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558
自由死刑 (集英社文庫) 島田雅彦

主人公は30過ぎの独身男性。わずかばかりの貯金を引き出して、1週間後に自殺をするため、残された日々を(主人公なりに)有意義に過ごそうとしています。その1週間の物語です。

なぜ自殺をするのか?世を儚んでというわけでもなく、ただ思いつきでとしか言いようがない流れですが、毎日平均で80人以上の自殺者(はっきりと自殺と判明しているものだけなので、実態はもっと多いはず)が出ているの、たいした理由がなくとも自殺する人がいても全然不思議ではありません。

島田雅彦氏の小説は過去に読んだことあったかなぁと思って調べてみると、島田一男氏、島田荘司氏の小説は読んでいましたが、島田雅彦氏の小説はこれが初めてでした。

最後はどうなるのか?とドキドキしながら読み進んでいきますが、途中であこがれの元アイドルとの逢瀬や元カノとの出会いなど、退屈することのない濃縮された1週間があっという間に過ぎていきます。最後は、読んでのお楽しみです。

島田氏は今年50歳、多くの小説やエッセイ等を出しておられますが、いまいち書店で見た記憶に残っているものはなく、地味と言えば地味、ツウ好みと言えばそうなのでしょう。

この自由自殺を原作にしてテレビドラマが作られたことがありますが、一気に有名になるためにはやはり著名タレントを使って映画化がされ、大掛かりな本と映画の同時キャンペーンでもおこなわないと厳しいのでしょう。言うは易くで有力なプロデューサーや監督の目にとまらなければなりませんからたいへんです。

著者別読書感想(島田雅彦)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫) 佐藤多佳子
一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ- (講談社文庫) 佐藤多佳子
一瞬の風になれ 第三部 -ドン- (講談社文庫) 佐藤多佳子


2007年本屋大賞を受賞したベストセラー本でもあります。先月読んだ三浦しおん氏「風が強く吹いている」が大学陸上部の物語だったのに対して、こちらは高校の陸上部が舞台です。

大学陸上の目標が箱根駅伝に対して、高校陸上部はインターハイという違いはありますが、この二つの陸上部の小説にはよく似た類似点があり、それは主人公とその主人公があこがれる理想的な最強の仲間と、しのぎを削る強力なライバルがいるということです。

また陸上競技ということで言えばその前年の2006年には堂場瞬一氏のマラソンランナーのドーピングを扱った「標なき道」、翌年の2008年には黒木亮氏のやはり箱根駅伝をテーマにした「冬の喝采」が文庫化されてました。この頃は小説の世界では陸上競技ブームだったようです。

さて、単行本で3冊に及ぶ長編小説ですが、話のテンポはよく、スラスラと読めていきます。なぜ3冊に分かれているかと言うと結果的にそうなったというのでしょうけど、ちょうど高校3年間を各1年ずつで3年間分という形です。特に最後の第3部のクライマックスではもう手の汗を握るドキドキの連続です。すべてはこの最後に向かって長い長い第一部と第二部、それと第三部の前半があったと言って過言ではありません。

昔のスポ根ドラマのように1年生の時のしごきとかはなく、新人戦レースや夏合宿、夏休み中の自主トレ、それに家族愛や恋愛など、盛りだくさんで飽きさせません。そして1年生、2年生の時に悔しい思いをしたことをバネにして、最後の3年生で目標を達成していくというストーリーは鉄板です。

上手いなぁと思ったのは、女性作家さんでありながら、男子高校生の日常と陸上部という特殊な環境の中のことが詳細に、しかも違和感なく書いてあることです。ただ現実はと言えばもっと汗と泥だらけの不潔が歩いているようなもので、さらに親や兄弟を疎ましく思える年代であり、一方では性欲はもっとギラギラしていてもおかしくはないと思うのですが。

おそらくこの本を推薦するのは多くは女性ではないかなと思います。女性から見た魅力ある理想の男子高校生を描くとこうなるんだろうなぁと思ったりします。

著者別読書感想(佐藤多佳子)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

わかりやすく〈伝える〉技術 池上彰

執筆活動に力を入れたいからと最近ブラウン管では時々しか見かけなくなった池上彰氏ですが、元々はキャスターも務めたNHK記者ということもあり、その頃から身に付けてきた人に「わかりやすく伝える技術」をまとめたものです。

新聞記者とテレビ記者の大きな違いはおそらく新聞記者が書く力(読ませる技術)であるのに対して、テレビ記者は伝える力(表現力)に主眼が置かれます。

それは新聞の場合は、記者が書いた原稿がそのまま活字となり新聞に掲載される(当然編集者の手は入るにしても)のに対し、テレビの場合は、アナウンサーが原稿を読む場合でも、記者が現地から生中継するときでも、主役は映像であり、言葉はサブ的なものとなります。したがって主役の映像を元にしていかにわかりやすく言葉や文字で伝えるかに主眼がおかれるというわけです。

そしてある程度は購読層が限られる新聞に対し、テレビの場合は老若男女様々な相手を対象とします。そこでも必要になってくるのは、どんな相手にもわかりやすく伝える技術でしょう。

ただそのテレビでの経験だけではこの本を読むであろう学生やビジネスマンに応用できる範囲は限られるので、企業や学校の場で、会議やプレゼンテーションに使える有効な技術がいくつか紹介されています。

例えば「プレゼン原稿を作ってから図を描くのではなく、まず自分で図解をしてから原稿を作る」とか「プレゼン画面は大項目を3つだけ描いておき、その詳細は資料には書かず口頭で述べる」「聴衆の予想を裏切ることで引きつける」などなど。

テレビの報道番組ではみのもんた氏のちょい見せプレゼンや間の取り方、久米宏氏の口に出さずともテレビに映ることで意志を表現する手法などを絶賛し、テレビに出るときのお手本となったとベタ褒めです。逆に「政府には早急な対策を望みたいですね」などと言っているキャスターに対しては怒りさえ覚えると、ゴールデンタイムの某報道番組キャスターを名指しこそしていませんが、バッサリと切り捨てているのは痛快です。

著者別読書感想(池上彰)

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555
灰色の嵐 (ハヤカワ・ミステリ文庫) ロバート・B・パーカー

残り少なくなってきたスペンサーシリーズ36作目は、過去(「悪党」「冷たい銃声」)に登場し、最初はスペンサーの命を奪う目的だったのが、その後は和解し、時には仲間としても活躍するようになった全身灰色ずくめの腕利き殺し屋グレイ・マンと再び対決することになります。

この謎だらけでクールなグレイ・マンの人気は高いのですが、この小説で再び適役となってしまった以上、主人公は死ぬわけにはいかないので結局グレイ・マンが死んでしまうのかとちょっと残念に思いながら読み進めます。

最初に娘の結婚パーティが開かれる島の女主人に護衛を依頼されながら、スペンサーの目の前でその娘が誘拐され、花婿や護衛が殺される事件が勃発し、その主犯がなんと顔見知りのグレイ・マン。そこから二人の闘いが切って落とされます。その後ボストンへ戻ってからは、「なぜグレイ・マンともあろう男がこのような雑な事件を起こしたのか?」「裏で糸を引いているのは誰か?」などを相棒ホークとともに調査を始めます。

しかし「首を突っ込むな」というグレイ・マンの警告に対し、一歩も引くことはないスペンサーをやがてつけ狙う殺し屋が現れたり、グレイ・マンや、パーティが開かれた島の持ち主、その元結婚相手などを調べていくうちに、徐々に謎が明らかとなっていきます。

このあたりは、いつものことですが、「わからない時は、とにかくいろんな人を尋ね歩き、つつき回すと、それを気に入らないと思う奴らがしびれを切らせて尻尾を出す」ということで、その通りになっていきます。

そして、最後の対決のためグレイ・マンがスペンサーの部屋へやってきて語る自身の過去とは、、、う~ん、、、

■スペンサーシリーズに関連した過去記事
 スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
 さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
 ハードボイルド的男臭さ満点小説

著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

城をとる話 (光文社文庫) 司馬遼太郎

最初読む前、タイトルだけを見て想像していた本の中身は、戦国時代に数々の城が攻められ、そして落城してきましたので、その城をとるための傾向と分析かなと勝手に思ってました。しかしまったくそうではなく、架空の人物がある建築中の城を取ってやろうとする物語です。

解説を読んで知ったのですが、この小説は1965年に日経新聞に連載されたもので、元々は仲のよかった石原裕次郎に、映画にしたいから自分を主人公にした時代劇を書いて欲しいと頼まれたものです。石原裕次郎と時代劇というのも珍しいですね。

映画は小説が連載中に「城取り」というタイトルで舛田利雄監督、石原裕次郎主演で制作され上映されましたが、当時私はまだ7歳なので知るよしもありません。団塊世代以上の人なら観たことあるのかも知れません。

さて内容は、豊臣側と徳川側が日本を二分している1600年頃の会津の北方、豊臣側の上杉景勝と徳川方の伊達政宗が対峙する中で、伊達側が国境に戦闘用の城を築城し始めたことで、上杉側の客分がひとりで城を乗っ取ってみせると豪語します。

途中で味方につけた山賊や巫女、商人などとともに城近くの村に入り、そこの百姓を動かして城を乗っ取ろうとするのですが、伊達方もなかなか強力で、、、とまぁ言うことですが、中盤までののんびりとしたムードが一転して激しい戦闘シーンへと移っていく迫力と、知恵比べなど見どころも満載です。

著者別読書感想(司馬遼太郎)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

雷桜 (角川文庫) 宇江佐 真理

私はまだ映画は観ていないのですが、小説よりも岡田将生、蒼井優の二人が主演した2010年の映画が先に有名になった感があります。

内容は時代劇で、身分の違う二人が出会い、そして別れざるを得ない悲恋です。ま、ハーレクイーンやディズニー映画の時代劇版と言いましょうか。

著者の宇江佐真理氏の本は、今回初めて読みましたが、過去には吉川英治文学賞をとった「深川恋物語」や、直木賞候補にもなり、シリーズ化されている「髪結い伊三次捕物余話」など多くの時代小説があります。

「雷桜」のようなやや甘ったるい小説を書かれているので、失礼ながら若い新進作家かなと思っていましたが、50代も半ばになった私よりも8つも年上の方でした。

この小説で出てくるメインの人物はいずれも架空ですが、主人公の父親に当たる十一代将軍徳川家斉は実在し、その息子の中には小説で出てくるのと同様、徳川御三家のひとつ紀州藩へ婿養子として入った人物が確かにいます。このように、実在した人物をうまく使い、小説を創り上げるのは醍醐味でもあり私は大好きです。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

風が強く吹いている (新潮文庫) 三浦しをん

この歳になってくると、スポコン青春ドラマは敬遠しがちになってくるので、自ら進んでは読まないであろう、この本は2007年の本屋大賞で3位になった作品ということで買ってみました。

著者の三浦しをん氏は2006年に「まほろ駅前多田便利軒」で、20代の若さながら直木賞を受賞したすごい方ですが、私が同氏の本を読むのはこれが初めてです。

内容は東京にある私立大学に通う学生達が入居しているオンボロアパートの住人達10名が、主人公のリーダーに引っ張られ、数々の試練を乗り越え陸上競技の名門校と伍して闘い、箱根駅伝の出場キップを手に入れ、220km先のゴールを目指す10カ月間が描かれています。

一般的に陸上競技とは縁がなく、西日本以西で生まれ、その地で育った人にとって箱根駅伝というのは単なる「学生の地方大会」ということで、どうしてそれを昼間からテレビがゆっくり見られる大事なお正月に、朝から昼過ぎまでずっとテレビ生中継されているのか不思議に思うことがあります。

ただこの箱根駅伝、歴史はすごいものがあって、大正9年(1920年)に早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学などが参加して開催したのが最初で、途中太平洋戦争時に何度か中止になったことががありましたが、今年(2011年)は第87回というものです。東京六大学野球ですら1925年の開始ですからそれよりも前ということです。

その箱根駅伝のうんちくなどもわかりやすく書かれていて、これを読むと箱根駅伝に興味のなかった人も、「どれ、次は見てみようか」と思うようになります。

私事で申し訳ないのですが、私は短距離走ならクラスでもトップクラスにいる自信があったのですが(短距離リレーなどはいつも選抜メンバー)、長距離走はてんで自信がなく、中・高・大で長距離走があるといつも平均か平均のちょっと下あたりをウロウロしていました。

そういうこともあり、長距離走にはほとんど関心がない私ですが、それでも読み始めると感情移入してしまい、最後はドキドキウルルものです。映画化もされているそうで、機会があったら今度DVDを借りてこようかと思っています。

著者別読書感想(三浦しをん)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ワーキング・ホリデー (文春文庫) 坂木司

タイトルからはまったく想像できない内容ですが、とてもいい感じの小説でした。坂木司氏は先日デビュー作の「青空の卵」に続き2冊目です。

小説やドラマ、映画なんかによく登場する「ものすごくよくできた子供」が登場します。この大人顔負けに知識が豊富で、お手伝いや家事を嫌がらず、そしてかわいげもあるという「よくできた子供」というのは実際にはまずお目にかかることはありませんが、大人、特に子を持つ親からすると理想形の子供ということなのでしょう。

恋愛小説には整った顔の男女が登場するように、親子が主人公になる小説には、必ずと言っていいほど、出来の悪い親と、出来のいい子供のコンビが登場します。もうそれにはヘキヘキしますが、そうでもないと単なるドキュメンタリーチックな悪ガキ、家庭崩壊物語か、それともサザエさんやドラえもんのような風刺的アニメにしかなりようがないのでしょう。

さて、この物語の親子ですが、父親は新宿のホストクラブに勤めるあまり人気のない若きホスト。そこへ突然見知らぬ小学生が尋ねてきて「お父さん」と、、、

昔付き合っていた彼女が別れた後こっそり産んでいたことを知り愕然とするも、ホスト仲間やクラブ経営者の助けもあってホストを辞め、宅配便会社へ転職し、夏休みの間その子供と一緒に生活をすることになります。

あり得ない話とはいえ、いきなり小学生の子を持つことになった父親と、人見知りもしない掃除洗濯料理となんでもござれのよい子との感情の機微などがうまく描かれています。そしてお約束のように夏休みが終わりに近づいてきて、親子が離ればなれになる時が迫ってきます。

無理矢理に話しを盛り上げるでもなく、淡々と親子関係と宅配運送業の仕事が描かれていて好感が持てます。脇役のホスト仲間やホストクラブ経営者、宅配会社の同僚や上司などが魅力たっぷりで、映画化されるときっと面白くなりそうな感じです。

著者別読書感想(坂木司)



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550
「おじさん」的思考 (角川文庫) 内田樹

内田氏のことはTwitterで知り、以前に「街場のメディア論」を読み、面白かったので続いてちょっと古いものの2002年に出版された同書を読みました。

基本的に内田氏のブログにはほぼ同様のことが書かれていてそれは無料で読めるそうですが、ちゃんと文章のプロの編集者が入り、しかも寝っ転がって読める書籍のほうが私には合っていてお金を出す価値があります。

前半の「正しいおじさん思想」や「老人社会に向けて」あたりについては独特の歯に衣せぬ論説でたいへん面白く読むことができましたが、後半のいきなり、「純文学をもっと読むべし」と説教したかと思うと、最後の70ページは夏目漱石の小説の内田氏独特の解説に終始します。

しかし

『私たちを惹き付ける物語のコアには、ほとんど必ず「それが意味するものの取り消しを求めるシニフィアン」が空虚な中心として運動している。ポウの「盗まれた手紙」における「盗まれた手紙」、狂言の「附子」における「附子」、ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」におけるジョージ・カプラン・・・ヒッチコックが「マクガフィン」と名づけたそれらの「物語を起動させる」シニフィアンと同じ機能を「こゝろ』の「先生」は果たしている。』

のような分析と解説をされても、そうそう理解できる人はいそうにもなく、無駄にページを費やしているとしか思えません。私だけかもしれませんが。

この文庫は2002年に単行本として発刊されたもので、中のエッセイは主に20世紀中に書かれたものが多く、もちろん今でも新鮮に読めるのも多いのですが、文庫としては新刊で中身も見ず飛びついてしまいましたが、さすがに10年以上前のエッセイだと思っていたものと違い少々ガックリでした。

著者別読書感想(内田樹)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

有頂天家族 (幻冬舎文庫) 森見 登美彦

少し前に直木賞候補にもなった「夜は短し歩けよ乙女」を読みましたが、この「有頂天家族」はその1年後に書かれた小説です。

主人公はなんと京都の森に住むタヌキの一家。その他には人間はもちろん、天狗も出てきます。

そのタヌキの一家は、父親は京都のタヌキ界のリーダーだったものの、数年前に人間に捕まりタヌキ鍋にされてしまいます。

人間へ手引きをしたのが悪役の父親の弟であり、その弟の家族と主人公家族とが次のリーダーを決めるため対決をします。

また一方では大学教授を引退し年をとって飛べなくなってしまった情けない天狗や、その天狗に気に入られ、術を授けられた人間の若い女性と、先ほどの主人公家族などが入り交じりドタバタが繰り広げられます。

ま、私の場合、こういうおとぎ話的設定は正直あまり好きではなく、裏表紙のあらすじを見たらまず買うことはないのですが、2008年の本屋大賞にノミネート(3位)されていたということで、内容も見ず買って読みました。

同氏は京都在住ということもあり、京都を舞台にした小説が多いのですが、最近では万城目学氏も同種の小説を出していて、読んでいるとあれ?どっちの人だったっけ?と一瞬わからなくなるほど作風が似ています。

著者別読書感想(森見登美彦)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

人間関係にうんざりしたときに読む本 杉本良明

会社の本棚に置いてあったので、あまり期待もしないで読み始めましたが、これはなかなかいいことが書いてあります。と言っても多くのことではなく、ただひとつ「相性の悪い相手はそう言う人だと決めて承認する」と言うことです。

人間関係や動機付けと言えば、この本にも書かれていましたが、デール・カーネギー著の「人を動かす」が名著で、これを超えるものは未だ出てきません。

しかしこの「人を動かす」や、それに続く「道は開ける」は、ビジネスパーソンならば読んでいない人は少ないのではないかと思いますが、私の場合、いかんせんもう何十年も前に読んだきりで、もうすっかり内容を忘れてしまいました。その中にもある重要な一点だけをこの本ではシンプルに繰り返します。

叱咤や罵声、時には皮肉や愚痴を言い、陰口をたたく相手に対して、別に仲良くなる必要はないとキッパリ言っています。またそのようなキツイ相手に期待をするのもやめようと割り切ってます。それらの言葉は人間関係に悩む人にとってものすごく楽にする言葉でしょう。

相手の暴言や皮肉に対して感情的になったり、それと同様なものを返すと、その後延々とそれが続いてしまいます。また相手にわかって欲しい、気がついて欲しいと期待をするから悩んでしまう結果となります。

ではどうするか?

心理学的用語でいうところの「相手を承認すること」だとこの本では書いています。詳しくはぜひ本書をお読みください(笑)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ミッドウェイの刺客 (文春文庫) 池上司

池上司氏は実際の戦史を一部フィクションを加えて小説にする手法をよく使いますが、この小説の主人公(田辺弥八)も実在する人です。

ミッドウェイ海戦は1942年に日米の主力が太平洋上で戦い、日本海軍の主力空母4隻と優秀な搭乗員を多く失い、太平洋戦争の優劣を一気に逆転された闘いですが、米軍側も被弾して曳航される米海軍空母ヨークタウンを失うことになります。

その米空母を撃沈したのは偵察のためにミッドウェイ島近くに送られていた、日本海軍伊168潜水艦の田辺艦長でした。動けなくなった空母には当然のことながら護衛艦数隻が周囲を囲み、警戒をしていますが、新米の艦長でありながら、リーダーシップと独特のアイデアを駆使し命令を実行します。

この頃の潜水艦にはまだシュノーケル装置(潜ったまま空気を取り込んだりディーゼルエンジンを動かし充電する)が装備されてなく、近くに敵がいるところでは浮上することはできず(浮上すれば間違いなくやられる)、米軍の駆逐艦と緊迫の闘いが繰り広げられます。

ミッドウェイ海戦というとどうしても航空母艦同士の闘いというのが話しのメインとなりますが、こうした影になった戦争に陽を当てるのがうまい作家さんです。そう言えば玉木宏が艦長役で主演した映画「真夏のオリオン」の原作も同氏の「雷撃深度一九・五」で、かなりの部分が実話だったそうです。

著者別読書感想(池上司)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

キング&クイーン 柳 広司

トーキョー・プリズン」や「新世界」を読んでこの人の小説は外せないと感じましたが、この本もなかなかいい感じです。特に社会的テーマを扱う作品にはうならせるものが多く、いずれは映画化もされていくことになるのでしょう。

この「キング&クイーン」は日本では将棋や碁と比べると愛好家の少ないチェスの世界をテーマにした作品です。私も子供の頃に何度かチェスを覚えようとしたことがありますが、結局は将棋のほうが面白く、兄弟や周囲にも同好とする人が多かったため結局はマスターするには至りませんでした。

しかし世界で見ると当然ながら将棋や碁の愛好者数とは比べものにならないほどに多く(世界で3億人)の愛好家がいるのがチェスです。チェスを主題にした小説や映画なども数多くあります。

そのチェスの元チャンピョンのアメリカ人が、日本で何者から追われて隠れているところを元SP(セキュリティポリス)の女性に救われます。なぜ日本のヤクザに追われるのか?黒幕はいったい誰か?アメリカ大統領との確執の行方は?そして、、、と、最後には私もすっかり騙されたどんでん返しが起きます。ジェフリー・アーチャーや貫井徳郎氏の小説にも最後の最後まですっかり騙されたものがありますが、これはまたお見事です。

この作品でまったくオリジナルな主人公(元SP)が登場しましたが、おそらくこの主人公で今後シリーズ化されるように思います。楽しみでもありますが、それよりも従来のような実在した人物をモチーフにした歴史物小説ももっと読みたいものです。

著者別読書感想(柳広司)

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ハッピー・リタイアメント (幻冬舎文庫) 浅田次郎

ジェフリー・アーチャーやコナリー、フォーサイスなどと同様、文庫が出てくればなにも考えずにすぐに買ってしまう浅田次郎氏の小説です。タイトルからもわかるように、幸せな定年を迎えようと、これから定年を迎えようとする人には羨ましい限りの話しがいっぱい出てきます。

主人公は役所を早期に肩を叩かれたノンキャリア公務員で、典型的な天下りとして60歳定年までの5年間を過ごすため、戦後まもなくGHQの指導の元で作られた中小企業協会へ入社することになります。

解説で勝間和代氏が書いているとおり、この天下りの仕組みや仕事?の内容はまさに現実そのもので、とにかく5年間なにもしないでジッとしていれば多額の退職金がもらえてハッピーリタイアメントできるという素晴らしきかな人生はと言わんばかりの世界が描かれています。

しかし意外だったのはもう枯れてしまっていると思っていた新顔の二人が実はまだ枯れていない上に、一人は独身、一人は離婚し一家離散した後と言うこともあり、家族のためとかしがらみもなにも持っていないため、本来の仕事にせいを出してしまい、様々なことが起きてしまいます。

いずれにしても中高年者の悲哀が十分に描かれていますが、中でも『どれほど視力に自信があり、どれほど注意力にすぐれていても、けっして自分の目に見えぬ人間が世界にただひとりだけいる。ほかでもない自分自身である。だからたいていの人間は、自分が最も華やいでいた時代の姿を心の鏡にとどめて、誰の目にもそう映っているにちがいないと誤解している。その錯覚に気付いてさえいれば齢なりに尊敬もされ、大人になることも美しく老いることもできるのだが、それはなかなか難しい。』という文章に、ショックを受けない中高年者は少なくないはずです。

特にこの本の主人公のように仕事一筋で生きてきた人にとっては。

あと、小説の中に「つぶれたリーマン(ブラザーズ証券)の(サラ)リーマンが可哀想」という表現が何度か出てきますが、私に言わせれば「リーマンのリーマンは上下を問わず実力以上の高額な報酬を長期間にわたりもらい続けていたわけだからいきなりクビになっても平気の屁」だと思います。なので全然可哀想じゃありません。

もっともつぶれる直前に入社した人は「お気の毒様、あぶく銭をもらい損ねたね」としか言えませんが、正しいリーマンならば新橋の焼鳥屋でサワーをチビチビと飲むのであって、リーマンのリーマンのように六本木ヒルズでワインなどかっくらうのではありません。

著者別読書感想(浅田次郎)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

中国人の本音 中華ネット掲示板を読んでみた 安田 峰俊

近くて遠い国と言われながらも、すでに日本の貿易相手国としては戦後ずっと最大だったアメリカを抜いて一番大きくなった中国ですが、その実態と中国人の本音を正しく理解するには既存のメディアでは難しいのでしょう。

そこで、著者は中国への留学経験を生かし、日中の諸問題を討議できるサイトを運営していて、そこに書かれた両国民の意見や、中国のサイトに書かれたQ&Aサイトなどをピックアップし、この本にまとめました。

ネットに書き込みをする人達ですから、比較的若い年代層が多そうですが、日本の2chなどはかなり年齢層は高くなってきているとも聞きますので、そのあたりは不明です。

内容は「日本のサブカルチャー」「遠い過去になってしまった天安門事件」「中国にもしっかりといる日本のネトウヨ的な人達」「台湾やチベット・ウイグルの問題について」「中国国内のネット規制」などについて、中国人の本音が書かれています。

確かに毎年首相が替わり、長期的な国家戦略が組めず、リーダーシップも発揮できず国際社会においても右往左往している日本と、一党独裁で長期政権が可能、強い国作りにリーダーシップを発揮できる中国の政治と、果たしてもし国同士で競争するとしたらどちらが優れているかというと明らかなような気もします。

別に競争なんかする必要がないというのであれば、優劣をつけることもありませんが、ずっとアジアの盟主だった日本が一番と今でも思い続けている人が多く、中国の躍進には目を背け、様々な問題(事故や民族紛争、人権弾圧など)を過大にとらえ「やっぱり中国は遅れている」と溜飲を下げている人が多そうです。

しかし人口は日本の11倍以上、国土面積は25倍、国内総生産は日本を抜いて世界2位の中国をいつまでも遅れた国として見下しているのはもう完全に時代遅れの唐変木でしょう。

この本を読むと、島国根性の日本人とは大きく違う、広大な大陸国家に住む中国人の壮大な世界観や不満はあるけれど、これだけの大国家を統一し、動かしていくには仕方がないという政治体制への同調とあきらめがよく見て取れます。意外にも中国のネットを使っている人は、日本人以上にリベラルな人が多いのかもしれません。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

木曜組曲 (徳間文庫) 恩田陸

恩田陸さんの小説は大好きで、「黒と茶の幻想」「光の帝国 常野物語」「まひるの月を追いかけて」「夜のピクニック」など十数冊は読んできましたが、最近はもっと視野を広くしようと考え、あまり読んだことのない人の作品を中心に買っていましたので久しぶりです。

しかしこの作家さんは多作ながら描く対象は広く、作品ごとに違った印象を受けます。

この小説はいかにもアガサ・クリスティをインスパイヤして書かれた風で、密室で亡くなった女流作家の縁者達関係者一同が集まって、謎解きをするというミステリー小説で、2002年には映画化もされています。

閉ざされた家の中で関係者が順番に推理したり告白していくという映画としてはもっとも低予算で製作できるスタイルです。

たいへんよくできた推理小説ですが、ひとつだけ言うと、一般的にミステリー小説の主人公というのは大括りに言うと「作家または編集者」か「刑事」のどちらかと言ってもいいほど頻繁に登場します。

京都では「石を投げると学生か坊主に当たる」と言われますが、ミステリー小説界では「石を投げれば作家か警官に当たる」というのは世間一般から見ると、とても異常な世界に映ります。

それはもちろん恩田陸氏に限ったことではないのですが、作家さんが住む世界では同業者か出版社の編集部がもっとも近しい間柄で、手っ取り早くその人達を主人公にしてしまうのが仕事の中身についてもよくわかっていて楽なのでしょうけど、恩田氏ほどの才覚と幅広い知識があるならば、すぐ身近にいそうな人達を主人公にするような安易な設定は避けてもらいたかったなと思うのが残念なところです。

著者別読書感想(恩田陸)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ドリームガール (ハヤカワ・ミステリ文庫) ロバート・B・パーカー

昨年死去したロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズの小説も未読分が残りあと数冊となってきましたが、大手書店やamazonでも在庫がなくなっているものもあり、たまたま見つけるとすぐに買ってしまいます。

このドリームガールは比較的新しく日本では2007年頃に出版されたもので、ちょうどその頃は他のシリーズが立て続けに文庫で刊行されていて、なぜかこの作品を見逃していました。

ロバート・B・パーカーや主人公スペンサー、あるいはハードボイルド小説については過去何度か書いています。

スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー

今回は過去に2度(「儀式」と「海馬を馴らす」)危ないところを救い出した女性が、スペンサーの本拠地ボストンで高級娼館を経営していたところ、そこへ謎の相手から妨害が入るようになり、スペンサーが乗り出すというストーリーです。

助っ人にはホークはもちろん、最強のゲイと言われているテディ・サップも応援に駆けつけます。このテディ、名前がサップとつくので、どうしても私のイメージとしてはボブ・サップとなってしまうのですが、こちらは白人の銃使いです。

この小説のヒロインは少女の頃から売春をしていて、現在もその中から抜け出せずにいます。

スペンサーと恋人スーザンとの会話の中で娼婦についての話しとなり、スペンサーは若い頃に兵士として従軍していた時、その休暇を使い仲間達と「巣鴨のホテルに泊まり、娼婦を買い、そして戦地へ戻った。娼婦を買ったのはその時が最後」と語る場面がありますが、過去の話とはいえ恋人に自分が娼婦を買ったことがあるなんて話しをするとはなんともはやです。

そこで、あれ?スペンサーってベトナム(実質的なアメリカ参戦は1965年~1975年)へ行ったことあったっけ?と思いましたが、スペンサーシリーズ第1作目は1973年の発行で、その時既に警察官を経験した上で、探偵に職を変えていましたからちょっと無理があります。

解説を読んでわかったのですが、スペンサーは1950年代の朝鮮戦争へ兵士として行ったことになっていたそうで、このシリーズが大ヒットして、約40年間も続いてしまったものだから、そこのあたりの年代が合わなくなってきたということです。

確かに仮に20歳で朝鮮戦争へ従軍していたとすれば、今は80歳近い年齢となりますから、ちょっとハードボイルドのイメージが崩れてしまいます。小説の中でも「戦地に行った」としか書いてなくぼかした扱いになっています。

小説の中では一切年齢は明かしてきませんでしたが、イメージとしてはスペンサーはシリーズ最初の頃は30代後半、最近のものは40代の半ばという感じがします。理由は、ボストン市警の警部(マーティン・クワーク)にいつもタメ口を聞いているので、さすがに30代ではありえないだろうと。

40年経っても主人公はまったく変わらないか、せいぜい10歳ぐらいしか歳をとらないのは、サザエさんやちびまる子ちゃんを見てもわかるとおりです。

著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)

※スペンサーシリーズの参考サイト(Clues Are My Game SPENSER with an S



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540
哀愁的東京 (角川文庫) 重松 清

まったくバカですね。これでいったい何冊目になることか。軽く10冊は超えてます。すでに持っていて読んだ本をまた買ってしまいました。買うときにはタイトルや、カバー裏面のあらすじを読んでもわからず、中身を少し読んでみてから「あれ?」と気がつくものがほとんどです。中には最後まで読んでまったく気がつかず、読んだ後にデータを登録する際「ありゃ10年前に読んでら」とか気がついたものもありました。恥ずかしながらボケちまってます。

時には単行本で買って読んで、その後文庫本でも買ってしまうケースや、A社の文庫として刊行されたあと、しばらくしてから別のB社から同じ小説が文庫で発刊されることがあり、そのB社から発刊されるときは「新刊」となるので、それを「あ、誰それさんの新刊が出た!」と思わず中身を見ずに買ってしまったということも何回かありました。もちろん同じA社からカバーがガラリと変わり「新装刊」として出る場合もややこしいです。そりゃ一種の詐欺だろとか思ってしまいます。

この本は一度2007年初頭に文庫を買って読んでいます(文庫の発刊は2006年12月)。小説の中に自宅の近所にある向ヶ丘遊園地がモデルとして登場し、そこの閉園に絡み、そこで働いていた年老いたピエロと、遊びに来ていたヤク中の父親に殺されてしまう少女の話しが記憶に残っていて、そこの場面でハッと気がつきました。遅すぎです。

内容は短編連作で、主人公は昔に絵本を出したこともある離婚歴のある中年フリーライター男性。父親に殺されて亡くなった少女を想い、遊園地で楽しそうにピエロをジッと眺めているシーンを象徴的にハッピーエンドで締めくくった絵本で賞をとったものの、それを見せに行った遊園地のピエロにいきなり殴りつけられ、そのことによって次作が描けなくなってしまいます。

小説には、その絵本の大ファンでそれが編集者になるきっかけだったという若い女性編集者や、IT長者で時の人だったものの事業が破綻してしまった社長、小学生の頃にデビューし大ヒットしたものの、大人になるにつれ落ち目になってしまった少女歌手、売れっ子だった作曲家など、次々に魅力たっぷりな人物が登場します。活字離れが激しい中で、そういう仕事に溢れる右肩上がりのライターがいれば素晴らしいなぁとも思えるファンタジードラマのようでもあります。

2度も買ったので言うわけではありませんが、タイトルはもちろん、中身も面白く仕上がっていてお勧めな文庫です。このブログにプレゼントコーナーがあれば余分な1冊を熨斗つけて出品するのですけどね。

著者別読書感想(重松清)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ネットの炎上力 (文春新書) 蜷川 真夫

著者の蜷川氏はネットのヘビーユーザーなら誰でも知っている「J-CAST(ジェイキャスト)」の社長さんです。元々大手新聞社に勤めていて、ネットビジネスに興味が移り、やがてネットメディアの可能性を信じて設立されたそうです(ちょっと違うかも)。

内容はひと言で言うと「J-CAST」の宣伝が主体で、書かれている情報は少し古いようですがこういったネットメディアに興味がある人は、面白く読めます。ネットの話しというのは書いている側から古くなっていくので、賞味期間は極めて短いですね。

例えば、ユーザー集め(ページビュー)の方法や、ログの解析による誘導元分析、SEOなどが素人にわかりやすく書かれています。ただ、こういう事が本にして書けると言うことは、すでにその手法や発想は古く、もう使えないので公表してもいいだろうという段階なのだと思われます。

ネットビジネスの世界はもの凄く流行廃りが激しいので、同じやり方が2年以上通用することは滅多にありません。次々と新しい手を打ち、その中から使えそうなものを選択し、同時にまた新しいことを始めるという終わりなきアイデアでしか生きてはいけません。

著者が書いているとおりJ-CASTは、テレビや新聞などのニュースや速報など一次情報と、雑誌・週刊誌の事件や事故を深掘りして論評などを加えた二次情報との中間的存在で「1.5次情報」を扱うメディアとして、ある意味ニッチなところに最初に目をつけて開拓してきました。しかし本書には書かれていませんが、ライバルと目されるサイトも増えてきています。

通常ならブログやTwitterが炎上(非難や否定的な書き込みが急増する)するのは避けたいところですが、こうした1.5次情報を扱うネットメディアは、その炎上を引き起こすことでうまくビジネスに利用します。

言ってみると「他人の褌で相撲」なところがありますが、大手メディアの間違いや、書かないこと、書かれちゃ困ることを拾い上げて、ニュースにするところに絶妙のうまさがあります。

ま、そう言ったJ-CASTが躍進していく過程と、新聞・テレビなど旧メディアがダメダメになっていく理由を述べたのが本書です。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

弥勒の掌 (文春文庫) 我孫子武丸

我孫子武丸氏の名前は当然ペンネームで、デビューの1989年以来数多くの推理小説をだされていますが、今回読むのは初めてです。

弥勒というと京都広隆寺にある弥勒菩薩像を思い浮かべますが、仏陀の入滅後56億7千万年後に現世に現れ仏陀となるとされていますが、著者はこの「56億7千万」を「年」ではなく「人」と置き換えたストーリーで、現代の日本に現れた弥勒様としてうまくストーリーが作られています。

「地球上の人口が56億7千万人になると弥勒は再び現世に現れる」としたら、弥勒は仏陀となって1995年に現れることになります。その弥勒を神と崇める新興宗教団体がこの物語のキーとなってきます。と言ってもよくあるオーム真理教に似せた犯罪集団との闘いと言ったようなものではありません。

主人公は妻が行方不明になった高校教師と、妻がラブホテルで殺された刑事の二人です。なぜ妻が失踪または殺されたのかを二人が協力して解明していきます。この辺りの二人それぞれの心の中の思惑が微に入り細に入りで、ややそのあたりにもっさり感が漂います。最近のやたらとスピード感のある小説が多い中では異例かもしれません。

ま、しかしいずれにしても最後の最後で明らかになるビックリ仰天の結末は、貫井徳郎氏の「慟哭」以来で久々のことです。

著者別読書感想(我孫子武丸)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

プリンセス・トヨトミ (文春文庫) 万城目学

2006年に鴨川ホルモーで衝撃デビューを果たした万城目学氏の作品で、すでに綾瀬はるかなどが出演した映画も作られています。

よく「大阪(広い意味では関西)は独立国」と言われます。それは独特の進化を遂げた関西弁や、400年前までは江戸(東京)よりもはるかに賑わっていた世界有数の都市だったという独特のプライドなどが入り交じっています。

多くの小説や映画では悪役のイメージが強い最初の天下人豊臣秀吉に対して、大阪(関西)人の多くは今でも慕っているというのも特徴的です。

本書にも出てきますが、大阪城のすぐ側にある大阪府庁のマークは豊臣秀吉の象徴でもある馬印のひょうたんを象ったもので、徳川200年の間に徹底的に破壊し排除された豊臣色ですが、現在でも様々なところに受け継がれたり残っているものがあります。

さて本書ではその秀吉と血のつながった子孫が延々と庶民に守られ、明治政府ができる直前に日本の臨時政府と取り交わした条約により表には出ない大阪国という存在が、会計検査院の調査で明らかになっていきます。

ま、荒唐無稽なドタバタ劇ですが、鴨川ホルモーと同様に、「そういうことがあったら面白いなぁ…」というぐらいの話しです。

しかしうんちくですが、いまの復元された大阪城の原型が秀吉の作ったものではなく、夏の陣で豊臣一族がすべて亡くなり、大阪城もいったん灰燼に帰した後に、徳川秀忠、家光の時代に豊臣色を消すために新たに作らせた大阪城だとは初めて知りました。

著者別読書感想(万城目学)



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