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交通事故死と自殺とはまったく関係がない死因ですが、意外なことにコロナ禍において、この二つの数値が相反することがわかってきました。

まずコロナ自粛で外出することが減り、また通勤時やドライブ旅行でクルマを運転する機会も減り、交通事故や事故による死亡者数が減っています。

2020年の交通事故の発生件数は、2019年の381,237件から309,000件へ約19%減り、交通事故死者数は、2019年の3,215人から2,839人へ約12%も一気に減少しました。

交通事故死亡者数は交通戦争と揶揄されていた1970年には16,000人を超えていましたので、それからすると、2020年は8割以上の減少、17%へと大きく減少したことになります。

一方、自殺者は、1967年以降は概ね増え続けていきました。交通事故死亡者が減っていくのに対し、増加の一途をたどり1998年からは3万人を超えるようになっていました。

2009年に民主党政権になったことで、国として様々な積極的な対策を取るようになり、ようやく高止まりから下降させることができ、2012年以降は2万人台に下がりました。

しかし2020年のコロナ禍で、非正規労働者の割合が多く、コロナ自粛のあおりを大きく受けたと思われる女性の自殺率が増加し、2019年に20,169人だった年間の自殺者が2020年は20,800人(12月分のみ想定値)と、631人ですが11年ぶりに再び増加することになりそうです。

コロナ禍で日本人女性の自殺が急増「特有の悲劇」が顕在化(Forbes Japan)
 警察庁のデータによれば、今年10月と11月の自殺者は、それぞれ約2200人、1800人。1月~11月の自殺者は、1万9000人以上だ。10月の自殺者は、前年同月比で男性が約22%増。一方、女性は約83%増となった。

交通事故者数推移と自殺者数推移をグラフとデータを掲載しておきます。データの出典は警察庁です。




1951年 1952年 1953年 1954年 1955年 1956年 1957年 1958年 1959年 1960年
交通事故死数 4,429 4,696 5,544 6,374 6,379 6,751 7,575 8,248 10,079 12,055
自殺者数 15,415 15,776 17,731 20,635 22,477 22,107 22,136 23,641 21,090 20,143
1961年 1962年 1963年 1964年 1965年 1966年 1967年 1968年 1969年 1970年
交通事故死数 12,865 11,445 12,301 13,318 12,484 13,904 13,618 14,256 16,257 16,765
自殺者数 18,446 16,724 15,490 14,707 14,444 15,050 14,121 14,601 14,844 15,728
1971年 1972年 1973年 1974年 1975年 1976年 1977年 1978年 1979年 1980年
交通事故死数 16,278 15,918 14,574 11,432 10,791 9,734 8,945 8,783 8,466 8,760
自殺者数 16,239 18,015 18,859 19,105 19,975 19,786 20,269 20,788 21,503 21,048
1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年
交通事故死数 8,719 9,073 9,520 9,262 9,261 9,317 9,347 10,344 11,086 11,227
自殺者数 20,434 21,228 25,202 24,596 23,599 25,524 24,460 23,742 22,436 21,346
1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
交通事故死数 11,109 11,452 10,945 10,653 10,684 9,943 9,642 9,214 9,012 9,073
自殺者数 21,084 22,104 21,851 21,679 22,445 23,104 24,391 32,863 33,048 31,957
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
交通事故死数 8,757 8,396 7,768 7,436 6,937 6,415 5,796 5,209 4,979 4,948
自殺者数 31,042 32,143 34,427 32,325 32,552 32,155 33,093 32,249 32,845 31,690
2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
交通事故死数 4,691 4,438 4,388 4,113 4,117 3,904 3,694 3,532 3,215 2,839
自殺者数 30,651 27,858 27,283 25,427 24,025 21,897 21,321 20,840 20,169 20,800

交通事故死対策は、車の安全性能向上、緊急医療体制の充実、安全な交通インフラ整備など、様々な具体的な方法がありますが、自殺者防止については、イジメやパワハラ防止活動や、生活支援など、あくまで間接的な方法での支援しかありません。個人的な問題や病気などが発端が多いだけに対策が難しい面はあります。

民主党政権では、特にうつ病患者の自殺率が高いことに目を付けてその対策をおこなっていました。と言っても、生活や雇用面での相談と支援ができる環境を作っただけですけど。

自殺対策というと、若い人のイジメやパワハラなどに焦点があたりがちですが、実際は中高年者のうつ病や不治の病などの健康問題と、左遷や失業などの経済問題が一番多く、まず数を減らすためにはそこに重点をおかないと大きく減りません。

今回コロナ禍で自殺者が増えているのも、おそらく生活環境の変化による精神的なストレスや、それによるうつ病の発症、あるいは、事業が窮地に陥り、仕事を失い、雇用者なら数ヶ月は失業保険で踏ん張れても、その間に再就職がかなわないと、生活が立ちゆかなくなり大きなプレッシャーとストレスにさらされてしまうということでしょう。

交通事故が減るのは大いに結構なことですが、それに反比例するがごとく、自殺者が再び増加し続ける社会にだけはなってもらいたいものです。

【関連リンク】
1470 コロナ前と後で失業者数や失業率の変化 2020/9/26(土)
1443 コロナ失業者増加で自殺者数はどうなる? 2020/6/20(土)
1418 寿命と死因を考える年齢に 2020/3/25(水)



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