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今回は国交省が出している「平成27年度住宅経済関連データ」から、住宅事情や空き家問題について見てみます。

住宅経済関連データ - 国土交通省

まずは高度成長期1968年から5年ごとの総世帯数と住宅総戸数、持ち家率をグラフにしました。



人口減少に転じた後も、総世帯数がずっと伸び続けているのは、核家族化や単身での居住が進み、1世帯あたりの人数が徐々に減っていることによります。

特に子供が就職や結婚で家を出て、高齢の親だけが住む世帯がここにきて急速に増えているようです。

ざっくり言えば住宅総数-総世帯数が広義で言う空き家数に近いと思われます。

もちろんその中には別荘や事務所として使っていたりして空き家とは言えなかったり、複数世帯が1つの住居に住んでいるケースも多くありますので空き家数そのものではありません。

ただ住宅総数-総世帯数が近年かなり拡がっているのが実質の空き家が増えているという実感と重なります。

不景気が続き、マイカーや高級家電品など、所有する価値観は薄れつつあると思っていましたが、持ち家比率は1980年代前半から1990年代前半までいったんは下落してましたが、その後バルブ崩壊以降、緩やかではあるものの、ずっと上昇しているのは興味深いところです。日本人の持ち家神話はまだまだ健在ということでしょうか。

  ◇  ◇  ◇

次に社会問題化しつつある空き家の推移です。

一般的に言う「空き家」とは、居住者がいない「狭義の空き家」と、その狭義の空き家を含み、その他別荘や建築中の家など、本来の空き家ではないけれど普段は誰も居住していない住宅を含む「広義の空き家」の2種類があります。

下記のグラフは、水色が狭義の空き家、黄色が広義の空き家(居住世帯なしの住宅)で表し、折れ線グラフは広義の空き家率で示しています。



平成25年(2013年)の空き家率は14.1%で、5年前より0.2%上昇していて、20年後の平成45年(2033年)には空き家率は30%を超えるという予測(出典:野村総合研究所)が出されています。ちなみに純粋な狭義の空き家だけだと2013年は13.5%となります。

都市部にある空き家は持ち主次第で若者のシェアハウス、旅行客不足を補うための民泊、高齢者のグループホーム、保育園など活用の道がありますが、地方や交通の便が悪い郊外の住宅の空き家は今後も増え続けていくのでしょう。

空き家対策と言うと、崩れそうな古家をどうするか、宅地優遇の固定資産税、空き家活用支援などが言われますが、それらはどれもお金持ち(資産持ち)優遇策に他ならず、そうしたところに税金を投入するぐらいなら、入居するのに何年もかかる特別養護老人ホームの拡充など他にもっと使うべきところがありそうです。

  ◇  ◇  ◇

次は住宅リフォームについてです。一見すると新聞のチラシやテレビでのリフォーム番組の影響、高齢化世帯の増加によるバリアフリー化需要もあり、すごく活況を浴びているかのような錯覚を覚えますが、矢野経済研究所の調査報告では、2015年は前年比で微減、その後も横ばいが続くだろうという予測です。

国土交通省の「住宅市場動向調査」(リフォーム実施者の複数回答)では、リフォームの内容として多い順番に、

 1)住宅内の設備の改善、変更(49.4%)
 2)内装の模様替え(43.1%)
 3)住宅街の改善、変更(32.7%)
 4)冷暖房設備等の変更(20.1%)
 5)高齢者等に配慮した設備(11.5%)
 6)壁の位置変更など間取りの変更(11.2%)
 7)住宅の構造に関する改善、変更(8.6%)

となっています。5番目の「高齢者等に配慮した設備」がもっと上位にくるのかと思っていましたが意外でした。

しかし今はまだ元気な人が多い団塊世代が、後期高齢者になっていく今後10年間でそうしたリフォームが急拡大していきそうな予感がしますが、消費税増税前の駆け込みや、リフォーム補助制度などとの兼ね合いもありそうです。

またリフォーム屋さんにとっては、どこの業者もベテランの職人さんが高齢化してしまい、人不足で若い人も集められず、どこも工事を行う人材不足で苦慮していると聞きます。

今の高齢者も二極化していて、お金持ちはリフォームするぐらいなら新しく建て替えするか、タワーマンションにでも引っ越してしまい、そうしたまとまったお金がない高齢者世帯が、少額でできるリフォームをするのではないでしょうか。

高齢者にお金持ちが多いとすると、新築や再建築が増えてくるはずなので、「新築・再建築戸数推移」も調べてみました。



持ち家の建て替えだけでなく、賃貸用住宅など含めての新築と建て替え戸数の推移ですが、この20年間を見る限りでは新築戸数と、その中に含まれる再建築戸数とも減少傾向にあるようです。

20年前の1994年には新築戸数が1561千戸、そのうち再建築戸数は389千戸ありましたが、2014年はそれぞれ880千戸(1994年比56%)、80千戸(同21%)とそれぞれ大きく減らし、中でも再建築戸数は1994年の2割にまで大きく減少しています。

新築住宅の中に占める再建率も21.7%からわずか9.1%まで下がってきています。これは以前は30年と言われていた日本の住宅の耐用年数が伸びてきたことが影響していると思われます。

確かに戦後まもなく建てられた住宅は柱も細く耐震性もありませんでしたが、1981年に改正された新耐震基準の影響もあり、80年代以降に建てられた住宅はそれまでのものと比べると頑丈そうです。

テレビのビフォー・アフターは割りと好きで時々録画しておいて見ています。ただあれはテレビ的に絵になり、建築士の腕前が試される派手なリフォームが多く、古民家を基礎からやり直したりして、これじゃ建て替えた方が安くつきそうと思うものが少なくありません。

費用も(デザイン料含まず)数千万円用意しないと見違えるほどの十分なリフォームにはならず、安い住宅メーカーなら十分に新築できそうです。

しかしあの番組が、再建築せず、リフォームでなんとか取り繕う提案を日本に広めた功績は大きいと思います。

一般的に住宅メーカーはもちろん、工務店はリフォームよりもゼロから新築するほうが楽で、実入りも良さそうですから、施主がリフォームできるってことを知らなければ、業者の言うままに新築(再建築)するのが今までの通例だったのでしょう。

日本の住宅(都市部や都市郊外の建て売り一戸建て住宅)はせいぜい30~40年しか持たないというのは、木造住宅が多いのと、地震が多く、また湿気が多い環境のせいでもありますが、団塊世代が競って持ち家を購入した1980年代から30数年が過ぎ、住宅の寿命が近づいており、リフォームをするか、建て替えるか、あるいは売却して住み替えるかの時期がもうそこに迫ってきていると考えられます。


【関連リンク】
810 高齢者向けビジネス(第1部 居住編)
807 労働人口と非労働人口推移と完全失業率
788 浴室のユニットバス化リフォーム工事完了
738 日本人の年齢別死因は
489 生産年齢人口の推移とは


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空き家がいっぱい
私が住んでいる地域は、信じられないでしょうが、平均年齢が75歳ぐらいです。大きな家に一人暮らしなんてザラです。地域の空き家を全部解体したら今より見渡しが良くなるでしょう!でも空き家を解体するのにもかなりの金額になるし経済的にもどうしょうようもない状態のケースが、多いです。私自身親から受け継いだ築50年のボロ屋に年老いた母親と住んでおります。今年は、シロアリの駆除をシロアリの駆除から始まり外壁の取り替え等かなりのお金を使いました。おかげで手持ちが少なくなりました。これで当分大丈夫だと思いますが、私がいなくなったらどうしようかと考えなくてはなりません53歳老後の準備を少しずつ始めてはおりますが、悩みは、つきません
2016-11-03 Thu 16:10
すいか
RE:空き家がいっぱい
すいかさんこんにちは!コメントありがとうございます。

そうですか、地域によるのでしょうけど、空き家が急増しているみたいですねぇ。
また空き家にならないようにと維持するのにはお金がかかりそうで、結局は放置したままの家も増えていきそうです。
一通り修繕されたのですね?屋根とか水回りとか、一気に悪いところがやってきますからホント資金がたいへんです。

うちも屋根と外壁の塗装、トイレのリフォームをそろそろやらねばと思ってます。
2016-11-03 Thu 17:38
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