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新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
半世紀近く前、小学生の頃に兄がもっていた挿絵入りの本で読んだ記憶があるものの、内容をさっぱり覚えていなくて再度読み返しです。
著者宮沢賢治は岩手の詩人、児童作家で、1933年に37歳という若さで亡くなり、表題作は草稿として発見され、翌年に発刊されました。そのため、ところどころブランクがあったり、ページが飛んでいたりする箇所があります。そのため小説としてはまだ「未完成」の状態であり、内容の解釈は研究者や読者によって様々にとらえることができ、それもまた不思議な魅力となっています。
この文庫には有名な表題作「銀河鉄道の夜」の他、「双子の星」「よだかの星」「カイロ団長」「黄いろのトマト」「ひのきとひなげし」「シグナルとシグナレス」「マリヴロンと少女」「オツベルと象」「猫の事務所」「北守将軍と三人兄弟の医者」「セロ弾きのゴーシュ」「飢餓陣営」「ビジテリアン大祭」の14編が収められています。著作権が切れているので青空文庫でも読めるはずです。
宮沢賢治氏の文章にはすでに言われているように造語や比喩が多用されていて、それが読み手からすると想像力をたくましくさせます。ただそれだけにどう解釈していいかわからない、難しいということが言えます。
この未完の小説から派生したものは、小説、映画、ドラマ、コミック、ミュージカル、演劇など多くあり、またこの小説の響を受けた作品も数知れず、有名な松本零士氏の「銀河鉄道999」などもそのひとつとなっています。
起承転結があり、登場人物がハッキリしている現代小説に慣れた身としては、他の短編小説含め、なかなか読むのに苦労します(すぐに眠たくなる)が、頭の中を真っ白にして子供の頃に帰ったつもりで読むと、スーと入ってきますのでお勧めです。
★★☆
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切れない糸 (創元推理文庫)
2005年に発表され2009年に文庫化された作品です。著者の作品はデビュー作「青空の卵
2月後半の読書 和菓子のアン
軽めの連作短編小説が多い作家さんで、この作品もその形式です。
そうした作風を見ると同じ覆面作家として活躍している鯨統一郎氏の作品とも共通するところがあり、違いは、坂木氏がお仕事系小説なのに対して、鯨氏は歴史モノ、偉人伝モノが多いということでしょうか。どちらも気軽な気分でシャーロックホームズ的な謎解きミステリー小説が読めるという点は共通しています。
内容は東京下町でクリーニング店を営む家の息子が主人公で、大学を出て、さぁ企業に就職という時に、父親が亡くなり家業を継ぐことになってしまいました。
同じく就職せずに近所の喫茶店でアルバイトをしている大学時代の友人が、主人公の周辺で起きる謎を解き明かしてくれるのは、「引きこもり探偵シリーズ」がデビューした「青空の卵」と共通するパターンです。
それぞれの謎の落としどころは、途中でほとんどわかってしまいますが、それでも刑事コロンボのように、謎がわかっていてもそれを解き明かしていく過程におもしろさがあり、気軽に読めるミステリーとしてお勧めです。
★☆☆
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音もなく少女は (文春文庫)
2011年版このミステリーがすごい!(海外編)で第2位になった作品です。ちなみに同賞3位だった「卵をめぐる祖父の戦争
2月後半の読書と感想、書評「卵をめぐる祖父の戦争」
日本語翻訳版の発刊は2010年ですが、なぜか本国(米国)で発刊されたのは2012年と不思議な順序となっています。
著者はアメリカ在住の覆面作家で、生年月日等も不明ですが、デビュー作「神は銃弾
ストーリーは麻薬の売人の父親を持つ耳の不自由な少女が主人公で、1950年代から70年代のアメリカの底辺に暮らす人々とその社会が舞台の小説です。
母親は父親の手によって殺されてしまいますが、闇へと葬られ罪に問われることはありません。少女は母親の友人で手話のできるドイツ系の中年女性によって保護されますが、法的には麻薬販売を生業としている父親が唯一の法的な保護者であり係累という難しい関係です。
麻薬取引にも利用されてきた少女を父親から引き離すため、父親の要求通りに多額のお金を渡すなど様々な努力をします。
やがて、少女はアメリカで成人とされる18歳になり、ようやく父親から法的に離れることができますが、今度は聾学校で知り合った少女を薬中毒の母親から引き離したことで、やはり売人のその子の父親から様々な嫌がらせを受けることになります。
とにかく話しの中身は身体障害や人種的な差別、偏見と、街にあふれる麻薬、暴力、貧困などに満ちあふれていて、読んでいてつらく暗澹たる思いをすることになります。
同年代のドラマと言えば「名犬ラッシー
ただ、どうなのでしょうか、1950~70年代のアメリカ社会を浮き彫りにして、写実的には優れていると思いますが、小説として良くできているのかというと、あまりピンときません。期待が大きかっただけに、ちょっと残念な感じです。
★☆☆
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SOSの猿 (中公文庫)
2009年に単行本、2011年に文庫化された長編小説です。この作品は漫画家の五十嵐大介氏との競作企画で生まれた作品というちょっと変わった性質の作品となっています。したがって五十嵐大介氏の「SARU」という漫画と共通性があるそうです、読んでいないので知りませんが。
内容は、二人の主人公、家電量販店店員の遠藤二郎が副業としておこなっているエクソシスト(悪魔祓い)の物語「私の話」と、システム開発会社の品質管理調査員五十嵐真がクライアントの証券会社で起きた300億円の損失につながる株の誤発注事件調査の物語の「猿の話」とが交互に展開されていきます。ここでいう猿とは西遊記に登場する孫悟空と思っていて間違いないでしょう。
それだけ聞くとなんのこっちゃ?って思われますが、話しの中程まではやはりこの二つの物語はそれぞれなんのこっちゃ?って感じがずっと続きます。そこは頑張ってしのいでしのいで、二つの物語がぶつかり合うクライマックスへ向かっていくのです。
ただ、中盤から終盤にかけて、コンステレーションとかユングやフロイト、夢の分析、エジプト学者のドロシーとか出てきた日には、もう瞼がすぐに重たくなってきて、寝る前に読む本としては致命的にきつく、分量からすれば1時間×3日もあれば十分読めるところを睡魔との戦いで1週間ぐらいかかってしまいました。少なくとも疲れたときや寝る前に読む小説ではなさそうです。
★☆☆
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