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耳にはずっと異常がないと思っていましたが、ここのところ、特に高音域が聞き取りにくくなってきたなぁと実感しています。これは老化が原因の「加齢性難聴」または「老人性難聴」というものなのかと思い始めているところです。
前に書いた「耳鳴りは治るのか?」とも関係がありそうです。
「加齢性難聴」「老人性難聴」は文字通りに解釈すると「老人=60代以降」の病気かと思いがちですが、早ければ30代、40代からでも症状が出るそうで、平均的には50代から現れ、60代では約4割、70代になると6割ぐらいの人が罹ると言われています。
そう歳を取ると老眼になったりするのと同様、耳が遠くなるのは自然なことなんですね。
高齢者の多くは耳が遠く、何度も繰り返し聞き返されることが多くなるので、それがだんだんと面倒くさくなり、やがては会話をしなくなたりすることが多いです。
ご近所に住む60代後半のリタイヤしたご主人もまさにそれで、時候の挨拶をした時でも「え、なに?」って何度も聞き返されますので、ちょっとうんざりしてます。でもうんざりしちゃダメですね。
加齢による難聴の多くは「感音性難聴」ともいい、音が聞こえても言葉が聞き取りづらいというのが特徴だそうです。まるで聞こえないというのではなく「音は聞こえるけれど何を言っているのかわからない」というヒアリング能力の低下みたいなものです。
音域は特に高周波数域の7500ヘルツ以上、つまり高い音域の音を聞きとるのが難しくなるようです。これに多く該当するのが女性の高い声(音)なのです。
もう亡くなった私の父も、昔NHKのニュースを見ていて「この人ワーワー言っているだけでなにを言っているのかさっぱりわからない」と言って怒っていました。一緒に聞いていると、その時の私には普通に聞こえているのにです。
声を商売にしているNHKのアナウンサーでも、高めの声の人がいますが、この場合、老人性難聴の人には「なにかワーワー言っているだけで、さっぱりわからない」というクレームにつながります。
高齢化社会においては、男性女性にかかわらず、アナウンサーには低音でゆっくりしゃべる技能が求められます。高齢化社会で、しかもテレビを見るのは若い人より高齢者の割合がずっと高いのだから、これからは局も気をつけた配置をしなければいけませんね。
私自身が「加齢性難聴」の気配を感じたのは、そうしたテレビの女性アナウンサーの声が全般的に聞き取りにくくなってきたこと、電車の騒音の中での放送が以前よりも聞き取りにくくなってきたと感じること、そして先日ある洋菓子店で買い物をした時、陳列ケースを挟んですぐ目の前の女性店員さんが小声でぼそぼそとなにかをしゃべっていたのがまったく聞き取れず、「これはなにか変だぞ」って衝撃を受けたからです。
結局は店員さんには3回同じことを繰り返して言ってもらって、ようやく「ギフト用の箱もありますがどうしますか?」って聞かれたことがわかりました。近所の耳が悪いご老人のことを言えませんね。
週末で賑わっている広いデパートの中で、周囲が騒がしかったことと、その女性の声が高かったことで、最初の2回はなにかを言っている声は聞こえるものの、何を言ったかはまったくわかりませんでした。
老人性難聴が進むと、特にカ行、サ行、ハ行が聞き取りにくいそうで、上記で言えば「ギフト用の箱」の「ギフ」と「ハコ」がちゃんと聞こえないとなにを言っているのか想像すらできません。
「カクテルパーティー効果」というのは、難聴とはちょっと違いますが、自分が聞きたい声や音だけ選択的聴取できる能力のことで、健康な人には自然に備わっています。そういう周囲が騒がしい場所においても耳が健康であればたぶん聞こえるはずなのに、聴力器官の老化で劣化してきているようです。
こうした「大勢のなかでの会話が聞き取れない」というのも、老人性難聴の特徴と言われていますので、まさにその傾向が強まってきたのだろうと思います。
この難聴は男女別では男性の方が圧倒的に数が多いそうで、理由としては日常様々な騒音に接することが男性の方が多いせいと言われています。
昔は男性は外で働き、女性は家でという風習がありましたが、いまはそうした区分もほとんどなくなっていますので、今後は男女とも老人性難聴に罹る割合は近づいてくるのではないでしょうか。
一時期若年性難聴の原因とも言われたウォークマンなど携帯プレーヤーが登場したのは1979年で、私が大学4年生の頃です。幸か不幸か当時おしゃれなシティーボーイではなかったので、それらに興味はなく、聴覚に悪そうな習慣はつきませんでした。
私よりも多少後の世代(現在40歳~50歳ぐらい?)が、価格もこなれてきてウォークマンやその後のiPodなどともっとも相性がよく、したがって若いうちから加齢性難聴に罹りやすい世代となるのではないでしょうか。
私がウォークマンではないけれど似たようなヘッドフォン式カセットテープ再生機を買ったのは、社会人になり、海外勤務をする前に、英語を勉強しようかと買った1983年頃だったと記憶しています。でも実際はヘッドホンがどうも耳に合わず、ほとんど使うことはありませんでした。
あと、耳鳴りや難聴に関して、私は若い頃から慢性鼻炎を煩っていて、耳とつながっている鼻の悪い影響も多少なり関係しているのかも知れません。鼻炎や蓄膿など鼻に病気のある人は、特に加齢性難聴に注意が必要でしょう。
一時的な難聴とは違い、老人性難聴に一度罹ってしまうと投薬や手術等で回復させる方法はないそうです。なので罹ってしまったらあとは進行を遅らせるしか対策はありません。そして進行すれば補聴器に頼ることになります。
補聴器をすればいいのに、耳が悪いことをいつまでも認めようとせず、何度も「えっ?えっ?」と聞き返してばかりいる高齢者がいますが、話し相手にしてみたら何度も繰り返してしゃべるのはひどく疲れます。そのあたり本人の自覚と周囲への配慮というものが必要ではないでしょうか。
ただし補聴器は医療機器とされていますが、難聴レベルでは原則医療保険の対象にもなりません。ネット通販では安いものは数千円からありますが、実用的で高性能なものは本体が何十万円と高価なものが主流です。
高価な医療機器でも年末調整で所得税が戻ってくる医療費控除の対象にはなりません。そこのところがちょっとハードルは高そうです。目の悪い人の眼鏡と同じ理屈ですね。
高齢社会の中で、ますます需要が高まってくる補聴器ですが、眼鏡についてはJINSなどが、それまで閉鎖的で高価格を維持してきた業界常識を覆してきたように、補聴器も、もっとカジュアルでお洒落、しかも高性能っていう製品が格安で充実してくることを願っています。今主流にある本格的な補聴器ははどう考えても高過ぎです。
耳鳴りと難聴にはまったく困ったものです。今のところ健康診断でおこなうレベルの音は問題なく聞き取れますが、こうした器官は進行期にはいると一気に進みそうで、先が思いやられます。
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