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1218
子供の頃というからもう半世紀も前のことですが、そのとき小学校の社会科で教えられたのは、「日本は石油や鉄などの資源を輸入して、自動車や船など工業製品を輸出する加工貿易の国」という話しを覚えています。

ま、50年経った今でもその状況は変わっていないと思いますが、最近(2016年度)の日本の輸入品目と輸出品目を調べてみました。

出典は、昨今なにかと悪い話題が多く信頼が崩壊している?財務省(関税局)のデータからです。

まず、ここ20年間の輸出入金額の推移です。



2007年までは好調に貿易黒字で推移していたものの、リーマンショックで一気に落ち込み、2011年の東日本大震災以降は原油の緊急輸入が増加し、輸入超過(貿易赤字)に陥りましたが、2016年になってようやく輸出が輸入を上回るようになりました。

品目別では、2016年度総額71.5兆円の輸出品目の順位は、

1) 輸送用機器(自動車やトラック、電車、船など) 17.4兆円
2) 一般機械(原動機、ポンプ、電算機部品など) 14兆円
3) 電気機器(半導体、電子部品、電算機など) 12.6兆円
4) 原料別製品 8兆円
5) 化学製品 7.3兆円

上位3つの品目で輸出総額の62%、上位5つで83%を占めています。

2016年度総額67.5兆円の輸入品目ですが、

1) 鉱物性燃料(石油、石炭、天然ガスなど) 13.1兆円
2) 電気機器(通信機、半導体、音響・映像機器など) 10.8兆円
3) 化学製品(医薬品、有機化合物) 7.1兆円
4) 食料品 6.4兆円
4) 一般機械(電算機器など) 6.4兆円

上位3つで46%、上位5つで65%を占めています。

ちょっと驚いたのは、2013年度と2016年度の輸出入総額を比較すると、

輸出の総額は2013年度が70.9兆円で2016年は71.5兆円と、わずかに増加しているのに対し、輸入は2013年が84.6兆円だったのが2016年には67.5兆円と20%以上も大きく下がっていることです。

2013年度と2016年度の3年間で為替相場が平均して10円ほど円安になっているので、その影響が大きいのだと思いますが、普通に考えると円安になれば輸入する費用(2013年に97円だった同じものが2016年には108円)は膨らむように思いますが、総額が逆に大きく下がっているというのはちょっと意外な感じです。

東日本大震災以来続いていた原油や天然ガスの輸入が、原発再稼働などもあり、落ち着いてきたという事かも知れません。

しかし上記の輸出入の品目を見る限りでは、石油を輸入してクルマを輸出しているという50年前の日本の姿となにも変わっていないな~と思います。

しかし輸入で次に多いのが「電気機器(通信機、半導体、音響・映像機器など)」というのはスマホやパソコン、テレビ、携帯プレーヤーなど、以前は日本のメーカーが強かった製品が、外国メーカーのものへと変化している証左でしょう。

また輸入3位の「化学製品(医薬品、有機化合物)」は、高齢化社会を反映しているとも言えますが、「世界の人口の2%の日本で世界の薬剤の4割を消費」と、これは根拠のないデマですが、それでも10数パーセントは消費していることはOECDの公表データからも明らかで、世界の中でもアメリカと同様、突出した薬剤消費大国であることは間違いなさそうです。

次に、ちょっと付け足しで、貿易相手国ですが、おそらくこれは50年前と大きく変わってきているものがあると思われます。

2016年の輸出額上位の3国は、アメリカ、中国、韓国で、輸入額上位の3国は中国、アメリカ、オーストラリアとなっています。

意外にも、サウジやクエートなど、原油の輸入国が上位ではないのですね。

アメリカが日本に対し、貿易不均衡だ!と怒りをかっていますが、「輸入金額-輸出金額」で言えば、日本は韓国やインドネシア、サウジアラビアに対して貿易不均衡だ!と怒ってもいいことになります。

逆に言えば、原油や天然原料の輸入国を除き、日本はアメリカや中国、欧州などほとんどの国に対して輸出超過で、実は怒りの持って行き場所がほとんどないということです。

品目別でみると自動車の最大の輸出先はアメリカで、これはずっと変わりません。2位がオーストラリア、3位は中国となっています。

船舶の輸出は、1位がパナマ、2位がマーシャル、3位がシンガポールとなっています。半導体・電子部品の輸出先1位は中国で、2位が台湾、3位が香港です。

品目別の輸入相手国では、原油はサウジアラビアが1位、2位がアラブ首長国連邦、3位がカタール、天然ガスは1位がオーストラリア、2位がマレーシア、3位がカタールです。

原料品の中で非鉄金属1位はチリ、2位がインドネシア、3位がオーストラリア、医薬品1位はドイツ、2位がアメリカ、3位がスイス、食料品のうち魚介類の1位は中国、2位はアメリカ、3位がチリとなっています。

通信機器の輸入1位は中国、2位がアメリカ、3位がベトナム、光学機器の輸入1位はアメリカ、2位が中国、3位がアイルランドとなっています。

こうして見ると、50年前は工業製品の輸出先のアメリカと、原油輸入の中東諸国だけを向いていればよかった貿易相手国も様変わりしてきているようです。

また自動車など工業製品は、相手国から現地生産を強く求められますので、実際の販売台数と輸出金額には開きが生じることになるでしょう。

輸出入相手として少ないなと感じたのが、インドとロシアです。輸出入相手国としてどちらもベスト10には入ってきません。

人口が多く対日感情も悪くないインドと、隣国でもあり地政学的にモノの流通が便利なロシアとの貿易は、両国間で様々な規制等があり難しい面はあるのでしょうけど、政治的に結びつきが太くなっていけば、自ずと今後大きく伸ばすことができるブルーオーシャンかも知れません。


【関連リンク】
1197 2017年の乗用車販売台数に思うこと
1105 遠くて遠い国ブラジル
981 大きく変化していく農業従事者
642 日本はインドともっと深く連携すべき
440 円高のメリットは?
388 中国との関係について

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1217
土漠の花 (幻冬舎文庫) 月村了衛

著者の作品は、昨年「黒警」を読んで以来の2冊目です。この長編小説は、日本推理作家協会賞受賞するなど評判が高い作品です。前の「黒警」にはあまり良い印象を持てなかったので、今回の作品に期待です。

ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達でしたが、突然助けを求めてきた女性二人を保護したとたん、武装組織に急襲されます。

野営から離れたところにいた仲間の援護射撃でどうにか離脱したものの、隊員の何名かが殺され、さらに、その保護した女性を捕らえるために武装した追っ手が次々とやってきます。

連絡が途絶え、自衛隊の本隊がすぐに救助にやってくるはずと思いながらも、一向に現れず、もしかして見捨てられた?との疑心暗鬼に駆られていきますが、次々と襲撃を受けて仲間の隊員もまたひとりまたひとりと倒れていきます。

アフリカ各地で起きている民族対立と内戦、武装組織の跋扈など、ステレオタイプ的な面もあるでしょうけど、「海賊対策というけれど、その海賊を作ったのは誰か?」という現地の女性の問いに、先進諸国は答えることができないというのにはハッとさせられました。

果たして実戦経験がない自衛隊員が、修羅場をくぐってきている現地の戦闘員と対等以上に戦えるのか?というシミュレーションでもありますが、やはり平和ボケしている日本人は、例え訓練を受けた自衛隊員であったとしても、このような禍々しい戦闘の中にほりこまれたら、この小説のようにはいかないだろうなぁと思うのが感想です。

★★★

著者別読書感想(月村了衛)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

限界集落株式会社 (小学館文庫) 黒野伸一

2011年刊の小説で、過疎と高齢で消滅危機にある限界集落「止村(とどめむら)」を復活させるために、東京からやって来た企業コンサルタント活躍するという割とお気楽で安直なストーリーです。

2015年にはNHKで反町隆史、谷原章介などの出演でドラマ化もされたようですね。見てませんが。

この小説の後、「脱・限界集落株式会社」という続編も登場しています。

主人公は、東京で金融ビジネスをやっていたエリートコンサルタントで、億に近い年収でしたが、仕事一筋で妻子にも去られてしまい、仕事を辞め、充電するために祖父が住んでいた長野県?の寒村にBMW7シリーズの高級車で乗り付けます。

祖父の自宅だったところは荒れ果てた家で、遠慮なく自宅に入ってくる地元住人と話しをするうちに、やり方次第ではこの農村を活性化できるのではないかと思い始めます。

そしてやはり都会から逃げてきたような3人の就農希望者や、地元住人の手を借りて、はやく村を引き払って麓の町へ吸収したいと思っている役所に逆らって、様々なアイデアを住民にぶつけて実行していきます。

逆に言えば、そうした村おこしは、役人の浅知恵や利権や古くからのしがらみが絡んだ地元住人だけの努力でどうなるものではなく、協調や調和などくそ食らえぐらいの、外様のカリスマ的リーダーがいて初めてなせる技だろうなぁと思わせます。

今は都会の人混みを嫌って、農家を目指す都会育ちの若い人も少しずつ増えてきているといいますが、そうした先祖代々継いできたというような個人経営の狭い土地や農法を、効率的に集約し、作りたいものを作るのではなく、なにが高く売れるかで作物を決める会社組織の農業法人としてやっていけるところがどれほどあるか、今後に期待したいところです。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

明烏―落語小説傑作集 (集英社文庫) 小松左京

2009年に発刊された古典落語を元にした短編小説です。

小松左京氏といえば、「日本沈没」や「さよならジュピター」などSF小説、あるいはシニカルな短編小説なども多くありますが、さすが大阪生まれ!というか、3代目桂米朝師匠とも懇意だったということもあり、古典落語をネタにした小説があったとは知りませんでした。

その元ネタとなった落語は「明烏」、「天神山」と「立ち切れ」の二つをまとめたもの、「三十石夢乃通路」、「反魂香」。

それぞれどういう落語かを知っていた方が楽しめそうですが、私はこの中では「天神山」ぐらいしか知らなかったですが、それでも面白く読めました。

解説にも書かれていますが、著者と3代目桂米朝とは昵懇の間で、小説の中にも米朝と思われる大物噺家が出てきます。業界裏話なども混ぜられているようで、上方落語に詳しい人ならば、ニヤリとする場面もあるのではないでしょうか。

落語とSF小説とのミックスは、意外性もあって、それなりには楽しめますが、ちょっと普段からあまり馴染みがないことが多いだけに、読み進めるのは苦労もありました。

★★☆

著者別読書感想(小松左京)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

懐かしい日々の想い 多田富雄

2002年に刊行されたちょっと風変わりな紀行文などを含むエッセイ集です。著者は免疫学者で、この本を書いたときは、脳梗塞で倒れ、右半身不随となってリハビリ中だったということです。2010年に76歳でお亡くなりになっています。

この作品は2009年に改題再編され「生命の木の下で」というタイトルでも出版されていますが、おそらく、繰り返して書かれている「ヒトゲノム解析」の話しなど、重複して何度も登場する話しを削除したりまとめたりしているものと思われます。

免疫学者だけあって、よほど「ヒトゲノム解析」には深い興味があるようで、10回ぐらい繰り返して出てきます。

ゲノム以外では、アフリカで出会った白い肌をしたキメラ遺伝子をもつ原住民の話、タイ・ミャンマー・ラオスの国境地帯に拡がる黄金の三角地帯(ケシ栽培と中毒患者の更生)の話しなど、繰り返して出てきます。

ま、そりゃ専門分野についての話しが多くなるのは仕方ないですが、まったく同じ内容を繰り返されても、どうかなという気がします。

そういう意味では、学者先生というのは、ある意味突き詰めると専門バカのオタクで、専門分野とその周辺にはたいへん詳しくて興味があるけれど、それ以外の分野はとんと興味なしって人が多いのかも知れません。

せっかく免疫学の大家としてヨーロッパやアフリカなど、一般人があまり行けない地域を回っているのに、その地方の歴史とか経済活動、日本との関わり、食べ物も自分が好きな菌類(キノコ)だけでなく、その地方の名物料理を紹介してくれても良さそうですが、そういうのはありません。

なにかで推薦されていたこのエッセイ集ですが、そうした現役を引退して、昔の自分が輝かしかった頃を懐かしく振り返るオタクに暖かく付き合う気のない人には楽しいものではないでしょう。

★☆☆

【関連リンク】
 3月後半の読書 内なる宇宙(上)(下)、日本人の誇り、恋歌、怪談
 3月前半の読書 その癖、嫌われます、失われたミカドの秘紋、盲目の預言者、追伸
 2月後半の読書 紀ノ川、はじめまして京都、訣別の海、ファミレス(上)(下)
 


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1216
4月になると思いだしたように新入社員の時の話しを語ってみたくなる、とても平凡な老人になりつつある私です。

私が就職活動をしたのが、4年生になってからで、当時も就職協定があったと思いますが、ほとんどそれには関心がなく、知人の紹介でいくつかの企業へ話しを聞きに行ったのと、なんとなくリクルートブックを見て説明会へ行ったのが2社、一緒にスキーへ行ったり、最寄り駅までクルマで送迎したこともあるゼミの教授から紹介されて行った1社ぐらいで、あまり熱心に就職活動はしませんでした。

当時は第2次オイルショックのさなかで、就職状況は買い手市場、つまり、就職がしにくい時代でした。

まず知人に紹介された企業は、東京日本橋に本社を持つ大手企業で、いきなり人事課長クラスと面会しましたが、なかなか手強く、まともには相手にしてもらえず、子会社ならと紹介され、這々の体で逃げ出しました。

海外勤務に憧れて、ある商社の説明会へ飛び込みで行くと、説明会会場に入りきれないほどの学生がワサワサ集まっていて、こりゃダメだわ~と最初からあきらめました。ちなみにその商社はその4年後に倒産しましたから、負け惜しみもありますが逆にラッキーだったかもです。

やはり人の紹介で行ったスポーツ用品大手企業は、1次試験の筆記試験(一般常識と論文)でおそらくトップクラス?の良い成績を収め、悠々2次へ行きましたが(その場で1次は相当良かったと話があった)、話を聞いていくうちに、いまいち希望する仕事ではなく、3次面接はこちらからお断りすることにしました。

紹介でもう1社、大手製薬会社の説明会へ、同じゼミ仲間で就職が決まっていなかった友人を誘って参加しましたが、イマイチやりたい仕事ではなく気乗りせず、会社からも相手にされず失敗。ただ、一緒に参加した友人は2次へと進み、最終的にその会社へ就職が決まりました。世の不条理を知りましたw

リクルートブックに掲載されていた神戸が本社の中堅商社の説明会へ参加してみました。1次試験はグループディスカッションと参加者全員の前に登壇しての一言アピール。

こちらもアルバイトなどで身につけていた厚かましいほどのリーダーシップと、ユーモアで、1次は楽々?突破。

数日後に会社から2次のお誘い電話がかかってきましたが、熟慮した上でお断りしました。その時は執拗に2次に来て欲しいと懇願されましたが、並行して別で受けていたところの内定が決まりそうだったので、申し訳ないと謝りつつ。

そして、ゼミの先生から「知り合いから学生よこして欲しいと頼まれている。軽い気持ちでいいから参加してくれない?断ってもいいから」というので、先生の顔を立てる意味と、行けば飯を食わせてくれるらしいというのに誘われて、社員数20名ほどで、何をしているのかよくわからない小企業の説明会へ行きました。

するとどうでしょう~

そんな誰も聞いたことがない小さな会社だというのに、会場には30名ほどの学生が集まってきているではありませんか。しかもその8割が女性です。

説明会に出ても、その会社が何をしているのかよくわかりませんでしたが、美味しいランチをご馳走になったあとに、何人かの偉いさんと面談(雑談)しただけで、その夜にさっそく電話がかかってきて入って「あなた内定だから」との連絡があり、就職活動にいい加減うんざりしていたこともあり、「ま、いいか」ということでその会社に就職することにしました。

入社後、あとで聞いてわかったのですが、30名ほど集まった人の27人は会社が用意したサクラで、サクラではない3名の学生が3名とも入社を決めていました。すごい確率ですね。

そのわずか社員が20名しかいない、誰も名前なんか知らないし、紹介してくれた大学教授もよく知らなかった小さな会社は、今では東証1部に上場して立派な会社になっています。

面白いものですね、会社説明会で学生がワサワサと集まっていた当時東証1部に上場していた商社は、それから4年後に倒産し、一方、就職したい学生が集められずに苦労していた無名の小企業は20年後には数千名の社員を擁し上場を果たします。

20年後というと、その会社でずっと働いていれば40代で、おそらくその会社の幹部クラスになっている頃で、上場の恩恵(ストックオプションとか社員持ち株制度とか)が享受できるでしょう。

私の場合は、入社10数年後、30代のうちに子会社へ完全移籍し、そこで親会社よりも先に上場を果たしましたので、親会社上場の大きな恩恵は得ていません。

つまり、今、就職をしてもその会社の10年先、20年先、30年先なんて誰もわからないってことです。

寄らば大樹の陰で、大企業に入社し、そこで身につけた経験や信頼、人脈を次の仕事や、起業で生かすも良し、零細企業からスタートして、「若いときの苦労は買ってでもしろ」の精神で無茶苦茶働いて、会社を大きくし、弱体化しつつある大企業のエリート達を見返してやるのも良しです。

楽なのは当然、すでに出来上がった大企業に入って、会社負担でいくつもの講習を受け、自分を成長させ、資格をとり、エリート人脈を作り、大企業の高給を得ることでしょう。だから大企業の入社は競争が激しいのです。

ただ、大企業にも当然賞味期限というのがあって、バブル崩壊後の90年代には次々と倒産の憂き目にあいました。

倒産しないまでも大きなリストラを実施し、事業撤退や外資へ事業譲渡をしたところも多いです。もっとも大企業以上に中小零細企業はもっと多く潰れています。

今では大学卒業後、65歳までの約43年間にわたって働き続けることになりますが、この間に浮き沈みがないという企業や役所はないでしょう。もちろん起業しても同じ事です。

だから、会社に所属している間に、会社が自分に与えてくれる様々な恩恵(研修や仕事のノウハウ、人脈など)がどれだけ享受できるかが、これからの就職先を決める大きな条件だと思います。

【関連リンク】
1122 5月は退職シーズンか?
1113 ありきたりだが新入社員へ贈る言葉
859 採用氷河期でなにが問題なのか?
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
700 なにもかも懐かしい新入社員の頃
645 面白い入社試験


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1215
私のような特に資格も特技もない、リタイアした(する)高齢者ができる仕事を調べてみました。

一部の大手企業では65歳定年制を取り入れているところがありますが、それはまだ少なく、ほとんどは60歳で定年を迎え、その後、再雇用制度で、一年ごとの契約の非正規雇用となり働き続けるというパターンが多いのではないでしょうか。

例え給料が大幅にダウンしても、少なくとも年金を満額受給できるまで、慣れた職場で働き続けられるというのは、いいことですから、できるだけその制度を活用したいものです。

しかし、いろいろな事情で、それまでの職場に再雇用されなかったり、自らそれを受け入れない人も一定数はいるでしょう。

そういう人は、当面のあいだは退職金や雇用保険でしのげるでしょうけど、年金受給までずっとなにもしなくても大丈夫という人は、極めて少数でしょう。

そこで、再雇用されなかった、再雇用を受けなかった、定年リタイアした高齢者が再就職をする場合を考えてみました。

まず新聞折り込みなどの求人チラシなどでよく見かけるのは、

・介護施設、老人ホームなどでのヘルパー、送迎ドライバー
・マンションやビル、駐車場の管理人
・宅配ドライバー
・ビルメンテナンス(清掃)
・警備、交通整理員
・ファミレスや居酒屋の調理補助、ホールスタッフ
・工場、倉庫の軽作業、検品
・電話勧誘、コールセンター

などでしょうか。

ハローワークインターネットサービスでも、年齢不問、資格不問で検索するとそうした仕事が並びます。

求人にはいずれも正規、非正規が混じっていますが、60歳以上の高齢者の雇用となると、フルタイムで働く場合でも一般的には正規ではなく非正規(契約社員、パート、派遣など)となるケースがほとんどです。

今は求人広告の条件に年齢制限をつけられないので、一見その多くは60歳以上にも門戸は開かれているように見えますが、実際にはその求人の中で、高齢者が問題なく就ける仕事は極めて限られてきます。

もし自分が採用担当者だった場合、同じぐらいの能力がありそうな人で、20代の人、40代の人、60代の人が応募してくれば、若い方から順番に採用するでしょう。

20代は他に良い仕事が見つかればすぐに辞めるし、夜遊びが多く仕事に身が入らなかったりするので、真面目だが、扱いにくく、病気持ちで、体力もない、ガンコな高齢者が良いと考えて採用してくれる企業は1割もないでしょう。非正規の契約社員ばかりが働いているハローワークの採用だって若い人が優先っぽい感じです。

それが現実と言うことで、あらためて高齢者が仕事を探す場合、やはり実際にそこで働いている高齢者の方に直接話を聞いてみるのがもっとも手っ取り早いかも知れません。そういう方法があればですけれどね。

ただ、話を聞くにしても、人によっては、自分の仕事が奪われたら困ると、新人(新人候補)を警戒してはねつけるような人も多そうです。それだけ高齢者にとっては割の良い仕事は少なく、ライバルとなるかも知れない新人に大きな心で接してくれるほど余裕がありません。

そうすると高齢者の就職にあたっては、なかなか情報が得られずに、実際に入ってみたら思っていたのと違うとか不満が出てきそうです。

新卒向けには「みんなの就活」通称「みん就」という巨大なクチコミサイトがあります。この巨大なデータベースで自分が受けようとする会社のことを調べて、その会社の欠点などを事前に知ることができます。

であれば、高齢者が気軽に就業先を事前に調べられるような、就職クチコミサイト「高齢者の就活」通称「こう就」というのを作りましょうかね、、、

今の50代、60代はそろそろ自分でパソコンやスマホが普通に使える年代へ移ってきていますので、従来の高齢者と違ってそのような需要は高まってきているかもですね。

企画と運用と広告営業をおこないますので、誰か、資金と技術(サイト制作・運営)を提供してくれませんか?(笑)

さて、先日、下記のような新聞記事がありました。

高齢者、マンション支える、管理員や清掃員、60歳以上が8割超(日経産業新聞)
マンション管理業協会(東京・港)は、分譲マンションの管理員や清掃員の8割以上が60歳以上だとする調査結果をまとめた。男性従業員では60歳以上が9割超。「管理員の採用が難しい」と答えた同協会の会員社も5割以上を占め、マンション管理の現場を支える従業員の高齢化が浮き彫りとなった。
管理員や清掃員の年齢構成で最も多かったのは65~69歳(48.1%)だった。

マンションの管理人は以前から夫婦の住み込みや中高年者が多かったのですが、今ではリタイヤした高齢者の独壇場となっています。

その他、賃金が安い労働集約的な軽作業や飲食のサービス業は、従来なら学生や主婦のバイトでまかなうことが多かったのが、こちらへも最近は数が圧倒的に多い高齢者へ移っています。

その高齢者ですら、採用が難しくなってきているというのが上記の管理人や清掃員と言うことです。

採用がしにくい理由として書かれていたのは、「給与や時給単価が低いため」「就職売り手市場であるため」「定年引き上げで同年代の人材確保が難しい」が上位3つですが、マンション管理人というのは、わがまま言い放題のモンスター住民との関係とか、業務の範囲の線引きとか、結構難しい仕事とも言われていて、穏やかに平和に暮らしたい高齢者にとって、いまいち人気がないことも影響しているような気がします。

昔、住んでいたマンションに通いで管理人さんがいましたが、住民から「ゴミが大量にあるので出すのを手伝ってくれ」とか、「不在の時は配達された荷物を預かっておいて欲しい」とか、「エレベータの中が臭う」とか、「禁止のペットを飼っている人がいる」とか、本来、住民同士または管理組合が対処すべきことまで、なんでもすぐに管理人へ言ってくると困っていました。

大きなマンションや団地なら、ひとりの管理人ができることは限られています。一住民がたまに言ったことでも、管理人にとっては、多くの住人から毎日なにか言われることになり、時間もとられるし、ストレスがたまります。

それでも管理組合の会合で、自分の言うことに従わないからと「今度の新しい管理人はなにもしないので交代を要求する!」と糾弾する住民もいたりして、そういうモンスターがいるマンションの勤務は気の毒としか言い様がありません。

その点、同じ管理人でも、駐車場の管理人は、クルマのトラブルや接触事故は本人同士の問題が明らかなので、ストレスにさらされるような場面はまずなさそうですね。

あるとすれば料金徴収の際のトラブルでしょうか。暇なときはずっと読書でもしていられそうなので、私にとっては最適かも。

最近は、ファミレスや居酒屋だけでなく、ファストフード店やコンビニ、ガソリンスタンドなど、学生バイトが主力だった場所へも高齢者の進出が目立っています。

特にコンビニやスーパーの早朝や深夜勤務など、学生や主婦などがあまりやりたがらない時間帯は、高齢男性にとって優位性があります。これは競争も少なく、時間に割と融通が利きやすい高齢者の狙い目の仕事だと思いますね。

ただ、一般的に立ち仕事だけに体力的につらいのではないかな?とも思いますが、若い従業員から「元気に、ハキハキ、キビキビと」と指導されていているようで、外から見ていて老体にむち打って痛々しく思えることもあります。

同じく立ち仕事では、工事現場などでの交通整理のための誘導員も9割以上は高齢者という感じです。

人によるとは思いますけど、やっぱり高齢者の立ち仕事はどうなのでしょうね~私は人工股関節を入れていることもあり、長時間の立ち仕事はとても耐えられません。

私も雇用延長で同じ職場で働くのはあまり潔しとしないので、そろそろなにか新しい仕事を探し始めなければなぁって思いつつ、チラシをぼんやりと眺めていますが、これが良い!って思えるものはなく、悶々としているところです。

【関連リンク】
1139 中高年の転職にチャンスはあるか?
1068 個人事業主の中でもフリーランスとしての働き方
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)
782 転職適齢期というのがあるとすれば
694 履歴書の中の嘘はすぐバレる
572 転職のキモは履歴書だ



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1214
今年も新しい年度が始まり、通勤電車には真新しいスーツを着た新入社員と思われるビジネスパーソンが多く見られます。

70年前は12人の現役世代が1人の高齢者を支えていた社会が、今は2人の現役世代が1人の高齢者を、2025年には1.8人の現役世代が高齢者を支えなきゃいけなくなっていて、その分、社会保険料やら税金やらの負担がのしかかってきて気の毒としか言いようがありません。

自分もそれなりに若い時は苦労をしてきましたが、上を見ると、年金で悠々自適の楽隠居をしている多くの先人達を眺めて、もうすぐあそこにいける?と思って歯を食いしばってやってきました。

本当言うと20代の頃は、しっかりお金を貯めて、55歳ぐらいで早期引退して、元気なうちに趣味三昧をと思っていましたが、かないませんでした。

あと数年で、支えてもらう世代になりますが、困ったことに、年金支給の年齢が遅れていき、さらに、医療費負担は増やして年金は削ろうみたいな話しも出てきて、相当の貯蓄がないと、貧困老人になると言われていて、まったく困ったものです。

でも、それらの貧困に陥る可能性のある多くの高齢者を支えていかなきゃならない、今の若い人には申し訳ないなという気持ちもあります。

どうしてそういうことになったのかと言うと、日本人のひとつの特質性にあると考えてます。

それは、横並びのが大好き、周囲と同じでないとダメと言う国民性です。

戦争が終わって、それまで抑圧されてきた社会が一気に解放され、戦争で亡くなった人も多いですが、無事に戻ってきて誰も彼もが新しい時代に夢をもち、横並びで子作りに励んだ結果が団塊世代の登場です。

アメリカでも同時期にベビーブーマーという現象が起き、終戦後は経済が活況を呈して世界中から移民が流入し人口が増えていきましたが、日本の団塊世代のように一時期だけ人口が膨れ上がるという極端なことはありません。

またドイツやイタリアは日本と同じ敗戦国ですが、終戦後にそのような横並びで一斉に子供が生まれたと言うことはありません。

そしてこの時に生まれた団塊世代がその後の日本の社会を形成していくわけですが、集団就職、受験戦争、団体旅行、交通戦争、結婚ブーム、出産ブーム、マイカーブーム、レジャーブーム、住宅バブル、投資ブーム等、団塊世代のそれぞれの年代において、極端な右にならえ的なブームが起きていきます。

今は差し詰め、健康食品ブームやスポーツジムブーム、霊園ブームが活況を帯びだしてきているでしょうか、スポーツジムはまもなく終焉を迎え、霊園ブームはあと10数年でピークを迎えそうです。

それらのブームが小学校の体育の時間の整列と同じで、みんなが一斉に同じ事をおこなっているから、それを遠目にみていた団塊から10年遅れて生まれた私たちは、とても滑稽に冷ややかに見てました。なので、いま60歳前後の世代は「しらけ世代」と言われています。

隣の家で、カラーテレビを買ったと聞いたら、負けずに買いに行ったり、グアムへ旅行へ行ったと聞いたら、負けずにハワイへ、隣が1000ccの日産サニーを買ったら、負けずにこちらは1100ccのカローラ、ブルーバードに乗り換えたと聞いたらマークIIに買い換えてと。

巨大な団地も、当初できたての頃は夢のマイホームでした。それまで会社の寮で旦那の役職で奥様の序列も決まっていて心苦しく思っていた人達が、先進的でアメリカ映画でみたようなお洒落な家にみな感激したものです。

その後、中高年になって、お金に余裕が出てきた団塊世代が競うようにマイホームを手に入れようとして、住宅バブルが起きて、とうとう庶民の手には届かないところまで上がっていってしまいました。

そして、誰かが結婚したら、周囲の友人達も焦って結婚し、同じ年齢の子供を作った結果が団塊ジュニア世代となってまた大きなこぶを作ってしまいました。

つまり戦後に一斉に子供を作り、その後、同時に学校へ進学し、家で家電を買うのも、車を買うのも、結婚するのも、子供を作るのも、レジャーに出掛けるのも、マイホームを買うのもみな横並びでやっちゃったことで、様々な問題が起き、今後も起き続けることになったわけけです。

下の写真は、会社訪問が解禁となった日のビジネス街の模様のようですが、ひと目で会社訪問の人ってわかる絵図です。

写真出典:https://twitter.com/HOCOTEN/status/972269736573657089

左の写真のように、今でも就職面接や入社式では、黒か紺の地味なスーツに、ベージュ色のコートを着て、黒い鞄をもって出掛ける横並びがおこなわれています。そして髪型やメークまでがみな一緒です。

お前の時はどうだったんだ?って聞かれると、やはり紺色のスーツで面接に出掛け、入社式もそうでした。40年間、もっと言うと戦後80年間ほとんどなにも変わっていません。

結局は日本社会では、ずっと昔から、みんなと同じでないとダメ、同じでないと排除されるという呪縛に罹ってしまっているのでしょう。

一方では企業側は表向き「個性豊かな人材が」とか「抜きん出た人」とか言いつつも、現実はそうしたオリジナリティが乏しい応募者の中から、学歴最優先、次に忠節度の高そうな人を選んでいくという矛盾もあります。

多様性のある外国人や、違った個性、感性を当たり前に身につけた帰国子女が多く日本の社会に増えていくと、そうした日本人の同質性は変化していくかも知れませんが、逆に日本人であることのアイデンティティを示すために、従来からの横並びは維持されていくのかも知れません。

個人的には、特に数多くの応募者の中で学歴が負けていそうな場合、そうした横並びでは上記で書いたように企業の絶対基準である学歴偏重で不利になるので、面接官の意識に残るような服装や行動、発言がなにより大事と考えます。

服装で突飛なものを着るというのはちょっと冒険ですが、みんながガチガチに緊張している時に、その緊張感が解ける爆笑するジョークでもかませば、一気に採用可能性が高まること請負です。

そのジョークも学生間だけわかるようなものではなく、品があり、知的なものであることは当然のことです。なかなかそれができる人はいない(差別化要素)ので、大きく外さなければそれで一発内定がもらえます。

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