飲んでいます。

詳細は、4年前に書いた「元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)」で書いています。

さて、ストーリーですが、主人公のマットと、殺人が趣味の犯人の視点の二つが中心で、その二つがジリジリと交差するところまで迫っていきます。

その殺人鬼の犯行の様子、ペドフィリアや死体損壊などいくつも書かれていて、読んでいてもあまり気持ちのよいものではありません。

犯人を究極のワルとしたいのはわかりますが、そこまで都合良く完全犯罪の殺人を繰り返すことが易々とできる一種の天才&運が強い男にしなくても良いのにと思ってしまいます。

時代背景はすでに携帯電話は当たり前になっていますが、NYの街中では防犯カメラの設置が進んでいないようで、犯人がどこに現れたかはわかっても、犯人の姿がなかなか捕らえられず、ちょっとイライラしてしまいました。

結局は勧善懲悪ですが、それにしてもマット・スカダーシリーズが久しぶりで期待が大きかったためかイマイチで、後味は決して良くないものでした。

★☆☆

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

シルエット (角川文庫) 島本理生

著者の作品は初めて読みますが、30代後半の女性作家さんで、2018年には「ファーストラヴ」で直木賞を受賞されています。

この「シルエット」は2001年の作品でメジャーデビューの中篇作品で、その他に「植物たちの呼吸」「ヨル」の二つの短篇が収録されています。

内容的には、女子高生のベタベタな恋愛小説で、還暦過ぎたオッサンが読んで楽しいものではありませんが、時にはこうした異世界の話しを読むのも切り替えになっていいかな。

読んだ感想を書こうと一生懸命行に思い出して、さらに行間までを読もうと考えますが、ダメです、どうでもいいような話しばかりで、なにが言いたいのか、なにが目的なのか、どういう読後の感想を持つべきなのかさっぱりわからず、もうそういうさばけた若い感性は失っているせいか、なにも出てこずダメです。

★☆☆

著者別読書感想(島本理生)

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ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫) 垣谷美雨

著者は私と同年代(著者が2つ若い)で、小説の中に反映される時代や考え方に共感を感じることができます。

この作品は、2013年に単行本、2015年に文庫化された長編小説ですが、著者のマイホーム購入とその後のドタバタを実際に経験したことに基づいて書かれていて、「その気持ち、わかるわかる」と面白く読めました。

著者の作品では、過去に「あなたの人生、片づけます」と「老後の資金がありません」を読んでいます。どちらも面白かったです。

タイトルから想像できるように、多摩ニュータウンの中の古びた団地の話しと、同時並行で進む女性の結婚観についての話しが交錯していきます。

バブル時に相次いで建設された、最寄り駅からバスで5分の場所にある中古の団地(4LDK!)を5千二百万円で購入した主人公の中年の主婦と、その団地で生まれ育ち、大学まで出たものの、内定していた会社が倒産したため就職ができず、アルバイトで学費の奨学金を返済しているその主人公の娘がもうひとりの主人公です。

団地を買った時がバブルの最盛期で、その後は資産価値として下落する一方になり、売っても住宅ローンの残金に足らず、売るに売れない状態になってしまうのは良くある話しです。

そんな中で、古くなってくる団地の建て替えと大規模修繕と住民の意見が分かれ対立していくというのもよく聞かれる話しです。

さらに駅からバスという場所柄、高層マンションを建てて新たに分譲することで住民の負担をなくす等価交換方式も売れる見込みがないことからどこのデベロッパーも乗ってくれません。

私の場合も、バブル時期に最寄り駅からバスで15分という中古マンションを買いましたが、バブル崩壊直後にわずか4年で売り払い、買った価格より少し高く売れたので、この主人公(著者?)のように「なぜこんなマイホーム買ったかかな、、、」という後悔はありませんでしたが、私も一歩間違えば同じ後悔をしていたでしょう。

そして小説と私の同様マンションでも1年交替で理事会があり、入居した翌年には順番が回ってきて、会計を担当しましたが、共益費や修繕積立金、町会費、駐車場代などを不払いする人がいたり、家主は住んでなく、借りて住んでる人もあったりして、それらの徴収がかなり大変だったとこを思い出します。

私もこの主人公と同様に、共同住宅は住みにくい!と早々にあきらめて一戸建てに住み替えましたが、そうした様々な気苦労も割り切れる人でないと、引く手あまたの立地物件でない限り、共同住宅には住んではいけないような気がします。

そうした前半はかなり暗い話しが多くて身につまされますが、人それぞれに譲れない事情があり、その中で共同生活する以上は、覚悟と長期的な戦略をもって臨まないとダメよというノウハウ本のようにも思えます。

ただ、もうひとつのストーリーとなっている、娘とその友人達と、都心の豪邸に住む大金持ちの御曹司との恋愛トラブルについては、あまりにもリアリティに欠けていて、リアルな団地問題とかけ離れ、ちょっと興ざめな面も感じました。

★★☆

著者別読書感想(垣谷美雨) 

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60歳からの生き方再設計 (新潮新書) 矢部武

著者は1954年生まれということですから私と同年代(著者が3歳上)の方ですが、私ともっとも違うことが、著者は外資系企業に勤務されていたことから英語がかなりお得意で、アメリカ社会についての造詣も深そうです。

本書は2014年に発刊された定年後に気をつけないといけないことをよく言われていることがステレオタイプ的に書かれたものですが、取材した極めて珍しい?人の成功例がいくつか書かれています。

高齢者が正社員での再就職は言うまでもなく、アルバイトでも自分が希望する仕事はなかなか見つからないというのは誰でも知っていることです。

仕事が生き甲斐という人でも、もう貯蓄もあり、年金も十分にもらえるならば、とっとと引退して消費生活だけをするべきというのが私の持論です。

したがってそれとは正反対な話がこの本ではつらつらと書かれていますが、そんなにまでして働く意味が見いだせません。

タイトルの「生き方再設計」というのならば、仕事やボランティア以外の、趣味やなにもしない生き方で成功、満足している人の例も出さないと公平ではありません。おそらくその人達の方が一般的だし数も圧倒的に多そうです。

特に定年となった団塊世代以降のホワイトカラービジネスパーソンの多くは、人に教えるほどの英語力もなければ、建築士など特殊な技術や資格を持っている人は稀です。そうした特殊な人の定年後をメインに語られてもしらけるだけです。

ちょっと愚痴っぽくなってしまいましたが、「定年後はこうするべきだ」「こうすればいい」「ひとはこうしてる」みたいな話しは、その人の価値観感そのものだけに、他人があれこれ言うのは難しそうです。

いっそ、勢古浩爾著の「定年後のリアル」のように、「人は知らないが、自分はこうしてる」という話しの方がおもしろいし参考になります。

★☆☆

【関連リンク】
 9月後半の読書 ダークナンバー、人間の叡智、おにのさうし、センセイの鞄
 9月前半の読書 蝶、ぬるい毒、殺し屋、やってます。、家守、うまくいっている人の考え方
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ダークナンバー (ハヤカワ文庫JA) 長沢樹

著者の作品は今回初めて読みましたが、2011年に横溝正史ミステリ大賞を受賞した「消失グラデーション」でメジャーデビューを果たした作家さんです。

この小説は、2017年に単行本、2020年に文庫化された長編ミステリー&犯罪小説で、視点がひとりではなく、閑職へ追いやられた「やり過ぎ」テレビ局員と、警視庁でやはりはみ出た分析官の二人の女性、さらに途中からは犯人の視点でも描かれていきます。

したがって、テレビ局員と警察関係、それに途中からは犯人とその関係者と、それぞれに登場人物が多く、いちいち誰の視点かということを見ておかないと混乱しそうです。誰の視点かは都度書かれているので安心ですけど。

タイトルの「ダークナンバー」とは、例えば被害者が泣き寝入りして表沙汰にならず、隠れた犯罪を犯した「存在しない犯人」のこと指しています。

この小説の中では、本来の犯行を隠すために、別の類似する犯行を重ねていき、いわゆる「連続事件」として捜査を誤った方向へと向かわせる知能犯との戦いという構図です。

主人公のテレビ局員と警視庁捜査支援分析センターの分析官が中学時代の同級生ということもあり、その二人が重い過去を引きずりながら、警察とマスメディアという立場の違いや、現在職務で背負っている様々なしがらみを避けつつ、少しずつ犯罪の真相に迫っていく姿は読み応え十分です。

ただ、警察小説としては、あまりにもあっさりしすぎていて、日本一男社会で保守的な警察の官僚組織を相手に、20代の女性分析官やメディア記者にいいように振り回されるライトな姿は想像ができません。

また複雑に錯綜した犯罪そのものについても、リアリティはなさそうで、ちょっと凝り過ぎな気がしました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

人間の叡智 (文春新書 869) 佐藤優

著者は2002年に鈴木宗男事件に連座して逮捕、起訴(2009年執行猶予付きで有罪確定)された外務省職員で、裁判中の2005年に出版した「国家の罠:外務省のラスプーチンと呼ばれて」を出版し、一躍有名になった方です。

「国家の罠」は私も2011年に読みましたが、どうも「自分は悪くない」という自己弁護に徹した言い訳っぽい感じで、あまり良い印象は持ちませんでしたが、周囲にいた様々な方からは、著者のことを悪く言う人はあまりなく、さらの同書を含め作家としての能力は高そうな方です。

2011年5月の読書(国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて)

上記の逮捕起訴された事件と「国家の罠」については、確かに外務省が嫌った鈴木議員の腰巾着とみなされ斬り捨てられたというか、スケープゴートにされた感が強く、しかしそれでもめげてしまわず、転んでもタダでは起きない著者の執念とバイタリティが感じられます。

本書は、そうした事件のことはほとんど触れずに(1)なぜあなたの仕事はつらいのか(2)今、世界はどうなっているか(3)ハルマゲドンを信じている人々(4)国体、資本論、エリート(5)橋下徹はファシストか(6)いかに叡智に近づくかという章立てになっていますが、読んでみて思うのは、あまりそうした各章のサブタイトルとは関係なく(たぶん後付けと思う)、過去に経験したり見てきたこと、それに最近の動向で気になることを都度文章にしてまとめて一冊にしてみましたって感じです。

それと国際情勢に関して言えば、何十年、何百年の歴史や文化を知る必要があるものもありますが、今のアフガンのようにわずか数年でコロッと体制が変わってしまうようなこともあり、この新書が発刊された2012年はまだバラク・オバマ大統領の時代(日本は民主党政権時代)で、隔世の感があります。

しかしこの新書の「裏のテーマ」?でもある「新・帝国主義」の潮流については、オバマ後のトランプ時代、メドヴェージェフ後のプーチン、キャメロン、メイ後のボリス・ションソン、野田総理後の安倍総理など、世界中で顕著となり、先見の明があるとも言えるのでしょう。

しかし橋下徹氏の政治家としての今後の可能性を大いに期待している節がありましたが、大阪都構想に失敗(2015年)したあとは、すっかり評論家兼弁護士に落ち着いてしまった点はアテが外れました。

★★☆

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おにのさうし (文春文庫 ゆ 2-26) 夢枕獏

単行本で2001年に絵師天野喜孝氏との共著という形で「鬼譚草紙」が発刊(文庫版は2006年)されたもので、それからイラストと短篇の1話を削除した形で、タイトルを替えて2014年に発刊(出版社が違うので新刊)です。

こうした以前発刊された本を再版とか新装刊ではなく、別の出版社が新刊として売り出すと、Amazonのレビューでも夢枕ファンと思える人から新刊と思って読んだと文句タラタラでしたが、私も浅田次郎などの小説でタイトルこそ同じですが別の出版社から「新刊」として発刊されるという同様なことが何度かあり、非難囂々、切歯扼腕、偏袒扼腕です。

せめて、表紙か裏表紙(カバー)に「初出は○○年」ですとか表示する義務化を出版協会で決めてもらいたいものです。

収録されている3話は、「染殿の后 鬼のために 繞乱せらるる物語(繞は女編)」、「紀長谷雄 朱雀門にて女と争い 鬼と双六する語」、「篁(たかむら)物語」です。

今昔物語や古事記などに使われている和歌などをうまく利用しながら、独自の世界観を拡げていくのはかなりの教養と創造性がないとできそうもありません。

著者の作品は過去に「上弦の月を喰べる獅子」(1989年)や「陰陽師」(1988年)などを1990年代に数冊読んで以来ですから20数年ぶりに久々です。

さらにこの短篇集、テーマは鬼とエッチで、平安時代の男と女、密やかな睦言と官能の世界がそれぞれ描かれています。表現も露骨なところがあります。

元の単行本には絵師天野喜孝氏のカラー絵図が添えられているそうで、ちょっと気になるところです。

そういうわけなので、小学校や中学校の図書館に蔵書するのには相応しくありませんが、大人が秋の夜長に読むにはちょうど良い感じかも。

3話目の「篁物語」は、実在した小野篁を主人公にした、腹違いの妹との禁断の狂おしい恋愛と死、そして閻魔大王への直訴というストーリーです。

あとがきにもありましたが、ベストセラー「陰陽師」の別巻とも言えるし、平安時代の呪術師で安倍晴明のライバル蘆屋道満のスピンアウト小説とも言えるかも知れません。

★★☆

著者別読書感想(夢枕獏)

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センセイの鞄 (文春文庫) 川上弘美

私とほぼ同年代の作家さんで、1994年にデビュー、1996年には「蛇を踏む」で芥川賞を受賞されていますが、私自身意外でしたが著者の作品を読むのはこれが初めてです。

この作品は、雑誌に連載後、2001年に単行本、2004年に文庫化されています。2003年には小泉今日子主演でテレビドラマも作られています。

内容は、まもなく40歳になろうかという女性の主人公が、高校生時代の国語教師で、すでに引退した老人と言って差し支えない高齢男性との長編恋愛物語で、雑誌に連載する都合でしょうが、連作短篇形式で書かれています。

居酒屋でひとり飲むのが好きな主人公が、いつものように飲んでいたら、老人に声をかけられ、教え子だという話しから仲良くなっていきます。

老人は、妻が何年も前に出奔し一人暮らしで、気ままな生活を送って、いつも寄る居酒屋で何度も見かける女性が、元教え子だということに気がつき声をかけたわけです。

主人公の独身女性にも特に恋人はいなく、元教師の老人と付かず離れずで居酒屋で会っている中で徐々に気持ちが傾いていくというなんだか切ない話しです。

しかし二人ともやたらと飲兵衛で、飲んでいるシーンばかりです。恋愛にお酒がつきものなのはわかりますが、飲んでいるシーンばかりというのには辟易させられます。

ま、著者の一番の趣味でもあるのでしょう。

大人、しかも熟年と老年の恋愛小説というのも珍しく、高齢化社会が進む中で、こういうことは珍しくなくなってきているのだろうなぁと面白く読めました。

★★☆

著者別読書感想(川上弘美)

【関連リンク】
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