忍者ブログ
リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~ HomePage https://restrer.sakura.ne.jp/
Calendar
<< 2024/11 >>
SMTWTFS
1
3456 78
10111213 1415
17181920 2122
24252627 282930
Recent Entry
Recent Comment
Category
259   260   261   262   263   264   265   266   267   268   269  

[PR]

Amazonタイムセール

ホーム&キッチンの売れ筋ランキング 

枕・抱き枕の売れ筋ランキング

旅行用品の売れ筋ランキング


ミラーレス一眼の売れ筋ランキング 

空気清浄機 タイムセール

掃除機の売れ筋ランキング

ペット用品の売れ筋ランキング


498
デフレの正体 経済は「人口の波」で動くで、GDP前年比や人口構成率など比率や平均でみる経済はおかしな事になるということで、失業者についても実数で見てみることにしました。
 
一般的にいう失業者と、総務省「労働力調査」に出てくる完全失業者の定義は少し違っていて、完全失業者というのは、15歳以上で、①仕事に就いていない ②仕事があればすぐに就くことができる ③仕事を探しているの3点が同時に必須となります。例えば月末に1時間だけアルバイトして給料をもらった場合や、無給でも家業を手伝っていたという場合は、完全失業者にカウントされません。
 
その他にも学生や主婦(主夫)、家事手伝い(家業ではなく)、引退した高齢者、ニート、引きこもりなども完全失業者ではありませんが、実際には本当は仕事がしたいけど、なかなか仕事が見つからず、仕方なく家事手伝いや引退した人、ボランティア活動をしている人などもいると思われますので、実際には「完全失業者」<「一般的に言う失業者」となります。
 
そして完全失業者に認定されている人の中には、退職金や同居人の収入で当分(あるいはずっと)働かなくてもいいのだけれど、失業保険がもらえるので、一応働く気があり職を探しているフリをしている人も含まれますし、逆に、正社員で働きたくてずっと探しているけれど決まらず、やむにやまれず時々パートタイムの仕事に行く人は失業者としては認定してもらえないことになるわけです。
 
もうひとつ突き詰めて考えると一般論となりますが、世帯主や単身で暮らしている人の失業と、世帯主のところに同居(普通の家族)や居候している人の失業とでは、その重みは違います。つまり一家の世帯主が失業すると、一般的にその扶養者である同居人(家族)にも大きな影響を及ぼすこととなりますし、同居人が世帯主よりより多く稼いでいるというケースは比較的稀(もしそうであれば世帯主を変更する)でしょう。
 
下のグラフは1968年からの完全失業者数(毎年1月の実数)ですが、①世帯主+単身者 ②その他(同居家屋等)で分けています。①は青か赤 ②は茶色です。ここで特に大事なのは①です。緑の折れ線グラフは完全失業者率です。
(グラフはクリックで拡大)
shitsugyousya2.jpg
 
これでなにがわかるかと言うと、世帯主(+単身者)と、その他(同居人)の完全失業者数の推移(動き)はほぼ同様に見えますが必ずしも一致していないことと、完全失業者率(折れ線グラフ)とも同様に動きが一致していないことです。
 
まず世帯主(+単身者)(青か赤)の失業者が一番少なかったのは1970年、高度成長期まっただ中で大阪万博の開催された年です。つまり生産年齢人口は毎年増加しつつ、さらに失業者は少なく、企業は人手不足だったでしょうけれど、国民の所得は増える一方で国としては最高の時代だったと思われます。
 
そしてバブルが弾けた1990年代前半、いったんは下がった失業者数ですが、1994年から急激に増加していきます。この頃にバブル崩壊以外になにが起きたかと言えば、生産年齢人口(15歳~64歳人口)の減少が始まったわけですが、それは前年比プラス成長が当たり前だった日本の国内消費量が、反転し前年比マイナスへと転換しはじめる時期と重なります。
 
そして世帯主(+単身者)の完全失業者数が2002年(赤色)にピークの150万人を超えることになります。この年の数年前から企業ではリストラの嵐が吹き荒れた時期でした。しかし2007年~2008年頃に向けて今度は世帯主(+単身者)の失業者数が一気に減っていきます。これは中国を筆頭とし東南アジア向けの輸出が絶好調となり、国内需要の恩恵はないものの、大きな仕事は順調に増えてきていた時期と重なります。
 
しかしその輸出に頼っていた景気浮上も2008年9月に起きたリーマンショックが、日本に少し遅れて波及することで、再び2009年以降世帯主の失業者数が増えていきます。2011年1月では136万人の世帯主(+単身者)の失業者数となりますが、過去最高を記録した2002年の153万人には及びません。しかしこの9年間のあいだに生産年齢人口はおよそ500万人ぐらい減っている中での失業者数の増加ですから、根はかなり深いと思われます。
 
1986年のように完全失業者は増えているのに失業率が下がっているのは、団塊ジュニアと思われる新たな労働人口が急増したためで、2010年の完全失業者数は減っているのに完全失業率は前年と変わらない5.1%となったのは新たな労働人口より、はるかに多くのリタイヤ(退職者等)が出たことによります。つまり完全失業率の分母の労働者人口に大きな変化が起きたときにこの差が現れます。
 
生産年齢人口が増えていく中での失業者の増加は、いずれ生産年齢人口が増える購買力によって、景気がよくなり、それによって失業者が減っていくことが考えられますが、逆に生産年齢人口が減っていく中での失業者増は、さらに景気を冷やしていく結果となります。それは否応なく国内需要が減っていく中で、世帯主が失業することで、その世帯では極限まで出費を押さえるようになりますから当然です。
 
さらに、この東日本大震災です。
 
この震災により被災地復興のため多額の国家財政の出動が必要となります。ただそれに使われるのは特定の地域のインフラなどの公共工事であったり、住宅整備であったりするので、特定の企業とその従業員には恩恵がありますが、その他多くの国民にはほとんど恩恵は及びません。
 
しかも使われるのは国中から集めた税金と国債という借金ですので、被災者と同様に多くの国民は、失われた20年と言われてきた今まで以上の窮乏と雇用危機を堪え忍ばなくてはなりません。
 
すでに震災を理由としたリストラや採用取り消しが増えていると報道がありましたが、新たな復興のための労働力需要と、全国的な景気低迷による失業者数とを比べると後者が断然多くなるのは明らかです。もし現在求職中であれば、数カ月後にやってくる大不況が襲ってくる前に、えり好みはせず、1日でも早く仕事に就くことが大切だと思います。
 



リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
PR

[PR]

Amazonタイムセール

ホーム&キッチンの売れ筋ランキング 

枕・抱き枕の売れ筋ランキング

旅行用品の売れ筋ランキング


ミラーレス一眼の売れ筋ランキング 

空気清浄機 タイムセール

掃除機の売れ筋ランキング

ペット用品の売れ筋ランキング


497
ドキュメンタリー小説「深海の使者」吉村昭著を読み終えて、過去に潜水艦を題材にしていたり、主要な場面に潜水艦が登場したりした小説や映画、コミックやアニメで読んだり見たものはどれほどあったかなと思って調べてみました。

割と最近に「終戦のローレライ」福井晴敏著と、その映画版「ローレライ」があります。ドイツがフランスから接収した連装の主砲を持つ架空の潜水艦を日本が譲り受け、さらにそれに人間特殊兵器を積み、終戦近く、撃沈されるのを覚悟の上で浮上し、広島長崎の後さらに東京へ原爆投下をするためにテニアン飛行場を飛び立つB-29爆撃機を潜水艦の主砲で撃ち落とすという奇想天外なストーリーでそこそこ楽しめました。

yasukuni20100327_046.jpg

またそれとほぼ同時期に映画で「出口のない海」、テレビドラマで「僕たちの戦争」において、同じ回天という魚雷を改造した特攻兵器を扱ったものです。

この2つは人気作家の横山秀夫氏と荻原浩氏の各小説で、映画やテレビで見る前に先に読んでいて、あとで映画化やドラマ化を知りました。

回天の実物は靖国神社の遊就館(博物館)に展示されていますが、そのすぐ横に置いてある魚雷とほぼ同じ大きさで、まさに鋼鉄の棺桶です。

2009年公開の映画「真夏のオリオン」の原作は、池上司著「雷撃深度一九・五」という実話を元にした小説で、内容はだいぶんと変えられていますが、終戦近く劣勢に立たされながらも伊号潜水艦がアメリカ駆逐艦と激しい攻防を描いたものです。

古い映画や小説では、ソ連が開発した新型推進装置を持つ最新鋭原子力潜水艦レッド・オクトーバーとともに艦長がアメリカへ亡命しようとするトム・クランシーの小説「レッド・オクトーバーを追え」が、小説・映画とも秀作です。

ちなみにこの映画では、潜水艦では当たり前にある迫力ある海中での戦闘シーンがありますが、撮影は水は一滴も使わなかったという、特殊効果だけで制作されています。

他の小説では池上司著の「無音潜航」は、自衛隊が誇る静かなディーゼル潜水艦対中国の艦船が一発触発の状態になるという内容で、尖閣諸島問題でお互いに譲れない緊張状態を早くから警告し、さらに今後このような事態がいつ起きても不思議ではないと思いました。

映画になるといっぱいありすぎて、もうすっかり内容も忘れてしまっているものも多いのですが、その中では、ドイツの誇るUボートとアメリカの駆逐艦との心理戦や駆け引きが見ものだった「眼下の敵」や、日本の駆逐艦対アメリカ潜水艦の闘いを描く「深く静かに潜航せよ」も、後者は日本がやられてしまう側なので複雑な思いながら緊張する場面の多いいい映画でした。

最近に見た「渚にて」は古い白黒映画ですが、核戦争によって放射能に汚染された地球において、南半球のオーストラリアとアメリカの潜水艦のみが生き残っているという設定で、東西冷戦下の核兵器開発競争時代を皮肉った秀作でした。

やがてオーストラリアへも放射能が忍び寄ってくることがわかり、アメリカ原潜が選んだ道は、どうせ放射能にやられて死ぬなら故郷に帰ってという、重い選択がなされます。

Uboat7C.jpg

「Uボート」は西ドイツ(当時)が制作した大作映画で、アカデミー賞6部門にノミネートされる実績を残しました。

この映画では、多くの武勲をあげたことでなにかと英雄視されがちなUボートですが、乗組員にとっては海に浮かぶ棺桶と同じで、非情で過酷でとても厳しいものであったことを訴えかけ、しかも最後はあっけなく悲しい結末となるものです。

日本でも英雄や特攻隊員を賞賛するものではなく、そういった一乗組員の目線で潜水艦映画を作ってもらいたいものです。

「1941」は若き頃のスピルバーグ監督の映画で、太平洋戦争初期(1941年)、真珠湾を攻撃したあとアメリカ本土にも日本が攻めてくるという危機感をコミカルに描いたものですが、その中に三船敏郎が艦長役で潜水艦に乗ってアメリカまでやってきて、サンタモニカにある有名な桟橋を攻撃し、観覧車を破壊するシーンが笑えました。

「K19」はソ連の原子力潜水艦の原子炉が火災に遭い、それを消火するために、多量の放射能を浴びながらも必死で格闘する実話を元にした潜水艦映画です。

消火活動中の乗組員の姿は、見るに忍びない悲惨極まりない状態ですが、どうにか消火でき、無事に帰港することができます。

そして数年後に艦長の下に乗組員が集まった時には、その多くは無事元気な姿で再会を喜び合うという最後にホッと安心できた映画でした。

この映画を思い浮かべると、福島で必死に放射能漏れを食い止めようとしている人達とダブってしまいます。

下記に映画の潜水艦艦長役の一覧を書きましたが、潜水艦の艦長というのは、当然主役でもありますが、それにしても日米ともトップクラスの役者が演じているのには驚きます。

i400.jpg

コミックの「あかつき戦闘隊」は、故園田光慶氏が少年サンデーに連載していた漫画ですが、戦時中の人間関係の描写もリアルで、絵もうまく楽しめました。

主人公は戦闘機パイロットですが、決してヒーローではなく、次々と仲間が死んでいき、最後には主人公も撃墜され亡くなります。

物語の終盤では潜水艦(伊号)との関わりが増え、その中に格納していた戦闘機(水上機ではなく)を飛び立たせるなど、今思うとあり得ない設定もありましたが、小学生当時(1969年)はワクワクして読んでいたことを思い出します。

潜水艦を扱ったものでまだ読んでいない小説や、見ていない映画もありますが、小学生の頃はいくつもの潜水艦のプラモデルを作ってお風呂で遊んでいました。

なぜそれほどに潜水艦が好きかというと、その理由は自分でも不明です。

ちなみに会社のパソコンでは、スケジュールされた会議などの時間が来たときに画面のPOPアップと音声で知らせる機能を付けていますが、その時の音声にはソナーの発信音(本物)を採用しています。


■潜水艦を扱った小説で読んだ一覧
レッド・オクトーバーを追え トム・クランシー

無音潜航 池上司

雷撃深度一九・五 池上司

終戦のローレライ 福井晴敏

新紺碧の艦隊 超潜出撃須佐之男号・風雲南東太平洋 荒巻義雄

深海の使者 吉村昭

出口のない海 横山秀夫

僕たちの戦争 荻原浩


■潜水艦を扱った映画、DVD、TVで観た一覧
眼下の敵 1957年米 駆逐艦艦長役:ロバート・ミッチャム

深く静かに潜航せよ 1958年米 潜水艦艦長役:クラーク・ゲーブル

渚にて 1959年 米 潜水艦艦長役役:グレゴリー・ペック

海底大戦争 スティングレイ 1964年英 人形劇

原子力潜水艦浮上せず 1978年米 潜水艦艦長役:チャールトン・ヘストン

1941 1979年米 潜水艦艦長役:三船敏郎

復活の日 1980年東宝 潜水艦艦長役:チャック・コナーズ

Uボート 1981年独 潜水艦艦長役:ユルゲン・プロホノフ

レッド・オクトーバーを追え 1990年米 潜水艦艦長役:ショーン・コネリー

クリムゾン・タイド 1995年 米 潜水艦艦長役:ジーン・ハックマン

K19 2002年米・英・独・加 潜水艦艦長役:ハリソン・フォード

Uボート最後の決断 2003年米 潜水艦艦長役:ウィリアム・H・メイシー

ローレライ 2005年東宝 潜水艦艦長役:役所広司

出口のない海 2006年松竹 潜水艦艦長役:香川照之

僕たちの戦争 2006年TBS 回天乗組員:森山未來

真夏のオリオン 2009年東宝 潜水艦艦長役:玉木宏


■潜水艦を扱ったコミック・アニメで読んだ一覧
沈黙の艦隊 かわぐちかいじ

サブマリン707 小澤さとる

あかつき戦闘隊 園田光慶



リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX



Amazon売れ筋ランキング

ドライブレコーダー売れ筋ランキング

レーダー探知機本体売れ筋ランキング 

カーナビゲーション売れ筋ランキング


車用タイヤチェーンの売れ筋ランキング

車体カバーの売れ筋ランキング

バイク工具/メンテナンス売れ筋ランキング

車/バイク用オイル売れ筋ランキング


496
東京原発 2004年「東京原発」フィルムパートナーズ他 監督:山川元 出演:役所広司
 
福島第一原発事故の7年前に上映された映画ですが、その時にはおそらく様々な上映妨害もあったのでしょう、マスコミで話題になることもなく、またメジャーな制作会社が関わったわけでもなかったために、PRにかけられる予算も少なく、ひっそりと上映され、そして闇に葬られていった映画です。

しかしいま、毎日テレビや新聞で語られる「○ミリシーベルト」「ヨウ素」「プルトニウム」「核燃料棒」「ウラン埋蔵量」「臨界」「核再処理工場」「高速増殖炉」「被害想定」「チェルノブイリ」「耐震強度」「再生可能エネルギー」などが、この映画で非常にわかりやすく解説されています。
 
専門家に言わせると、事実誤認や数値に間違っている部分もあるそうですが、そういう微細なことでいちいち文句を告げるようなものではなく、あくまでエンターテインメント映画として楽しみ、そして評価をすべきでしょう。
 
ストーリーは、人気絶頂にある東京都知事(役所広司)が、ある日突然原発の東京誘致を決め、都の関係役人を集めて会議を開きます。集められたのは副知事、産業労働局長、政策報道室長、都市計画局長、財務局長、環境局長で、途中から副知事に呼ばれた東京大学教授も参集します。
 
この集められた都の役人達がみんなユニークで、当然原発の知識は皆無、テレビでは「原発は絶対安全」「大地震対策もバッチリ」などを鵜呑みにしていますが、東大教授の話を聞くうちにだんだんと青くなっていきます。
 
しかし都民から絶大な支持を背景にした都知事は、原発を東京へ誘致することで国から莫大な補助金が出るので、東京都の赤字はいっぺんに解決し、さらに原子炉冷却水を今までは海に捨てているのを、東京中の都市冷暖房に有効活用するという計画まで披露します。
 
「放射能の汚染リスクのある原子炉冷却水を使うなんて」という意見には「今まで何億トンの冷却水を安全だと言って海に流しておいてそれはないだろう?」、「首都大震災が起きたらどうするんだ?」には「もし大地震が来れば国の原子力安全委員会が自信を持って言う通り、原発の敷地内が一番安全なはず」という反論です。
 
その原発の立地場所はと言うと「新宿中央公園かまたは日比谷公園。なんと言っても都有地なので、原発の建設地を買収する手間やコストはゼロで、今すぐでも可能」とのこと。「それに日比谷公園ならすぐそばにある原発は絶対に安全と言う霞ヶ関(官庁街)も文句は言わないはずで、お堀の池も冷却水として使えて都合がいい」と無茶苦茶なことを言い出します。
 
一見原発には広大な土地が必要と思われがちですが、今回の福島第一を見てもわかる通り、重要なのは原発建て屋と制御棟ぐらいで、あとはただの広場や林なので、広さは問題ありません。
 
一方、フランスで再処理されたプルトニウムが、反対運動で直接福井の港に持ち込めないからと、秘密裏に東京お台場から福井までトラックで運ばれようとしています。そのトラックが少年にカージャックされてしまい、爆弾を抱えて都庁へ向かいます。と、同時に知事が急に原発誘致を言い出した理由と本来の目的が次第に明らかになってきて、いよいよクライマックスへと突き進んでいきます。
 
現実の東京都が推進している都の施設貸し出し等、映画制作協力をうまく利用していて、都庁や都内各所でロケが行われ、おそらくは制作費は低予算ながらもなかなか臨場感ある本格的な映画です。
 
思うに、公開当時、この映画はコミカルでもありますが、芯に流れる反原発と政府や電力会社の欺瞞、小役人の身勝手さを描いていますので、様々な役所、企業、圧力団体から妨害され、また電力会社から多額のスポンサー代を受けているマスメディアからも総スカンを食っていたのではないかと思われます。出演した俳優達も、今後映画やテレビから干されてしまうリスクもあったでしょう。
 
しかしいま見た感想は、たいへんよくできたエンタメ映画で、しかも非常にタイムリーなので、ぜひ多くの方が、子供達と一緒に一度見ることを強くお勧めします。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
アデル/ファラオと復活の秘薬 2010年フランス映画 監督:リュック・ベッソン 出演:ルイーズ・ブルゴワン
 
1900年初頭のフランスで元ジャーナリストで売れっ子女性作家が主人公で、脳死状態になった妹を救うため、エジプトへ渡り今から3200年前にいたファラオ=ラムゼイ2世の侍医と思われるミイラを奪い、それを蘇らせようとします。このあたり、なぜ昔の医者なのか理由が映画ではイマイチよくわからないのですが、原作ではちゃんと理屈があるのかもしれません。
 
ま、いろいろとドタバタがあり、無事フランスに持ち帰ったミイラを蘇らせることができたものの、侍医ではなく、原子物理学者だということがわかります。3200年前のエジプト人がなぜフランス語を流ちょうに喋っているのかもよくわかりません。それはさておき、偶然にルーブル博物館に展示中のミイラにその皇帝とそれに付き添う侍医があることに気づき探しに行きます。
 
ま、言ってみればフランス製の「女インディジョーンズ」ってところですが、映画の最後では、主人公はやがて沈む運命のタイタニック号に乗船するところで終わりますので、シリーズの次回作に乞うご期待ってことなのでしょう。ま、観ないけどね。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
シッコ SiCKO 2007年米 監督:マイケル・ムーア
 
アメリカの医療制度問題を皮肉ったドキュメンタリー映画で「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」などを制作した社会派監督マイケル・ムーアの作品です。シリアスな内容ですが、コミカルに作られていますので、楽しく映画を見ることができます。
 
アメリカの医療保険制度の矛盾や、無保険者の悲惨な状況、911事件で救助活動をおこなったために肺に障害が出たもののアメリカの病院ではまともに扱ってもらえない人達が数多く登場します。
 
政府は赤字財政で医療費負担を削減し、企業は利益の追求が最大目的なので、どうにかして保険の請求を拒否しようとします。したがってアメリカで医療を受けたい人は、高額な医療費を支払えるお金持ち以外は切り捨てられていくアメリカの実態を明らかにしていきます。そしてカナダやヨーロッパへ飛び、医療システムをアメリカと比較していきます。
 
決定的なのはキューバにある米軍基地では911の犯人などアルカイダの犯罪者を収容していて、そこの囚人達はアメリカ人の税金で完璧な医療が施されているということを知り、マイケル・ムーアは取材した多くの善良なる?アメリカ人を連れ、そのキューバへ乗り込んでいきます。せめて囚人と同等の医療をこの人達にも与えろと訴えますが基地には近づけません。
 
普通のアメリカ人や日本人が持つキューバのイメージは、共産主義で、国は貧しく、汚く、抑圧され、経済的に遅れているというものですが、実は今ではそれとはほど遠く、優れた医療設備や制度があり、しかも貧富にかかわらず誰でもが、ほとんど費用のかからない最高の治療費が受けられる仕組みになっていることが紹介されます。
 
アメリカではまともに扱われなかった病人の多くが、キューバの病院へ行き、そこで格安の治療を受け、涙を流してキューバ人医師に感謝をします。映画ですから当然デフォルメされている部分も多くあるのでしょうけれど、そしてすべてが真実かどうかはさておき、これを見てショックを受けない中流以下のアメリカ人はいないでしょう。
 
マイケル・ムーア監督の映画を観るのは実はこれが最初なのですが、過去の映画とともに、2009年に公開された資本主義経済をやはり皮肉った次作「キャピタリズム~マネーは踊る~」のレンタルDVD化が楽しみです。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~ 2009年米 監督:シェーン・アッカー
 
9(ナイン)昨年日本で公開されたアメリカのアニメ映画で、ロボットが反乱を起こし人間が滅亡した後というターミネーターもそうでしたが、割とよくある設定で、その中にあって、人間の良心を込められた風変わりなロボットたちが、破壊を繰り返すロボットに立ち向かっていくというストーリーです。
 
元々は短編映画で、それが2005年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたことにより、有名な監督&プロデューサーのティム・バートンの目にとまり、それが長編化されたものです。
 
大人でも楽しめるよくできた映画で、展開も次から次へと早く、長編アニメによくある時間をもてあましたり、無意味なシーンが多いと言うこともなく、最後まで飽きることはありませんでした。
 
アニメは日本が一番という強い想いを持つ人も多いでしょうが、もはやそう言った差は感じられず、逆にテクニック的にはお金をいっぱいかけられるアメリカ映画のほうが質的には高いように思います。日本でも漫画家やアニメクリエイターがもっと稼げるような体制にしていかなければ、やがては旧作の掘り起こしばかりで行き詰まっていくのかも知れません。
 
早く世界に通用する次世代の手塚治虫や宮崎駿が出てこないと、そして彼らが日本ではなく、中国やアメリカ、インドを舞台にして活躍しなければ、急激な少子化に向かう日本においては、アニメ業界も構造不況業界になっていくでしょう。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
必死剣鳥刺し 2010年東映 監督:平山秀幸 出演:豊川悦司
 
昨年上映されたチャンバラ映画ですが、タイトルにあるように、最後の必殺技がすべての映画なのですが、それはホンの一瞬のことなので、それを見るための前段部分100分はなんだったのか?という印象があります。
 
豊悦は今年は大河ドラマで信長役でしたので、ここのところ時代劇続きのようですが、信長役の時はともかく、この映画での侍の月代姿はイマイチな印象です。「20世紀少年」のオッチョ役や「犯人に告ぐ」のはみ出し刑事役のほうがずっと似合ってます。かつらを付けることで頭と顔全体が大きくなってしまい、元々顔が大きい上に、さらにアンバランスになるせいかもしれません。
 
しかし敵役となる岸部一徳という俳優は、登場すると、当初どんなに善人風であっても、あの半開きまぶたの目つきからして、きっと最後には極悪非道な悪人役なんだろうなぁと思ってしまいますが、その期待は決して裏切られません。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
告白 2010年東宝 監督:中島哲也 出演:松たか子
 
湊かなえ氏原作の小説「告白」の映画化です。昨年の日本の各映画賞では「悪人」と最優秀賞を分けていましたので期待の一本です。小説の感想は「2月前半の読書」に少しだけ書きましたが、映画も原作に忠実に作られていて、まずまずいい出来でした。
 
私はすでに原作を読んでいたので、映画の展開や登場人物の役割など問題なく理解できましたが、原作を読んでいない子供は、この映画を見てよくわからないところがあったと言ってました。

確かに似たような生徒が何人も出てきて、場面に動きが少なく、メールや手紙での「告白」が次々展開されていくだけのストーリーですから、書籍と違い繰り返し読み直すことができない映画の場合、重要なシーンをちょっと見逃すと、その先がわからなくなったりすることがあります。特にこういうミステリー映画の場合、細かな部分があとで重要な意味を持っていたりしますので、何かをしながらではなく、じっくりと集中して見る必要があります。
 
ひとつ不満を言えば、松たか子は真剣な顔をしていても、どこか裏も表も明るくカラカラと活発に笑っているような顔つきで、この映画の復讐に燃える知的で冷酷な主人公にはふさわしくないように思え、もっと裏表の違った表情を微妙に表現ができる、演技力豊かな女優さんが、いなかったのかなと思ってしまいます。その点だけが残念ですが、考えてみると今の世の中、プロの専門女優さんなんて人は、ほとんどいないのでしょうね。



リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
リストラ天国 日記(BLOG)


[PR]

Amazonタイムセール

ホーム&キッチンの売れ筋ランキング 

枕・抱き枕の売れ筋ランキング

旅行用品の売れ筋ランキング


ミラーレス一眼の売れ筋ランキング 

空気清浄機 タイムセール

掃除機の売れ筋ランキング

ペット用品の売れ筋ランキング


495
ネーミングライツ(命名権)を導入することで、自治体や企業が少しでも赤字の補填をしようと積極的に導入しています。その範囲は、プロ野球の球場やサッカー場など競技場の名称を筆頭に、果ては道路や公園、横断歩道や公衆トイレまで各種様々に拡がっています。
 
そうすることで、公共施設が綺麗になったり、使いやすくなることはとてもいいことで、スポンサーになる側の企業も、知名度や親しみやすさをPRでき、持ち主、利用者、PRしたい企業の三方がま~るく収まれば、誰からも文句の付けようがないシステムのような気もします。
 
しかし、その公共施設が地元の人しか関わらない道路や公園、トイレならばそれでも構わないのですが、時にはランドマークにもなる球場や競技場の名称については、もう少し配慮をお願いしたいところです。
 
つまりなにが言いたいかと言えば、名称がよく変わると、覚えられないし、PCやカーナビに名称入れても検索できないし、知っている人と知らない人で会話がちぐはぐになります。
 
例えば「西武ドーム」は、1979年に「巨大な野つぼ」と言われつつも、開業以来長く「西武(所沢)球場」とか「西武ライオンズ球場」と呼ばれてきました。今でも普通に西武球場と呼ぶ人が多く、それでも十分通用すると思われます。
 
ところが持ち主である民間企業の西武が、2005年からネーミングライツを導入し始めてややこしくなっていきます。まず2005年3月からインボイス社と2年間の契約で「インボイスSEIBUドーム」に名称を変更しました。しかしインボイス社は2年間でスポンサーを降りてしまい、結局その名称が広く世間に定着することはありませんでした。
 
次に2006年12月からは当時隆盛を誇っていたグッドウィル社が3年の契約をして「グッドウィルドーム」となりました。こうなるともうどこの球場のことか、さっぱりわかりません。しかしご存じの通りグッドウィルは2007年に本業で大きなトラブルが発生し、わずか1年で契約が終了。そのどさくさの時には関係のない西武もとばっちりを受けることとなり、2008年1月からは再び「西武ドーム」の名称に戻ることになりました。さすがに西武もそれで懲りたようで、その後はネーミングライツは見合わせています。
 
神戸に1988年に完成し、その後イチローがデビューし活躍していたオリックスバファローズ(最初の頃はオリックスブルーウェーブ)の本拠地になっていた「神戸総合運動公園野球場」はもっと混乱します。
 
まず最初に命名権を買ったのがソフトバンクグループのヤフー社で、2003年4月から「Yahoo! BBスタジアム」と名称が変わりました。しかしその翌年2004年秋に福岡ダイエーホークスをソフトバンクが球団ごと買収することが決まり、その本拠地「福岡ドーム」にYahoo!がスポンサーとして移ることになり、結局神戸での契約はわずか1年9カ月で終了します。
 
次に命名権を買ったのは航空会社のスカイマークで、2005年2月から「スカイマークスタジアム」という名称に変わりました。最初「神戸」の文字も入らないので、どこの球場のことなのか混乱しましたが、比較的長く(プロ野球6シーズン)使われてきてようやく馴染んできたところでした。
 
ところが、今年2011年2月にスカイマークがスポンサーを降りることになり、弁当チェーン店を経営する企業がその後命名権を買うことが決まり「ほっともっとフィールド神戸」という名称に変わりました。結局はこのスタジアムは8年間に3つ(元の名称を入れると4つ)の名称を持つことになり、さすがにもう「覚えようとは思わない」どうでもいい名称になってきます。
 
その他では、仙台の楽天ゴールデンイーグルスの本拠地は、元々「宮城球場」という名称でしたが、2005年3月からグッドウィル社と同業のフルキャストが名乗りを上げ、「フルキャストスタジアム宮城」、そして3年後の2008年1月からは「日本製紙クリネックススタジアム宮城」といういずれも長ったらしい名称に変わっています。新聞などでは「フルスタ宮城」「Kスタ宮城」などと当然のごとく省略されています。
 
野球のスタジアム以外にも多くの競技場でネーミングライツが行われています。2001年に開場し2002FIFAワールドカップにも使用された「大分スポーツ公園総合競技場」(通称は大分スタジアム、愛称として大分ビッグアイ)も、2006年2月から地元に工場を持つ九州石油がスポンサーとなり「九州石油ドーム」と命名されました。
 
九州石油は2008年に石油元売り大手の新日本石油(現JX日鉱日石エネルギー)に買収され、その社名自体がなくなりましたが、2010年2月までは契約をそのまま残して終了。その後はスポンサーがなかなか見つからず、一旦は元の「大分スタジアム」に戻りましたが、2010年3月にようやく地元の大分銀行がスポンサーとなり「大分銀行ドーム」(通称大銀ドーム)と変わりました。「九州石油ドーム」とか「大銀ドーム」とか言われても、地元の人もピンとこないのではないでしょうか。
 
大分トリニータの試合を見ようと競技場へクルマで向かい、カーナビに「大分銀行ドーム」と入力しても、せいぜい大分銀行本店までの道案内をされるぐらいで、困ったことになります。また道路上の案内板もこうたびたび変更となれば、すべての修正作業が追いつかないものもあるでしょうし、不案内な人にとっては不便極まりないことです。
 
一方では、2001年に完成したFC東京や東京ヴェルディの本拠地「東京スタジアム」のように2003年から「味の素スタジアム」と名称を変え、その後ずっと変わっていないところもあります。最初のうちはサッカーと味の素のイメージが結びつかず、とても違和感があったのですが、さすがに8年も経過すると最近では誰もが「味スタ」と言って馴染んでいます。こういうのはいいですね。
 
公平性を期すために特に自治体の施設では、命名権に関しても一般競争入札が導入されます。そうすると、中には問題を抱えている事業社だったり、経営基盤が安定していない会社が応札し、結果として落札することもあります。そうした場合でも、自治体側は明かな違法性のある問題でも発覚していない限り、それをキャンセルすることはできません。
 
そこで結論ですが、ランドマークにも使われるような大きな施設のネーミングライツを契約する場合は、2~3年という短いスパンの契約ではなく最低でも5~10年単位でおこなってもらいたいというのが本音です。
 
しかし実態としては、企業自体やその属する業界の栄枯盛衰、または企業合併や買収の動きなどが激しく、特に設立して10年未満で急成長を遂げた新興企業にとっては、とても長期間の契約はできないでしょう。企業も安定した利益を出してなんぼのものですから、赤字を続けたまま、効果が不明瞭なスポンサーを継続していくのも難しいのも理解できます。
 
それならば命名権を売り出す側も、過去の前例にとらわれず、そしてあまり欲にかられず、一定の規模や創業からの年数などで応札できる企業をバサッと足切りをして、その代わりに安い契約料で細く長い契約をしてもらえるよう努め、施設の名称についても、なんでもOKではなく、それぞれの地名を入れることなど条件を付けるという相互の協力と工夫が必要でしょう。そうすれば単に「手っ取り早く知名度を上げたい」という短期契約のスポンサーを排除することができ、長く市民や国民に愛される名称が定着していくのではないでしょうか。



リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX

[PR] Amazon 書籍 売れ筋ランキング

ビジネス・経済

ビジネス実用本

新書

文庫

文学・評論

コミック

ゲーム攻略・ゲームブック


ハヤカワ・ミステリ  

創元推理文庫

新潮文庫

講談社文庫

角川文庫

集英社文庫

岩波文庫


文芸作品

ノンフィクション

ミステリー・サスペンス

SF・ホラー・ファンタジー

歴史・時代小説

経済・社会小説

趣味・実用


494
太平洋戦争中に遠く離れた日独伊の三国同盟国いわゆる枢軸国同士で人的交流や技術供与、資源融通などをおこなうべく、様々な方法が考えられていました。
 
まず空路ですが、長距離輸送機を使い、ドイツから最短距離で、当時日本が支配をしていた満州まで一直線に飛んでくるのが一番手っ取り早く、制空権が確保できているあいだは、それがもっとも現実的だったのですが、ドイツとソビエトは戦争状態、日本とソビエトは不可侵条約を結んでいたことから、そのソビエトの上空を通過することは、ソビエトに日本が利敵行為をしたと見なされ、太平洋で手一杯のところに後ろのソ連からも攻められてはたまらないと、その案は日本側の強い反対で何度も却下されました。
 
空路では遠回りになりますがドイツ~イタリア~トルコ~シンガポール経由の南周りという方法もありましたが、こちらは英国が制空権を持つインド上空を通過する必要があり、リスクが大きく、また距離も長くなるのでほとんど実行されることはありませんでした。

一度日本がキ77という試作機でチャレンジしましたが、インド洋上空で行方不明となり、おそらく撃墜されたと思われます。
 
陸路はもっと難しく、実質的には中立条約を結んでいるソ連のシベリア鉄道を使う以外には方法はなく、そのシベリア鉄道もドイツと激しい戦争をしている中で、ソ連の日本人に対する監視は厳しく、ドイツとの交流を図れるルートではありません。
 
最後に残されたのが海路ですが、はやりインド洋には英国部隊が、大西洋に入ると英国やアメリカの部隊が待ちかまえており、それらを突破するには、無線を封鎖し、見つからないように海底に潜むことが出来る潜水艦しかありません。
 
潜水艦と言えば一般的には深く潜ったまま遠くまで航行ができるものと思われがちですが、それは戦後に登場した電力も酸素も海中にいながら作ることが出来る原子力潜水艦からです。

当時の潜水艦は他の艦船と同様海上に浮び、ディーゼルエンジンで発電をしながら航行します。

もし敵船や敵の航空機を発見したらすぐに潜って息をひそめ、電池でスクリューを駆動し、敵艦に攻撃ができるようならば攻撃をする、あるいは潜ったまま待ち伏せをして攻撃をするというのが普通の戦い方です。
 
つまり潜水艦でドイツを目指すというのは、日本の基地があったマレーシアやシンガポールから潜ったままアフリカ大陸をまわって2万キロの旅をするのではなく、通常の船のように海上を進み、敵の哨戒地域では夜だけ航行し、昼間はできるだけ潜って隠れているという長旅です。
 
海面ギリギリまで浮上し、潜ったままで艦内に外気を取り入れたり、動力源の電池を充電するためディーゼルエンジンを使うシュノーケル装置が付くのは、もう終戦に近い頃の話しです。この技術も戦争中にドイツから教わったもののようです。
 
前置きが長くなりましたが、そのようなたいへん難しい任務を実行した潜水艦乗りや、関係者に取材をして書き上げた実話のドキュメンタリーです。
 
ドイツの潜水艦と言えば有名なUボートですが、日本海軍の潜水艦は大型艦は「伊号」中型艦が「呂号」、小型艦が「波号」といろは順で区分され、それぞれに番号が付きます。Uボートは日本のように広大な太平洋で長期間作戦行動をする必要はなく、したがって大きさで言えば呂号クラスの中型の大きさになります。
 
日本の潜水艦技術は世界的に見ても決して劣っているわけではなく、特に「伊号」の中にはアメリカ本土の空襲を計画して攻撃用水上機が4機積める潜水空母と言えるようなものまでありました。
 
しかし攻撃力では連合国に勝っていても防御能力では他の日本の兵器と同様遅れていて、相手よりも早く敵を発見することができるレーダー技術は、決定的な差がありました。

これは日本軍にとって「攻撃は最大の防御なり」「先制必勝」精神で、攻撃兵器には多額の予算がつくものの、防御兵器については予算が付かないという結果です。

しかし潜水艦にとっては、敵が気づく前に潜行して隠れないと攻撃されてしまいますので、防御のためのレーダー技術の優劣が、生死を分ける一面を持っています。
 
ドイツから日本へ持ち帰るものはその最新レーダーや、ジェット戦闘機の設計図、4連装機関銃、精密工作機械などで、あとはドイツ留学中の技官など。

逆に日本や東南アジアからドイツへ運ぶのは錫、ゴム、金などの南方の天然資源が中心です。この交換する物品の差に、当時の日本と世界の技術格差にあらためて驚かされます。
 
当然ながらすべての航海がうまくいくわけではなく、最初に往復を成功させた伊号潜水艦は、実効支配していたシンガポール湾で、英国が撤退する際にばらまいていった機雷に蝕雷、沈没してしまったり、戦局が悪化するに従い、航海途中で発見されてインド洋や大西洋で撃沈するものが増えます。往復を終え日本本土までもう少しという南シナ海で、米潜水艦に待ち伏せされて沈没した艦もあります。
 
いよいよドイツ降伏が近くなり、Uボートが連合国に接収される前に、日本の要請でそれを日本へ運ぶためドイツ人乗組員が大西洋を南下していた際、ドイツ降伏の知らせが無電で入り、結局そのUボートは降伏しアメリカへ向かうことになります。

しかしそのUボートに同乗していた日本の技師は「生きて虜囚の辱を受けず」と、ドイツ語で艦長宛に丁寧なお礼の遺書を残し、艦内で自決する場面などはとてもつらい歴史のひとつです。

著者別読書感想(吉村昭)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
「顔に降りかかる雨」は1993年に著者が初めてミステリー小説を書き、それがいきなり第39回江戸川乱歩賞を受賞し一躍その名を有名にした記念碑的な作品といえます。

私は著者の作品は過去に「水の眠り 灰の夢」と最近「東京島」を読んでいますが、特にこれといった特徴はない作品だなと思っていました。「OUT(1997年)」や直木賞を受賞した「柔らかな頬(1999年)」と着実に人気作家として駆け上がってきました。
 
しかしこのメジャーになる前の作品は、なかなかどうしてまだ新人の時に書いたと思えないほどできのよい作品だと思います。私が小説の中ではもっとも好きなジャンルである探偵ものの要素が含まれているためそう思うのかも知れません。
 
内容は夫を自殺で失い絶望の中にいた女性が、ある日突然大金を持って行方不明になった友人を、事件に巻き込まれながら探すというストーリーです。ちなみにこの主人公の女性は、その後シリーズ化されていくつかの小説に登場するようです。
 
今から18~9年前に書かれた小説ですから、様々な環境や行動様式に現在とはいろいろと違う点があるのが、読んでいてなかなか面白いです。

携帯電話は、まだ一部のビジネスマンぐらいしか持っていない時代で、FAXが頻繁に活用されていたり、個人情報保護にはさほどうるさくない時代でしたので、マンション管理人が容易に住人のことを喋ったり、部屋の鍵を貸したりします(それはいつの時代でもちょっとダメだろと思いますが)。

探偵も今の世の中になって、個人情報を調べるのはきっと大変になっているのでしょうけど、逆にネットで簡単に調べることができる場合もあるので、便利さと不便さはいってこいなのかも知れません。
 
最近の小説に多い複雑で怪奇であり得ないストーリーではなく、非常にシンプルで、女性作家らしく、安易な妄想がしばしば挟まれつつで、私はこういうシンプルな内容は嫌いじゃありません。

著者別読書感想(桐野夏生)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
超氷河期に突入している就職活動で、JR東海、NTTDoCoMo、伊藤忠商事、東京海上日動火災保険など有名どころの大企業から内定をもらった人達の就職活動、特に事前準備や面接、インターンシップなどの経験談をインタビュー形式でまとめたものです。
 
これから就活へと踏み出す人には多少参考になるとは思いますが「要は企業それぞれに採用ポリシィがあり、就活する学生にもそれぞれ特徴や個性があるので、特に必勝パターンというものはない」というのが結論でしょう。あるとすれば、そのような大手企業には、学校ブランド(トップ5ぐらい)や海外生活経験が役立つことぐらいでしょう。
 
内定をもらった人の話しで必ずと言っていいほどよく出てくるのは「この会社の面接は他社と違って…」「ここの会社の人は他の会社の人と比べてずっと熱く…」という言葉があります。内定をもらい、入社した途端、インタビューを受けるときには、すっかりその会社の広報パーソンになりきっています。
 
これを読む学生さんが誤解してはいけない点として、このインタビューに登場する人達は、一般内定者の中から無作為に選ばれたわけではなく、企業が学生に向けて、その企業にとって一番宣伝になると思う人達を選び、質問される内容もその回答も準備された人達であると言うことをお忘れなく。だからまるで企業の広報担当者のような回答に終始することになります。
 
当然インタビュー中は、すぐそばに切れ者の人事担当者が控え、質問や回答に予定外のものがないか目を光らせ、原稿になってからも、自ら手を入れていると想像が出来ます。

したがって内容はすべてに当たり障りがなく、その企業のことや面接を過大に評価し、上記の「この会社は他社と違い…」という、誉め言葉ばかりの表現ばかりになってしまうわけです。そこのところを間違えなければ、いつ頃、なにを、どうやって、様々な難関をクリアしたのかなどは、右も左もわからない学生にとっては参考になることもあるでしょう。
 
これも何人もの人がインタビューで言っていましたが「入社して長く働きたいので、面接で自分を偽ったり、よく見せようとテクニックに走っても、あとで困るのは結局自分だ」というのは、まさにその通りです。

ところが現実的には、学生がうまく企業側を騙すなんてことは、まず不可能で(できると思っているならそれは単純な思い上がりというもの)、逆に企業側が学生を騙すケースの方がはるかに簡単で多いと言うことを知っておく必要があります。




リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
リストラ天国 日記(BLOG)
ブログ内検索
プロフィール
HN:
area@リストラ天国
HP:
性別:
男性
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
============
プライバシーポリシー及び利用規約
Template & Icon by kura07 / Photo by Abundant Shine

Powered by [PR]


忍者ブログ