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この業界のことを"ど素人"があれやこれやと勝手なことを書くのはどうかと思うのですが、ネタ不足の折、公表されているデータと個人的感想を少し書き残したいと思います。

パチンコは学生の頃はほとんどせず、社会人になってから、一緒の寮住まいだった同期の男がやたらとパチンコ好きで、最初のうちはつき合いで通っていましたが、その後、仕事が終わってから暇な時にはひとりでも通うようになりました。戦績は勝ったり負けたりで総合すると確率通りやや負けってところです。

しかし幸いにも、のめり込むようなことはなく、勝っても生活用品やタバコに換えるぐらいで、まれに大勝ちした時以外は換金することもない、完全に"ど素人"の域を出ませんでした。

パチンコ台もギャンブル的なものは避け、ゆっくり少しずつ勝ったり負けたりするものを選んでいたせいでもあります。根っからギャンブルには向いていない性格で、ここ10年以上は行ってません。

その後1980年後半頃から登場してきたメダルのパチスロが大きな流行となりましたが、それにはまったく興味がわかず、さらには大当たりすれば大儲けができるものの、当たらなければ万札が瞬間になくなってしまうと言うギャンブル性が強い台が多くなってきたため次第に足が遠のくようになりました。

つまり私にとってパチンコは単にストレス発散、暇つぶし程度のものだったのです(元々はそういうものだったはずです)。パチンコ依存症の話しを聞くと、今でもなにがそんなに面白いのかな?って不思議に思います。

日本生産性本部のレジャー白書2013によると、パチンコホールの売り上げはこの20年のあいだに約40%ダウンしているということで、もう完全に構造不況業種入りをしたと言ってもいいのかも知れません。

しかしそれでもまだ年間売上高19兆円という巨大ビジネスです。

19兆円といえば、働く国民(約1億人)と企業から新たな税金として集められた東日本大震災の復興予算(当初)の19兆円と同額の規模で、世界有数企業のアップルやトヨタの年間売上額がほぼそれに匹敵し、国内全域の電力・ガスの売上も近いものがあります。とにかく巨大なのです。

売上が20年で4割も減ったとなると、店もそれなりに減少していているのかな?と思いきや、私の住まいがある神奈川県や、職場がある東京都内では、駅前や盛り場に多いど派手なネオンと騒音を撒き散らしているパチンコホールはあまり減ったような印象はありません。それは下記のような理由がありそうです。

矢野経済研究所の調べでは、2012年12月と2013年12月のパチンコホール経営企業数(ホール数ではない)を比べると、3975社から3818社へと1年でわずか4%の減少、新たにホールが出店するエリアは人口の多い東京や神奈川、埼玉、大阪、兵庫に集中しているとのことです。全体総数では減っていても、都市部では横ばいかまだ増えている可能性があります。

つまり私のように神奈川に住み東京へ通勤していると、パチンコホールの減少は気がつかない程度(逆に増えている地域もありそう)ということで、減っているのはもっぱら地方や郊外のようです。

そう言えば地方の国道をクルマで走っていると、閉鎖された巨大なパチンコホールや、さびれた駅前にシャッターが降りたままの店舗を見かけることがあります。

そうした都会のホールも今後はどうなるかと言えば、まず団塊世代をはじめ高齢者の年金が減少(あるいは増税で目減り)して、パチンコや公営ギャンブルに回るお金が年々下がっていくように思います。

今まではこうした団塊世代を中心とする中高年者がパチンコや公営ギャンブルを根っこで支えていたと言っても過言ではありません。

「スロットは若い人が多いぞ!」と言われそうですが、上記のレジャー白書の統計では、この1年間にパチンコやスロットをした人口が20年間でなんと1/3に減少してきていることがわかっています。

パチンコ遊技者が1/3に減ったのに売上は2/3にしか減っていないということは、熱心な愛好家だけが、大金をつぎ込んでいるということになるでしょう。

それはつまりパチンコをする人の裾野がたいへん狭くなり、中毒とまでは言わないまでも、習慣化した愛好家とギャンブルとして遊技する人に固定化されつつあると言ってもいいでしょう。

高齢者に多い暇つぶしのために小金を持って毎日のように通ってくる人や、若い人に多い仕事代わりに生活費を稼いでいるパチプロやセミプロなんかはまさにそうですね。

パチンコをこの1年間にしたことがあると答えた人の割合を年代別で見ると、この20年間で10代は15%が2%へ、20代は50%から18%へと大きく下がっていることからも、若い人のパチンコ離れは明かです。さらにその年代は少子化で人口も少なく、両方の負の効果が今後数年間でさらに大きく効いてくると思われます。

また遊技者の裾野が狭くなっているという証拠に、日本遊技関連事業協会のデータで、ひとりのパチンコ店の平均滞在時間(プレー時間)が、2011年と2012年との比較で3.9時間から4.6時間と、わずか1年間で42分も増加していることからもわかります。

私のような"ど素人"なら、あの騒音が激しく埃っぽくて空気も悪い中で2時間以上も座っているなど、ほとんど耐えられないことですが、そういうのが趣味で好きだったり、生活がかかっていたりする人にとっては子守歌かBGMのようなものなのでしょう。

今の若い人にとってはPCかスマホがあれば暇つぶしのゲームとしては十分でしょうし、そのスマホ代やアプリ代などが積み重なり毎月高額の支払いをしなければならないので、損をする可能性が高いパチンコに入れあげる余裕も暇もないでしょう(根気と才能があり生活費を稼いでいるパチプロは別)。

また5年以内のあいだで「パチンコを始めたり再開した」という人の割合と、「パチンコやめた」という人の割合を比較すると、「やめた」という人の割合が高くなっています。それが衰退産業であることの証明でもあります。

逆に5年以内のあいだに「始めたり再開した」人の多いレジャーはと言うと、「国内旅行」「ウォーキング」「映画」「カラオケ」「外食」などで、これはやはり団塊世代が退職した後の生活が大きく反映していそうです。

そのような社会情勢の中で、今後パチンコホールはどういう方向を目指して行くのでしょうか?

現在のパチンコやパチスロはギャンブル性が高く、習慣性や依存性もあり、今後すぐに客がいなくなるということはないにしても、やはりその形態はニーズに合わせて変わっていかざるを得ません。

ひとつは海外への進出です。世界にはまだ多くの発展途上国があり、そうした国が経済成長していく中で、国民の適度な息抜きとも言えるレジャーが不可欠になっていきます。

日本の高度成長期の手軽なレジャーとして発展してきたパチンコは、当時のようにギャンブル性を薄めれば受け入れてくれる国はありそうです。

次に、国内ではすでに多くの女性パチンカーを見かけますが、男性よりも7年近くも寿命が長い女性高齢者をどれほど安定して取り込めるかというのが直近の課題でしょう。

意外と高齢者とパチンコとの相性は悪くないのです。暇もあれば、亡くなった旦那が残してくれた遺産も遺族年金もある女性高齢者が、暇つぶしのために毎日通ってくれるようになれば、その数は半端なく多いだけに最大の狙い所でしょう。

病院の待合室と同様、女性高齢者が毎日欠かさず訪れ井戸端会議の場として、また孫のお菓子や夕食のおかずの一品でもゲットできるようにし向ければいいのです。景品交換所に揚げたてコロッケやひじきの和え物が並ぶ日も近い?

とかく脱税疑惑や某国との関係をやり玉に挙げ、パチンコ業界を批判し、またその巨大な利権を必死に守ろうとする警察組織を糾弾する人もいますが、これだけ巨大な産業となって、それで生活(ホール従業員や機器製造メーカー従業員)をしている人達も多いことから、規制を強めるにしても着地点と業界の将来設計が必要となるでしょう。

一方では国内カジノを解禁しようという構想が着々と進む中、パチンコ業界もカジノに反発したり、パチンコはあくまでギャンブルとは違うと言い張って無視を決め込むのではなく、互いに協調してギャンブル業界の再編とクリーン化、利権の排除などを進めていく必要があるのかも知れません。それが一番難しい大きな課題ではあるでしょうけど。

もし国内にカジノが出来るようになったとしても、アメリカ資本や中国資本のカジノ王にいいようにされるのではなく、それこそパチンコ業界が一致協力して乗りだして、日本独自のクリーンなハイテクカジノを目指していってらいたいものです。


【関連リンク】
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765 労働生産性はむやみに上げるもんじゃない
755 電子書籍を普及させるには
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