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649
60歳定年を迎えた社員のうち、希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入を企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が成立し、2013年4月から施行されることが決まりました。

従来の高年齢者雇用安定法でも65歳までの雇用を促進すべきという努力義務の法律でしたが、雇い主側が雇用継続する人を選別できるというザル法でしたが、それができなくなり、雇用延長を希望する人を原則全員雇わなければならなくなりました。

但し誤解をしてはいけないのが、これは60歳までの正社員の身分のまま定年延長を強制するものではなく、あくまでも「雇用延長」となります。つまりほとんどの場合は60歳でいったん定年退職し、その後同じ企業に(契約社員等として)再雇用されるというパターンになりそうです(一部には定年延長をする企業もあります)。

同じ場所の同じ仕事でという縛りもないので、仕事や職場がガラリと変わることもありそうです。

その他、再雇用された場合、雇用条件でなにが違ってくるかといえば、「正社員ではなく1年契約の契約社員」、「給料などが新たな契約社員として大幅ダウンする」、「勤務態度がよくなかったり健康上に問題があるなどを理由として雇用延長を断られるケースがある」といったところでしょう。

もっぱらこの法案には企業側が猛反対してきました。その理由として「社内の年齢バランスが崩れる」「高齢者を雇い続けると若手採用が抑制される」「高齢者が多いと若手のやる気がそがれてしまう」など一見するともっともらしい言い訳ですが、要は企業としては「若くて元気で給料が安く、上司からの命令をハイハイと素直に聞く従業員」が欲しいということです。

雇用延長される高齢者の多くはそのどれにも当てはまりませんから、企業からは雇用延長するのを嫌がられるはずです。

でも中高年者には経験と知恵があるじゃないか」って?

現代の経営には一部の熟練を必要とする仕事以外、多くの場合、古びてカビの生えたような経験や知識は不要で、次々と新しいことをチャレンジしてやっていくバイタリティを欲しているのと、経営陣と一部の幹部候補社員以外には方針を決める知恵など不要と思っていますので、経験や知恵だけの高齢者を再雇用するメリットとはなり得ません。

せいぜい「幹部が昔お世話になった先輩達に喜んでもらえれば(大手企業)」ぐらいの感覚でしょう。

本来企業側としてはものすごく数の多い団塊世代が65歳を超えて、大幅に人件費抑制ができてきたはずなのですが、80年代後半のバブル時期の大量入社組(現在40代後半)などの高負担を控え、さらに長引く景気低迷もあって、できるだけ早く余計な人材は減らしたい一心というのが伺えます。

一部の大企業の実態では再雇用後の給料は定年直前の約半分で、健康に問題のある人を除き原則雇用延長し、中には70歳まで可能という温情的な企業も出てきました。

中高年者を中心に数千人から1万人規模のリストラを発表している大企業もありますので、勤めていた企業によってその扱いに大きな差が出てきているようです。

しかしこればかりはそれぞれ入社した30~40年前にはわからないことですからねぇ。

同じことがいま就活で汗を流している人にも同じことが言えます。終身雇用でも途中で転職するにしても、その何十年先のことなんかなにもわかりません。一種の賭みたいなものですね。

一方ではNTTのように65歳まで雇用を延長する代わりに、30歳代以降の定期昇給を抑え、60歳まで働いていた時と今後65歳まで働く時で支給される総額は同じにするという荒っぽい話しも出てきています。

すでに多くの民間企業の給料はここ数年下落していますので、そういう意味ではほぼ公務員的な給与体系を持つNTTのやり方は、結果としてそれと同じことなのかもしれません。

企業経営上の経費でもっとも大きな割合を占めるのが通常は人件費ですから、今後大きな成長が見込まれない業界(つまりほとんどの業界)においてはいかにしてそれを抑制するかが勝負です。収入増ではなく収益増を目指す企業がこれからはデフォルトになるでしょう。

振り返って考えてみると、日本の人口統計や、社会保障制度の傾向を見れば、少なくとも「高齢化社会」になることは20~30年前からわかっていたことです。

それを考慮しないでその場その場で競うかのように人を増やしてきたのは、今ではすっかり安穏とした裕福な生活を送っている70代~80代のぼんくらな経営者だった人達です。

そういった過去の経営者責任を棚に上げて「雇用延長は企業のコスト負担増大だ!けしからん」と企業を代表する人達が声を上げるというのは、なにか国の政策の失敗や浪費のツケを、「震災復興のため」とか「社会保障拡充のため」とか理由をくっつけて保険料や消費税のアップで穴埋めさせられているのと同根で、結局は割を食う一般庶民にとってはなにか納得できないなぁって気がします。

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648
経済産業省がベンチャー企業や個人事業者などを増やそうと助成制度を始めるそうです。

中小企業経営力強化支援法について(PDF)

日経新聞記事によると、
 ・来年度から1社当たり数百万円の小口助成制度を創設
 ・5年間で1万社を支援目標
 ・事業は小規模なIT関連、子育て支援、介護、食品販売などで地元密着型企業を想定
 ・海外市場開拓を目指す中小企業向けには数千万円の助成制度
 ・受ける条件は事業計画作成時から税理士や銀行など起業専門家の支援を受けること

と言うものです。

どうなんでしょうかねぇ。

いや、団塊世代を中心として引退した高齢者の中でまだまだ元気だという人や、リストラにあって再就職の見込みがない中高年者に対して、起業を勧め、背中を押そうというのはよくわかります。そういう人達に働いてもらうことで新たな雇用を生み出し、税金も払ってもらえるなら国にとっては一石二鳥です。

また子育てや介護のため時間に制約がありながらも働きたいと思っている女性の活用として、パートやアルバイトだけでなく、経験を生かしたことで自宅や近所でできる仕事の起業を促そうというのもよくわかります。

でもねぇ、、、

そういう個人事業で成功する人って、こうした中途半端な助成制度がなくてもちゃんとやっていくでしょうし、年齢や経験を考えるとまともに再就職ができない人や、責任のない扶養者控除内で働くパートで満足しているような人が、営業活動から経理まですべて自分でおこなわなければならないようなより厳しい個人事業を起こせるのか?って根本的な問題もあるような。厳しいこと書きますが。

それに5年間で1万社を目標とはまた大きく出ましたねぇ、、、その前に例え起業できてもそれが1年間持ちますかねぇ、、、

5年間のあいだに毎1年ごとに2000社ずつ起業しても現実的にその9割が1年未満、残った企業の9割が3年未満でつぶれると仮定すると、5年後には260社、7年後には100社しか残っていないことになります。それでも実態からすると多いほうかな。

事業計画を作成するところから専門家の手を借りなければならない助成を受け、それで起業ができたとしても、その後成功に結びつく人が果たしてどれほどいるのかなと。宝くじを買ったほうが確率は高いような気もします。

いやいや、やってみなければ何事もわかりませんよって?そうですか。

助成金は国民みなさんの血税ですから、お役人にとっては銀行や起業を支援する企業に特需の恩を売っておいても損はないし、例え起業が失敗しても自分の懐が痛むわけでもなければ、すべては創業者の責任なので支援企業の名に傷がつくわけでもないし。たかが1万社×500万円として500億円ですから。

放漫経営で傾いたJALの支援に3500億円、東電には1兆円以上の公的支援がおこなわれるぐらいですから500億円なんて小さい小さい。というわけで。

そんなことをするよりもそのお金で、起業したい人に事業計画などを提出させ、審査が通過したらその会社の株式を国が買ってあげることで支援するいわゆる「国営インキュベーター」となるべきじゃないかな。

事業計画の審査員には事業経験もない役人や学者ではなく、現役の実業家などにボランティアで参加してもらい、国がベンチャーを金銭面で直接支援し、経営には口を挟まず、将来IPOしたときには国が投資した分のキャピタルゲインを得るという仕組み。2年で5000社へ各1千万円の無条件投資が目標。締めて500億円。どうよ。

ま、99.9%は投資したものは回収できないでしょうけど、その中から数社でもIPOを果たせばめでたく投資のかなりの部分が回収できそうです。どうせお金をばらまくならならば、よれよれの銀行などにばらまくのではなく、そういうところに真水のお金をばらまいてもらいたいものです。

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647
認知症高齢者、305万人=予想上回る増加―厚労省推計(時事通信)
厚生労働省は24日、2012年の認知症高齢者が推計で305万人に上ると発表した。65歳以上人口の約10%を占める。従来の予想を上回るペースの増加で、20年には400万人を超える見通しだ。
10年9月の要介護認定に関するデータを基に推計し直した結果、10年ですでに280万人と予想の1.35倍となっていたことが判明。15年で345万人、20年で410万人、25年で470万人に達するという。

65歳以上で10%、10人に一人がかかると言うことは、大ざっぱに言うと高齢者がいる世帯の5世帯に1世帯は認知症患者を抱えているということになります。

これがさらに13年後の2025年には65歳以上の高齢者人口3635万人のうち470万人(13%)が認知症にかかると想定され、減少していく日本の総人口(1億1900万人)の約4%に相当します。

なお罹患者の9割は65歳以上ということです。なぜ認知症罹患率が高くなるかというのは単に現在65歳前後に達した団塊世代が13年後には70代後半に達し、より罹りやすくなるからです。

これだけ罹患者が多くなるともう国民病と言えるのかもしれません。

しかもこの病気は、完全看護が必要な寝たきりの患者もいれば、誰かが24時間ずっと監視をしていないと、徘徊してしまう恐れがある患者までいます。それを考えると認知症患者を抱えた家族や、介護者はたいへんです。

特に家族に認知症患者があると、老夫婦二人きりの場合は体力的に厳しい老老介護、同居の子供がいれば、その子供は多くの場合24時間介護のため働くことができず、親の年金だけが頼りということになってしまいます。

親が死亡したあと、40歳を過ぎてから再び働きに出ようとしてもこのご時世ではそう簡単には職にありつけず、結局は生活保護など貧困生活に入ってしまうということも懸念されます。

あと子供が未婚であれば、認知症の親を抱えていてはまず結婚もできないという状態です。

誤解を恐れずに言うと、認知症は現在の医療技術では治療して完治する病気ではないので、一度発症してしまうと、あとは悪くなっていく一方です。またそれ自体が死に直結する致命傷ではないので案外長生きします。

そして本人にまもともな状況判断ができないので、延命治療を断っての尊厳死は期待できず、結局はたいへん長期にわたっての療養と介護が必要になります。

その点が癌のようにある程度の余命(=介護期間)がわかる病気と大きく違うところです。

一般的な症状は「幻覚・妄想、徘徊、異常な食行動(異食症)、睡眠障害、抑うつ、不安・焦燥、暴言・暴力(蹴る、叩く、噛み付く、暴れる)、性的羞恥心の低下(異性に対する卑猥な発言の頻出など)、時間感覚の失調、など。(Wikipedia)」です。

体力のある男性が発症した場合、家族や介護者に暴力をふるうこともあり、また男女問わずお世話をしてもらいながら家族や介護者に暴言や悪態をつき、肉体的、精神的な大きな危険と負担を負うことになります。

すでにあちこちで老老介護で疲れた夫婦が相手を殺したり心中が起きたりしています。そのような悲劇が今後少しでも減るように、国の社会保障サービスにおいて予防するとともに、治療法や特効薬、抑制薬の開発、承認を急いでもらいたいものです。

またそれと同時に、心のケアというか心理学的なアプローチで介護の負担を少しでも減らせるような対処法も開発して欲しいものです。

いずれ、この日本で起きることは、高齢化が進む中国やその他の国でも起きることです。国や自治体任せではなく、日本の企業にとっては絶好のビジネスチャンスでもあり、医療技術については将来の日本の基幹産業として育っていく可能性もあります。

日本がいま投資をおこなわないといけないのは、農村部への補助金でもなければ、輸出企業への補助金でもなく、また新幹線や高速道路など公共事業でもありません。

今後国内では少なくとも30~40年間は高齢化し、日本以外でも多くの国でやはり同じ道を歩むことになります。いまこそ国は先端企業と連携し、総力を挙げて老人医療、老人ケア、高度医療システムを本気で取り組みべきではないでしょうか。

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646
マッチメイク (講談社文庫) 不知火 京介

この小説「マッチメイク」は不知火京介氏のデビュー作品で、2003年第49回江戸川乱歩賞を受賞しています。この作家さんの作品を読むのはこれが最初です。

作品のタイトルのマッチメイクとは、プロレスの興業において、対戦するレスラーとその試合の流れを事前に考えて作ることを言うそうですが、それを八百長だとか言ってはいけません。あれはあくまでエンターテインメントなのですから。

初めて読む作家さんの小説は、自分にとって当たり外れの揺れ幅が大きいので慎重にならざるを得ませんが、食わず嫌いで終わるのももったいないので、できるだけ幅を広げて、意識して多くの作家さんの本を読むようにしています。

ストーリーは大阪のプロレス団体に加入したばかりの山田君が主人公で、周りの曰くがありそうな先輩や同僚達の中に混ざって成長していく姿が描かれています。

と言っても青春ドラマではなく、入門後と言っても組織は会社なので入社後、国会議員でもあるベテランレスラーの社長が試合中に不審死を遂げてしまいます。

警察の調べでは自殺との結論ですが、主人公始めそれを信じる人は少なく、誰がどうして社長を謀殺する必要があったのか?誰ならそれができたのか?と謎を追いかけていきます。

そのようなミステリー小説ではありますが、プロレスの世界の内輪話も豊富で、あまり興味のない人でも「へぇそうなんだ」と妙に納得できることも多く、楽しく読めます。

小説を読む醍醐味は、私の場合、このようにまったく知らない世界のことをのぞくことができるということにもあります。ある時は刑務所の中だったり、敏腕刑事だったり、ベンチャー企業の社長だったりします。

この小説では今まで知らなかったプロレスの世界と、レスラー達が日頃どうやって肉体を作っていくのかなどが面白く読めます。

プロレスの世界というのは、属人的で、体育会系のノリというのは想像できますが、さらに外国武者修行から帰ってきたレスラーや、外人レスラーが多いので意外と国際的だったりします。

また柔道や相撲などの格闘技出身者が多いかと言えば決してそれだけではなく、身体と腕っ節が強くて筋肉質であれば、あとは技を磨いていけば、柔道のメダリストに対しても渡り合えそうです。もちろんエンタメですからスター性がなければ魅力あるレスラーにはなれませんが。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

あなたに逢えてよかった (角川文庫) 新堂冬樹

1998年頃から数多くの作品がでていて書店の平積みでもよく見かけるのですが、著者の小説を読むのはこれが初めてです。

この作家さん、闇金など裏の世界を描く時(黒・新堂)と、甘く切ない恋愛小説を書く時(白・新堂)と、極端に対称的だそうです。この作品は2006年に初出の小説で、白・新堂作品です。

主人公は紅茶専門店で働く若い女性。えらく甘ったるいなぁと思いつつ読み進めていけば、やっぱり甘ったるい。

これはたぶん夢見がちな女性に向けて書かれた小説なのでしょうが、こうも甘いと辛口のおじさんはだんだんと腹が立ってきます。

でも主人公が見つけた理想の男性が、不治の病にかかりはじめてきた時には、「世界の中心で、愛をさけぶ」の男女を入れ替えたようなものかと納得も。

とにかくもう縁がなくなったおっさんがラブロマンスを読むときには、なにも考えずに淡々と文字だけを追っていくのがよさそうです。

この小説でテーマのひとつになっている認知症ですが、後日ブログにも書こうと資料を集めていたところで、なんでもすでに65歳以上で300万人を超える患者がいて、それは65歳以上人口の10%にのぼるということです。

今後さらにこの高齢化が加速するわけですから、13年後の2025年には470万人(65歳以上の13%、全人口の4%)がこの認知症に罹るだろうという凄まじいものです。こうなるともう完全に癌や成人病と同様の国民病と言えるのかもしれません。

もうひとつ出てくるテーマとして主人公がこだわっている紅茶のおいしい飲み方や、うんちく話しがこの小説では楽しめます。

無教養な私は「オレンジペコ」というのは「ダージリン」などと同様、紅茶の種類かと思っていたら全然違い、茶葉の大きさを表す等級区だったことをこの本で初めて知ったりと、宮本輝氏の小説同様、雑学にも役立ちそうです。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

取引 (講談社文庫) 真保裕一

真保裕一氏の小説はすでに5~6冊は読んでいますが、この「取引」はデビュー作「連鎖」(1991年)のすぐ後1992年に刊行された第二作目の作品です。

そしてこの二作品や「密告」「震源」「天使の報酬」などは主人公が公務員なので、「小役人シリーズ」と呼ばれているそうです。

この「取引」では公正取引委員会の審査官が主人公です。この審査官が正義感が強く、上司に楯突いて不正を暴こうとしたところ、利権に巣くう組織から罠にはめられるところから非常に長い670ページの物語がスタートします。

とにかくでかくて重い、電車で片手で持ちながら読んでいると結構腕が疲れます。2010年の芥川賞作品の西村賢太氏著「苦役列車」など200ページもありませんから、その3倍以上ある小説です。

かと言ってすぐに二冊三冊に分けてしまうとそれだけでトータルが高くなってしまいますから、読者としては痛し痒しのところがあります。

私が最初に真保氏の作品を読んだのが「ホワイトアウト」で、2000年には織田裕二主演で映画化され大ヒットしました。実はこの作品を読んでから映画を見たのですが、正直に言ってこの作品に関しては映画のほうがずっとよかったという印象を持ちました。

というのも、このような雪の中の巨大なダムという壮大な自然を文章で表すのは難しく、それよりも映像でドカッと見せるのがずっとダイレクトに頭の中に入ってきます。

この映画の脚本にも著者は関わり、オリジナルを大事にしながら、かつ、織田と佐藤浩市の二大俳優の対決をエンタテインメントとしてわかりやすくうまく作ってありました。

それ以来、「アマルフィ 女神の報酬」や「アンダルシア 女神の報復」など真保映画には織田裕二がベストマッチしていくことになります。

著者別読書感想(真保裕一)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ロマンス 柳広司

2011年に発刊されたこの「ロマンス」は著者お得意の日本近代史ロマン的作品です。

舞台は中国進出が始まった太平洋戦争の前、まだ外国人が珍しかった頃に、クオータの青年が様々な事情で公爵の地位にあり、友人のやはり公爵で軍人と殺人事件に巻き込まれるというミステリー小説です。

当然にタイトルになっているロマンスが深く関わってくるのですが、どちらかといえば、時代を反映してか色っぽい話しではなく、退廃的でありながらも純愛を貫き通すというイメージの作品です。

う~ん、、、「ジョーカー・ゲーム」や「トーキョー・プリズン」「新世界」などと比べると、ストーリー的には面白味に欠けるかなぁという感想です。

しかしこの時代のうんちくというか風俗や生活のことについては驚くべきよく調べて書かれている印象です。比較的まだ若い作家さんなのにその点は評価点は高いです。

柳広司氏と言えば陸軍スパイもののD機関シリーズが有名ですが、シリーズ2作目の「ダブル・ジョーカー」(2009年)がこのほどようやく文庫化されたようなので、今度買ってこようかと思っています。

著者別読書感想(柳広司)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

サラリーマンは2度破産する (朝日新書) 藤川太

ま、よくある釣りタイトルの新書だからと軽くみて読み始めたら、だんだんと背筋が寒くなってきました。

もうよく知られているように、自分のライフプランを作ってみると、家を買って子供の教育費の負担が増す頃、第1の破産状態に陥ることになり、さらに老後、年金しか収入がない人はふたりで3千万円ぐらいの預金でもないと、80歳ぐらいで破産しますよーという内容のものです。わかっちゃいるけど、もうどうしようもない。

親の遺産でもがっぽりある人でないと、例え住宅ローンがなくても退職するまでに数千万円を蓄えられている人って、現役世代ではそう多くないような気がします。

つまり逃げ切ったと言われる団塊世代までならば、退職金もそれなりに支払われたでしょうし、60歳から満額年金支給されます。

しかしいま50代の人はほとんど60歳から年金支給はされないのと、退職金も大手優良企業勤務以外では、大幅にカットされたり、転職後の退職金はほとんど出なかったりと、散々な状況です。

さらに希望退職などという甘い誘いで50歳代でやめちゃった人は、その後の再就職もほぼ絶望的なので、もらった割り増し退職金や雇用保険給付金を年金支給される前にほとんど使ってしまうことになります。

ならば、賢い人はどうするのか?というところまで一応書かれていますが、その内容については、おおよそ他の人生設計本などとそう変わるものではありません。つまり「貯めよ殖やせよ見直せよ、そして身体が動く限り働き続けよ」です。

これを読んでいて気になったのは、自宅を保有する人と、借家住まいの人で、典型的な例がひとつ示されているだけで、その差がわかりにくいです。

比較も3000万円のマンション購入と11万円の賃貸の比較ですが、いくつかの賃貸と購入を繰り返してきた私に言わせると、3000万円のマンションと11万円の賃貸では平等な比較ではありません。

それに購入派には住宅ローン以外の費用(修繕費、税金など)があると書いてありますが、賃貸にも当然それらは大家さんや不動産会社が手数料を上乗せして賃借人に負担させているだけで、それらが免除されているわけではありません(通常は賃料にその分が含まれる)。

通常賃貸マンションは分譲用のそれと比較すると壁や床は薄く、耐震性が劣り、都市部なら専用駐車場はなく、内装備品は安物です。

3000万円の分譲マンションと同等の耐震性、快適性、専用格安駐車場利用などのメリットを考え合わせると、賃貸なら13~15万円は必要でしょう。

また夫婦に子供がいるかいないか、老後にその子供に支援を受けられるかどうかにも変わってきます。

自宅を購入するために多額の資金を投資した場合と、子供に高等学校へ通わせて教育に投資した場合、それらによって得られる恩恵は少なからずあるはずです。

子供も一人より二人、二人より三人で変わってきます。古くなった持ち家の修繕やリフォームも、もし同居して働いている子供がいれば子供が負担するのが普通です。

介護費用も全部とはいわないまでも子供が負担するケースがあるでしょう。しかしDINKSで高級賃貸マンションで優雅に生活をエンジョイしてきた夫婦にはそういう恩恵はありません。

いえ、別に子供に養ってもらいたいと個人的な希望を言っているのではなく、子供が年取った親の面倒を見るというのは今までの日本では普通におこなわれてきたことです。

最近では親の年金をニートの子供が使ったりする逆転現象も起きていますが、それは普通ではないでしょう。

もし土地付き一戸建てを持っていれば、一時期より不動産価格が安くなってきたとはいえ最終的にはそれを担保にお金を借りたり、売って安い地方のアパートへ引っ越すことも可能です。

その分をずっと賃貸に住み続けてきた人が現金預金として持っているのか?という比較にもなります。

この住宅を取得すべきか借りるべきかや、生命保険の見直し、投資の3点について詳しく触れられていますので、ライフプランの入り口程度のことを知りたい人には最適です。

もっと細かく自分の生活に合ったライフプランを作成したいなら、どうぞ有料のサービスへとお約束の新書の流れです。

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645
すでにネット上で賛否両論出尽くした感がありますが、ライフネット生命の新入社員採用時の一次試験です。ネットでエントリーは誰でもできますが、あらかじめ公表されたこの課題を提出しなければ先へは進めません。

ライフネット生命 2013年新卒採用

下記のAまたはBを選び課題提出です。
皆さんには『重い課題』に挑戦していただきます

A.あなたは内閣総理大臣から突然呼び出しを受け、「インターネットの力を活用して、日本の少子化問題の解決に取り組む方法」について提案することになりました。
[1]日本における少子化の現状とその原因を明らかにしてください。
[2]そのうえで、あなたが解決すべき課題をあげてください。
[3]インターネットを使ってその課題を取り組むためのプランを立て、費用対効果とともに提案してください。
 (注)あなたは現在の少子化担当大臣の政策実行チームとはまったく別に依頼されています。

B.「あなたが学んでいる学校を、そこで学ぶ学生にとって、より魅力的な環境にするために効果的に使いなさい」という条件で、あなたに1000万円差し上げます。あなたならどんな使い方をしますか。次の点を踏まえて、なぜそう考えるのか説明してください。
[1]あなたが考える「より魅力的な環境」とは何か定義してください。
[2]そのうえで、あなたが取り組むべき課題を設定し、説明してください。
[3]その課題を解決するための1000万円の効果的な使い方を、それを選んだ理由とともに説明してください。
(注1)すでに卒業している場合には、最後に学んでいた学校について考えてください。
(注2)「1000万円」以外の前提条件は、あなたが自由に設定してかまいません。

提出形式
A4、形式・枚数自由。

ちなみに昨年も同様な形式での出題でエントリーは5,161人いたのに提出者は39人(0.8%)、今年は8,000人以上のエントリーで約100名の提出だったそうです。

うむ、私だったら、訳のわからない一般常識テストや適性試験なんかを受けさせられるぐらいなら、このような時間をたっぷりとかけられる論文形式のほうがずっと嬉しいです。またこの中に遊び心(これが大事です)や、できっこないような壮大なこと(これも大事)もこそっと入れ込むことができますからね。つまりこれは相手があるビジネス上での提案ではないので、常識ある頭で考えてはダメです。学生らしく大きな夢と世の中の非常識を持って書くべきなのでしょう。

でも実際に就活生にとっては普通に50社、100社と大量にエントリーをするために、このような「時間と手間のかかることはやってられない!」ということになるのでしょう。それがこの会社の本当の狙いで、真剣に当社に絞って受けてくれる人だけでいいという割り切り方です。

個人的には素晴らしいやり方だと思いますが、社内では賛否あったでしょうね。2008年にできたばかりのベンチャー企業ゆえ、社長の一声かも知れません。

上記の課題に「正解」などもちろんありませんが、私ならどういう方向性で書くだろうかと考えてみました。Bの課題は卒業後もう30年以上も経ち、今の学校が理解できませんので、Aの課題だけです。しかも学生の頃のような遊び心や壮大な夢は持ち合わせていないので、普通のくだらない回答になりそうです。

まず「現状の原因」はネットで調べるといろいろと出てきますが、総務省発表のデータを元にして原因を探っていきます。これには時間はかけません。

まぁ一般的な原因としては、
(1)生活スタイルの変化「ライフスタイルの多様化による結婚の高年齢化や非婚化」
(2)経済的な事情「若年層の雇用不安と低年収による未婚率上昇」
(3)仕事と生活の両立「子育ての不安や出産後の職場復帰の困難からくる子作り断念」
(4)意識の変化「核家族化、シングルライフによる家督制度の崩壊」
などが上がってくるでしょう。

おそらく様々な統計を見ると少子化≒非婚化、晩婚化ということがわかると思われます。

次の「解決すべき課題」と最後の「プラン」が重要ですが、まずは「原因」で出てきたものの中から自分が一番取り上げてみたいテーマを選びだし、その理由と方法について大ざっぱにツラツラと書きながらやがて明確化していきます。

常識的に言えば海外、特に少子化から脱し出生率が高まったフランスや北欧諸国の政策なども参考にします。ただし誰もが考えつくようなことだったり、ネット上の情報を書き写しただけのようなものはどうせすぐにバレますので、ここで自分の独自アイデアを必ず盛り込み、それを強く表に出していく必要があります。できるできないかは関係なしに、自分の思いこみでも構わないので、信じるところに突っ込んでいくという姿勢が重要です。

「プラン」と「費用対効果」は「なにをいつまでにどうするか」を考え、目標数が設定できれば自ずとできてきます。それらの数的根拠は、新しいことをおこなうならば「エイヤー」の世界です。まったく先例がなければ参考にできる数値がないわけですから、それで構いません。逆にフランスの例を引っ張ってきて、それと同じだから「これだけの概算費用がかかり、、、」と書いたらそこでアウトと思っていいでしょう。

遊び心を入れるのは、この最後のプランのところが最適です。誰もが「えっ」と思うようなとんでもないアイデアをそっと入れておきます。これ重要。それが企業の採用担当者や経営者にとってフレッシュで頭の柔らかい新人君に一番期待をしている点です。

研究者以外、学者が書いたような理路整然とした論文なんて誰も期待していません。例えば「ネットを使った在宅勤務を増やして子育てしやすくする」など誰でも思いつく普通の提案なら読みたくもありません。そうではなくて読んでいて楽しい、もっとわかりやすく言えば「書いている人がワクワクしながら書いている」とわかる文章を書くのです。

例えばの例を書いてみると、
(1)高校や大学の特別インターネット授業で「男女交際と結婚、子育て」を男女別クラスにして必須で組み入れる。但しカリキュラムの作成や講師は文科省ではなく婚活系ビジネス企業や心理学者が担当し、お笑い芸人が役者として登場する。
(2)公営出会い系サイトの開設。こちらも役人主導ではなく、携帯ゲーム会社やSNS運営企業等へ委託し、開発費実費+出来高制(結婚数)での報酬支払い。こちらも婚活中の芸能人が(名前だけでも)登録し、お見合いパーティにも出てくるのをウリにする。

う~ん、私ももう50代半ばで頭がコチコチに固くなっているので、そんなにはいい発想がでてきません。もちろん上記が正解でもなければ、それをすれば通過したという保障なんかどこにもありません。念のため。

もっとも、いくら発想がよくて文章がうまく書けて一次試験は通過しても、次の面接で「期待していたほどではなかった」と落とされてしまうかもしれませんが、少なくとも期待をかけられて面接に臨めるだけ有利です。



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