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1059
発表が今年5月でしたので、ちょっと遅まきながら、毎年楽しませてくれる内閣府の「高齢社会白書(平成28年度版)」の話題をかいつまんで少しだけ。

毎年同じ質問で定点観測している項目と、その時々で聞いている質問があります。

まずは定点観測している高齢者人口など「高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向」の概要を上げておきます。

出典:内閣府 高齢化の状況
(クリックで拡大)
総人口は、2015年10月1日現在、1億2,711万人、65歳以上の高齢者人口は3,392万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は26.7%となっています。

一方、生産年齢人口(15~64歳)は、1995年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、2013年には7,901万人と1981年以来32年ぶりに8,000万人を下回りました。

労働者数が減ってきているのに、それほど社会で騒がれていないのは、経済が相変わらず低調であることと、定年延長や雇用延長で、今まで引退していたはずの多くの高齢者が非正規として働いていることも影響しているのでしょう。

65歳以上の高齢者人口と15~64歳人口の比率をみてみると、1950年には1人の高齢者に対して12.1人の現役世代がいたのに対して、2015年には高齢者1人に対して現役世代2.3人になっています。もの凄い社会の変化を実感できる数値です。

65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、1980年には男性約19万人、女性約69万人、高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2010年には男性約139万人、女性約341万人、高齢者人口に占める割合は男性11.1%、女性20.3%となっています。男性高齢者の1割、女性高齢者の2割が1人住まいなのですね。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

次に、今年度版に加わった「国際比較調査に見る日本の高齢者の意識」について触れておきます。こちらの調査は5年置きにおこなっているそうです。

1)50 代までに行った老後の経済生活の備えについて、「特に何もしていない」と回答する高齢者の割合は、日本は42.7%に対し、アメリカ20.9%、ドイツ26.1%、スウェーデン25.4%です。

一見すると「老後の備えをしなくても日本は退職金や年金など制度や社会保障が充実しているから」ともとれますが、日本より社会保障制度が充実しているスウェーデンでも7割以上の人が経済的な備えをしているのに、日本人は脳天気過ぎます。

ひとつには若い頃から「老後の備えをしよう」という教育がまったくなされていないことが原因で、先のことは知らない、今が楽しければいい、老後のことは自己責任、いざとなれば生活保護に頼ればっていう刹那的な現状があるのでしょう。

その証拠に、「貯蓄や資産が老後の備えとして足りない」と考える高齢者の割合(「やや足りない」と「まったく足りない」の計)は、日本が57.0%と最も多く、アメリカ24.9%、スウェーデン18.9%、ドイツ18.0%と大きく差があり、「なにもしてこなかった」から「足りない」という当然の結果が出ています。

2)「収入を伴う仕事をしたい(続けたい)」とする高齢者の割合は、日本が44.9%と最も多く、次いでアメリカ39.4%、スウェーデン36.6%、ドイツ22.7%となっています。

高齢になっても働きたい働き蜂の面目躍如!と言いたいところですが、収入の伴う仕事をしたい主な理由としては、日本とアメリカは「収入が欲しいから」、ドイツとスウェーデンは「仕事が面白いから」と、老後の備えが心細い切実感が漂ってきます。

3)友人・知人との交流について「相談事があったとき、相談したり、相談されたりする」と回答した割合は、ドイツ48.3%、スウェーデン31.2%、アメリカ28.3%に対して日本は18.6%と一番低く、「病気の時に助け合う」と回答する割合は、ドイツ31.9%、アメリカ27.0%、スウェーデン16.9%、日本5.9%とこちらも低くなっています。

つまり日本の高齢者の知人との交流は極めて限定的、かつ病気になっても家族や公的機関に頼ることはあっても友人や知人には頼まないという傾向が他の国より見て取れそうです。

確かに一般的に高齢になると面倒くさくなって社交性は失われてきますが、各国の若い人に同じ質問をして、高齢者特有のことなのか、それとも国民性みたいなものなのかは不明です。

オレオレ詐欺やうまい投資話、高価な羽毛布団やリフォーム詐欺など、高齢者をターゲットにした詐欺事件が頻発していますが、これはひとえに「高齢者はお金を持っている」&「高齢者は騙しやすい」の2つが詐欺犯にとって狙いやすい要因です。

そして「高齢者が騙されやすい」のは、「人に相談したり、親切な人を疑ったりしない」ことによるものでしょう。

4)総合的にみて、「現在の生活に満足しているか」尋ねたところ、現在の生活に満足している高齢者の割合(「満足している」と「まあ満足している」の計)と回答する割合は、スウェーデンが97.1%、アメリカが95.2%、ドイツが91.9%といずれも9割を超えていて、日本は88.3%とやや低くなっていますが、それでもザックリ9割の高齢者が概ね満足しているという結果です。

スウェーデンはさすが高齢者にも優しい社会保障先進国ですが、貧富の格差が大きいと言われているアメリカでも高齢者の95%が満足しているというのには驚きます。

堤未果さんの「ルポ 貧困大国アメリカ」なんかを読むと、アメリカの社会保障制度は無茶苦茶でたいへんなことになっているという感じですが、果たしてどっちが真実なのかわからなくなってきます。


【関連リンク】
967 平成27年度高齢社会白書を読む
780 あらためて高齢社会白書を概観してみる
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
706 高齢化社会の行方
574 仕事を引退する時、貯蓄はいくら必要か

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1058
先般「最近ついてない」で書いた「バイクのコンビブレーキは危険」で、いろいろと調べるとこの仕組みはなにもホンダだけでなく、国土交通省の肝いりで装着が進められているということを知りました。

**************************
平成 26 年度 第2回車両安全対策検討会
資料4-5 二輪車への ABS/CBS の義務化について(PDF)

二輪車へのアンチロックブレーキシステム(ABS)/コンバインドブレーキシステム(CBS)の装備義務付け

○二輪自動車には、「二輪車等の制動装置に係る協定規則(第 78 号)」の技術的要件に適合するアンチロックブレーキシステム(ABS) を備えなければならないこととする。

○第二種原動機付自転車には、「二輪車等の制動装置に係る協定規則(第 78 号)」の技術的要件に適合するアンチロックブレーキシステム(ABS)又はコンバインドブレーキシステム(CBS)を備えなければならないこととする。

適用時期
新型車:平成30年(2018年)10月1日以降(予定)
継続生産車:平成33年(2021年)10月1日以降(予定)
**************************

白バイHONDA VFR800Pは、コンビ
ブレーキが解除されているという噂
簡単に言うと、125cc以上の二輪車にはABSを、125cc未満の原付にはABSかCBSを付けないと新車として売ってはダメよということ。

欧州ではすでに今年2016年から125cc以上の二輪車にはABS装着を義務化していて、上記の指針はまるまる欧州のルールを遅ればせながら日本にも持ってきた感じのものです。

ABSはすでに四輪車の多くが装備していてその威力を体感している人も多いでしょうけど、特に滑りやすい雪道や、パニックブレーキの時には大いに役立ちます。それ以外で普通はABSのお世話になることはまずありません。

バイクにABSを付けるとモトクロスやトライアル競技のように、後輪を滑らせて走るような場合は別として、一般的にはタイヤがロックせずブレーキがかかり、転倒や事故を減らすことにつながると思われます。

もっとも実際には二輪の場合は衝突するまでギリギリブレーキをかけている人は少なく、衝突しそうになると倒れこみ、横向きに滑ったままでぶつかるというケースが多そうですけど。

それがABS装着でどう変わるのか不明です。しかし二輪の場合、タイヤが滑って転けるという事故がABS装着で減るだけでも大いに前進なのかしれません。

問題はその価格で、ABSを装着すると約5万円増加すると言われています。車両価格200万円を超える四輪車でABSを装着することで5万円増えても2.5%の価格上昇ですが、本体価格50万円程度の250ccの二輪車では10%ものインパクトがあります。

しかし世界的にみてもその安さが求められる途上国は除き、二輪車のABS装着義務化は必然となってきているので、量産効果で単価を下げていくしか方法はないのでしょう。

さらに、せいぜい20~30万円の125cc未満の原付バイクに5万円のABSを付けると25~17%も価格上昇することになり、ABSかCBSのどちらかの装着を選択となれば、結局は簡易で安上がりなCBSを選択するメーカーが多くなるのは自然の摂理です。

このCBS(コンバインドブレーキシステム)、ホンダはコンビネーションブレーキ(コンビブレーキ)と呼んでいますが、乾燥した綺麗な路面ではその効果は大いに期待が持てます。また初心者には優しいブレーキとも言われています。

つまり自転車で左側ブレーキ(後輪ブレーキ)に慣れている人がバイクに乗っても効きの悪い後輪のブレーキだけに頼ってしまって停止距離が伸びてしまうのを、片方のレバー(左)をかけるだけで、後輪はもちろん、前輪のブレーキも同時にかけて制動距離を縮めようというものです。

机上の論理では確かにその通りでしょう。また晴天の砂や濡れ落ち葉もない平坦なテストコース上ではその通りでしょう。

しかし現実の走行路は雪道や凍結路、落ち葉で埋めつくされた道路、砂やオイルがまかれた道路、マンホールだらけの道路などがいっぱいです。そうした場所でも安全な装置でなくては困ります。

二輪車の場合、走行中前輪が滑るとどんなベテランライダーでも対処できません。後輪だけならまだ対処が可能です。しかしこのCBSというのは、滑りやすい場所では簡単に前輪をロックさせてしまい、転けやすくする装置なのです。

CBSをお勧めする人は、一度でいいから、「凍結した道路で直進だけでなく右左折を繰り返して走る」、「雪が残る急な下り坂を走る」、「雨の中、砂が浮いている採石場近くの道路をダンプカーに前後挟まれて走る」、「濡れた落ち葉が敷き詰められた奥入瀬のワインディングを法定速度で走る」を体験してみたら、この装置がどれほど危険なものかがわかるはずです。命がいくつあっても足りません。

なにが怖いと言っても、減速中に意図せず、前輪に制動が懸かりタイヤがロックしてしまうことです。転倒した場所が悪ければ、後続車や対向車に轢かれてしまいます。そうしたテストをちゃんとやっていないのでしょうかね?メーカーは。

たぶんそのうちこのブレーキが原因で多くの人が悲惨な事故に遭い、ABSなしでCBSを付けるのは不適当という公式のレポートが出て、メーカーはその対応に追われることになるのではないかと思っています。

現実的にはまずABSを全車に標準装着し、オプションで希望があればCBSを装着するという姿が正しいと思われます。

白バイ警官は、白バイの元車両に標準でついているCBS機能を外しているとなにかで読みましたが、白バイ競技でよく出てくるスピードを出してのスラローム走行などは、いくらベテランであっても深いコーナリング中にCBSが効いて前輪にブレーキがかかるとすぐに転けてしまうでしょうし、濡れた路面で速度調整のためにちょいブレーキをかけだけもバタッと転けてしまいます。

早くこの世からコンビブレーキなんていう危険な装置が駆逐されることを願っています。


【関連リンク】
1054 最近ついてない
1044 高齢者ドライバーの増加がもたらすこと
945 自転車の高級化と盗難
864 衝突安全性テストについて
800 高齢化社会で変化している交通事故の統計を見る
798 下がり続けている二輪車の販売動向
751 自動車事故と車種や装備の関係

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1057
昨年2015年に1974千万人に達した訪日外国人はその後も順調に増えていっているそうで、人口減と高齢化に直面して経済活動に活気が薄れつつある日本経済にとっては救いとなっています。

国別訪日外国人数(2015年)と前年伸び率

出典:日本政府観光局(JNTO)

東京オリンピックが開催される2020年には倍増の4000万人、その10年後、2030年には6000万人まで訪日する外国人を増やすと、政府はあまり根拠のない目標を設定しています。

現在の2000万人から3倍増の6000万人と言えば、世界を見るとフランスの8400万人、アメリカ7500万人には及びませんが、スペイン6500万人、中国5500万人(いずれも2014年各国の入国外国人数統計)と肩を並べることになります。

陸続きでクルマやバス、鉄道に乗ったままで隣国へ入れてしまう国と違い、飛行機か船を使わないと来られない島国の日本にはちょっとハードルが高そうです。

せいぜい同じ島国の英国3300万人(同)ぐらいが、現実的なところでしょうか。その英国にしてもフランスと鉄道が結ばれていて、ヨーロッパ各国から鉄道で直行便も可能と日本よりも恵まれています。

外国人が日本にやってくる理由としてはビジネスや観光(買い物含む)が主でしょうけど、最近は病気の治療や、留学、研修、コミケなどイベント参加など多目的となってきているようです。

その中でひと言で観光と言っても今まで主だった中国人観光客の爆買い旅行や格安団体ツアーから、インターネット時代を反映して、ちょと変わった経験ができる個人ツアーの需要が増えてきているそうです。

「私だけ」訪日体験プランが外国人客に大受け 墨絵体験、相撲の朝稽古、芸者体験…
訪日外国人観光客の消費志向がモノからコトへ変わりつつある中、インターネット旅行会社が訪日客の体験意欲を刺激するプランづくりに躍起になっている。団体ツアーの定番コースに飽き足らず、自分だけのオリジナルツアーを組みたい訪日客から「英語で説明してくれて、楽しめるものが少ない」との声を聞くからだ。

確かに日本人には珍しくない「スクランブル交差点」が外国人観光客の人気だったり、「五重塔と富士山が一緒に見える(写真が撮れる)ローカルのお寺」が有名になったり、「人気コミックで描かれた風景と同じ場所」など、外国人の口コミで拡がる隠れた観光名所や外国人には珍しい体験ができるコースが注目されてきています。

さらに私が考えると、「ラーメンツアー」(福岡、京都、横浜、喜多方、札幌などの名店を巡るツアー)とか、外国にはない「丼ツアー」(親子丼、牛丼、うな丼、天丼の食べ比べツアー)、「B級グルメツアー」(たこ焼き、もつ鍋、もんじゃ焼きなどばかりのツアー)、子供が巣立って空き部屋が多い団塊世代の家にホームステーして家庭料理を食べる「民泊ツアー」などが面白いのではないでしょうか。

特に「民泊ツアー」は規制緩和の必要がありますが、観光客のホテル不足にも対応でき、また格安の料金で泊まれるので若い外国人観光客に人気が出るでしょう。

引退した団塊世代には現役時代に海外で仕事をしていた人も多く、外国人客の扱いに慣れている人も多いでしょう。

家庭料理でお総菜やポテトサラダ(これは外国人に大人気)など出せば、ホテルの一流レストラン以上に喜ばれます。

都会の住宅だけでなく、地方の農家などでも部屋はいくらでも空いている家が多そうで、そういうところに宿泊するプランも面白いでしょう。夕食は自分で収穫した野菜で健康的な料理を自分で作ってもOKとか。

もっとアイデアを出せば外国人のカップルの旅行客向けに「ラブホテル宿泊ツアー」。各地にある露天風呂などがついている豪華なラブホテルをネットワーク化し、観光地とラブホテルをセットにして最寄り駅までの送迎がついたツアーなんかいかにも日本的で人気が出そうです。人口減と草食系増加によるラブホ業界の凋落にも歯止めがかけられるでしょう。

ラブホテル業界は大改革の真っ最中

私ですらこのようにスラスラとアイデアが出てくるのですから、日本に住む外国人にアンケートをとれば、どうすればその国の観光客を日本に誘致できるかなんて、すぐ1000通りのアイデアが出てきそうです。その中ですぐに実現できそうなところからやっていけばいいのです。

頭の硬そうな天下り役人を受け入れるのではなく、ぜひ日本をよく知る世界中の外国人を日本政府観光局は大量にアルバイトで雇い、次々と日本人が思いも付かない日本の資産を活かせる策を練ってもらいたいものです。


【関連リンク】
1024 沖縄へ行く観光客はなにを求めるか
955 道の駅の転換期
802 観光後進国日本の現実
814 日本に外国人観光客を呼ぶ
754 東京オリンピックとこれから高まるビジネスチャンス
578 外国人研修制度という名の移民政策



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1056
20歳からの社会科 (日経プレミアシリーズ) 明治大学世代間政策研究所

すでにあちこちで語られていて多くの人は知っていながらも、政治家含めどうすることもできずにただあきらめているという感がある、日本の高齢化社会、格差社会、外交、未来の課題に真正面から向き合い、様々な学者や識者と言われる人が、わかりやすく解説しています。

内容は、
第1章 高齢者の意見が通りやすい国
第2章 どうすれば若者が社会を動かせるのか
第3章 今の若者が担う外交で日本は生き残れるか
第4章 年金や医療費を誰が支えるのか
第5章 人が減り、教育に熱心でなくなった国
第6章 未来の地球に何を贈るのか

タイトルにあるように、主としてこれから社会を担っていく20歳前後の若い人向けという体裁をとっているため、特に高齢者の既得権益については手厳しい内容となっていますが、いろいろと考えさせられる内容となっています。

別に今の高齢者が悪いことをして権利を得たわけではなく、社会や政治がそういう高齢者優遇の方向へ向かっていった結果だと思うのですが、今ではそうした議論も限界にきていて、これから生まれてくる日本人に借金をつけ回すのではないという結論には誰も反対はできないでしょう。

具体的には、年金、医療費、雇用、教育、安全保障、家族政策、環境などの問題整理に役立てられると思います。

★★★

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) 新田次郎

1902年の明治時代に実際に起きた「八甲田雪中行軍遭難事件」を題材にした小説で、1971年に単行本、1978年に文庫化されました。

私も映画館へ見に行った高倉健主演の1977年公開の映画「八甲田山」の原作として有名ですが、映像では描ききれない著者の想いが詰まった山岳小説として読みました。

山岳小説を書かせると右に出る者はいないと言われた著者だけあって、雪山での壮絶なシーンはもちろん、その雪山へ行軍する二つの部隊をうまく対比していて、その事前の予行演習や装備、組織や上官との関係などが細かく書かれていて興味深いです。

あらすじは、日露戦争が始まりそうになってきた社会情勢で、日本陸軍としても冬山の装備や部隊の展開などが重要視されてきて、青森と弘前の二つの部隊に冬の八甲田山を踏破する命令(表向きは任意だが実質的には命令)が下され、それぞれ逆方向から八甲田山に登り、途中ですれ違うという計画になります。

雪山行軍の経験があり、慎重な弘前歩兵第三十一連隊が先に出発し、それを聞いて天候が悪い中、案内人も雇わず慌てて出発した経験の少ない青森歩兵第五連隊が八甲田山に足を踏み入れたとたん猛吹雪に遭ってしまい部隊が全滅してしまいます。

一方の弘前隊は常に地元の案内人を立てて、慎重に進むことで、予定通り八甲田山を無事に踏破し、ただ1人だけ足をくじいたために引き帰らせた他は、予定通りに行軍して、弘前へ戻ってきます。

暴風雪と深い雪で行く手をさえぎられる青森隊の悲惨な状況は、映像で見ることでその迫力が倍加します。

小説ではそうした現場の迫力ではなく、それぞれの立場に立った人間物語として読むことができます。それにしても想像を絶する物語です。

昨年夏、八甲田山のすぐ近く、奥入瀬まで旅行で行きましたが、もしこの小説を先に読んでいれば、八甲田山麓の供養塔がある場所へ寄っていただろうなと感慨深げに読みました。

★★★

著者別読書感想(新田次郎)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

WORLD WAR Z (文春文庫)〈上〉(下) マックス ブルックス

アメリカで2006年、日本語訳版は2010年に出版された終末ホラー小説です。2013年には映画「ワールド・ウォーZ」が製作されていますが、小説とは一線を画して内容はかなり違っているようです(未見のため不明)。

予備知識はなく、究極を意味するZを付けたWORLD WARですから、これは米中が核兵器を使って互いに攻撃するのか?と勝手に想像してましたが、全然違いました。

Zはゾンビ(ZomB)のZで、全盛界で繰り広げられた人類と生きた屍者との壮絶な戦いが起き、やがて人類がほぼゾンビを制圧し、沈静化してから各地で生き残った人々に当時の模様をインタビューをしたという形態をとった変わった作品です。

中国の奥地で発生したなぞのウイルスが屍者を蘇らせ、その屍者が人に噛みついたり引っ掻くことでウイルスが感染し、やがて心臓は止まるけど身体は動き出すというあまり夢には見たくないB級ホラーって感じ。

そう言えば、以前読んだ伊藤計劃・円城塔著の「屍者の帝国」では、奴隷のように労働や兵役をさせるために屍者を蘇らせる技術を開発するというのがありましたが、いつかずっと未来にそうした技術が開発されるのかも知れません。

とはいえ、なにもわざわざ不気味で有限な屍者を蘇らせなくても、AIと高感度センサー、人工皮膚、ナノテクなどを使ったロボットを開発、生産すれば人間に忠実な労働力でも兵隊にでもなんでも使えて効果的だと思いますけどね。もうとっくに開発が始められていると思います。

単にホラーではなく、それぞれの国の特性を考えたゾンビ対策や、住民避難、軍隊の活動など細かなところまでよく調べて書かれているところがミソかも知れません。

その原作をモチーフとした映画も録画してあるのでそのうちに見たいと思ってます。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

サマータイム (新潮文庫) 佐藤多佳子

1990年に「サマータイム 四季のピアニストたち」として刊行され、その後2003年に上下巻合わせた連作短編の文庫で、その中身は四季を彩るように「サマータイム」、「五月の道しるべ」、「九月の雨」、「ホワイト・ピアノ」の4編からなっています。

この作品は著者のデビュー作で、私は過去に「しゃべれどもしゃべれども」「一瞬の風になれ(第一部~第三部)」を先に読みましたが、いずれも遠い青春時代を思い起こさせてくれる爽やかで甘酸っぱい作風という感想です(自分の青春時代はまったく爽やかでも甘酸っぱくもありませんでしたが)。

タイトルはジャズの名曲「サマータイム」から来ていますが、短編ごとに変わる主人公のいずれもが、ピアノに関係していて、そうした名曲の思い出が出てきます。

やはりお得意のほろ苦さと甘酸っぱさが同居する若い青春ドラマが展開されていて、60近いオッサンが読むのはちょっとキツめ。若い人には共感できるところがあるのでしょう。

★☆☆

著者別読書感想(佐藤多佳子)


【関連リンク】
 8月後半の読書 挽歌、アミ小さな宇宙人、葉桜の季節に君を想うということ、マルドゥック・スクランブル The First Compression-圧縮
 8月前半の読書 小説 上杉鷹山、秋霧の街、結婚は人生の墓場か?、史上最強の内閣
 7月後半の読書 サクリファイス、ティファニーで朝食を、残念な人のお金の習慣、ロスト・ケア

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1055
なんとかミクスやらのひとつに「男女共同参画社会の実現」があります。役所言葉をわかりやすく訳せば、「少子化で勤労者数が減ってきたので、その代わりに女性(や高齢者)はもっと働いてね。そのためにいろいろと対策をしますから。」ということでしょう。

昭和の時代は男は外で働いて、女性は専業主婦として子育てや親の介護など家を守るという役割分担ができていました。それを国が推奨していて、専業主婦には配偶者控除や年金面で優遇するという政策がとられていたわけです。

しかしそれもいよいよ難しくなってきて見直しが入るようです。

所得税改革、安倍首相が指示=「多様な働き方」対応―政府税調
政府税制調査会(首相の諮問機関)は9日、所得税の抜本改革に向けた議論を始めた。専業主婦やパートタイムで働く妻がいる世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しなどが柱。

団塊世代の高齢化による大量退職と、少子化の影響で1997年に日本の歴史で初めて労働者数の減少が始まり、その対策として、保育園を充実させて今まで専業主婦で外へ出て働かなかった女性にも働いてもらおう、また60歳定年でリタイアしていた高年者にも年金受給を65歳からにしてそれまでは働いてもらおうという政策が順次始まったわけです。

専業主婦世帯と共稼ぎ(兼業)世帯推移(1980~2014年) 出典:内閣府男女共同参画局


1992年頃より共稼ぎ世帯数が専業主婦世帯を上回り始め、その差は一気に開いてきました。バブルが崩壊し、失われた20年と一致するところからすると、女性の社会進出が支援され世の中が変わったというより、家計が苦しくなってそれまで専業主婦世帯だったところが共働き世帯に移っていた結果でしょう。

それでもまだ2014年時点で720万世帯の専業主婦世帯があるというのには驚かされます。

専業主婦と言っても、子育て、介護、病気などに縛られて就業できない人も多いのでしょうけど、自分の周囲では夫婦ともリタイアした高齢者以外では専業主婦と言える人はいないので、まだそんなにいるのかって驚いたというのが本音です。

共稼ぎ世帯の割合が少ない(専業主婦の割合が高い)都道府県は、奈良県(共稼ぎ世帯の割合45.9%)、大阪府(46.0%)、神奈川県(46.7%)、東京都(48.5%)、兵庫県(49.1%)と奈良県を除き大都市を含む都道府県が多いのが特徴です。やはり都会ほど保育園に預けられず働けないということが影響しているのでしょうか。

逆に共稼ぎ世帯の多い県は山形県(68.2%)、福井県(67.4%)、島根県(66.4%)、富山県(66.3%)、鳥取県(65.3%)となっています。地方が多いですね。

今は女性の活躍には保育園の充実というのが最大のテーマになっていますが、単に労働者を増やすというのに効果はあってもそれで活躍できるってそれホント?って気もします。

というのはやはり企業(役所も含め)の体質が大きく変わらなければ、単に女性が労働者に加わったからと言って女性活躍にはほど遠い気がします。

この女性活躍社会の話しで時々みられるのが、「日本は世界の中で専業主婦の比率が多い特殊な国」という話し。そういう印象づけをする評論家やコメンテーターという自称識者がいますが、それは間違ってます。

OECD諸国の女性(15~64歳)の就業率 出典:内閣府男女共同参画局


アイスランド(79.9%)、スイス(74.4%)、ノルウェー(73.5%)、スウェーデン(72.5%)などの女性就業率と比べると低いですが、日本の女性就業率は62.5%と、米国(62.3%)やフランス(60.4%)よりも高く、OECD平均の57.5%よりは断然高い割合です。つまり世界の中で専業主婦が多いというのは明らかに間違っています。

主要国の年齢別労働力率(女性)


このグラフを見ると主要国では29歳まで働いている女性の割合は、シンガポールが高く、イタリアがやや低いぐらいで各国で大きな開きはありません。

しかし30歳以上、これは出産や育児との関係だと想像できますが、国によって大きく差が出てきます。主としてアジアの国、日本や韓国、シンガポールでは下がり、イタリアやスウェーデンでは逆に上がり、米国やフランス、ドイツでは20代から横ばいが続きます。30歳以降で労働につく女性が増えるっていうのは日本では信じられない現象です。

日本などアジアの国では女性が出産だけでなく育児(あるいは介護も?)を主として担当することで仕事から離れてしまう傾向が強く、今後女性の労働を維持するためには欧州の社会の仕組みを見習わないといけないでしょう。

日本の場合、女性の就業と言ってもパートやアルバイトなど非正規が多いという話も出ますが、各国で雇用形態は様々なルールや制約があるので、単純比較は難しそうです。例えば正規社員でも簡単に解雇ができる国は正社員雇用率が高くても当たり前でしょう。

女性の正社員の割合は1985年には67.9%だったのが2014年には43.3%まで下がって、代わりに非正規社員と言われるパート、アルバイト、契約社員、嘱託、派遣社員が増加しています。

非正規が増えたのは女性だけかというとそんなことはなく、男性も1985年92.6%だった正社員の割合が、2014年には78.2%に下がってきています。男性の場合、60歳で定年を迎えた団塊世代の多くが、その後嘱託として非正規勤務したことの影響が大きいでしょう。

つまり社会の構造で、バブルが弾けた90年代以降、それまで右肩上がりが普通だった経済が、長く停滞してしまい、長期的な計画と育成が必要な正社員から、短期で即戦力、または雇用の調整弁となる非正規雇用が増えてきたわけです。

失業するとお世話になるハローワークですら、そこの窓口で働く大半の人は非正規の契約職員なのです。別にブラック企業が多くの非正規社員を雇っているわけではありません。日本の職場の多くはそういう構造と環境になってしまったのです。

そう考えると、これからまだ20年30年働く人達は、いつ非正規になっても食っていけるだけの「手に職」か「特殊な経験」を意識して身につけておかないと、安心安定した生活ができません。自分と家族を守るのは自分の才覚のみという世知辛い世の中になってきました。

【関連リンク】
1010 不本意な非正規雇用とその実態
1009 兼業禁止規程はいつ禁止されるか
866 失業率とか雇用状況
807 労働人口と非労働人口推移と完全失業率
717 非正規から正規雇用への転換策
630 38年後(2050年)の雇用形態はどうなるのか



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