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自分の人生の中で、過去にお金にまつわる経済的なことで一番失敗したなぁってことは、30年近く前、現在住んでいる一戸建て住宅を買うときに、住宅ローンの契約を固定金利にしたことです。
最初に中古マンションを買ったのはバブル絶頂期の少し前で、買ってから4年後に一戸建てを買うときに売却しましたが、買った時の値段より2割ほど高く売れてホクホクでした。
さらに住宅ローン減税が3年間あり、計60万円ほどの所得税が戻ってきたこともラッキーです。
そしてバブル崩壊直後の1992年に、売れ残って値下がりしてきた新築建売の一戸建て住宅を買ったのですが、その時の住宅ローンは、まだバブルの余韻が根深く残っていました。
そのバブル直前の80年後半からバブル崩壊までの数年は、信じられないほどの狂乱インフレで、金利が爆騰したことで、変動金利で住宅を買った先輩がめちゃ苦しんでいる姿が目に焼き付いていました。
それが、その時に今から思えばアホなことですが25年もの長期の全期間固定金利を選んでしまった理由です。
出典:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」
一応、その時には取引先で仲の良かった銀行員と「変動で行くか固定にするか」で意見を聞きました。
銀行員は「さすがに以前のような高金利にはなりにくいと思うので、私なら変動で行きます」ということでしたが、疑い深い私はその逆を張ってみたわけです。おバカです。銀行員は基本的に銀行が絶対に損をしない「変動金利」を勧めるって聞いていたことも影響しています。
ざっくりですが、住宅ローン5,000万円を当時の固定金利6.6%で25年返済をすると、その返済総額は1億円を超えます。
つまり元金5000万円に利子5000万円ということ。それでも、もし利率が80年代前半や90年代前半の時のように8%を超えても、固定金利なら慌てず済むかな~と暢気なことを考えてました。
ボーナスは使わず、12ヶ月均等返却で、月々の返済額は、1億円÷25年÷12ヶ月=33万3333円!
もう今から考えると無茶苦茶ですが、バブルの余韻に浸っていた当時はこれでも可愛いものだったでしょう。
と言うのも、当時はバブルの影響で仕事も順調、毎年のように給料やボーナスがアップしていき、バブルが崩壊してからも、あまり影響しない割とお堅い仕事だっただけに、強気で契約しました。
もし、変動金利で契約していれば、契約当時の変動金利の利率は5.4%でしたが、その3年後の1995年には当時の半分以下2.3%まで大きく下がります。5.4%だと返済月額はおよそ306千円、2.3%だと219千円と、月々8万7千円も下がることになります。
もうね、自分の「いずれまたインフレになって金利が上昇する」という予想は完璧に外れて、その後長い期間、高利率な固定金利に苦しめられることになります。
さすがに、5年後の1997年には銀行に無理を言って(他行へ借り換えするぞ!と脅して)金利を少し下げてもらいましたが、その際に決めた固定金利も、返済完了まで変動金利を下回ることは一度もありませんでした(最後の数年間は自動的に変動金利に変更)。
結果的に「最初から変動金利にしておけば支払総額は数千万円安くなったはず」と、捕らぬタヌキで悔しがったのは言うまでもありません。
転職した先でリストラに遭って、無収入になったときにはさすがに焦りました。すぐに銀行へ行って、返済期間を延ばす代わりに毎月の返済額を下げてもらうよう交渉しました。
いま思えば、すぐにその判断をして正解でした。こういう記事がありました。
住宅ローンの金利より大事なこと|最悪の状態を想定しておく3ステップ(エルハウス)
住宅ローンを考える上で最も想定しておきたい事は金利ではなく、最悪の状態を想定しておくことです。最悪の想定とは、収入が途絶えたときにどのように対処するかです。 |
長い住宅ローン返済期間中にはなにが起きるかわかりません。震災や水害、怪我や病気で仕事ができなくなったり、会社の倒産やリストラなど様々なことが起きます。
そういう時には、私もそうでしたが思考能力が極端に落ちます。気ばかり焦ってしまい、やることなすこと裏目に出る悪いスパイラルに入ってしまいます。
上記の記事に書かれていることは、冷静なときに読むと「当たり前じゃん!」って思うでしょうけど、身に災いが起きたときには、すっ飛んでしまうものです。注意しましょう。
◇ ◇ ◇
今の時代、若い人は「華やかなバブル時代を経験できず悔しい」と言いますが、私は「今の若い人はめちゃ低い金利で住宅ローンが組めて羨ましい!」です。
現在の某大手都銀Mの変動金利は、1%を切って0.525%です。上記の住宅ローン5千万円をいま借りると30年で利子はたったの400万円。こっちは利子だけで5千万円で契約した(実際は途中で金利を下げた)。ホントめちゃ悔しい限り。
もっとも住宅ローンが終わるまで、10年後20年後に変動金利がどう変わっているかはわかりませんので、今契約するなら固定金利一択かなぁと思いますが、そういう時には銀行はメニューにはあっても、実質的に固定金利を認めてくれなかったりします。「晴れた日に傘を貸し、雨が降ったら取り上げる」のが銀行ですからね。
しかしデフレの影響もあり、今の若い人の給料がなかなか上がらず、コロナ禍みたいに、先々なにが起きるかわからない不安要素がいっぱいある中では、いくら金利が安くても、重い住宅ローン抱える気にはならないって人も多くいるのでしょう。
給料が良くて仕事にもあまり心配のない大企業勤務でも、家を買ってすぐに遠くへ転勤とか普通にありそうで買えないということもあるでしょう。
さらに言えば、親の介護の問題、リモートワークが本当に進むのかどうか、転職を考えるとどこへでも気軽に移れる機動性のある家(賃貸)が理想とか、様々な理由もあるでしょう。
私の場合、幸いに家を買ってからの転勤はありませんでした。結果的に、経済的なメリットはなかったものの(失ったお金は大きい)、それでもリタイアした今では買って良かったと思っています。
【関連リンク】
1425 リタイア後に取引銀行はどうすれば良いか
1417 31年間の住宅ローンから解放される
1303 持ち家か賃貸かは、引退後に大きな差が付く
1227 今の低い住宅ローン金利が羨ましい世代
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