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50代も後半に入る頃から、引退後の老後資金のことが頭の中をよぎるようになってきます。

もっとも最近だと、退職金がいっぱい手に入る人以外は、60歳定年でスパッと引退できるわけでもなく、老齢年金が満額支給される65歳までは、雇用延長などして、どうにか収入の目処を立てないと下流老人へ真っ逆さまです。住宅ローンなど抱えていた日には目も当てられません(ハイ、私のことです)。

しかし世の中の平均的なモデルとしては、今でも40年近い終身雇用で働いてきて、60歳定年で退職金が2000万円とか3000万円とか手に入るというモデルが主流を占めています。これって公務員とか大企業の永年勤務者のことですよね?

おそらく国民の過半数以上は、こうした60歳で退職金が3000万円とかもらえないと思うのですが、いやいやそれでも統計上は60歳以上の高齢者世帯の預貯金はいきなり数千万円単位で上昇することから、私の周囲ではそういうことは一切聞かないのですが、単に知らないだけでしょうか。

平成26年公務員(常勤一般職員)の退職手当平均は大卒で2167万円、民間企業の退職金平均は大卒で1941万円(厚生労働省の平成25年就労条件総合条件総合調査)となっているそうですから、公務員でも上級職や民間企業で管理職、役員等で退職すれば、3000万円の退職金も当然あり得ますね。但し民間で退職金がもらえるのは4人にひとりということです。

さて、総務省統計局が5月に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)」では、二人以上の世帯における2016年平均貯蓄は1820万円とありました。



平均で1820万円かぁ~って我が身を振り返りつつ、しばし沈思黙考しまいます。もちろん私の貯蓄残高は、その平均の1/4にも達しませんので落ち込むことになります。さらに今の勤務先には退職金という制度はありません。

ま、こういう統計には裏があってさ」と軽々しくスルーするのも悪くはないですが、これから先の国の様々な政策や規制はこうした統計データを元にして学者などが机上の論理で作っていったりしますので、本来は他人事ではありません。いずれ我が身に降りかかってくることになります。

つまり、これだけみな預金があるなら、国が借金を増やしても大丈夫。医療費や社会保障だけでなく、今までのように老年層だけでなく、最近やかましい若年層へのバラマキも必要だし、騒々しい隣国対策の防衛費やテロ対策、老朽化したインフラの更新、なにより天下りが厳しくなってきた故にそれに変わる公務員天国を維持するための予算分捕りなどいくらでもお金は必要と。

ま、それらはさておき、平均貯蓄額1820万円についてもう少し分析をしてみます。

平均1820万円と言っても巨額の資産を持つ人がいればそれに引きずられて平均金額は高くなります。

例えば10世帯のうち1世帯に1億円の預貯金があり、残りの9世帯が預貯金ゼロでもその10世帯の平均は1千万円となります。9割の世帯が預貯金がゼロなのに、平均の預貯金が1千万円って言われても実感が湧きません。

そこで見方を変えてみますと、世帯分布の中央値(世帯データを順に並べてその真ん中)を見ると預貯金の額は1064万円となります。また預貯金がない(=0円)という人も含めると中央値は996万円となります。なんとなく少し近づいてきたかも、、、

次にデータの中でもっとも頻度が高い(ボリュームゾーン)最頻値の預貯金の額はと見ると、これがなんと100万円以下となっています。上記の例で9割の世帯が預貯金がゼロ円と書きましたが、それに近いような感じです。

「なんだ、一部の大金持ちによって作られたマジックか~」って思うのは早計で、前から言われているように、預貯金の平均を引き上げているのは一部のお金持ちではなく、退職金をもらい、満額の年金をもらって暮らす高齢者達なのです。

世帯ごとの年齢を見ていくと、60歳以上では平均預貯金額は2000万円を軽く超えています。40歳未満だと平均で547万円ですので、60歳頃を境に急激に預貯金が増える=退職金と考えられそうです。

また子育てや住宅ローンもおおよそ50代~60歳ぐらいで終え、今まで収入が右から左へと消えていったのが、その分を預貯金へ回せるようになってきたとも考えられそうです。

しかも60歳以上の世帯の約8割は持ち家だったりします。この持ち家の評価額は預貯金に含まれていませんので、預貯金だけでなく、保有資産額で見るともっと多くなることは間違いないでしょう。

みなさん、意外にちゃんと計画的に老後の計画をやっているんですねぇ、、、

「年金を支払っても老後でもらえないかも知れない」とか言って、若いときには老後の資金なんてまず考えない人も多そうですが、結局は高齢になると頼らざるを得ないのが年金という仕組みです。生活保護は緊急避難的な性質で、最後の手段ですから最初からそれをあてにするのは間違っています。

「自分以外の多くの人は、ちゃんと老後のことを考えて、それなりに対策をしている」ということを、早くに理解しておかないと、私みたいに60歳間際になって愕然とする羽目に陥ります。


【関連リンク】
1011 定年後の生活資金設計
921  もらえる年金の額はモデルケースとは違うということ
795  定年リタイア時の必要貯蓄額と生涯住宅費用



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