リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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長引く不況とデフレに加え、東日本大震災の影響もあり、この半年の雇用情勢がどのように変化するのか気になるところです。
5月末現在ではまだ3月までの集計しかわかっていませんが、3月の完全失業数は2万人増えて304万人、完全失業率は4.6%と前月と横ばいです。
また私が雇用情勢にもっとも役立つと思っている有効求人倍率はわずかに上昇し0.63倍となっています。そして季節調整値では、就業者数は5983万人と前月と比べて46万人減少しています。(数値は総務省統計局より)。
この統計では、有効求人倍率以外は集計が間に合わなかったということで、震災被害の大きかった岩手、宮城、福島の東北3県を含まない数値です。
労働人口のうち15~65歳で就業中または就職活動もおこなっている人を除いた、例えば学生や専業主婦、家事手伝いなどの非労働力人口は前月から46万人も増え4278万人となりました。
この増加した46万人は、本当は職に就きたいものの一旦就職活動を控えている人ではないのかと恐れています。
完全失業者は2万人増にとどまったが、就業者数は46万人も減少した。これをどうみるか?
1)長期失業状態で仕事探しをあきらめた・・・○
2)高齢や病気のため職探しをやめてリタイヤまたは療養中・・・△
3)仕事を辞めて学校へ通うようになった・・・×
4)完全失業中だが、職安がそれを認めてくれなくなった・・・◎
※◎大いにあり ○ありそう △少しは ×ない
つまり長期間失業したままで、失業保険の給付も終了してしまった人に対して、全国の職安が「あなたは本気で仕事を探していないので完全失業者と認められない」と決めつけると、完全失業者から除外されてしまいまい、非労働力人口に入ってしまうことになります。
このようにして職安、厚生労働省側の意向により完全失業者の数はいくらでも意図的に調整することができます。
同様に本来は正社員での就労を希望していても、なかなか就職先が決まらず、仕方なく日々の生活費を得るために、パート労働をしながら就職先を探すことになっても、この人は統計上は失業者ではなく就業者とカウントされてしまうのも変な話しです。
国や政治家の意向としては「失業者の増加」という景気動向にとって影響のある都合が悪い数字を出すことは極力避けたいでしょうし、上意下達が原則のお役所では、上(国や県)からの指示があれば、下(県や市町村)は成績を競うように数字を作っていく(民間では粉飾とも言う)ことに邁進するということはよく知られています。
これが非労働力人口が実態として46万人も増えているのに、完全失業者は2万人しか増えていないというカラクリではないかと思われます。
もし仮に46万人全員が本当は失業者だとすれば、失業率は5.8%と一気に跳ね上がってしまいます。事実は統計よりももっと厳しいと思っておいたほうがよさそうです。
失業すると一時的には多くの場合失業保険がもらえますが、それだけでは不足だったり、失業期間が長引くと貯金を取り崩し、または借金をして生活費をまかなうことになります。
同時に住宅ローンの返済が滞り、やむなく売却しても借金だけが残ってしまったり、子供の学費や生活費そのものに不足したりしてしまう人が出てきます。
4人家族で子供は公立中学生と私立高校生で、妻は専業主婦とした場合、世帯主が失業した後いったいどのぐらいのお金が必要かシミュレーションしてみます。
10年以上勤務した先を会社都合で退職した年収(手取り)650万円の46歳サラリーマン。
家族は妻(専業主婦)、私立高校生、公立中学生各1名。
自宅(30年ローン)、自動車保有。
■収入 |
■支出(年間) |
退職金を含め、また失業保険のほぼ最高額を満額1年間もらったとしても、収支は1年間で約106万円のマイナスです。もし1年以内に再就職ができないと、失業保険が終了後は収入ゼロとなり、節約してもこれだけの費用(月平均55万円)がのしかかってくることになります。
もちろんそれまでには専業主婦だった妻がパートに出たり、前年収入がなければ翌年の住民税が減額されたり、確定申告により支払ってき税金の還付があることになりますが、それらですべて埋められるようなものではありません。
年収(手取り)650万円で働いていた時に生活が赤字にならなかったのは、会社と折半で天引きされていた社会保険料と、月々按分されて天引きされていた住民税が、いきなり夫婦の2名分の国民年金・国民健保を毎月支払うことになり、さらに住民税は一括で請求がやってきます。
また再就職活動にかかる費用(何度も通う職安や面接に行く交通費などは、それまで通勤定期で麻痺しているので、この費用はバカになりません)などが新たに増えることになりますから要注意です。
このサンプルの場合、貯蓄がどれほどあるか、生命保険を途中で解約して現金化できるか、自動車を手放すことができるか(地域によっては車がないと生活や就職活動ができないところもあります)、子供が私立から公立へ転校させられるか、最悪は自宅を手放してローンを全額返済できるかという選択肢があります。
現状では完全失業者のうち約4割の人(121万人)が1年以上の長期失業者となっています(2010年労働力調査)。つまり、比較的再就職が容易な特殊技能者や若年層以外は、いったん失業すると1年以上長期失業となる覚悟が必要なのです。
話は変わり「生活保護制度」というのは誰でもが知っている通り、一定の生活困窮者に対して憲法25条に定められている「最低限度の文化的生活が送れるよう」に自治体が税金から支給されるものです。
各自治体によってその資格要件が少し違っていたりもしますが、人や家族構成によっては年金生活者よりも、あるいは安いパート労働をするよりも多額のお金が受けとれ、中には感心できませんが「このままずっと働けない病気でいよう」と考える人もいるようです。
と言っても、支給されるのは元は税金ですから、受給の資格審査のハードルはそこそこ高そうです。しかし脅しや相手(役人側)のちょっとしたミスや弱みにつけ込み、強硬な態度で交渉に臨むと、意外とスムーズに支払われたりするところも、いかにもお役所仕事っぽいところがあるようです。
支払うお役人様にとっては自分のお金ではないので「弱者に対しては徹底して高圧的な態度で」、逆に「面倒そうな相手には円満な態度で」と、ちゃんとした小役人の行動基本原則が決まっています。
「将来は生活保護で生活できるので、いま年金なんか支払わなくてもいいや」と考えるフリーターや個人事業主が多いと聞きますが、もしそうなれば、自動的に天引きされてしまい選択の余地がないサラリーマンを含む、真面目に年金を毎月払い続けている人達はまったくバカをみることになります。
それじゃいけないと言うことで、政治の世界では年金改革が急がれていますが、どうも政治家の議論の方向性を見ていると「年金は今後引き上げる消費税でまかない、今まで支払ってきた年金は基本チャラにしてしまおう」という支払ってこなかった人を救済していこうという流れです。
その年金改革の理由は「少子化と高齢化が同時に進み、もらう人が多すぎて、従来の若い人が高齢者を支えるとする年金制度は完全に破綻、年金をもらう高齢者にも、消費税として年金財源を支払ってもらう」ということです。
そのようなまったく不公正な仕組みであっても、羊のようにおとなしく飼い慣らされたサラリーマンや元サラリーマンは、決して文句を言わないし過激な行動にも出ないという確信があるからでしょう。
次に、生活保護とは別に、失業して借金(住宅ローンなど)が返せなくなってしまった時に考える手段として「自己破産」があります。
ま、あまり格好いいことではないので、最終的な手段となりますが、少なくとも「博打や遊興費のためサラ金で借りまくり」とかではない限り(博打癖、浪費癖のある人は認められないケースあり)、弁護士に相談すれば費用はかかりますが、誰でも申請可能で、決定されれば借金はほとんど消えてなくなります。
自己破産したからと言っても、納税徴収の強制執行とは違い、テレビやパソコンなどすべての私物が押収されてしまうわけではなく、不動産など数百万円以上する高級品でない限り、通常は家電製品、家具などはそのままで生活には影響はありません。
ただお金がなくて自己破産するというのに、代理人(弁護士)への報酬支払いのために約50万円ほど費用がかかるというのは、なんとも奇妙なな仕組みです。
つまり自己破産したけりゃ必死でお金を貯めろということですが、住宅ローンの借金ともなれば借金残高が何千万円というケースもありますから、ま、仕方がないでしょう。
住宅ローンを抱えたまま自己破産をすると、裁判所が競売にかけ、成立すればその住宅からは出て行かなくてはいけません。自己破産してから住宅を競売にかけられると、思わぬ低価格で落札されてしまうことがあるのと、不動産を持ったまま破産手続をおこなうと余計に数十万円の予納金が発生します。
なので、できれば破産する前に「任意売却」をしてしまい(通常の不動産売却と同じ)、少しでも高く売り、破産する前に賃貸住宅への引っ越しを済ませておくというのが望ましいようです。
これも時代なのでしょう、任意売却を専門にしている不動産会社が急速に増えています。よくない例えですが「腐臭あるところにはハイエナが集まる」といいますから、もし任意売却をおこなうときは、甘い誘いに簡単に乗らず、債権を持つ銀行などとよく相談し、信頼できる不動産会社を選ぶのがよさそうです。
ただ、もし借金が住宅ローンだけであれば、すぐには自己破産を考えず、まずはローンを組んでいる銀行に相談するのが一番いいでしょう。
銀行も自己破産されて住宅ローンが不良債権化するより、少し譲歩しても確実に返済してもらうほうがいいに決まっています。
交渉次第ではローン期間を延長して月々の返済額を下げたり、一時的に利子分を免除して元金返済だけ(それだけで毎月の返済額は半減したりする場合あり)で済ませたりと、特別に融通を利かせてくれる場合があります。中にはビジネスライクで交渉に応じない銀行もあるでしょうけれど、相談してみるのはタダですから。
自己破産のデメリットは、しばらくのあいだ「新たなローンが組めない」「クレジットカードが作れない」などがあります。
ネット社会、クレジット社会の中でクレジットカードが作れないというのは、ちょっと痛いかもしれませんが、破産はクレジットカード会社のブラックリストに載るのと同じ事ですから自業自得で仕方がありません。
その他では一部の仕事(職業)や資格の一時停止や、郵便物の検閲等がありますが、ほとんどの人の場合は、さほど影響はないでしょう。
その他は自己破産したからといってあまり変わることはなく、就職の際に履歴書にわざわざ書く必要もなければ、勤務先に伝える必要さえありませんので、通常は他人や会社に破産したことが知られることはありません。
ただし官報には記載されますので、意識して調査された場合や、有名人の場合は、バレることがあります。
有名人が自己破産をする場合、その多くは事業の失敗か、家族や知人の連帯保証人になったことによるものです。その後も活躍されている方や、既に故人となられた方も含めて例を挙げると小林繁(元プロ野球選手)、加藤哲郎(元プロ野球選手)、香川伸行(元プロ野球選手)、岸部シロー(俳優)、大場久美子(女優)、藤田まこと(俳優)、TOSHI(歌手)、畠山みどり(歌手)、林葉直子(元棋士)、浜田幸一(元国会議員)、ジャンボ尾崎(プロゴルファー)などです。
自己破産は別に犯罪ではありませんので(債権者に損害や迷惑をかけることは事実ですが)、別にそのこと自体を気にする必要はありません。
私も経験したことのあるリストラによる失業ですが(幸い半年程度で再就職できたので自宅の売却や自己破産しなくて済みました)、当時のITバブル崩壊後の2002年と比べても、今の雇用環境はずっと厳しいと思います。
もし住宅ローンなどの借金があり、失業する可能性があるのなら、万一のことを考えて、できるだけ多くの預金をしておくのは最低限必要なことでしょう。一度贅沢な暮らしに慣れてしまうと、なかなかそれから抜け出せません。
日頃から「身の丈にあった、身の丈以下の」生活を心掛け、衝動買いをなくすため、現金は持ち歩かず、年会費の高いカードは整理し、外食や外での飲酒、付き合いも極力控えるという生活パターンを作っておくのをお勧めします。そのことによって家族との会話が増えていいこともあります。
また「自分は大丈夫」と思い込む(信じ込む)のではなく「もし会社が突然倒産したら」、「どこかに買収されたら」、「もし震災で操業不能になったら」と考えて、普段から突然失業してしまう想定をしておくことも必要だろうと思います。もはや終身雇用はあり得ないというのが最近のトレンドです。
ちまたのリストラ本には「自分の価値を高めよう」「資格をとって転職や再就職を有利に」とか書かれていますが、それらが世の中の人全部に当てはまるとは到底思えません。もし突然失業してもすぐにお誘いが来て再就職できる人や、家業の一員として加わることができる人であればなんの心配もありません。
しかし今の世の中を見ると、そうでない人のほうが絶対に多いと思われるのです。また付け焼き刃的に資格をとっても、それには年齢相応の実務経験がなければ、買い手市場の企業はなかなかそれを認めてくれません。
もし突然失業した場合、会社都合なら1カ月後から失業保険がもらえますが、それを含めて、最低でも1年間は、無職のまま住宅ローンや子供の教育費、各種税金、社会保険料、生活費等を支払い続けていくことができる計画は必要でしょう。今では上述の通り1年以内に再就職ができる可能性は決して高くはありません。
私自身、今では50代半ばに入り、転職は相当に難しく考えてもいませんが、「もし」「万一」のケースをいくつか考えておくことで、少しは気が楽になります。あと数年で子供達全員が学校から巣立ち、成人しますので、そこまではなんとか、持ちこたえて、親としての役目をしっかりと果たしていこうと思っています。
※この日記は2002年3月にスタートし、その間何度か中断もありましたが、お陰様で500回に達しました。継続は力なりと言いますが、自分の日記としてただ思いついたことや読後感想などをつらつらと書いてきました。いつまで続くかわかりませんが、金も力も名声もない、一庶民の声なき声を発信し続けられれば、自己満足ではありますが、いつかなにかのお役に立てるのではと思っています。お読みいただいた方には深く御礼申し上げます。 |
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