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日本は世界の国と比較して労働生産性が低いと言われています。どれぐらい低いかと言えば下記のOECDが発表する統計データを元にした数値とグラフがよく使われています。

労働生産性上位30国




1人当たり国内総生産とは、その国の国内総生産額(GDP)を総人口で割った数値で、労働生産性は就業人数で割った数字です。日本のように少子化でリタイヤした高齢者の比率が急激に進むと就業人口が大きく減ってきますので、もしGDPに変化がなければ1人当たりGDPや労働生産性は今後高まっていく可能性があります。

1人当たりGDPと労働生産性のトップはルクセンブルグで、人口が少ない(486,000人)割りに重工業が発達していて、さらに国際的な金融センターもあり、それらが効率よく機能していて労働生産性が高くなるそうです。その他比較的人口が少なく、その国が推し進める主要産業がヒットしている国々が上位にきています。

日本は主要先進七カ国(黄色)の中では労働生産性は最も低く、国民1人当たりのGDPでも最下位のイタリアに続きブービーという散々な状況です。

これらを見て、日本人の労働生産性の低さを嘆く人が多いのですが、私はそれにはなにも関心がありません。

私も30年以上社会人をやってきて、その中ではわずかな期間ながら外国人(アメリカ人、カナダ人、香港人、韓国人、インド人、ドイツ人)と一緒に仕事をやってきた経験があり、彼らの仕事に対する考え方や、合理性にうなづく点は多々ありました。

そして平均的な日本の会社では仕事の進め方や時間の使い方に無駄が多いと感じたこともあります。一般的に「お役所仕事」と言えばもっとも効率が悪い保守的で前例主義の働き方で、それが今までの代表的な日本の生産性です。

それでもやっぱり、この日本人の特性や感性を考えると単に「労働生産性を上げる」ことはいいことだと思わないのです。

わかりやすく説明すると、製造業において労働生産性を上げるというのは、「生産効率を上げ同じ時間で同じ(ような)製品をたくさん作る」「人がやっていたことを正確で速い機械(ロボット)に置き換える」「安い労働力の海外へ工場を移転する」などが考えられます。

しかし「生産性を上げる」の名の下に、それまで人が丁寧に作り込んでいた製品を、効率とスピードを重視するばかりに精度が落ちてしまったり(品質劣化)、検品ではギリギリセーフの不良製品が多く混じったり(歩留まり悪化、初期不良の増加)、機械(ロボット)で作ることを優先し(失業者増加)、製品の機能やデザイン、美的センスが失われたり(製品の画一化、製品を使い続けたいというファンやロイヤリティの高い消費者減少)していきます。

1970年代以降から1980年代の日本の工業製品はそれこそ世界を席巻していたと言ってもよいでしょう。その頃でもすでに「労働生産性」という意味ではトヨタの「カンバン方式」や米国から持ってきた大量生産のノウハウが生かされていましたが、現在製造業の現場でおこなわれているほどの究極的なものではありません。

そして当時日本で作られたMade in JAPANの製品は、今では過剰品質とも言えるほどの「質がよくて壊れない」という伝説を作り上げることができました。

なんしろアメリカの高価で精巧な誘導ミサイルに使われている部品より、ソニーのビデオデッキに使われている部品のほうがはるかに精度が高かったという時代です。

また例え製品が壊れても「修理が簡単にでき、交換部品もすぐに手に入る」ことも大きなメリットでした。

それが90年代以降経済成長が止まり、製造業が軒並み目一杯のコスト削減や、それこそ労働生産性を上げてライバルに打ち勝つため、そして利益を出すため必死で改革を推し進めました。

その結果どうなったかと言えば、工場の海外移転と大量の失業者、工業製品の品質低下、そしてMade in JAPANの崩壊です。すでに日本が世界に誇った家電製品や、最近はバイクや自動車まで海外生産する時代となりました。

日本だから作れるという工業製品は、極めて特殊で精緻を極めたいわば芸術的作品のみとなり、最近の海外製の家電は安いけれど初期不良が多く、また耐久性がなくてすぐに壊れ、中の主要な部品はブラックボックス化されていて簡単には修理ができないという「次は買いたくない3拍子」が揃ってています。労働生産性をむやみに上げてきた結果、このようなつまらないことが起きたわけです。

さらに日本の労働生産性を産業別に見ると、すでに製造業の労働生産性は主要7カ国中ではアメリカに次いで第2位と高くなっています。つまり低いと言われる労働生産性は製造業以外のところで起きていることがわかります。

他国と比べて労働生産性が低い業種は卸し業、小売業、飲食業、金融業、不動産業、建設業と言ったところです。

では小売業や飲食業の労働生産性を上げるにはどうすればいいでしょうか?

答えは「お・も・て・な・し」の心をスパッとやめてしまえば労働生産性は上がります

店員を大幅に削減し、わざわざ来店時の挨拶やお声掛けは不要、いちいち客の好みを聞いてアドバイスをしたり、客に水やおしぼりを運ぶなんてのも効率が悪いので廃止。店員数を極限まで減らし、単なるレジ打ちやセルフサービスにしてしまえばいいのです。

それで(客が減らなければ)生産性はグッと上がります。味で勝負の行列のできるラーメン店などではすぐに実践できそうです。

不動産業にしても、法律で定められている「重要事項説明」なんてしち面倒臭いことは規制緩和して廃止し、宅建などの資格も大幅緩和、誰でも参入が容易にすることでずっと効率は高まるでしょう。

大きな建物を造る際の近隣住民説明なんて義務も手間がかかりすぎるので廃止。賃貸マンションの紹介もわざわざ従業員がクルマで送迎して何部屋も見て回るなんて無駄の骨頂は即刻廃止し、客には間取り図とGoogleストリートビューや動画を見てもらい即決してもらいます。

金融業もお金のない若者や中小零細企業などは相手にせず、お金持ちの高齢者や大企業、優良企業だけを優遇するサービスを展開。

一流の銀行や証券会社で口座を作るには個人で1千万円以上、法人なら1億円以上の貯金が必須とか。銀行が相手にしない貧乏人や零細企業にはきっとサラ金や闇金、地元の信用金庫、JAなどが相手にしてくれるでしょう。

日本では就業人員がこれからどんどんと減っていくのですから、効率の悪い貧乏人相手の仕事や無駄が多い仕事を次々と廃し、もっと生産性が高く、高付加価値を生みだす仕事に就かせなくてはなりません。

・・・という日本がお好みであれば、自然と労働生産性は向上していくのでしょう。私は嫌だけどね。

繰り返すと、労働生産性を上げようというのは、政治家や経営者にとっては願ったりかなったりのことで、誰も反対しません。だってそれによって自分(政治家や経営者)は名を上げたり儲かるわけですから。

では雇われている人が、労働生産性を上げることは?

考え方ですが、労働生産性を上げたことで、それによって浮いた時間が自分のために回せるのか?と言えば、それは現実的ではなく、浮いた時間は新たに別の仕事や労働生産性の低い人の仕事をを余分に入れられ、そして「もっと労働生産性を上げようね」でお終いっていうのが実際のところでしょう。

また労働生産性が向上したことで、その分の売上が伸びて給与にも反映されれば経営者も従業員もお互いハッピーですが、人口が減っていく国内向け、新興国との競争が激しい海外向けの市場においても、今後大きく成長し規模が拡大していく産業というものはほとんどありません。規模が拡大せずに生産性だけ上がると、結局は雇用が減っていくだけです。

一部の外資系企業のように、個人個人の具体的な目標がハッキリと決められていて、それを半期か四半期ごとにクリアさえすれば、あとは勤務中になにをしていようと、時間をどう使おうと勝手というところなら、自分の労働生産性を頑張って上げて、例え部下や同僚が苦しんでいても見て見ぬふりをして定時でさっさと帰社し、ひとりだけ長い有給休暇を取るのもアリでしょうけど、今のほとんどの日本企業でそのようなことが許される環境ではないことは誰でも知っているはずです。

よかれと思い自分の労働生産性を頑張って上げ、そして労働生産性の低い部下や上司の分まで仕事を回され、そのせいでストレスや疲労がたまり、とうとう身体を壊して、、、というようにならないことを願うばかりです。

但し、競争の激しい民間企業の中では、個人の労働生産性が周囲と比べて著しく低い場合、昨今は真っ先にリストラの対象となる可能性があります。なので決して個人の労働生産性が低いことをただ推奨しているわけではなく、身体をこわさない程度にほどほどにねって言うことです。


【関連リンク】
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