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いつか夜の終わりに (双葉文庫) 高田侑

2009年に発刊された単行本「てのひらたけ」を2013年に改題して文庫化された作品です。著者は50代の現役サラリーマンで、二足のわらじ作家さんのようです。得意分野はホラー小説のようで、この作品も短編小説で、ホラーやミステリーが中心です。

そう言えば、「八朔の雪 みをつくし料理帖」などで有名になった高田郁さんと名前の漢字が似ていて、間違えられそう。

収録されているのは、「てのひらだけ」「あの坂道をのぼれば」「タンポポの花のように」「走馬灯」の4編です。

「てのひらたけ」は登山が趣味の男性が迷い込んだ異次元の世界と恋愛をうまく結びつけた印象深い作品。

「あの坂道をのぼれば」は、40歳にして、水商売の女とならぬ恋に落ち妻子を残して家を飛び出した結果、訪れる悲劇と切ないラスト。

「タンポポの花のように」は、よく知らない叔母が孤独死したあとに、その住んでいた家の整理を頼まれた女性が主人公で、その叔母の人生が次第にわかっていくことで、それまでまったく知らなかった叔母の壮絶な子供時代の出来事を知ることになる物語。

「走馬灯」は既に病気で亡くなった父親を街中で見かけたという中年の兄弟の話しから、その父親が死ぬ前に病院のベッドの上で語ったことが、現実となっていく不思議。

ちょっとひねった怖くはない不思議がジワーと後から出てくるミステリー短編ですが、よく読み込まないとあとで???となりそうです。

著者にすればそれがスタイルなのでしょうけど、軽ーく読み飛ばしていると、あれれ?どうして?となってしまいそうです。

★★☆

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しない生活 煩悩を静める108のお稽古 (幻冬舎新書) 小池龍之介

2014年発刊の新書で、著者は東大教養学部を出た後、仏教の世界に入り僧侶となった方です。

但し、浄土真宗本願寺派の教義に反した活動・出版をしたとして、僧籍を剥奪されたり、奇行癖があったりと、いろいろと紆余曲折のある方です。

この新書が出た2014年は、僧籍はすでに剥奪されていましたが、父親の後を継いだ浄土真宗正現寺の住職だった頃です。

それだけに煩悩の塊みたいな方の煩悩本ですので、説得力があるのか、ないのか。

それでもいくつか気になる項目があって、例えば「79被害者ぶって人を責めることは自ら苦しみたがることと同じ」の項で、最近よく聞く「キレやすい高齢者」で誰も自分を被害者に仕立てあげ、自分を有利な立場にしようとやっきになっているということが書かれていて、確かにそうかなって思います。自分も気をつけなくちゃ。

あと、これは不満ですが、本文のあちこちに出てくる「トホホー」とか「あいやー」とか「いやはや」とか「ガーン」とか「ガビーン」とか、著者のクセなんでしょうね。つまらない余計な言葉が満載で、せっかく良いことを書いてあってもそれを台無しにしています。

同様に「~ですよね。」という書き方も、読者に著者の思いを共感してくれ、オレの言うことを聞け!としているみたいで、「大きなお世話!」「俺はそうは思わないけど」と反感を持ってしまいます。

ま、不満もいろいろありますけど、若い僧侶がいろいろと悩みつつ前に進んでいこうという思いは伝わってきます、

★☆☆

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乳と卵 (文春文庫) 川上未映子

2008年に発刊され、芥川賞を受賞した作品です。短編の「あなたたちの恋愛は瀕死」も収録されています。

この著者の作品は「ヘヴン」(2009年)「すべて真夜中の恋人たち」(2011年)「あこがれ」(2015年)を読んでいます。

男性にはよくわからない、思春期の女性が大人の女性に変化していく女性独特の話しをジンワリと教わった感じの小説です。

タイトルの卵は卵子のことを指し、乳は女性特有の象徴ですが、この小説では、主人公の少女がやがて生殖に必要な生理が始まることを鬱陶しく思い、離婚してその少女と二人暮らしの母親が豊胸手術をしたいといろいろ調べているという設定です。

もう一人の主人公は、その豊胸手術をしたがっている母親の妹で、東京で一人暮らしをしています。登場人物は女性ばかりですね。

なかなか話が進まずに、だからなに?と思っているうちに終わってしまう短い小説ですが、これが文化人が認める純文学というものか~って気がします。時代が変われば賞の評価や対象にも変化があってしかるべきなのでしょう。

★☆☆

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晩夏光 (ハルキ文庫) 池田久輝

2013年に作家デビューしたときの作品がこの著書です。文庫版は2018年に発刊されています。著者は1972年生まれということですので、ちょうど団塊ジュニア世代の真ん中の方です。小説の著作数はまだ少ない方で、他の作品は読んだことはありません。

香港の裏社会をテーマにしたこの作品は、私自身、中国に返還される前の1980年代の香港、もちろん裏社会ではなく表社会で短期間仕事をしていたこともあり、興味をもって読んでみました。

但し、この本の購入動機は久しぶりのジャケ買いというか「タイトル買い」で、中身はほとんど知りませんでした。

小説の舞台となっている香港の裏社会と言っても、この小説に出てくるのは、ジャッキー・チェン主演の映画に出てくるような巨大な悪の組織や、バックに中国がついた国際ポリティカルスリラーとも違う、どちらかというと、観光客がスリの被害に遭うと、その盗難を探し出して持ち主に返して手数料をとるという、こぢんまりとした裏ビジネスです。

都市伝説的に語られていた「昼間に盗難に遭った高級バッグがその日の夜には、キャットストリート(骨董街)の店頭に並ぶ」というようなことは現在はさすがになくなっているでしょうけど、それは、この街ではなんでもビジネスになるという一例を表しています。

主人公は、自分が起こした自動車事故で婚約者を失い、自暴自棄になって香港にやってきた日本人青年で、綺麗な夜景が眺められるビクトリア湾の公園で闇の商売を仕切っている香港人青年と知り合い、その裏稼業を手伝っているうちに、殺人事件や警察の陰謀に巻き込まれていくというストーリーです。

その香港も、いまや過激化する民主化運動で、観光客も減り、ホテルや土産物屋など観光業界は大打撃でしょう。政治問題には触れるつもりはありませんが、今後、政治も思想も中国本土に吸収されていくであろう香港と香港人達の行く末が気になるところです。

★★☆

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ラスト・ワルツ (角川文庫) 柳広司

ジョーカー・ゲーム(2008年)、ダブル・ジョーカー(2009年)、パラダイス・ロスト(2012年)に続くD機関シリーズ作品の第4弾で、2015年に単行本が発刊され、2016年に文庫化されています。

収録作品は「ワルキューレ」「舞踏会の夜」「パンドラ」「アジア・エクスプレス」の4編です。

物語の時代はいずれも太平洋戦争に突入する直前の、軍部が台頭しつつあるきな臭い昭和初期。

「ワルキューレ」の舞台は、日本と同盟関係を結んだドイツで、日本大使館の改築の際に送り込まれた内装業者に扮した日本人スパイ、ドイツで映画を制作していた有望なユダヤ人監督と支援者、日本やアメリカで映画にかかわってきた日本人俳優などが、それぞれの目的のためにうごめく世界を描いています。

「舞踏会の夜」の舞台は日本で、華族の女性が若い頃に窮地を救ってくれた軍人の男性と交わした「いつかは一緒にダンスを」という約束を、20年後のアメリカ大使館で開かれた舞踏会で実現することになったその理由は?

「パンドラ」はちょっと変わっていて、英国で自殺と偽装された殺人事件が発見され、英国警察のベテラン警部が真犯人に近づくと、第一次大戦時の戦友だった情報部MI5のエージェントから捜査停止を告げられ、さらに隠されている陰謀がわかるというややこしい物語。

「アジア・エクスプレス」は満鉄の中で起きた殺人と、日本のスパイとソ連のスパイキラーとの壮絶な知恵比べです。

このシリーズも4作目、最初の頃の驚きやわくわく感からすると、意外性は薄れてきて、初期の頃のような泥臭い人間が、思いもよらないような活躍をするというドキドキはなく、まるで最初からスーパーマンが活躍するように変わってきて、そろそろ潮時かな~って気もします。

007シリーズも、初期というかイアン・フレミングが書いた小説では失敗してぐじぐじ悩む人間味あふれるジェームス・ボンドが、今ではエンタテインメント性だけの、単なるサイボーグ的なスーパーヒーローとなってしまい、つまらなくなりました。

アイデアは毎回違っていて楽しめるのですが、意外性がウリだけに、ちょっと残念かな。

★★☆

著者別読書感想(柳広司)

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